ゴールデンウィークが終わった後の月曜日、僕はいつも通りに隔離校舎に通いE組の教室に入る。リボーンと殺せんせーからは並盛でのラフェイル達との戦いについては伏せておく様に言われたので、皆から並盛でどんな事が有ったのか聞かれてもラフェイル達との戦いを伏せて、並盛でどんな事が有ったのか話す様にする。
E組の教室にクラスの生徒全員が席に座ると、朝のホームルームの時間となり殺せんせーとリボーンが入ってくる。その後に号令と共に起立して、殺せんせーに銃を向けて対殺せんせー用の弾を乱射したが、殺せんせーはいつも通りに全弾回避したので、落ちた弾を片付けた後に皆は着席した。これを見ると、本当に無事に帰ってこれたんだと思う。いつも通りの日常に・・・着席した後に磯貝君が殺せんせーに声を掛けた。
「殺せんせー、俺の家に持ってきてくれたお土産のお寿司なんだけど、俺の兄弟や母さんと一緒に食べたんだけど美味かったよ。」
「そうですか。それは良かったです。あのお寿司は他の皆さんの家に行って配りましたし、皆が磯貝君と同じ様に食べてくれたなら、お寿司を握ってくれた親父さんも喜んで下さるでしょう。」
「そうだな。その親父さんには感謝しないとな。後、殺せんせー。聞きたい事が有るんだけど、いいか?」
「はい?聞きたい事って何ですか磯貝君?」
「俺や他の皆に配られた寿司と同じ内容が入った容器の写真を三村が撮っていたんだけど、その写真と俺が食べた寿司の量が一致しないんだが、どういう事か説明してくれませんか?どうも寿司を配られた他の皆も俺と同じ様なので、皆が納得いく説明をお願いしますよ、殺せんせー?」
「にゅやああぁっ!!?え、ええと・・・それは、そのぉ・・・」
殺せんせー、皆の家に運んでいる最中につまみ食いしたな・・・何勝手に人のお土産を食べているんだよ。しかも、親父さんから給料を渡された上で運んでいなかったっけ?皆から冷たい視線を送られる中で殺せんせーは話を変える様にか、口を開いた。
「それよりも今日は皆さんに伝えねばならない事が有ります。」
『人の寿司を食っといて、【それよりも】ってどういう事だ!!このタコ!!』
当然ながら、自分に都合の悪い事から話を変えようとする殺せんせーにブーイングが多く出ながら銃も発砲されているが、殺せんせーは物ともせずに銃弾の嵐を避けながら話を続けた。
「皆さん、今日からこのクラスに転校生が一人入ってきました。その転校生には先生の事を話していますので、皆さんと一緒に先生の暗殺をしますので仲良くしてあげなさい。さあ、入ってきてください。」
転校生か。ゴールデンウィークが明けて直ぐの日に転校生が来るとは思ってもいなかった。殺せんせーの言葉を聞いた転校生がE組の教室に入ってきた。その転校生は背丈が僕より少し高めで暗めの赤色の髪のミディアムヘアーに瞳が緑色の少年だった。制服はちゃんと用意したのか椚ヶ丘の物だ。見た目的に外国人かな?
