秋の日のヴィオロンの...もう一つの物語 作:メトロポリスパパ
ダージリンより試合への参加と上陸作戦のブリーフィングが始まる。
聖グロリアーナ女学院学園艦
時間は正午前。
ダージリン、アッサム、オレンジペコは隊長室に居た。
「ペコ、今からあなたは大洗の曲松商店街にある『やまと』さんに行って頂けるかしら?」
「え?大洗にですか?」
正午からのブリーフィングの準備が終わってからのダージリンの指示に困惑するオレンジペコ。
「そうよ。お店の近くまで来ましたら連絡していただけるかしら。そこからの指示は追って致しますのでそこで待機して頂戴」
「ダージリン様、それはどのようなご用件なのでしょうか?」
「従者を数人付けますので、ある荷物を受け取ってきて頂きたいの」
「それは一体・・・・?」
フフフ・・・と不敵な微笑みをするダージリン。
「それは・・・行けば分かりますわ」
「・・・はい、かしこまりました」
また、何か企んでいるなと思いつつ返事をするオレンジペコ。
ふう、と息を吐きダージリンの顔つきが変わる。
「そろそろ時間ですわね。アッサム、行きましょうか」
「はい」
三人は隊長室を出て、オレンジペコは大洗へ、ダージリンとアッサムは無線室に向かった。
聖グロリアーナ女学院学園艦無線室
ダージリンは席に座り、その傍らでアッサムは懐中時計を見ていた。
時計の針が正午を指す。
「ダージリン、時間です」
ダージリンがPTTボタンを押して話し出す。
「皆さま、ごきげんよう。聖グロリアーナ女学院戦車道隊長 ダージリンですわ。本来ならばお茶でも頂きながら皆さまとゆっくりお話し致したい所なのですが・・・残念ながらその時間はございませんの。これより、大洗本隊へ合流する為の北海道上陸作戦のブリーフィングを行います。まず・・・今回、わたくし達の呼びかけに賛同してくださり、ご連絡いただいた方々の確認を致します。御呼び致しますのでお返事をお願いできるかしら。では・・・黒森峰、西住まほさん」
「ああ、聞いている」
「サンダース、ケイさん」
「ハァーイ、ダージリン聞いてるわよ」
「プラウダ、カチューシャ」
「なんで私だけ呼び捨てなのよ!」
「知波単、西さん」
「はい!聞いております!」
「アンツィオ、安西さん」
「アンチョビと呼べ(ry」
「継続、ミカさん」
「あ、あの・・・継続高校のアキと言います。まだ参戦するかは分かりませんが聞いています」
ダージリンはアッサムに目をやり、アッサムは頷く。
「了解致しましたわ。ではアッサム。書類①と②に付いて説明していただけるかしら」
ダージリンが席を立ち、アッサムが席に着く。
「代わりました、アッサムです。では始めさせていただきます。まずPDFファイルの書類①と②をご覧ください。これは試合に参加する為に必要な書類です。①は大洗への短期転校手続き。②は連盟への手続きになっています。今回の試合に関しての大洗への短期転校、戦車の持ち込みは当日、試合会場に来られた方のみ無条件受理されます。すでに簡易ではありますが大洗女子学園学園長、戦車道連盟理事長の捺印済なっています。連名で構いませんので参加者全員のサインをお願い致します。書類は当日に提出していただきます。ただし、この件は文科省と大洗戦車道隊員には伏せてありますのでくれぐれも内密にお願い致します。ここまでで質問は御座いますか?」
「・・・」
「ではダージリンより上陸作戦の説明をさせて頂きます」
再びアッサムとダージリンが席を入れ替わる。
「ダージリンですわ。ではまず、各校の編成についての提案なのですが、黒森峰、プラウダは4両。グロリアーナ、サンダースは3両、アンツィオは2両、残りを知波単さんで計22両。継続さんは未確定なので保留と致します。各校ごとの車両の編成はお任せ致しますわ。この編成について質問は御座いまして?」
「まほだ。バランスの取れた編成だと思う。走攻守のバランスが取れていた方がみほの戦い方に合っているだろう」
「アンチョビだ。バランスは大事だからな・・・パスタ・・・ん?なんだ?・・・・なに?!・・・・」
何やらアンチョビの後ろから誰かが忠告をしているようだ。
「どうかなさいまして?」
「あの・・・うちは、予算の都合で1両、CV33しか出せない・・・す・・・すまん・・・」
「あら?P40はどうなさいましたの?」
「それは、あんたが!・・・いや・・・先日その・・・修理費を振り込んだばかりでな・・・すまないがうちからは1両だ・・・」
