「だ、大ちゃん!いきなりなにするの!?あたいが何かした?」
「うるさい。氷の妖精ごときがきやすく呼ばないで。風府・真空斬」
「え…?いたいぃぃ!」
切り裂かれたチルノが悲鳴をあげて痛がる。露出している両腕に鋭い真空波があたり、深い傷が刻まれて血が滴っていた。
「う、あ…。よくわかんないけどあたいも反撃するよ!氷府・アイシクルフリーズ!」
「くだらないわ。風府・烈風の陣」
大妖精より生み出された烈風がチルノの巨大な氷結を跳ね返した。しかもさっきの切り刻む烈風つきで。
「あ、あたいの技が…。うきゃぁぁぁぁ!げほっ…。」
跳ね返された巨大な氷結がそのままチルノに命中した。もちろん、あの切り刻む烈風つきで。こんなものまで食らってはさすがのチルノも吐血してしまった。
「大ちゃ…うぐっ!…。」
もはや限界だったのか、チルノが飛べずに落下した。
「とどめよ。風府・真空…「させない!」なに?」
「今よ!リグル、ルーミア!」
「闇府・黒幕の霧」
「虫府・落蝶の舞」
「ちっ。煙幕か。風府・突風昇華!」
さっきチルノに喰らわせたものより遥かに強い力を持った真空波がルーミアを襲った。
「うぐぁぁ!痛い、のだ…。」
幸いリボンには傷ひとつつかなかったが、切り刻まれたルーミアは血だらけになって落下した。
「ルーミア!リグル、もう一回だけお願い!その間にチルノとルーミアを連れて行こう!」
「わかった!虫府・蝶々の蘭・烈!」
「くっ…!数が多い…。」
さっきよりも遥かに多い蝶々が大妖精を囲む。
「今のうちよ!」
「うん!」
「逃がしたか…!」
視界の端にはチルノとルーミアを抱えたリグルとミスティアが映る。
「ふっ…。なら、ここで暴れてあげるわ。人里の人間どもも殺してやる。
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その頃、博麗神社では―
「なあ、霊夢。」
「なによ。」
「最近人里で妙なことが起こってるらしいぜ?」
「妙なこと?」
「あ、俺それ聞いたことある。」
「僕もあるな。」
「私は…ないわね。」
リョウ、魔理沙、霊夢、アリス、ショウが集まって話をしていた。
「なんでも、初級か中級の妖怪が凶暴化しているらしいぜ。」
「なによそれ。初耳だわ。もっと詳しくわからないの?」
「いや、それ以上は私もわからないんだ。リョウ、知ってるか?」
「俺もそれ以上はわからないなぁ。」
「僕なら知ってるよ。人間を襲うのは勿論なんだけど、自然とか仲間の妖怪も殺すんだよ。普段は絶対出さないような本気の力で辺り一面を破壊するらしい。そして、己の限界を迎えて滅亡するのだと。」
「…変ね。妖怪は普通そんな力を使ったりしないわ。だって、肉体を失うかもしれない力を使うなんて存在に関わることだもの。」
「そうよね。普通は絶対にないことよ。でも、なぜなのかしら。今まではそんなことなかったのに。」
「さぁな。でも私は異変だと思うぞ。何かのな。」
「魔理沙は異変が好きだな。」
「別にいいだろ。いつも退屈してるし、私にはこのミニ八卦炉があるからどんな危険だろうがわくわくするぜ!むしろ、こっちから危険に飛び込んでやるよ!」
「魔理沙、」
「ん?なんだ、アリス?」
「そういうのを「無鉄砲」って言うのよ。」
「あー、うるせえな。どーでもいいだろ!」
「どうでもよくはな…「霊夢さん!はぁ、はぁ!」え?」
アリスがなにかを言おうとしたとき、唐突にミスティアとリグルがやって来た。二人とも酷く慌てていた。そして、脇には…血だらけの、チルノとルーミア!?