「今日からこのクラスに入る新しい生徒です。さあ、自己紹介をお願いしますよ。」
「ああ。俺の名前は山口ソルテで一応、日本人とスイス人のハーフらしい。」
『らしい?』
山口ソルテ、この少年が自分の名前とハーフだという事を説明したが『らしい』と疑問視になっていたので皆はその事にどういう事なのか思った様で、殺せんせーはソルテの事について説明する。
「実は彼、ソルテ君には過去の記憶が無い様なのです。自分が今まで何をしていたのかとか、何処で育ったのか、名前すらも覚えていない様です。つまり、記憶喪失です。」
「待ってくれよ。ソイツが記憶喪失だと言うなら、何でこの学校に来たんだ?しかも、よりによって扱いが酷いE組に・・・」
木村君が記憶喪失であるソルテが何でE組に来たのかを殺せんせーに尋ねると、殺せんせーは語る。
「ソルテ君はゴールデンウィーク明けの土曜日に防衛省の近くに倒れていたところを防衛省に保護されました。ですよね、烏間先生?」
「ああ。防衛省の職員である俺の部下の一人が倒れていたソルテ君を見つけて保護したんだ。倒れていた時の彼の手荷物を調べて何とか彼の名前と彼が日本人とスイス人のハーフだという事が解った。だが、それだけでは情報が足りないから、防衛省の職員が出来る限りの範囲でソルテ君の経歴とかを調べてみたのだが、何処にも彼についての情報が無かった。それ故か防衛省の上層部が素性が知れないソルテ君を匿い続けるのは無理だと言い、ソルテ君を追い出そうとしていたところをソコの暗殺対象が自分の暗殺をさせる生徒としてE組に転入させる様に自ら提案した。」
教室の後ろにいた烏間先生からの話で殺せんせーが防衛省から煙たがれたソルテ君を庇った事が伝えられた。
「今の烏間先生の言う通りです。私は防衛省の上層部に煙たがれたソルテ君に居場所を与える為に私の暗殺をさせる生徒としてE組に転入させる様に提案しました。結果、ソルテ君には防衛省から特別に生活金が給与される事になり、住む家も私を殺すまでという条件の基で与えられました。そういう経緯でソルテ君はこのクラスの生徒としてやって来たのです。だから、仲良くしてあげて下さい。ソルテ君の記憶を戻せる様にしたいですが、過去の記憶と同時に今日から皆さんと作る新しい思い出という記憶もソルテ君には必要な筈ですから。」
殺せんせーの言葉を聞いて、皆はソルテと仲良くしていき、彼と一緒に先生の暗殺を頑張っていこうと思った筈だ。殺せんせーが話を終えると、ソルテが皆に向けて話す。
「俺は今、この・・・ええと、殺せんせーだっけか?」
「はい。私の名前は殺せんせーですよ。ソルテ君。」
「そう、殺せんせーが言った様に俺には過去の記憶が無い。自分が今まで何をしていたのかも覚えていないけど、俺は今日からこのクラスの生徒としてやっていくからよろしくな!俺を呼ぶ時はソルテと呼び捨てでいい。」
どうやらソルテは過去の記憶が無くても、めげてはいない様だ。今日からソルテが僕らE組の生徒として加わる事になった。
「それではソルテ君。君も座りなさい。君の席はカルマ君と寺坂君の間の席です。」
「解りやすく言うとな、ソコの性格悪そうな赤毛とガキ大将擬きの間だ。」
殺せんせーがソルテ君の席はカルマ君と寺坂君の間だと教えるが、それだけでは説明不足だと思ったリボーンが二人の特徴(?)を言って教えた。
「リボーン、今のは酷くねえ?俺そんなに性格悪そうに見える訳?」
「ガキ大将擬きで悪かったな・・・このタレマユ!!」
「誰がタレマユだ?寺坂・・・喰らえ、竜巻旋風脚!」
「待て!?それは格闘ゲームのわ・・・ギャアアッ!!?」
カルマ君はそんなには気にしてないが、リボーンの例えに納得行かない寺坂君はついリボーンの悪口を言ってしまったので、リボーンから某格闘ゲームの技を再現した動きのお仕置きを喰らう破目になった。
「寺坂・・・そろそろ、リボーンを怒らせるのがどんな事ぐらいかは学習しろよ・・・」
今、お仕置きされてる寺坂君を見て吉田君がリボーンがどうしたら怒るのか学習しろと呟いていた。確かにそうだね・・・
