日の当たらない、艦内の物置。床に敷いた薄い布団の上で、亀子は目を覚ました。そこが自分の使っている、ボロい学生寮の一室ではないことを確認する。窓のない部屋だが蛍光灯が点けられており、辺りの様子は分かった。壁にかかった時計は朝十時を指している。周囲には毛布類が散乱し、周囲に雑魚寝していた連中はすでに起きたと分かった。
ゆっくりと、昨日のことを思い出す。いちゃもんをつけてきた不良どもを蹴散らし、その時助太刀してくれた謎のバカによって、戦車の車庫へ連れ込まれた。そこで自動車部の面々と出会い、その後戦車道復活のお祝いだなんだと宴会が始まったことは覚えている。亀子は妙なことに巻き込まれるのは御免だと思ったが、自動車部が調達してきた材料で大量のカレーを煮込み始めたため二の足を踏んだ。購買のパンを除けばここ最近、缶詰やインスタントの類しか食べていなかったのだ。
食うだけ食って帰ろうと思い、晩飯に付き合っていたら夜が更け、そのまま自動車部の女子が寝泊まりしている物置へ……。
「……何やってんだ、アタシは……?」
むっくりと起き上がり、自分の行動に悩む。いつもなら「馴れ馴れしくするな」などと言って、相手を張り倒して立ち去るだろうに。昨日に限っては何故か引きずり込まれてしまった。
全部あいつのせいだ、と亀子には分かっていた。一ノ瀬千鶴……終始あの女のペースに引きずられていたのだ。あんな奴には初めて会った。
頭を抱えながら、亀子は立ち上がった。昨日は制服のまま寝てしまったため、着替えは不要である。今日は土曜日なので授業はないが、いつまでもこんな所にいても仕方ない。丁度、ドアの向こうからがやがやと騒ぐ声が聞こえた。金属のなるやかましい音もする。
昨日の連中はまだあの車庫にいるらしい。少し逡巡したものの、この物置から出て行くしかないと判断し、ドアを開ける。
見えたのは笑いあう顔と顔、声と声。そして戦車に積み込まれる流線型の物体。楽しそうに作業する一同の中に、騒動の元凶がいた。
「よぉ、起きたか」
戦車上から笑いかけてくる千鶴。亀子は不機嫌そうな顔をしながらも、彼女に歩み寄った。
「……何してるんでェ?」
「見ての通りさ。砲弾が届いたから整理してるんだ」
その言葉通り、小ぶりな37mm弾が台車に乗せられており、千鶴らの手で次々に軽戦車へ積み込まれていた。箱型の
「こいつは二式軽戦車ケト。37mm砲搭載、まあ豆鉄砲だな。最高速度は50km/h」
千鶴は戦車の砲塔から降りると、その装甲板を軽く叩いた。周囲の騒音に紛れ、渇いた音が響く。
「最大装甲厚は16mm、紙みたいなもんだ」
馬鹿にしたようなことを言いながら、戦車のことを話す彼女はとても楽しそうだった。それが亀子には、何故か腹立たしい。その上、何がいいのか理解できない。
「こんなもんでドンパチやって、何が面白いんだ?」
「逆に、何がつまらないと思う?」
試すような口調で問い返され、亀子は鼻を鳴らす。
「決まってらァ。こんなもんは機械の性能で勝ち負けが決まっちまうだろ」
反論できるのならしてみろ、とでも言いたげな口調だった。戦車道に本気で打ち込んでいる者なら、鉄拳制裁を実行しても不思議ではない。
だが一ノ瀬千鶴は違った。それどころか、笑っていた。
「とりあえず乗ってみろ。話はそれからだ」
「ふざけんな、何で……」
亀子の言葉は途中で止まった。いつの間にか、胸ぐらを掴まれていたのだ。喧嘩慣れしている彼女は、動体視力には自信がある。それなのに千鶴の動きが読めなかった。昨日は後ろから捕まったが、いまは正面にいたのに対処できなかった。
再び、あの凄みに当てられる。千鶴はセーラー服から手を離し、亀子の顎から頬をそっと撫でる。そして、口を開いた。
