問題児達と残虐な逃亡者が異世界から来るそうですよ?《更新停止》 作:鴉紋to零
どうか、その点は御了承ください!
ここで逆廻は初歩的な疑問に気がついたようだ
「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」
腹立たしげに言う彼に便乗する久遠
「そうね。何の説明もないままでは動きようがないもの」
「………。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」
………俺みたいな奴にはこれで充分だ
俺は数年前に驚くという感情もなくしてしまっている
常に命の危機に瀕する戦場に居続けたのだ、この程度では驚くこともない
俺は特にこれといってやることもないので、何か手掛かりらしきモノがないか調べている
結果は直ぐに出た。というか、明らかに隠れている茂みを見つけた
「ーーー仕方がねえな。こうなったら、
「なんだ。貴方も気付いてたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだせ?そっちの二人も気付いてたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「あれは隠れたとは言わねえだろ」
「………………へぇ?面白いなお前ら」
逆廻達は殺気混じりの冷ややかな視線を茂みに向ける
俺は三人ほど甘い視線を向けるのは苦手なので、少しだけ、
目は魂の窓だと聞いたことがあるが、それは満更間違えていないだろうと思う
何時もなら抑えている殺気の塊を一瞬だけ垣間見せる
何千人もの殺気に当てられて、なお折れなかった俺の殺気が此方を覗く双眼にまじまじと当てられた
この時、黒ウサギは本能的に此方を見るのを止めたのは得策であろう
だが、流石にずっと冷たい視線を受け続ける訳にもいかず後に気付くことだが、黒ウサギは自ら死地に飛び込んだ
「や、やだなあ御三人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいまよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じて、ここは一つ穏便に御話を聞いて頂けたら嬉しいでございますヨ?」
「嫌だね」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「あっは、取りつくシマもないですね♪」
表層では黒ウサギも冷静を保ったかのように見せているが、内心はそれどころでは無かった
心臓の鼓動は早鐘を打ち続け、本能が危険だと叫び続けている
しかし、黒ウサギにとやらなければならないことがあるのだ
意地にも似た何かで四人を計る
(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝ち気は買いです。ですが、あのとんでもない殺気はいったい………)
疑問は残るが、何とか黒ウサギは目的の一つは達せられた………のだが
「えい」
「フギャ!」
一つだけ計れないものによって黒ウサギは追い込まれることとなった
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか、初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとはいったいどういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業」
「自由にも程があります!」
一度あることは二度ある。この時ほどこのことわざが活かされたときはないだろう
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
「………。じゃあ私も」
「ちょ、ちょっと待_______!」
黒ウサギとおぼしき人物のいる方から視線を感じたが俺は無視を貫いた
触らぬ神に祟り無しだ
この広大な大地に、悲劇の兎の声が響いた
閑話休題
「_____あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いて貰うために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とらきっとこのような状況を言うのに違いないのデス」
「いいからさっさと進めろ」
わりかし冗談にならない痛みに襲われたウサ耳を労りながらも黒ウサギは何とか話が出来る空気にした
しかし、一名忘れていた
「俺のこと忘れてないか?」
職業柄、気配は常に消すように心掛けていたから気付かれないのは仕方がないとは割り切っていたが、ここまで来ると意図的なものを感じる
なので、一応自己の存在があることを言葉にしたのだが
「「「「あっ」」」」
「分かった。とりあえずそこに直りやがれ」
なるべく痛そうな土の上を親指で指す
馬鹿四人に小一時間。人として大切なものを説教した
ここに来ていきなり説教するはめになるとは思わなかった
「で、では!気を取り直して!それではいいですか、御四名様。定例文で言いますよ?さあ、言います!ようこそ、゙箱庭の世界゙へ!我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼントさせていただこうかと召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
春日部が小首を傾げて黒ウサギに問うた
「そうです!
既に気づいていらっしゃるでしょうが、御三人様は皆、普通の人間ではございません!
その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます。
『ギフトゲーム』はその゙恩恵゙を用いて競いあう為のゲーム。
そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」
アメリカンさながらにオーバーな身振り手振りを付けて箱庭をアピールする黒ウサギ
「まず初歩的な質問からしていい?貴方の言ゔ我々゙とは貴方を含めた誰かなの?」
「yes!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある゙コミュニティ゙に属して頂きます♪」
川のせせらぎをバックミュージックに黒ウサギの説明を聞いていると、待ってましたと言わんばかりに即答で否定の声が聞こえた
「嫌だね」
「属していただきます!そして『ギフトゲーム』の勝者はゲームの゙主催者゙が提示した商品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」
「……………゙主催者゙って誰?」
「様々ですね。
暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開発するグループもございます。
特徴として、前者は自由参加が多いですが゙主催者゙が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。
しかし、見送りは大きいです。゙主催者゙次第ですが、新たな恩恵を手にすることも夢ではありません。
後者は参加の為にチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらはすべで主催者゙のコミュニティに寄贈されるシステムです」
「後者は結構俗物ね……………チップには何を?」
「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間…………そしてギフト掛け合うことも可能です。新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑むことも可能でしょう。ただし、ギフトを賭けた戦いに負ければ当然ーーご自身の才能も失われるのであしからず」
「そう。なら最後に一つだけ質問させてもらっていいかしら?」
「どうぞどうぞ♪」
「ゲームそのものはどうやったら始められるの?」
「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOK!商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加していってくださいな」
「………つまり『ギフトゲーム』とはこの世界の法そのもの、と考えてもいいのかしら?」
ここで笑顔を振り撒いていた黒ウサギの顔が驚きに変わる
「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは八割正解二割間違いです。
我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。
ギフトを用いた犯罪などもってのほか!そんな不逞な輩は悉く処罰します
ーーが、しかし!『ギフトゲーム』の本質は全くの逆!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能だと言うことですね」
「そう。中々野蛮ね」
「ごもっとも。しかじ主催者゙は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり奪われるのが嫌な腰抜けは初めからゲームに参加しなければいいだけの話でございます」
黒ウサギは一度、ここで話を区切るとカード?から封筒を取り出した
「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補であふ皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させて頂きたいのですが…………よろしいですか?」
「待てよ。まだ俺が質問してないだろ」
清聴していた逆廻が、唐突に軽薄な笑みを消して黒ウサギに問い掛けた
少し威圧的な声色から何か個人的に聞きたいことなのだろう
「………………どういった質問です?ルールですけ?ゲームそのものですか?」
「
黒ウサギの問い掛けを逆廻はバッサリと切り捨てた
「腹の底からどうでもいいぜ、黒ウサギ。ここでオマエに向かってルールを問いただしたところで何かが変わるわけじゃねえんだ。世界のルールを変えようとするのは革命家の仕事であって、プレイヤーの仕事じゃねえ。俺が聞きたいのはただ一つ」
一つ息を吸い、俺達やこの世界そのものを見て一言
「この世界は…………面白いか?」
久遠と春日部も無言で黒ウサギの答えを待つ
全てを捨ててこい。あの手紙にはそう書かれていた、ならばそれ相応であることは必須である
その大切な問いに黒ウサギは、絶対的な自信をもって答えた
「ーーyes。『ギフトゲーム』は人を超えたもの達だけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」
三人は満足した答えを得ていたようだが、俺は特に何も感じなかった
確かにあんな場所ではないところに連れてきてくれたのには感謝はしている
だがこの流れだと、会って間もない輩と協力しろということになるだろう
仲間なんて持つものじゃない
その内、背を預けられるか計るとするかと脳裏にそんなことを過らせながら先に山を下っていた三人についていった