ラフェイルとの戦いで疲労した渚を殺せんせーがベッドの上に寝かせたのを確認した後、リボーンはとある屋敷の中に入っていた。その屋敷は雲雀恭弥の住む屋敷であり、屋敷の中でリボーンは雲雀と話していた。
「雲雀、珍しいな。まさか、お前が捕まって半日は動けない状態にされるとはな・・・それに炎真はともかく骸までもがな・・・」
「うるさいよ。あんな罠に引っ掛かった事に一番ムカついているからね・・・あのバロンという男はいずれ噛み殺すから。」
「まあ、そう言うな。お前らが捕まって動けない状態だったお陰で、今の俺の生徒達の一部に戦いを経験させる事が出来た訳だしな。」
「そう。その生徒とやらに水色の髪の背丈が低めの少年はいるかい?」
「渚の事か?雲雀、渚と会ったのか?」
「少しすれ違った程度だけどね。あの草食動物は他の草食動物とは違う雰囲気を持っているよ。簡単に言えば草食動物では無くて雑食生物かの様なね。」
「そうか。少し例えが解りづらいが雲雀の言いたい事は解ったぞ。アイツには恵まれた才能が有るって事だろ?」
「そうだね。あれは育てば牙を向くよ。確実にね!」
リボーンは雲雀と話した後、ボンゴレアジトに戻ったという。
戦いの疲れで気絶した僕は目が覚めると、ボンゴレアジトの寝室のベッドの上にいた。どうやら、気絶した僕を殺せんせーが運んでベッドに寝かせてくれたのかな。僕の寝ていたベッドの横の台にはネークが丸くなって寝ており、水晶の剣はボールペンに戻っていた状態で置かれていた。スマホで時間を確認すると午前10時と表示されていたので、少し長く寝すぎたかなと思い、ベッドから起き上がると、身体中が筋肉痛で軋むが筋肉痛の痛みに耐えながらも僕は食堂に向かった。
「渚、やっと起きたんだ。遅めの朝食になるけど食べる?」
「食べるよ。ありがとう茅野。」
食堂に入ると後片付けをしていた茅野が朝食を用意してくれたので、僕は美味しくいただいた。朝食を食べ終えた後に茅野と一緒に後片付けをしながら、茅野と話をする。
「茅野、僕が寝てる間に何も変わった事は無かった?ラフェイルとの戦いは終わったけどさ一応、何か変な問題がまた起きたりしてないかなと思ってさ・・・」
「大丈夫だよ。渚が倒れた後は、殺せんせーが渚を背負ってベッドに寝かしてくれたし、その間に別に変な問題は無かったよ。」
「なら、良かったよ。それと、倒れた皆の容態はどう?」
「アメルダって人にヤられた杉野と菅谷君に三村君はもう動いて平気みたいだから、今は自由に動いているよ。ラフェイルとの戦いで怪我した皆はカルマ君を除いて医務室で治療中だよ。カルマ君は頭から出血して軽い脳震盪で気絶してただけだから、大した怪我じゃなかったから、もう自由に動いているみたい。他の皆も順調に回復しているから、思ったより早く動ける様になるかもね。」
「そうなんだ、本当に良かったよ。正一さん達に感謝だよね。」
「そうだね。後片付けを終えたら、感謝の言葉を言いに行ってみたらどう?確か上のフロアに研究室が有るみたいだから、ソコで先日の戦いで渚が回収したラフェイルが填めてたヴィスタリングの解析を行っているって聞いたしね。」
「研究室か。感謝の言葉を言うのと、ついでにヴィスタリングの解析内容を聞いてみようかな。」
茅野と話をしながら、後片付けを終えた後、僕は茅野に道を教えてもらい研究室に向かった。研究室に向かう途中にカルマ君と会うと僕に声を掛けてきた。
「渚君。少し話したいんだけど、いいかな?」
「うん。別にいいけど、その前に怪我が本当に治ったみたいで良かったね。それでカルマ君、話したい事って何?」