「乗れ」
……約十分後、亀子は二式軽戦車の砲塔に押し込まれた。首に咽頭マイクを巻き付けられ、耳にはレシーバー、手には装填用グローブと、装備まで整えさせられた。ケト車の砲塔は車長兼装填手と、砲手の二名が入るスペースしかない。前身の九八式軽戦車より内部容積は増しているが、それでも狭苦しかった。
「棺桶じゃねェか」
悪態をつく亀子に、そばかすの少女がくすっと笑った。昨日何かと亀子にかまっていた少女で、千鶴や他の仲間からは「ウーソン」と呼ばれている。彼女は砲手のポジションに立ち、エンジン音の響く車内で楽しそうに笑みを浮かべていた。
「大丈夫大丈夫、すぐに慣れるって」
「とりあえず、車長としていろいろ見てみるといいわ。あと……」
おさげ髪の操縦手が、柔和な態度で小さな紙袋を差し出してくる。「イェンチン」と呼ばれる、どことなく大人びた少女だ。この荒れ果てた不良学校には似つかわしくないが、千鶴一味の中に入ると妙に様になる。
「朝ごはんまだでしょう? 食べなよ」
「……悪ィな」
受け取って中を見ると、偶然にも自分の好物が入っていた。決号名物の揚げジャムパン、通称『雑巾パン』だ。耳を切り落とした食パン二枚でジャムを挟み、油で揚げた物なのだが、表面が真っ黒なので使い古した雑巾に似ている。しかし見た目と名前の汚さとは裏腹に、味はとてもよい。パリッとした食感もさることながら、はみ出たジャムが飴状に固まって焦げた部分など、たまらなく香ばしい。
このイェンチンは千鶴と比べ、まだ分かりやすそうだ。厚意を素直に受け取り、亀子は手早く朝食を済ませた。
《リフト、上昇》
自動車部員の声がレシーバーに入る。亀子の隣には千鶴の乗るケト車がおり、頭上には陽光が見えた。ここは学園艦内部の格納庫だが、空母のようなエレベーターを備えており、車両を艦上へ持ち上げることができるのだ。
二両のケトを乗せ、エレベーターがゆっくりと上昇する。砲塔から顔を出すと、整備に当たった自動車部員たちが見上げていた。笑いながら何か叫んでいる者もいるが、エンジンの騒音で聞こえない。車庫内にはより強力そうな戦車も多数残されていたが、千鶴はまずこの軽戦車二両で旗揚げするつもりのようだ。
やがて戦車が艦上にたどり着き、戦車は天然の日光を一杯に浴びた。辺りは広い野山といった風景で、長い間手入れをしていなかったのが、草木が伸び放題になっている。ここが決号の戦車道演習場だ。数年前、戦車道廃止と共に役目を終えた区画だが、『特待生』の入学により日の目を見たのである。
《よし、あたしについてこい。向こうに的があるらしいからな》
三時方向を指差し、千鶴は自車の操縦手に発進を命じた。彼女のクルーは張本姉妹という無愛想な双子だ。履帯が猛然と回り、前進、大きく旋回しつつ走る。土埃が宙を舞った。
戦車において車長の命令は絶対であるが、今回は車長席にいる亀子が体験乗車だ。操縦手のイェンチンがハッチを開けて千鶴車を視認し、後を追う。戦時中の日本戦車は操縦レバーが四本あり、外側の二本で通常の操向を行い、内側は信地旋回用のブレーキレバーだ。それを巧みに使って向きを変え、アクセルを踏み込んで走り出す。
小柄な戦車はエレバーターから降り、履帯で草を薙ぎ倒しながら野を駆けていく。起伏は少なく、地面の小さな凹凸はサスペンションで受け止められた。亀子が予想していたよりずっと速い。漫画に出てくるような、キュラキュラという履帯の音はかき消され、エンジン音ばかりが唸っていた。
「ハ号と比べてどう?」
「エンジンの馬力が上がってる分、加速は良い。やっぱり日本製は軽戦車の方が操縦しやすいわ」