それから一時間目の数学の授業が始まり、ソルテは記憶喪失だから勉強の方は大丈夫かどうか心配だったが心配は無用だったらしく、殺せんせーが出した問題に答えていく。
「ソルテ君、この計算式の答えは解りますか?」
「46xyだろ。簡単だっての。」
どうやら、勉強については記憶が残っているのか、それとも予習していたのかは知らないが勉強に付いてこれないという事は起きそうにないので大丈夫そうだ。もしかすると、ソルテはカルマ君に近い頭脳の持ち主なのかもしれない。数学の授業が終わった後、クラスのほとんどの人がソルテの元に行って、ソルテと話をしていた。僕も話したいけど、今は人数が多くて話せそうにないので後で話す時間が有れば話し掛けてみる事にした。
それから、時間が経過して午前の授業が全て終了し、昼休みになった。だけど、今日は残念ながらE組には昼休みは無い。何故なら、今日は昼休みが終わった後に月に一度行われる全校集会が有り、E組は隔離校舎に通っている以上は本校舎にまで向かわないといけない上に、E組は椚ヶ丘中学校の落ちこぼれだからという理由なのか昼休みを返上して他のクラスの誰よりも全校集会を行う体育館に整列して並んでいないといけない。よって、クラスの皆は急いで教室を出て本校舎の体育館に向かっていく。僕は出遅れてしまったが、教室を確認するとソルテは今日来たばっかりだからなのか何も知らずに弁当を食べようとしていた。尚、ソルテの弁当は全ておにぎり等のコンビニフードだ。僕はソルテに全校集会が有る事と急いで行かないといけない事を説明する事にした。
「おにぎりか・・・多分、記憶有る時から食った事が無いのか、このビニールから海苔を出すのが上手くいかねえな・・・」
「ソルテ、残念だけど弁当は食べれそうにないよ。だって、今日は昼休み明けに全校集会が有るから早く体育館に向かわないといけないんだ。このE組は昼休みを返上した上で1キロは離れた本校舎の体育館に入って、どのクラスよりも早く整列して並んでいないとダメなんだ。」
「なんだよソレ!?この学校の方針については聞いたけどさ、まさか本当に落ちこぼれのクラスだからと言ってここまで酷く扱うのかよ!?おかしいと思わないのかよ、この学校の本校舎の教員に生徒は・・・これじゃ、まるで牢獄の囚人みたいな扱いじゃないか・・・」
「ソルテの言いたい事は解るよ。でも、これは学校の決まりである以上は簡単には覆せない。」
「だからって、鵜呑みにしてその決まりに従うのかよ!!こんな扱いをされて悔しくないのかよ!!」
「悔しいさ。でも、これは決まりだし仕方無いんだ。納得いかないと思うけど、元から立場が悪いE組は全校集会に来ないだけでも更に扱いが酷くなりかねない。だから、ソルテ。全校集会に間に合う様に移動しようか。不本意だと思うけど・・・」
「解ったよ、仕方ねえな。俺が来なかったせいで他の奴らに迷惑が掛かる事だけは避けたいしな。弁当は放課後に食うとして、今は本校舎の体育館に行くか。それで、お前の名前は何だ?」
「僕の名前は潮田渚だよ。渚って呼んで。」
「潮田渚?うっ・・・頭が痛む。渚、お前は俺と何処かで出会った事が有るんじゃないか?」
「えっ!?無いよ、僕とソルテが会ったのは今日が初めてだよ。」
「そうか。お前の名前を聞いた瞬間、俺は頭が痛みだしたんだ。それで、もしかすると渚は俺の記憶が無くなる前に面識が有ったんじゃないかと思ったんだが違うのか・・・」
ソルテは僕の名前を聞いて無くなった記憶の一部に引っ掛かったのか頭が痛みだしたみたいだけど、僕は本当にソルテと出会ったのは今日が初めてなので僕の事を知ってる事は無い筈だ。ソルテは出会ったのは今日が初めてだと聞いて、これ以上は追及せずに教室を出て僕と一緒に本校舎の体育館に向かった。山を下っていると、先に行った人達の声が聞こえてくるのだが、内容がどうも岡島君が水害に落石、蛇の群れが身体に絡み付いたり、蜂の巣を誰かが刺激したのか蜂が何故か岡島君を追い掛ける等と災難な目になっているとの事らしく、他の人も岡島君の不運の連鎖の悪影響を受けてる様だ・・・