「昨日の戦いで俺を含めた皆が倒れた後、渚君が一人で戦ってラフェイルを倒したって聞いたんだけど、それって本当?」
「ええと、詳しく言えないけど、ラフェイルは僕が倒したよ。でも、それは僕一人だけの力じゃなくて皆の意志も背負って戦っていたから僕一人だけの力で勝った訳じゃないよ。」
「ふーん。そういう事にしておいとくよ。引き留めて悪かったね渚君。じゃあ、俺は同じように回復した杉野達と一緒に並盛を見て回るよ。」
カルマ君は僕と話した後、杉野達を誘って並盛を見て回るらしいので、ここでカルマ君と別れた。その後、研究室の前に着いたので研究室に入ると、正一さん達三人の研究者の姿が見えたので、僕は正一さん達に皆の治療をしてくれた事への感謝の言葉を言う。
「正一さん達、ありがとうございます。昨日の戦いで怪我をした皆の治療をしてくれて本当に感謝しています。」
「渚君、礼はいらないよ。僕達は只、ごく自然な事をしただけだよ。怪我した皆の治療をするのは当然だよ。」
「正一の言う通りだ。ウチらが用意した武器の大半が壊されていたし、ラフェイル達がそれほどの実力の持ち主だったという事。もう少し強い武器を与えておくべきだったと、ウチは反省してる。」
「そんな、スパナさん達のせいじゃないよ・・・どんな武器を持っていたとしても多分、被害状況は変わらなかったと思うから、スパナさんが悪く思う必要は無いよ。」
僕はスパナさんにそう伝えた後、ジャンニーニさんにヴィスタリングの解析内容を聞いてみる。
「ジャンニーニさん、ヴィスタリングの解析内容なんだけど・・・僕に教えてくれる?」
「はい、教えますよ渚さん。ええと、ヴィスタリングは解析した結果、研究者として言っていいのか解らないですが、第一印象はとにかく不気味です・・・」
「不気味?確かに見た目とか人外な能力を装着者に与えるとか確かに不気味な印象だよね。」
「まあ、ソコも有るのですが、私が言う不気味と言うのは・・・このリングがまるで一つの生命体かの様に動いているんです!?」
「リング自体が生きてるって言うの!!?」
確かに本当にそうだとしたら不気味を通り越して気味悪い・・・ジャンニーニさんの今の説明に補足すべき事が有るのか正一さんが語りだした。
「いや、ジャンニーニの言う様に一つの生命体かの様に動いているのは確かだ。だけど、正しくはそのリングには何らかの手段で人の生命力や精神力といったモノを補食して蓄積する性質が有るらしい。ヴィスタリングが補食した生命力や精神力といったモノを媒体にして動いていると言った方が正解だ。簡単に言えば、擬似的な生命体と言うのが正解かな。このリングを半端な気持ちで使おうと思えば、使用者は一瞬で命を落としかねない。それほどに危険な代物だと言う事だ・・・」
生きてはいないが、擬似的な生命体と言うのが正解。しかも、半端な気持ちでヴィスタリングを使えば使用者の命は一瞬で無くなる程に危険な代物だと言うなら、これを使用してたラフェイルは正に化け物だ・・・使用出来たとしても、いずれはラフェイルの様な結末を迎えるとするなら、正真正銘の呪いのリングだ・・・
「とにかく解析した結果を見てもヴィスタリングは危険な代物だ。擬似的な生命体である以上は隔離してもリング自体が脱出するかもしれないし、破壊しようとすれば莫大なエネルギーが放出されて周りの物体を消滅させてしまうだろう。だから、このヴィスタリングはこのままボンゴレアジトで管理を続けるよ。リングの力が放出されない様に特殊なフィルターの中に入れる事にしてある。そうすれば、万が一にヴィスタファミリーがヴィスタリングを探していたとしてもレーダーに引っ掛かって見つかる事も無い筈だしね。」
