それは、教会との戦いが落ち着いてきたある夜の事。
「今日から俺と妻はこの紅魔館から隠居するから」
「「・・・は?・・・はぁ!?」」
いつも通りの食事の中、テロルはいきなり隠居宣言をした。
紅魔館の引っ越しについでの問題発言に食事中のレミリアとテロルの後ろで給仕をしていたラディアは思わず叫んでしまう
「こら、レミリア。食事中にあまり大きな声でしゃべるのはよくありません」
「あ、ごめんなさい、お母さま・・・。で、でも・・・」
「テロル、俺はそんな大事なこと聞いてないぞ!だいたい何時もお前は・・・!!」
「うるさいわよ、ラディ」
「へぶッ!?」
優しくレミリアには注意、ラディアには妖力弾。
な、何故自分だけ、と残しそのまま床に沈む。
「ねぇ、隠居ってなぁに?」
「簡単に、説明すると館と当主の座をレミィかフランに譲り自分たちは静かに暮らす事よ」
レミリアの前の席に座って食事を取っているパチュリーとフラン。
隠居の意味が分からないフランにパチュリーが簡単に説明し、そうなんだーとのんきにデザート食べるフラン。
「それで、次の紅魔館の当主をレミリアに任せようと思っている」
「うん、フランもお姉さまになって貰いたい」
「・・・任せて下さい。必ず立派な当主になります」
いきなり当主に選ばれ困惑するも気を取り直し新たな決意を胸に宿す。
その姿を見ていたテロル伯爵と奥様は満足げに微笑む。
「・・・じゃあ、俺はお払い箱か。はあ、何とも寂しいような嬉しいような」
「あら、ラディはこのまま私が隠居するまで仕えて貰うわよ?」
「え?」
やれやれと床に沈んだ状態で呟いた一言にすぐさま反応が返ってきた。
その言葉はラディアにとって予想しておらず間抜けな声を上げてしまう。
「だから、ラディは私たちが隠居するまでここで働いてもらうから」
「・・・それはまた・・・」
嬉しくもあり大変そうだなぁと思い苦笑いをこぼした。
「それじゃ、このまま執事として誠心誠意尽くさせてもらいます、お嬢様」
「ええ、これからも尽くして頂戴。・・・頼りにしているわ、ラディア」
その様子を見守るパチュリーが
「床に沈んでいる状態でやるもんじゃないでしょう、それ」
呆れた声をだした。それを穏やかに笑うテロルと奥様。そして、
「そういえば、ラディアはお父様から給料もらっているの?」
フランの何気ない一言に食卓が凍る。
「・・・そういえば、伯爵様?俺、雇われていますよね。休暇は貰ったことあるけど給料は未だに貰ってませんが・・・・どうなっているんです?」
「え!?えっと、・・・いる?」
「あたりまえだろうがー!!」
てへっと舌を出す伯爵に襲いかかろうとして、
「食事中は静かに」
「へぶッ!?」
また、床に沈んだラディアであった。
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