「渚、大丈夫なのか。その岡島って奴は・・・」
「多分、大丈夫だよ・・・」
「そうか・・・言っていい事じゃないけど、俺達二人は遅く出て正解だった様だな。」
「そうだね・・・岡島君は近道をしようとして不運の連鎖に嵌まったみたいだし、遅く出てよかったかも・・・」
岡島君や他の皆には悪いけど、僕とソルテは遅く出てよかったと思った。僕とソルテは先に行った皆に追い付く様に急いで山を下りていきながら話をしていると、ソルテはポケットから一つの指輪を出した。その指輪は橙色の石が付いており、綺麗な装飾が施されていた。ソルテはその指輪を紙ヤスリを使って磨き、石の付着点をドライバーで締めると僕にその指輪を渡した。
「ソルテ、この指輪は?」
「それか?俺が作った手作りだ。どうも俺は記憶が無くなる前に装飾品でも作っていたのか、保護された時は作りかけの装飾品にその材料とかがいっぱい持っていたみたいだからな。それで指輪を作ったんだが、結構な出来だろ?」
「うん。これは出来が良いというレベルじゃないよ。高級な装飾品を販売する店に出しても通用する程だよ!」
「そうか。そこまで言われると照れくさいな・・・その指輪は渚にくれてやるよ。転入して一番に友だと思ったのは渚だからさ、受け取ってほしい!」
「そこまで言われたら、返す方が失礼だよね。有り難く貰う事にするよ。」
僕はソルテからソルテの手作りである指輪を貰うと、その指輪をポケットの中に入れた。その後、僕とソルテは本校舎の体育館に着いたので中に入り、皆と合流した後に整列して全校集会が始まるのを待つ事となった。
しばらくして、体育館に本校舎の生徒に教員も集ってくる中、本校舎のD組の生徒二人が僕にヤジを飛ばしてくる。
「よぉ、渚く~ん。お疲れだね~。」
「わざわざ山の上のボロ校舎からこの本校舎まで来るの大変でしょ~。」
笑いながら、そんな言葉を僕に飛ばし、二人は自分のクラスの元へ行こうとしたが、ソルテは今のを見て、この学校は変だと思った様で口を開き、二人に自分の意見を発した。
「何だよ・・・お前ら二人だって下手すれば落第してそうじゃないか!顔的に雑魚感半端ない癖に、たまたま落ちなかっただけで調子乗ってバカにするんじゃねえよ!この顔デカニキビデブと鼻デカヒョロ眼鏡が!!」
「んだとテメェ!!誰が雑魚感半端ないだ?しかも、俺の事を顔デカニキビデブって言いやがったな!!」
「それに俺の事も鼻デカヒョロ眼鏡って言いやがったな!!E組の癖に本校舎の生徒である俺達に文句を吐けるのか?」
「文句が有るから言ったんだよ。それも解らねえのか?ああ、解らないのか。脳に栄養が行かずに顔や鼻の肥大化に栄養が行ったから。」
『この野郎!!これ以上は只じゃ済まねえぞ!!謝れや!!』
「謝るのはお前らじゃないのか?おかしいと思わねえのかよ。成績が低い、授業に着いてこれないと言う理由でぞんざいな扱いをする為のクラスを作る様なこの学校に・・・」
「変だと思った事は一度もねえよ!」
「そうだ!だから謝れE組が!!」
ソルテの言ってる事は正しいが、この学校の本校舎の生徒に教員に言ったとしても無意味だ。彼らに何を言っても、自分達が強者だと思っている以上はE組の生徒であるソルテの話を聞く耳は持たない。この状態を見る限りでは口論が終わりそうにないので、僕はソルテの前に出てD組の生徒二人に向けて頭を下げた。
「ごめん二人供。彼は今日転校してきたばっかりで、この学校のルールに乏しいんだ。僕が後で教えておいとくからさ、今は僕がソルテの代わりに頭を下げて謝るよ。だから、ソルテの言った事は聞かなかった事にしてほしいんだけど、ダメかな?」
僕は二人に向けて頭を下げた。ソルテはその行為に納得いかないのか、不機嫌な顔になる。だけど、もうすぐで全校集会が始まる以上はE組の扱いが少しでも酷くならない様にする為にも僕がソルテの代わりに二人に頭を下げたが、二人は納得せずに僕に声を発した。