僕は正一さん達からヴィスタリングの危険性を聞いた後、研究室を出ると突然・・・
『う"ぉっぉぉぉい!!』
と言うボンゴレアジト中にこの世のモノとは思えない程に大きな騒音レベルの声が響いた。あまりにも大きな声だったので僕の頭がキーンとして痛む程なので、医務室にいる治療中の皆は大丈夫かな・・・傷口に響いたりして、傷口が開かなければいいけど・・・
「おい、渚。ちょっといいか?」
「リボーン!?いつの間に・・・それで要件は?」
僕はいつの間にか背後にいたリボーンに声をかけられたので、要件を聞いてみる。
「昨日のお前の戦いを見て、お前は死ぬ気の炎を額に灯していただろ。あの状態を死ぬ気モードと呼んでいるんだが・・・」
「それがどうしたの?」
「実はな、渚がなっていたのは通常の死ぬ気モードより上のハイパーな死ぬ気モードでな、死ぬ気モードになった事も無い者がいきなりハイパーな死ぬ気モードになると、身体に相当な負担が掛かると思うんだが・・・身体の方は大丈夫か?」
「ええと、身体が少し筋肉痛で軋む程度でそんなには負担は感じていないかな。」
「そうか。なら、いいんだが・・・お前の昨日の戦闘を見る限り、まだ死ぬ気モードを使いこなせていないな。」
「やっぱりか・・・僕も薄々と感じていたけどさ・・・」
「という事で俺の提案なんだが、今から死ぬ気モードでの動きを少しでも慣らす様に特訓をするぞ!」
「今、僕に負担が掛かるかどうか心配してたよね・・・」
「残念だが、それはいわゆる取り繕いだ。って事でさっさとトレーニングルームに来いよ!5分で準備しろ!お前に拒否権は無いからな!」
言ってる事が無茶苦茶だ!?僕の身体の心配はしてるのだろうが、それはそれっていう感じで済まされ、僕は強制的に死ぬ気モードを使いこなす為の特訓をされる事となった。拒否権ぐらいは有ってもいいだろ・・・
僕は動きやすい服に着替えて、あのボールペンを持っていくと同時にネークも連れてトレーニングルームに向かった。
「ちょうど5分ぴったりに来たな。剣になるボールペンを持ってきたな。ネークも連れて来た様だし、ちゃんと準備して来た様だな。」
トレーニングルームに入るや、リボーンにちゃんとした準備が出来たかどうか確認された。トレーニングルームには僕とリボーン以外にも、殺せんせーと見掛けない顔のロン毛の銀髪の男の人の姿が見えた。
「殺せんせーも僕の特訓に付き合うの?」
「いえ、私は只の見物人です。渚君の特訓に付き合う人はソコにいるロン毛です。」
「う"ぉぉっい!!俺をわざわざ呼んでまで鍛えろというのは、このガキの事か?あ"ぁ?」
さっきの騒音レベルの叫び声の正体はこのロン毛の人の声だったのか・・・この声のデカさが常音だと言うなら、ヤバいよこの人・・・
「コイツの名前はスペルビ・スクアーロだ。ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーのメンバーでヴァリアーの作戦隊長で実質的な副リーダーだ。今日は特別にイタリア本部からわざわざ来てくれたんだ。渚を殺してでも鍛えろとな!」
「ちょっと待て!!殺してでも鍛えろって・・・暗殺部隊の人にそんな鍛え方を頼んだら本当に殺されるよ!!?」
「うるせぇぇっえ!!俺だって暇じゃねえ中で呼ばれたから来てやったんだ!!あのクソボスを説得してまで許可を貰って来てやったんだ!!有り難く思え!!」