「まほだ。CV33なら偵察にもってこいなのではないか?タンケッテなら見つかりにくい。今回の戦いは情報が鍵になる気がする」
「すまん西住~!ありがとう!こんど私特製の生パスタを御馳走しよう!」
「フフ・・・それは楽しみだ」
「ゴホ、ゴホン・・・ごめんなさいねアンチョビさん。構いませんわよ、では、代わりと言っては何ですがグロリアーナからもう1両出しますわ。皆さんよろしくて?」
「かしこまりでございます!22両になれば良いのでございますね!」
「はい、よろしくお願いしますわね、他に質問は無くて?」
「・・・」
「では次に、上陸作戦の説明を致します。書類③を見て頂けるかしら。大洗は明日、18時30分発のフェリーに乗り、翌13時30分に北海道に上陸致します。そこから貨車にて試合会場に移動。18時00着予定となっています。ここからなのですが、今回の作戦の特殊性を鑑み、我々は夜に紛れて移動いたします。大洗が試合会場に到着した日の午後九時に、わたくしより参加の各校に、とある詩の一節を電信にてお送りしますので用意しておいてください、それが上陸作戦開始の合図になりますわ。上陸開始後、午前6時までにYB地点にて各校分散待機してください。上陸手段に関しては各校にお任せ致します。無線連絡はこの周波数をお使いください。何か質問は御座いまして?」
「カチューシャよ。特に質問は無いけど、うちはあの辺りは庭みたいなもんだからどうにでもなるわ。それと、陸路で来る学校は有る?」
「西です!当方は汽車での移動になります!」
「アンチョビだ。うちもトラックで移動になるな」
「汽車は青函トンネルは通れないわよ!知らないの?!・・・仕方ないわね、私の学園艦を青森駅で待機させてあげるからそれに汽車とトラックを載せなさい。函館まで運んであげるわ。感謝しなさい」
カチューシャは生粋の道産子であった。
「カチューシャ殿!恐縮至極に存じます!」
「すまんな、カチューシャ」
「ケイよ、まるでDdayね。うちは距離が有るから輸送機になるわね。でも降りられる場所があるかな?」
「グロリアーナは不測の事態に備えて学園艦で移動し、沖合から揚陸艇で上陸致します。ケイさんは、うちの艦に着艦されてはいかが?」
「ありがとうダージリン。そうさせてもらうわ」
「黒森峰は飛行船での移動になるな。北海道ならば降りる場所に困る事はないだろう」
「あの、アキです。一応、今は北の方に向いて揚陸艇で航行中ですけど、ミカが言うには風向き次第だそうです」
「決まりましたわね。それと・・・もう一つ重要な件があるのだけれど・・・皆さん、大洗の制服は御入用?」
「!!」
暫し沈黙の後・・・。
「まほだ・・・ぜ、ぜひ頼む。隊員の士気も上がるだろう」
「カチューシャも・・・着てみたい気がする・・・」
「Wow!あの制服Cuteよね!着たい着たい!」
「アンチョビだ、うちのやつらが着たいとうるさいからうちのも頼む」
「やはり女子の制服と言えばセーラー服で御座いますね!我が隊も是非着用したいであります!」
「あ、あの・・・ミカが参戦するかは風次第だけど、制服は着たいと言ってます」
「フフフ、ではご用意致しますわね・・・サイズは今から2時間以内にお知らせ下さい。」
ダージリンは閉めに入る。
「さて、ブリーフィングはこれで終了ですが。皆さん、こんな諺をご存知?『Every cloud has a silver lining』どの雲でも銀の裏地がついている。どんな絶望の中にも必ず希望はあると言う意味ですわ。大洗の方達も今、絶望の淵から希望の扉をこじ開け、その先の僅かな光を掴もうとしています。私達大洗連合は、自分の持てる道具を持って、そのお手伝いをさせて頂きましょう」
「ああ、ダージリン・・・ありがとう」
「そうね!絶対勝つわよ!」
「大学選抜なんかギッタンギッタンにしてボルシチの具にしてやるわ!」
「大洗連合は弱くない!いや、強い!というのを見せつけてやろう!」
「粉骨砕身の覚悟でがんばります!」
「ポロロロン」
「以上解散」
ダージリンは席から立ち上がり振り向きアッサムに指示を出す。
「アッサム・・・ローズヒップとバニラ、ルクリリを隊長室まで呼んで頂けるかしら。それと、貴女は一足先に北に飛んでくださいな」
「かしこまりましたわ」
アッサムはそう言うと一礼し、無線室から退室した。
一人になったダージリンはポツリと言った。
「『同じ羽の鳥は群をなす』なのかしらね?・・・フフフ」
次回
【Sigh of Violon of autumn day】
よろしくお願い致します。