「おい渚。調子乗るんじゃねえよ!!俺ら二人はソイツに謝れって言ってんだよ!」
「そうだ!お前が頭を下げても意味は無いんだよ!!調子乗るなよE組!」
『殺すぞ、あぁ?』
この二人はソルテが謝らない限りは引き下がるつもりは無い様だ。それよりも殺すか・・・殺すねぇ・・・僕は殺すという言葉を発した二人に向けて表情を変える事無く声を発した。
「殺そうとした事なんて無いくせに。」
僕が無表情で発した言葉に二人は恐怖か何かを感じたのか、僕とソルテの前から立ち去り、自分のクラスが並んでいる場所に移動していった。
「渚、今のお前は凄かった。あの二人がビビって逃げるかの様に自分のクラスの元へ行ったぜ!」
「ソルテ、調子乗らないで!もうすぐで全校集会が始まるからさ。教員も僕らに対して容赦無いからさ。今の様に発した言葉にいちいちイラついていたら、この学校じゃ生き残れないよ。」
「解ったよ・・・今ので解ったしよ、本校舎の奴らが俺や渚がいるE組の生徒の言葉を聞く筈が無い事にな・・・」
ソルテも解ってくれた様だ。本校舎の生徒に教員は僕らE組の言葉に耳を貸す事は無いと。でも、僕はこの状態を覆す方法を思いついてはいる。是が非でも勝てとスクアーロに言われた時、成績厳守の実力主義であるこの学校ではテストで本校舎の生徒より上の成績さえ取れば、E組の生徒で有ろうと意見が通る筈だと考えたのだ。暗殺や戦闘でもそれは同じだ。勝てば、敗者は勝者の言葉に耳を貸す筈だ。E組の生徒がテストで上位を独占さえ出来れば、この学校の考えを覆せるかもしれない。だけど、それは僕一人だけじゃなく、E組の生徒皆が同じ考えで動かないと出来ない。現時点では不可能だが、時間が経てば皆の意志を変えられる筈だ。僕は殺せんせーの暗殺以外である、この大きな目標をクラスの皆に抱かせたい。その為に、殺せんせーに後でこの目標を伝える事にしよう。
本校舎の生徒に教員が集まり、全校集会が始まった。尚、カルマ君はサボり来ていない・・・校長先生の話が始まり、校長も例外無く僕らE組の生徒をバカにするかの様な言葉を発しながら、E組の様にならない様に注意する様に本校舎の生徒に伝えた。これはいつもの事なので、気にしない様にしている。校長先生が話を終えると何処からか粘着テープがびっしりと付着したボールが校長先生の残り少ない頭部の髪に目掛けて飛んできて、校長先生の残り少ない髪がびっしりと抜け落ちてしまい、校長先生はショックを隠せずに地面に両手を着いてしまった。
「物騒ですな・・・何処からきたんでしょうか、あのボールは?」
と言うのは教員達の元に同化して居座る帽子を脱いだいつもとは違うスーツ姿のリボーンだった。絶対に犯人はアイツだ・・・それと何で身長差が有りすぎるのに本校舎の生徒に教員は普通にリボーンに接しているのが不思議なんだけど・・・まあ、僕を含めたE組の生徒皆はよくやったリボーンと思ってはいる。校長先生が硬直した中でも全校集会は進行していく。そんな中で倉橋さんに中村さんが対殺せんせー用のナイフケースをデコレーションしたらしく、それを烏間先生に見せたが、烏間先生は本校舎の者には暗殺の事は秘密だからナイフケースを出さない様に注意した。注意された二人がナイフケースを閉まった後に、ビッチ先生が僕に声を掛けてきた。
「渚、あなたはあのタコの弱点とかメモしてるでしょ。実はまだ誰にも教えてない情報でも持っているんじゃないの?私だけに教えなさいよ。」
「ちょっと!?ビッチ先生、苦しいってば!?」
ビッチ先生が僕を自分の胸元に押し付けながら、僕から殺せんせーの弱点を聞いてくるが、前にビッチ先生に殺せんせーの弱点について話したが、どうも僕がまだ誰も知らない様な情報を持っているのではないかと思っているらしく、しつこく聞いてくる。そんなビッチ先生に痺れを切らしたのかリボーンがビッチ先生に目掛けてドリルの様に旋回しながら飛び蹴りを喰らわせた。
「ぶびゃああっぁあ!!?」
「全く、吹っ飛ばされる時の声も下品だな。これだから困る、格下のビッチは・・・」