このスクアーロという人は忙しい中でイタリアからわざわざ僕を鍛えに日本に来てくれたし、特訓を断るのも悪い気がするし、殺されるのは嫌だが、なら殺されない様にすればいいだけの事だしね。それにしても、うるさいと言うあなたの方がうるさいです・・・とは間違っても言えない・・・声の大きさが冗談抜きで爆発音以上だから、本人にとっては普通でも、僕や他の人にとっては耳が痛くなるレベルなので、声の大きさを少し下げてほしい・・・それにしても、自分のボスをクソボスと呼んで大丈夫なのか?この場にいないから言ってるならいいけど、この人はどうも普段から言ってる気がするのでボスの逆鱗に触れてしまってる気がするんだけど、大丈夫かな・・・
「おい、ガキ!テメエの名は何だ?」
「僕の名前ですか?」
「テメエ以外の誰に聞いてると思ってんだぁぁ!?早く言え!!捌かれたくなかったら、さっさと言え!!」
「すみません。潮田渚です。」
「そうか。じゃあさっさと特訓を開始するぞ!!俺はテメエを殺す気で鍛えてやるから覚悟しとけよ!!」
この人、明らかに目が本気だよ!!?マジで僕を殺しにくるよ、コレ!!?それと、名前を聞いたのに結局は僕を名前で呼ぶ気ば無いのか・・・とにかく今はスクアーロと戦わないといけないな。僕はあのボールペンを握ると、リボーンが僕の額に弾を撃つ。僕は一回倒れた後に死ぬ気の炎を額に灯して立ち上がった。
「いいか渚。俺がわざわざスクアーロを呼んで、スクアーロに殺す気で鍛える様にしたのはこれからもラフェイルの様な奴との戦いが起きるかもしれないからだ。だから、お前には死ぬ気モードでの戦いに慣れてもらわないとならねえんだ。殺す気で鍛えてくれとはスクアーロに言ったが、本当に殺さねえ様には言ってある。死ぬギリギリの手前で止める様に指示はしてあるから、一応安心しとけ。」
「それは負けたとしても死にはしないが、生と死の境をさ迷うって事になるって事だよな・・・」
「いいから戦え!甘ったれるんじゃねえ!!」
「渚君、本当にヤバそうな時は先生が助けますのでご安心を!」
一応、死にそうな時は殺せんせーが助けてくれるそうなので、僕は少し落ち着いて戦いに望む事にした。ボールペンが水晶の剣に変化し、剣を構えるとスクアーロは少し笑みを浮かべた。
「ほう。テメエの得物は水晶の剣か。なるほど、道理で俺に頼んだ訳か。う”ぉぉっい。テメエは剣士には遠いだろうが、少しは剣の扱いが良い事を期待させてもらおうか!!」
スクアーロは左手の手首に装着された剣を僕に向けると、こちらに突っ込んできた。
「とばすぜぇぇっ!!」
スクアーロが勢いよく突っ込んでくると、そのスピードを維持したままで回転斬りをしてくるので、咄嗟に僕は後ろに下がって避けようとしたが・・・
「やっぱり剣士には遠い様だな。剣の技の一つくらい想定しとけ!!」
「何!!?ぐっ・・・」
スクアーロの剣を避けたと思ったが、スクアーロの剣には刃の部分の仕込まれた火薬が有ったらしく、その火薬が僕に向かって飛ばされ、火薬が爆発して僕にダメージを与えた。まさか、剣の刃の部分に火薬を仕込んでいるとは思いもしなかった。スクアーロの攻撃には無駄な動作が無いという事か・・・これが独立暗殺部隊ヴァリアーに所属する人間の技なのか・・・だけど、僕も負けてられない!僕は剣に額の橙色の炎を灯すと、その炎が付与された剣でスクアーロに斬り掛かるが、スクアーロは僕の剣に向けて自分の剣を強く叩き付けると、僕の腕がまるで重い鈍器で叩かれたかの様な衝撃を受けて思い通りに動かなくなった。
「何だ、コレは・・・腕が思い通りに動かない・・・」
「鮫衝撃(アタッコ・ディ・スクアーロ)!!この技は相手の得物に向けて剣を強く叩き付ける事で相手の腕に衝撃を与えて、相手の腕の麻痺させる技だ。鮫衝撃の衝撃は素手をバットで叩かれるのと同等のモノだ。コレでテメエの腕はしばらくは思う様に動かないぜ!」