会話を交わす二人を尻目に、亀子は前方に土塁を視認した。弓道場で使う安土に似ている。そこに点点と、ハリボテの的が設置されていた。不良学校と言えどあんな物を盗む馬鹿はいないらしい。二両は速度を上げて的に接近し、距離三百メートル程度のところでゆっくりと停止した。亀子は知らないが、戦車戦では近距離の部類に入る。
《五発撃った後、一度車両を点検する》
「了解!」
ウーソンが答え、亀子の方を振り向いた。
「この戦車は車長が装填をやるんだよ。そこの徹甲弾を取って!」
「こいつか」
指差された砲弾を一つ手に取った。37mmの小ぶりな砲弾だが、ずっしりと重い。だが亀子は女だてらに体を鍛えており、特に苦にならないレベルだった。側には別種らしい砲弾も置かれている。
「こっちのは?」
「それは榴弾、爆薬が詰まってるの」
歩兵を蹴散らすための物だが、戦車道でも障害物の除去や、土煙で敵の目をくらませるなど使い道はある……ウーソンはそう説明した。続いて装填の方法を教える。砲尾の薬室に砲弾を合わせて半ば挿入した後、薬莢の底部を拳で突いて押し込む。手で薬莢を掴んで装填すると、閉鎖機に指を挟まれる危険があるのだ。
グローブをはめた手で言われた通り砲弾を押し込むと、閉鎖機がスライドして発射準備が整った。
「そう。それでウチが撃つわけなんだけども……」
ウーソンが照準器を覗き、ハンドルで砲を操作する。狭い砲塔が僅かに回るのが分かった。バスケット構造がないため、砲手は砲塔に合わせて自分の向きを変えなければならない。よっこらしょー、などと呟きながら、照準を合わせていく。
「日本戦車の照準器って、大雑把なんだよねー」
「……日本製なのに?」
「メイド・イン・ジャパンが世界に誇れる品質になったのなんて、戦後ずいぶん経ってからよ」
戦車を停止させたイェンチンは笑いながら、座席にもたれかかる。停車中とて操縦手は気を抜くべきではないが、逆にフラストレーションが溜まってもよくない。暇ができたとき適度にリラックスするのも戦車乗りの要領だ。
「ドイツのは目標との距離とか、細かく計算できるんだけどねー。日本のは十字線と、最低限の目盛りがあるだけ」
「その線を的に合わせて撃てば当たるんじゃねェのかよ?」
「ゲームじゃないんだから。砲や弾の種類によって弾道が違うし。重力で下に落ちるから、距離によって仰角変えなきゃいけないし。あ、撃つと砲が後ろに下がるから、手を挟んだりしないでねー」
説明を聞きながら、亀子は歯の裏にこびりついたジャムを舐め取っていた。やがてウーソンは咽頭マイクに手を当て、千鶴に向け叫んだ。
「二号車、発射準備良し!」
《撃て!》
刹那、轟音が亀子の耳を叩いた。というより、空気の振動が体を打った。思わず小さく飛び上がり、戦車の天蓋に頭をぶつける。
駐退した砲尾から空薬莢から転がり出る。呼吸すると硝煙の香が鼻をついた。
ほんの一瞬の出来事である。千鶴の号令の後、間髪入れずにウーソンは撃った。途端に空気が震え、巨大な太鼓を全力で打ち鳴らしたような音が、車内に木霊した。亀子は頭をさすりながら、自分の手が震えていることに気づく。そして千鶴がこの戦車砲を何と呼んだかも思い出した。
これで豆鉄砲なのか。
「亀ちゃん。車長なんだから、当たったかどうかちゃんと確認して」
ウーソンに肩を叩かれ、はっと我に帰る。砲塔のハッチを開けて顔を出し、土塁を凝視した。的から右上に逸れた土塁に土煙が上がっている。
「まあまあいい手応えだねー。次、装填しちゃって」
確認を促したとはいえ、砲手本人も着弾位置はちゃんと確かめていた。亀子はゆっくりと車内に戻る。先ほどのように徹甲弾を一発掴むが、不思議と重く感じた。再び拳で押し込み、閉鎖器が閉まる。グローブをはめた拳が弾かれた。