リボーンの飛び蹴りを喰らったビッチ先生は変な叫び声を挙げながら、体育館の外にまで吹っ飛ばされた。どうもリボーンはビッチ先生の事は嫌いではないが、好かないらしく、後は裏社会での立場がビッチ先生とリボーンでは格差が高過ぎるらしく、それ故かビッチ先生の扱いが酷い・・・ビッチ先生はあまりの威力を持った飛び蹴りを受けて満身創痍だが、立ち上がって体育館の中に戻ってきた。大丈夫かな、ビッチ先生。顔がどう見ても死にかけているし、無茶して立っているんじゃないかと心配になる・・・そんな状態で全校集会が進んでいき、生徒会からの連絡事項が有る様で本校舎のクラスに生徒会が発行したプリントが配布されるが、僕らE組にはプリントは一枚すら届けられていなかった。その事を伝えようと磯貝君が生徒会の伝達係の生徒に伝えた。
「すみません、俺達のクラスにはプリントが配布されていないんですが・・・」
「ああ、ごめんなさい。多分、コチラのミスでしょう。E組の皆さんは今から言う内容を暗記して覚えてください。だって、記憶力を鍛えるにはちょうどいいでしょ?だって、あなた方は落ちこぼれの集まりで、脳ミソが働いているか心配ですしね!」
生徒会の伝達係は最初から僕らE組に対してプリントを配る気は無かったらしく、プリントが来ない事を指摘されたら、考えていた発言を発して本校舎の生徒に教員達と一緒に笑い者にする魂胆だった様だ。だが、それは無駄に終わる事になった。僕らE組の皆の手に物凄いスピードでプリントが手渡されたのだ。そう、殺せんせーだ。殺せんせーが本校舎の生徒に配られたプリントと同じ内容のプリントを用意してくれたので、僕らにもプリントが有るという事を伝えると生徒会の伝達係は笑い所を潰された事に困惑しながらも、話を続けた。
僕らにプリントを配った殺せんせーを暗殺しようとしたのか、ビッチ先生がナイフで殺せんせーを刺しにいくが、殺せんせーに簡単に避けられた上に、本校舎の者には暗殺の事は秘密なのに暗殺をしようとしたビッチ先生を烏間先生が腕を掴んで後ろに持っていくと、リボーンがビッチ先生の脚を万力の様な物に変化したレオンに締め付けさせながら、何処かへ連れていった・・・ビッチ先生、本当に大丈夫かな。さすがに死にはしないだろうけどさ。それでも、心配だ・・・全員集合が終わった後、皆がE組の有る隔離校舎に戻る時にはビッチ先生はグッタリしていたので殺せんせーが運んでいたので、ビッチ先生が本当に不遇過ぎると同情したのだった・・・
全校集会が有った次の日、授業が始まると殺せんせーはマッハ20のスピードで26人(いや、人では無いから体か?)に分身していた。何故、分身しているのか気になったので僕は殺せんせーに尋ねた。
「殺せんせー、そんなに分身してどうしたの?」
「もうすぐで中間テストですので、先生は分身して一人に一人ずつ先生の分身がマンツーマンで苦手教科の復習を行います。」
成る程、そういう事か。テストが迫った僕らにとっては一番の頼もしい味方だ、殺せんせーは。苦手教科毎に鉢巻きを着けている辺り、殺せんせーの気合いも感じる。あれ?寺坂君だけには殺せんせーの分身がついていないのはどうしてだと思ったら、リボーンが寺坂君の前に立っていた。
「ちゃおっス。寺坂、お前は苦手教科が多いというか成績がクラスで一番低いから俺が直々にしごく事にした。って事で覚悟しろよ寺坂!」
「新手の死刑宣告だろ、コレ!!?何で俺だけ、よりによってこの赤ん坊の皮を被った悪魔なんだよ!!?」
「ほう・・・それがお前の俺に対する本音か。解った、お前にはじっくりとネッチョリ指導してやろう。」
寺坂君は昨日と同じミスを起こしてリボーンの怒りを買ってしまったので、村松君が呆れ果てていた。
「寺坂、お前本当に学習しねえバカだな・・・そんな事を言えばリボーンの怒りを買うって事ぐらいは解れよバカ・・・」