相手の攻撃への対処にも無駄な動作が無い・・・まるでスクアーロは獲物を確実に弱らせながら補食のチャンスを待つ鮫の様に思えた。スクアーロは僕を見ると、残念そうな顔をしながら僕に向けて口を開いた。
「う”ぉぉっい!!テメエはソコのカスダコを殺すのが目的なんだろ?なら、少しは暗殺の技術でも身に付けていると思ったんだが・・・これじゃ、只の馬鹿正直なだけの戦闘技術だな。いいか、暗殺ってのはな。暗殺対象に気付かれずに殺すのは一番の理想だ。だが、中には警戒が高くて隙を見せない奴も多い。そんな奴には磨き抜かれた技術で攻めるしか無い!暗殺にしても、戦闘にしても自分で磨き抜いた技術が無いと殺せる相手も殺せねえんだよ!!」
「磨き抜いた技術・・・」
「そうだ。テメエにはそれが無い!!只、防衛省の奴が指導する授業で鍛えられただけの基本的な動きでしか動いてねえ!!いいか、確かに基本的な動きを往復するのも必要だ。だが、それだけでは決定的な決め手となる動きは掴めねえ!!その動きを掴むには技の一つを重点的に磨くしかねえ!!後、他にも機転が利く事も必要だな。例としていいのは、テメエがラフェイルっていう奴に勝てたのはどうしてか思い出してみろ!!」
「ラフェイルに勝てたのは製鉄所に炎をぶつけて火事を起こして、影が出来ない状況にしたからだ。」
「そうだ。テメエには機転が利く柔軟さだけは持っている。だが、それでも磨き抜いた技術の前には歯が立たねえ。テメエは技を磨く必要が有る。だが、それはもう叶わないだろうな。何故なら俺が今、テメエを殺すからだ!!」
スクアーロは僕に向けて剣を降り下ろそうとしてくるが、僕は殺される訳にはいかない!麻痺した腕も少しだが回復してきたので、僕はスクアーロの剣に向けて自分の剣を強く叩き付けるかの様にぶつけた。いわゆる見よう見真似だが、スクアーロに対してスクアーロの技を使わせてもらったのだ。
「何っ!!?テメエ・・・」
「鮫衝撃。自分が受けたからこそ解る、この技が決まった時の抑制力を。あなたのとは比べ物にならない程に弱いけど、動きを抑制するには十分な筈だ。」
「まさか、あの一発だけで鮫衝撃を自分の技としてモノにしたってのか!!?(だとすれば、コイツには相当の才能が有る。天性の暗殺の才能がな・・・完全では無いが鮫衝撃をモノにしたんだ。相手の技術をモノにする吸収力も有るあたり、コイツは暗殺者として育てば将来化けるな・・・)」
スクアーロが何か考え込んでいる様だが、今のスクアーロは隙を見せているので僕は剣をスクアーロの足下に目掛けて降り下ろした。
「う"ぉっ!?チッ、俺とした事が考え事して隙を見せてしまうとはな・・・クソボスに見られていたら、ぶっ殺されてるな・・・」
「外したか・・・さすがに簡単には攻撃に当たってはくれないな。」
スクアーロは僕が降り下ろした剣に当たる直前に後ろに下がり回避したので、僕の攻撃はまた決まらなかった。
「う”ぉぉぉっい!潮田渚、俺はテメエは剣士としては遠いと言ったが、それは取り消しだ。テメエには剣士以前に大きな才能が有る。その才能を開花させたくなった。俺は殺す気で鍛える為に潮田渚、テメエの才能を開花させる為に本気の技を披露してやらぁ!!」
スクアーロはそう言うと、スクアーロの剣が青い炎を灯した。その炎はまるで炎なのに緩やかに荒れて流れる水の様だった。
「死ぬ気の炎!?スクアーロも使えるのか・・・」
「ふん。今ではマフィアの中で死ぬ気の炎を扱わない人間の方が少ないかもな。今から俺の本気の技を見せてやる!死ぬ気で食らい付かないと本当に死ぬぞ!覚悟しろよ!!」
