秋の日のヴィオロンの...もう一つの物語 作:メトロポリスパパ
継続高校 戦車道隊長 ミカは、隊員のアキ、ミッコと共に先日の大洗エキシビションマッチからの帰りの道中であった。
河原にポルトルカを停め、昼食確保の為、アキとミッコは釣り糸を垂らしている。
ミカはゆっくりとカンテレを弾いていた。
アキがため息混じりに言う。
「・・・釣れないね・・・」
ミッコも咥えた葉っぱを上下させながらボーッとフライを見ている。
「ミッコ、今!」
「え?!いぃ!」
突然のミカの合図で驚きながらミッコは釣竿を上げ、見事良型なニジマスが釣りあがった。
「イェーイ!」
アキとミッコはハイタッチをして喜んでいた。
そこへ「ザ・・・ザザーッ」とポルトルカに積んである無線機に入感が入る。
アキはポルトルカに駆け寄り無線機に聞き耳を立てる。
「ザ・・・隊長きこえますか?ザーッ・・・」
アキはマイクを握り応答する。
「こちらアキ、ヨウコ?まだ電波が悪いけど聞こえるよ、どうぞ」
「ザーッ・・・アキ・・・分かった・・・アンテ・・・する」
送信主は継続高校戦車道 隊員のヨウコからであった。
アキはスピーカーから聞こえる音を聞き逃さない様に静かにしている。
「アキ、どう?良くなった?」
「良くなったよ、ヨウコ」
「了解、隊長は近くに居るかい?」
「居るけど、呼んでこようか?」
「んー、いや、いいよ、例のKV-1の件で連盟から呼び出しが来てるからさ」
アキは少し不機嫌そうに答える
「あんなのただの言い掛かりじゃん!ずーっと昔に勝手に置いて行ったのに」
「まあ、そうなんだけどな、あ〜それと、昨日大洗の試合見てたんだよね?」
「うん、面白い試合だったよ!」
「へー・・・いや、さっきネットを見てたらさ、大洗が今月末で廃校になるって書いてあったから、どうだったんだろうと思ってさ」
アキは驚く。
「えー?!何も無かったよ!普通に試合してたけど・・・」
「そうなんだ、今はその話で持ち切りだよ・・・まあいいや、KVの件、隊長に言っといて」
「了解」
アキはマイクを置いてミカの所に駆け寄り
「ミカ!大変だよ!大洗が廃校になっちゃうんだって!」
ミッコは、釣り糸を垂らしながらも視線をアキに向けている。
ミカはポロロンとカンテレを鳴らし言う。
「そう」
「・・・」
「えー!そんだけー?!あの大洗が廃校になっちゃうんだよー!」
ミカの反応の薄さに、アキはビックリしながら言った。
ミカはポロロンとカンテレを鳴らして言う。
「人は何かを得たら、何かを失うものさ」
「え〜、でも、結局廃校になったんじゃ、何してたか分かんないよ」
ミカは、ゆっくりとサッキヤルヴェン・ポルッカを弾き始めて言う。
「彼女達も奪われてしまったけど、もっと大事な物を得ているかもしれないよ」
アキは首を捻り
「え~?わっかんないよ~」
「そうだね、案外・・・気付かない物さ」
「もー!分かるように言ってよー!」
KVの事はすっかり忘れるアキなのであった。
「ミッコ!今!」
黒森峰に大洗廃校の知らせが入る!
エリカの心中は?そして、まほは・・・。
次回
【Steep news 黒森峰】