村松君、そこまで言わなくても・・・リボーンによって寺坂君だけが別室に運ばれていき、別室から寺坂君の悲鳴や鈍く叩き付けられる音が聞こえるが、クラスの皆は聞かなかった事にして殺せんせーの分身によるマンツーマンを受けるのだった。クラスの皆の苦手教科毎に別れた指導内容は国語6人、数学8人、社会4人、理科4人、英語4人。リボーンによるネッチョリ指導1人・・・こんなに分身して身体が持つのか心配なので、殺せんせーに尋ねてみた。
「殺せんせー、こんなに分身して大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですよ渚君。分身を一人だけ職員室でカップアイス食べさせていますから!」
それは逆に疲れるだろ・・・とにかく、本当に心強い先生だ。殺せんせーはマンツーマンで皆の苦手教科毎に指導していき、途中でカルマ君が暗殺しようとした事で分身が乱れたりもしたが、今日の授業は終了し、皆が下校していく。僕も下校しようと思ったが、ソルテに声を掛けられた。
「なあ渚。一緒に帰らないか?俺は昨日来たばかりだし、この辺りの土地勘も無いからさ、もしよければ案内とかしてくれないか?」
「うん。別に構わないよ。テストが近いから寄り道はそんなに出来ないけど、少しの案内ぐらいはいいよ。」
「そうか。ありがとうな!」
僕はソルテに椚ヶ丘の町を案内する事にして、ソルテと一緒に教室を出ると職員室から殺せんせーや烏間先生にビッチ先生、リボーンとは違う声が聞こえたので、僕とソルテは職員室の中を窓を通して覗いた。職員室には椚ヶ丘中学校と椚ヶ丘高等学校の創始者で椚ヶ丘学園の理事長である浅野學峯の姿が有った。殺せんせーは浅野理事長の肩を揉むなどをしている辺り、上司に下手に出るのかもしれない・・・浅野理事長は殺せんせーについて気になる事を口に出していた。殺せんせーは世界を救う救世主になる筈が世界を滅ぼす巨悪になってしまったと。僕とソルテも今の話は気になるが、浅野理事長が追求しようとしないので、それ以上は聞けそうになかった。
浅野理事長はどうやら、防衛省から殺せんせーの暗殺を自分の作った学校である椚ヶ丘学園で行う許可を認める代わりに大きな口止め料金を貰っているらしく、余程の事が無い限りは殺せんせーの暗殺についてはノータッチとの事らしい。ビッチ先生は浅野理事長の事を割り切った考えが出来る人物と思ったらしく、そういう考えが出来る人物は嫌いじゃないと言う。ここまでは前置きだったのか、浅野理事長は本題を話し出した。
「そろそろ本題を話す事にしましょう。私は椚ヶ丘学園の理事長として考なくてはいけない事が有りましてね、それは殺せんせー。仮にもあなたが何らかの方法で死んだ場合、つまり地球が無事に済んだ場合の未来についてです。率直に言えばE組にはこのままの状態でいていただかねばなりません。」
「それは成績も扱いも最底辺の今の状態をか?」
「そうですよ、リボーンさん。働き蟻の法則は知っていますか?蟻はどんな集団でも2割は働くが、2割は怠け何もしない。残りの6割は平均的な動きとなるのですが、私が目指す学校はそんなモノでは無くて、9割5分は働き者、残った5分は怠け者となっている集団です。E組には行きたくない、E組の様になりたくないと9割5分の者がそう強く思う事でこの理想的な比率が達成出来る訳です。」
「言っている事は合理的だな・・・それでお前はその5分であるE組には弱い惨めなままでいてほしい訳か・・・」
「さすが、リボーンさん。世界最強の殺し屋だけに理解が早いですね。それと、今日D組の担任から苦情が来ました。昨日の全校集会が始まる前にD組の生徒二人が、E組に文句を付けられた上に鋭い目付きで『殺すぞ』と脅されたと聞きました。」
それは僕とソルテの事で間違いない・・・ソルテは最後の『殺すぞ』と言ったのはD組の二人であり、『渚はただ殺そうとした事は無い癖に』と言っただけだったのに事実と違う事を言いやがってと文句を呟いていた。浅野理事長の話は終わらず、続いていく。
「暗殺をしてるのだから、自然にそんな目付きになるのでしょう。それはそれで構いませんが、問題は成績底辺の生徒が一般生徒に歯向かった事です。それは私の方針では許されない事です。以後は厳しく慎んでくださいね。それと殺せんせー、この知恵の輪を1秒で解いてみて下さい!」