スクアーロは剣を物凄いスピードで降りながら僕に突っ込んでくる。その剣撃はまるで空間を抉っているかの様に見え、大きな鮫が僕を喰らおうと飲み込もうとしてるかの様だ。
「鮫特攻(スコントロ・ディ・スクアーロ)!!この技を防ぐには相当の威力を持った攻撃をぶつけるしかねえぞ!!テメエの覚悟を見せてもらおうじゃねえか、潮田渚!!」
鮫特攻・・・この技を受けたら僕の五体は引き裂かれて跡形も残らない程の威力だと肌で感じる。この技を防ぐにはコチラも鮫特攻に負けない威力の攻撃をぶつけるしかない・・・さっき使った鮫衝撃は話にならない。あれはスクアーロの放つモノより劣っているので、今の僕では使いこなせるモノじゃない。スクアーロが今使っている鮫特攻を真似たとしても、所詮は他人の真似事だ。話にならない・・・僕が自分で相当の威力を持った技を今作るしかない。
スクアーロは覚悟を見せろと僕に言った。死ぬ気の炎が覚悟の力だと言うならば、僕の覚悟をこの剣に乗せて一撃を放つまでだ!それでスクアーロに敵わないとしたら、僕の覚悟はその程度だったという事になると同時に死を迎える事になる。だから、僕は全身全霊の覚悟を込めて剣の炎を大きくしていく。剣の炎が僕の覚悟を力に変えていき身体を包み込む程に大きくなる。包み込む炎は僕の身体には影響を与えず、むしろ橙色のバリアの様に僕を守るかの様だった。僕はこの強大な炎を灯した剣で強力な一撃の突きをスクアーロに向けて放った。
「これが僕の全身全霊の覚悟を込めて放つ一撃だ、スクアーロ!バーニング・ストライク!!」
僕はこの技をバーニング・ストライクと名付け、僕の放つ強力な炎を持つ剣で放つ突きの一撃であるバーニング・ストライクとスクアーロの放つ強大な青い炎を灯した剣で空間を抉っているかの様に見える斬撃の乱舞である鮫特攻がぶつかると僕とスクアーロは互いに技の威力を受けて吹き飛んでいき、トレーニングルームの壁に衝突した。
「うわっ・・・イテテッ・・・」
「う”ぉおっ・・・やってくれるじゃねえか、潮田渚。まさか、俺の鮫特攻に匹敵する威力を持つ技を今の一瞬で作るとは大したもんだ。」
僕は壁に衝突したショックでか、死ぬ気モードが解けたのに対して、スクアーロはぴんぴんとしており、全くダメージを受けている様には見えない。
「はあっ・・・結局は僕の一撃はまだまだだったって事か・・・」
「あ”あん!?バカな事を言うんじゃねえ!こう見えても俺は立つのも少し苦労する程にダメージを受けてんだ。だから、潮田渚。テメエは卑屈になるんじゃねえ!テメエの放った今の技は俺に十分なダメージを与えた。だから、自分に自信を持って!自分に言い聞かせろ、自分は確実に強くなっているってな。」
「スクアーロさん・・・」
「今更、さん付けするんじゃねえ!!呼び捨てで構わねえ!!いいか、テメエは自分の事を過小評価してるみたいだが、その考え方も大事だが、今のテメエに一番必要なのは自信を持つ事だ!その為にも少しは自分自身を褒めてみろ。そうすりゃ、自然に自信が持てる様になる筈だ。」
「スクアーロ・・・そうだね。僕は自分の事を過小評価してたみたいだけど、これからは少しずつ自分に自信が持てる様に僕が僕自身の事を褒めていける様に頑張るよ。」
僕はスクアーロの言葉を胸に刻み、スクアーロに僕自身が自分を褒めていける様に頑張ってみると伝えた。
「それでいい。そんで潮田渚。もし、テメエが興味有るならヴァリアーに入ってみねえか?」
「僕がヴァリアーに!!?な、何で僕なんかを・・・」