唾を飲み込んで、亀子は照準器を除くウーソンに目をやった。
「今ので、次の……照準、修正するのか?」
「そうなんだけどねー。撃つと砲身が熱くなって膨張するから、二発目以降は弾道が狂うんだよねー」
「その辺の癖は例え同型でも砲身によって違うから、初めて撃つ砲身をいきなり使いこなすのは難しいわ」
震えを止めようとする亀子に対し、二人は平然としていた。むしろ戦車の外にいるときより落ち着いている。
「ま、つまりは勘で撃て、ってことだねー。……次弾、発射準備良し!」
報告の直後、千鶴の号令が下った。そして再び響く、戦車砲の雄叫び。狭い車内で反響し、なんとも重い音だ。恐怖ではない、別の何かが亀子の体を震わせる。
今度は自分から車外に顔を出し、弾の落ちた場所を確認した。
「当たってる……!」
小声で、しかし熱い声で、亀子は呟いた。張りぼての的を、一式徹甲弾が完全に貫いていたのだ。はっと千鶴車の狙った的を見ると、そちらも命中していた。
自分が撃ったわけではないのに、心臓の鼓動が高まる。三発目をすぐさま取り出し、装填。薬莢の底面を拳で突いた彼女を見て、ウーソンとイェンチンは満足げな笑みを浮かべた。
やがて、三発目が放たれる。今度はギリギリ的から逸れた。続いて四発目、また装填して五発目と撃っていく。四、五発目は見事に命中し、そこで千鶴から降車命令が出た。
狭い空間から外に出て、涼しい風が体に当たる。亀子の見ている前で、イェンチンは泥や草のこびりついた履帯を点検し始める。操縦手はただ戦車を動かすのではなく、エンジンや走行系の状態管理に責任を持つのだ。同じように砲手のウーソンは37mm砲、そして砲塔を入念に確認していた。
一号車も張本姉妹がそれぞれの担当箇所を点検していた。一方千鶴は携帯電話を耳に当て、何やら話している。
「……ホットパンツは止めとけよ。お前は脚が綺麗だから、見せつけてると悪い虫が寄ってくるぞ……」
そんな言葉が耳に届く。口調はいつもと変わらないが、どこか優しげな眼差しの千鶴がいた。
「妹と話してるのよ。お嬢、結構家族思いだから」
イェンチンが穏やかな声で言う。亀子はしばらく千鶴の姿を見ていたが、やがて自分の乗った戦車を振り返る。37mm砲の熱は次第に冷め、先ほどまで砲身から出ていた陽炎も消えた。
亀子にはその小ぶりな車体が、乗る前より大きく見えていた。
……その日以来、入学したばかりだというのに、亀子の学校生活は変わってしまった。授業はそれなりに真面目に受け、目をつけて襲いかかってくる不良を蹴散らし、見て見ぬ振りをする教師に軽蔑の視線を浴びせる。そして、放課後は真っ直ぐ車庫へ向かう。その後はケト車に乗って千鶴から訓練を受け、山羽たち自動車部から整備の仕方を教わった。
その後は皆で夕食を食べる。自動車部は車庫とその周辺に住み着いており、調理ができる設備もあった。手分けしてある程度まともな料理を作ることもあれば、艦上の店に出前を頼むこともある。闇鍋同然に、ある物を適当に放り込んだ鍋料理もあった。食後は歓談し、これまた自動車部が占領しているシャワー室で汗を流した後、女子部員たちの部屋で就寝。学生寮には着替えを取りに行く程度で、自動車部や千鶴らと寝食を共にするようになった。千鶴やウーソンらも同様で、寮に帰らず車庫に泊まることが多かった。
一週間ほど経ち、亀子は相変わらず戦車を「棺桶」と口汚く言っていたが、気がつけば自然と愛車の方へ足が向いてしまう。授業中に居眠りしかけると、突如夢の中で砲声が轟き、はっと目を覚ますこともあった。