「ちょ、ちょっと何があったの!?あんたたち!」
「大ちゃんが、大妖精がいきなりチルノ達にスペカを仕掛けて…」
「大ちゃん、あんまり弾幕ごっこ得意じゃなかったのに、別人のように強い威力でスペカを放ったの!そのせいでチルノ達が…」
「まずは、早く治療してやらないと!出血が酷い!」
「わかったわ。」
アリスが治癒呪文を唱えてとりあえず傷口を塞いだ。おかしい、いつもならすぐ治るハズなのに。
「駄目よ。これ以上力を込めたらこの子達の生命力が間に合わないわ。」
「そこまで消費してるのか…。なら、急いで永遠亭に連れていかないと命に関わる!」
「私が永遠亭に連れていくわ。すぐに戻ってくるから、
「わかったわ。」
「気を付けてな。」
「気を付けろよ、アリス。」
「ええ、わかってるわ。」
そういうや否やアリスは二人を抱えて飛んでいった。
「ねえ、ミスティア、リグル。大妖精はどんな感じだった?」
「いつもの大ちゃんとは似ても似つかなかった。真面目で優しくて、面白い大ちゃんとまさに正反対だったよ。」
「すごく冷たくて、チルノが傷ついても当然のように見下してた。それに「死ね」とか「殺す」とか凄く怖いことばっかり言ってたの。」
「でも、一番違ってたのは目だね。」
「「「「目?」」」」
皆揃いも揃って同じことをいってしまった。
「そうそう。いつもなら澄んだ黄緑と水色を混ぜたような色をしてるんだけど…」
確かに。彼女の目はそんな感じの色をしていた。
「「赤く濁ってたの。」」
「「「「は?」」」」
再び全員が同じ反応をする。もちろんその場にいないアリスを除いてだが。
「赤く濁ってた…?」
「うん。全然澄んでなくて嫌な色だった。瞳に…なんていうのかな。強烈な殺意を感じたんだ。」
「わかったわ。ありがとう。二人ともしばらく休んでていいわよ。」
「「はい。」」
「あの大妖精が…暴走?」
「信じられないな。」
「やっぱり、何かの異変だな。」
「確かに、異変の可能性は高いな。」
「そうね。現場に向かってみないとわからないことも多いから、一度湖辺りに向かってみましょう。」
「「「そうだな。」」」
そして、僕達は湖に向かった。途中でアリスとも合流し、彼女いわく永琳が「重傷だけど死ぬほどではないわ。こっちで私とうどんげで治療しておくから大丈夫よ。」といっていたらしいので一安心だった。
「ここね。」
「そうだな。」
「そうね。」
「ああ。」
「なんて禍禍しい雰囲気なんだ…。」
リョウの言った通り、ここには殺気と怨みが充満していた。それこそ、気分が悪くなるくらいに。
「やっと来たわね。博麗の巫女、霊夢。そして、その他のギャラリー達。」
「大妖精…」
確かに普段の大妖精ではなかった。目は赤く濁った色になり、からだの周りには真空波を纏わせていた。そして何よりも違ったのは彼女の体から溢れる負のオーラだ。
「ショウさん…彼女からは有り得ないほどの殺気と憎しみが感じられますよ。相当ヤバイです。恐れられることで妖怪は力をつける…。そのせいで力が数倍以上になっています。」
「そうだな…。」
「そうよ。私は表の
「頼まれたこととは?」
「簡単なことよ。仲間で暮らしてる弱っちい人間どもや妖怪、そして神を殺すの♪とっても楽しいわよ。あの断末魔の悲鳴…いつ聞いてもぞくぞくするもの♪」
そう言ってうふふと笑う彼女はもはや大妖精ではない。別の何かにしか見えない。
「お前を倒せば…いつもの大妖精に戻るのか?」
「半分正解で半分不正解ね。」
「貴様…茶化すな!大妖精を返しやがれ!」
「リョウ!落ち着け!」
「しかし…」
「そうよ。リョウ、落ち着きなさい。半分正解と言ったわね。なぜかしら?」
「ふふ、それはね、
「どうゆう意味なんだ…?」
「だって、私は彼女、彼女は私だもの。」
「あー、全然意味わかんねぇよ!」
「私の正体を明かすことになるけど、まぁいいか。どうせ貴方たちは死ぬんだし。私はね、彼女の負の感情が意思を持った存在なのよ。大方殺意からだけど。もちろん、実体は彼女自身のこの体で、私はそこまで強くないから具現化まではいかなかったのよ。だけど、ここからが肝心。私を倒すのは貴方たちの自由だけど、私を倒しても私は死なないわ。なぜなら、私は感情な訳だから彼女が生きている限り共に存在し続けるもの。それと、こんな無駄話ばっかりしてても無意味よ?だって、私が
「みんな、仕方ないわ。戦闘準備よ!」
「うふふ、楽しみね。此方からいかせてもらうわ!