「チッ、まだ自分の持つ才能に気付いていねえのか・・・まあいい。また会う事も有るだろう。その時にもう一度聞く事にする。だから、潮田渚。約束しろ、どんな戦いでも負ける事は許さねえ!戦闘や暗殺以外に勉強やスポーツと言ったモノにも勝てる様に強くなれ!もし、無様に負ける様なら直ぐにかっ捌きに来るからな!是が非でも勝てって事だ!俺はイタリアのヴァリアー本部に帰るぞ。おい、クソダコ。テメエの生徒だ。少しはテメエの手で今言った様な部分が強くなる様にしとけ!勿論、潮田渚以外のテメエのクラスのカス共全員だ。もし、無様な失態をしたなら先ずはテメエを殺しに来るからな!俺の剣の降る最高速度は今のところマッハ18だ。その内にテメエのスピードに付いてこれる様になるから覚悟しとけよ?」
「にゅやああぁぁっ!!?解りました!?絶対に失態を見せない様に先生として頑張りますので、どうか絶対にヴァリアーは私の暗殺を引き受けないで下さい・・・本当に今、冗談抜きで恐怖を感じましたので・・・」
スクアーロはヴァリアー本部に帰るらしく、エレベーターに向かう途中で殺せんせーと会話し、殺せんせーはスクアーロの言う剣の降る最高速度がマッハ18だと聞いて本当にその内に付いてこれる様になるのではないかと思い、恐怖を感じたらしく顔に冷や汗を出しながらガクガクと震えていた。スクアーロはエレベーターに乗り、ボンゴレアジトを出てイタリアのヴァリアー本部に向かった。スクアーロが去った後、僕の服の袖に入っていたネークが尾の部分を僕の腕に叩き付けていた。どうやら、スクアーロとの特訓で使ってくれなかった事に拗ねているみたいだな・・・
スクアーロとの命懸けの特訓を終えた僕は寝室のベッドの上に寝転びながら、スクアーロの言ってた事について考えてみた。スクアーロは僕にヴァリアーに入らないかとスカウトしようとしたみたいだが、何で僕をヴァリアーにスカウトしようとしたのか未だに解らない。スカウトの事は考えても解らないが、スクアーロは最後に僕に勉強やスポーツも含めたどんな戦いでも負ける事は許さないと言っていた。どんな戦いでも勝てる様に強くなれと言っていた。是が非でも勝てと言っていた。つまり、スクアーロはどんな事も諦めては駄目だと伝えたかったんだろう。どんな事も最後まで努力して諦めずに取り組めと言う事だろう。その事は殺せんせーを通してE組の生徒全員に伝える様にしたんだろう。スクアーロは何だかんだで面倒見の良い人なんだろう。じゃないと、ここまでのアドバイスをしたりはしない筈だ。僕はスクアーロの言葉を胸に刻み続けていく事にした。
それから僕は数日をボンゴレアジトに泊まりながら、茅野と怪我が回復して自由に動ける杉野と三村君に菅谷君にカルマ君の五人と一緒に並盛を見て回った。ラフェイルとの戦いで出来た怪我で動けない人達の代わりに並盛でのお土産を用意した。後、何処かで出会った覚えが有る風紀委員の人にトンファーを振り回されながら襲われたり、ナッポー頭の少し変わった雰囲気の人に契約だとかで槍を刺されそうになったり、鼻に絆創膏を着けた赤い髪の好青年な感じの人が野良犬の群れに追いかけられていたところに巻き込まれたりと酷い目に有ったりもしたが、僕は並盛での思い出を作っていた。後、思い出とか関係無いがネークは僕が責任持って連れていけとリボーンに言われたので、僕が面倒を見る事になったのだが、僕の家に蛇を連れて来ても大丈夫かな・・・母さんに許可を貰うのが一番大変そうだ・・・
そして、ゴールデンウィークの終わりの日となり、僕達は並盛を去り、椚ヶ丘に帰る事になった。僕や茅野にカルマ君に杉野と三村君に菅谷君はラフェイルとの戦いの後も並盛を見て回れたが、他の人達は怪我の治療で動けずにいたので残念そうな顔をしていた。特に前原君が・・・