そしてやはり相変わらず、一ノ瀬千鶴には逆らえない。だが彼女が何者なのかは分かった。数ある戦車道流派の一つに、一弾流という派がある。千鶴は家元の次女で、取り巻きのウーソン、イェンチン、張本姉妹の計四人は門下生。今年度の校長は決号の戦車道復活させることを望み、彼女らをスカウトしたのだ。西住流、島田流といった大手に比べればマイナーな流派だが、だからこそこのような不良学校のスカウトを受けたと言える。
「一弾流は待ち伏せがメイン……防御向きってことは、フランス流ってのと似てるのか?」
車庫で戦車道の資料本を読みながら、亀子は尋ねた。もう片方の手に持っている雑巾パンと同じく、イェンチンが持ってきた物だ。パリパリと音を立てながらパンを食べ、本の内容を少しずつ読んでいく。思えばまともに本を読むのも久しぶりだった。
「あんなのと一所にしたら、家元もお嬢も怒るわよ」
イェンチンが笑いながら隣に座る。どことなく物腰が上品で、つくづく不良学校に似合わない少女だ。しかし亀子は何となく、彼女もまた何らかの武術を経験していると察していた。千鶴同様、隙がないのだ。そもそも千鶴一味は時折銃剣道に使う木銃を持参して、生身での格闘訓練も行っている。もっとも形式化された武道ではなく、より実戦的なものだが。
「一弾流は踏みとどまる戦車道。でも攻撃が最大の防御になる状況なら、突撃も辞さない。防御一辺倒の流派だったら、お嬢みたいな人は生まれないわ」
「ああ、そりゃそうか」
あまりにももっともな理屈に、亀子は感心してしまう。そもそも銃剣の訓練まで行う流派が、攻撃的でないとは思えない。
「そういやうちは日本戦車ばっかりだけど、こういう学校って他にもあるのか?」
「日本戦車専門なのは、知波単学園が有名ね」
「強いのか?」
そう尋ねた途端、イェンチンの顔に苦笑の色が浮かんだ。頬を書きながら、言葉を選んで答える。
「主力が九七式中戦車だから……強いとは言えないわ。でもそれより、乗ってる人間の方に問題があって……」
「なんだ、下手くそなのか」
「いいえ、腕は良いはずよ。チハ車は操縦が凄く難しいけど、それをスムーズに動かせるし」
「なら、病気持ちが多いとか?」
「……そうね。大体、病気みたいなものね」
意味深なことを言って言葉を濁すイェンチン。彼女は亀子にこうした座学を施すことが多かった。亀子は勉強好きというわけではないが、よく雑巾パンをくれるので真面目に話を聞いていた。それに訳も分からないまま戦車に乗せられた彼女にとって、知識からじっくりと教えてくれるイェンチンはありがたい相手だった。
だがそのとき、ありがたくない、しかし逆らえない相手がやってきた。ドアを勢いよく開け、一ノ瀬千鶴がポニーテールを靡かせて駆け込んでくる。いつになく慌てた様子を見て、亀子は本を閉じた。口に含んでいた雑巾パンを飲み下し、彼女に近づく。
「どうしたんでェ?」
「緊急事態だ。今すぐ戦車で飛行場まで行くぜ」
その言葉を聞いて、一ノ瀬一味が次々と駆け寄ってきた。双節棍の演武をしていたウーソンも、将棋をしていた張本姉妹も、大将の元へ集まる。
亀子は嫌な予感を覚えた。千鶴は何かしでかそうとしているのでは、と。
それは実際に当たっていた。一同を見回し、千鶴は微笑を浮かべて告げた。
「試合だ!」
お読みいただき、ありがとうございます。
番外編の1ストーリーにしようかとも思いましたが、長くなりそうなので独立させて書きます。
ちなみに雑巾パンは親父の母校の名物を拝借しました。
本編の方ももちろん頑張ります(というより、更新は向こう優先でいきたい)。
ご感想・ご批評、よろしくお願いいたします。