風府・斬風の
ものすごい数の風が相手を切り裂くために真空波として生み出された。
「これは自由に動かせるのよ?風がある限りずっとね。」
「情府・感情を映し出す輝鏡」
「人府・上海人形」
「龍府・画竜点睛」
僕、アリス、リョウの3人がスペカを発動させる。リョウは反射鏡を張り、僕は全員の肉体強化、アリスは唯一攻撃だ。アリスのスペカは一瞬で大量の人形を召喚し、レーザー光線を放つ。すると真空波は軌道を逸らされたり、相討ちで消滅したりした。
「へぇ。だったら、風府・烈風の陣」
さっきとは違った風が生み出され、アリスの放った光線を跳ね返しつつ、追加効果で切り刻む烈風がついている。だとしたら…
「龍府・鳳凰天翔」
火属性の龍の火炎弾でレーザー光線と風を共に消滅させた。相殺しきったあとも猛烈な火炎弾は相手を襲う。
「風府・真空雷神」
火が消えることから、風から酸素を消し、そして摩擦で静電気を起こして、それを弾幕として当ててきた。
「霊府・二重結界」
霊夢の結界によって僕に攻撃は当たらない。
「人府・蓬莱人形」
こちらは槍を持った人形が現れて、相手を刺そうと一斉に向かう。
「風府・斬波裂傷神」
彼女自身が風に包まれると同時に周りに異常な音が響く。まさか…
「うっ!?」
「きゃあ!?」
「うわ!?」
「うぐっ!?」
「っ!?」
身の回りに多量に現れた真空波で僕達は切り裂かれた。何度も何度も同じ場所を斬られて、まるで本当の剣で斬られているみたいだ。
「う…。龍府・祝福の光」
光が皆を包み込み、回復させた。もう痛くないがゾッとするような体験だった。
「ふーん。これならどうかな!風府・空殺滅亡斬」
先程の鎧を纏ったままの彼女が禍禍しい風で作った大剣で切り刻んできた。まずい、あれを使わないと…
「龍府・アンリッシュシャ…ぐはぁ!」
剣が唸りをたてて僕に食い込んできた。くっ、狙いは僕だったと言うわけか…。
「くくく…。いい眺めね。」
「う、ぐ…」
「霊府・夢想封印!」
「残念。なに!?くそ、このくそ網が!うわぁぁ!?」
アリスの人形と霊夢の夢想封印によって倒された…?
「倒したか?」
「いいえ、わからないわ。」
「よくも…」
「!」
「よくも、やって、くれた、わね。」
急激に大妖精の体に変化がおこる。
「な、なんだありゃ!?」
「おい、どうするんだよ!」
「ショウ!大丈夫?」
一人冷静なアリスが回復呪文を唱えてくれた。
「貴様ら…風に…切り裂かれて…終焉を…迎えろ…!」
風が一斉に彼女の体に集まり、禍禍しい鎧と剣を形成した。そして、まるで守るかのように鋭い暴風が彼女の周りに出来ていた。
「風府・終焉の風神殺」
鎧、剣が分解され、全てを粉々にする真空波として刃をこちらに向けた。
「これは…霊夢と魔理沙の技じゃないと突破できないな。僕が気を引いてる間にとどめを指してくれ。」
「わかったわ。」
「わかったぜ」
「龍府・アンリッシュシャイニング、そして、龍府・彗星落花!」
「小賢しい!ズタズタにしてやる!」
猛烈な勢いで迫ってくる。彗星落花の威力は最弱で一瞬しか持たない!今だ!霊夢、魔理沙!
「そうはさせないのぜ?恋府・マスタースパーク!」
「させないわよ?霊府・夢想天生!」
「なに!?うぎゃぁぁぁぁ!」
魔理沙のマスパで真空波は相殺され、威力の高い霊夢の夢想天生を喰らった。
「うぐぁぁぁー!?」
「…!」
凄まじい爆発音のあと、そこには傷だらけでボロボロになった大妖精が立っていた。
「く、そ…。もっ…と、あば、れて、やろう、と、おもった、のに!あんし、ん、なん、て、する、なよ。まだ、なか、ま、は、でき、る、から、な。」
「!しっかりしなさい!」
「怪我が酷い!早く治療するぞ!」
そう言って倒れてしまったため、治療とルーミア達の様子見を兼ねて永遠亭に向かった。
ガサリ…駄目だったか。まあいい。他にも強いやつはまだいるはず。そいつらを暴走させて
えー、大分長くてすみません。次回はまた別のキャラを暴走させます