「俺・・・一日目の時点でオッサンに連れてかれて時雨蒼燕流の継承とか修行で自由に動ける時間が無かったぞ・・・その後、ラフェイルの野郎に胸を貫かれて死にかけるわで散々な目に合っていて、ゴールデンウィークなのに全然休めてないんだが・・・」
「それを言うな前原・・・俺達もラフェイルのせいで今日まで動けずにいたんだからな・・・」
「でも、お陰で収穫も有りましたよ。相手の脳にダメージを与える音波兵器の作り方をスパナさんから教えてもらいましたので、帰った後に作ってみせましょう・・・」
前原君が嘆いていると、自分達も同じだと千葉君が告げていたりした中で奥田さんはスパナさんに何かヤバい物の作り方を教えてもらった様なので、それが味方にまで影響を与えない物である事を祈るしかない・・・
「それじゃ、椚ヶ丘に帰るぞ!電車に乗り遅れない内に早く乗れ!」
リボーンがそう発したので、僕達は電車に乗り椚ヶ丘に帰る事になった。帰りも来た時と同じくリボーンがグリーン席の切符を用意してくれたので、帰りは席に座って楽に過ごせそうだ。殺せんせーは自分で飛んで先に帰ったらしい。前原君に時雨蒼燕流を教えたあのおじさんは前原君に時雨金時を託し、前原君に軟派者だが心の強さは確かだと言い、見送ってくれた上に僕達にお土産用の寿司を渡してくれた。来れなかった皆の分も用意したらしく、それは殺せんせーに運ばせたらしい。
こうして、僕達は並盛を去っていく。去らば並盛、今度来た時こそは平和に見て回りたい。そう思いながら、椚ヶ丘に帰っていたのだった。
一方、とある場所に有るヴィスタファミリーのアジトにて、新たな騒ぎが起こっていた。
「総帥がいないだと・・・どういう事だ!!?」
「落ち着くのだ。総帥はある考えで動いたらしい。総帥が何をするかどうかは解らないが、総帥の考えは我らには想像もつかないモノだ。我らは総帥が命じた通りにあの超生物とアルコバレーノがいる椚ヶ丘中学校のE組の生徒の対処に専念するだけだ。」
「うむ。確かにお前の言う通りだったな。椚ヶ丘中学校のE組の生徒に我々ヴィスタファミリーを敵に回した事の恐ろしさを感じさせるのだ!」
「少し違うな。総帥はE組の生徒をヴィスタファミリーに加入させる様にも言っていたぞ。ただし、ソイツらにヴィスタファミリーに入る意志が無いなら殺せとの事だ。」
「ラフェイルを倒した程の者がいるのだ。ヴィスタファミリーに加入させる事が出来れば大手柄だろう。だが、加入よりは始末を優先にした方がいいかもしれん。ラフェイルは我ら六魔将の中でも最弱の部類で有ったが、最弱とは言えど六魔将の一人を倒されたのだ。『窮鼠猫を噛む』という言葉が有る。成長を許せば、我ら六魔将がまた倒される可能性が有る。だから、始末した方がヴィスタファミリーの未来の為にも良い筈だ。」
ヴィスタファミリーの総帥が姿を消したが、それでも部下である六魔将がE組の対処を行おうとしているのであった。
今回はラフェイルとの戦いの後の後日談みたいな感じでした。
ヴィスタリングは生きてこそいないが擬似的な生命体で、人間の生命力に精神力を補食して力を蓄えている不気味なリングです。ヴィスタファミリーの幹部が使えるのも実は相当な覚悟に実力を持っているからです。
スクアーロが登場し、渚はスクアーロとの戦いで鮫衝撃を習得しました。渚はスクアーロの放ったモノより弱いと言っていましたが、実際は渚の腕はスクアーロが先に放った鮫衝撃で麻痺していたから弱くなっていただけなので、実際の威力はスクアーロと同等です。じゃないと、スクアーロはあそこまで驚かないです。後はハイパー死ぬ気モードでの必殺技も作り出しました。果たして使いこなせるか・・・
次回は一学期の中間テストの話となります。