「にゅやあぁぁっ!!?い、いきなりですか!?」
浅野理事長は話を終えたタイミングで殺せんせーに知恵の輪を渡して1秒で解く様に伝えると、殺せんせーはいきなりの事で慌てながらも知恵の輪を受け取り解こうとしたが、1秒で解ける事は無かった。僕とソルテは今のはさすがに何てザマだと思ってしまった。
「噂通りに凄いスピードですね。確かにこれなら時を止められたりとかの無茶苦茶な能力とかを使われない限りはどんな暗殺からも逃れそうですね。でもね、殺せんせー。世の中はスピードだけで解決出来ない問題が山積みなんですよ。日本の経済、終わる事無い紛争や戦争、地球温暖化など色々とね。あなたもそう思いますよね、リボーンさん。では私はこれで失礼するよ。さようなら、殺せんせー。それと、リボーンさん。」
浅野理事長はそう言うと、殺せんせーは悔しそうな表情を浮かべる。浅野理事長はそれを見てみぬふりをして職員室を出ようとするので、僕とソルテは慌ててその場から移動しようとすると、そのタイミングで職員室のドアが開いて浅野理事長が僕とソルテに気付くと、僕とソルテに笑顔を向けて声を掛けた。
「やあ!中間テスト期待してるよ、頑張りなさい!」
そう言った後、笑顔から直ぐにとても乾いた冷めた表情になり、その表情のまま浅野理事長は去っていく。今のとても乾いた『頑張りなさい』は今までの僕なら暗殺者からエンドのE組に戻されていたかもしれない。でも、今は違う。僕は浅野理事長の乾いた言葉よりも重たい言葉が胸に刻まれている。スクアーロの『是が非でも勝て!』と言う言葉だ。今ので僕の心が折れていたら、きっとスクアーロは僕をかっ捌きにくるだろう。スクアーロの言葉通りに僕は浅野理事長の考えとは逆に最底辺のE組として本校舎の生徒より上の点数を取り、崖っぷちまで追い詰められた者が出す粘り強さを見せてみると誓った。
僕はソルテと一緒に椚ヶ丘の町を出歩きながら、ソルテに僕の意志を伝えた。
「ソルテ。僕はさっきの浅野理事長が話した浅野理事長の理想的な教育方針とは逆にE組の生徒として本校舎の生徒に食らい付いてみせるよ。E組の生徒として中間テストで上位の成績を取ってみせれば、少しは浅野理事長の教育方針を揺るがせる事が出来るかもしれないし。その為には勉強が大切だ。だから、ソルテ。悪いけど一緒に飲食店とかで勉強会でもしない?少しでも成績が上がる様に努力したいんだ。」
「そうだな。俺もあの理事長の考えは好かねえしな。あの頭デカっちの理事長に最底辺の扱いがされてるE組でもやれば出来るって事を教えねえとな!やろうぜ、勉強会。俺も記憶が無い以上は知らない事も有るしよ。特に社会がな・・・5教科の中でも社会だけは断トツに低いからな俺は・・・」
「社会か・・・僕も微妙なところだし、社会を重点的に勉強しようか。」
僕はソルテと適当な飲食店に入って勉強会をした後に、帰宅したのだった。
今回はE組にオリジナルの展開としてソルテが転入してきました。モデルはリボーンのゲーム『フェイト・オブ・ヒートII』のゲームオリジナルキャラクターであるソルテです。このゲームの内容を知ってる人もいるかもしれませんが、一応ゲームとは一部違う設定でいます。
浅野理事長が登場しましたが、渚は浅野理事長の乾いた『頑張りなさい』の言葉を聞いても恐れず、持ちこたえたので原作よりメンタルが強くなってはいます。渚の母親に対してはまだ無理そうですが・・・
次回は殺せんせー大増殖から始まります。それと竜巻を起こす筈です。筈というのは、不安要素にリボーンがおり、リボーンに竜巻発生はさすがに止められそうだという理由です。
そして、今回からE組の生徒として転入してきたソルテのデータがコチラ。
名前:山口ソルテ
年齢:14歳?
誕生日:8月2日?
血液型:A型
出身地:日本?
特技、趣味:装飾品作り アクションゲーム全般
得意教科:英語 数学
苦手教科:社会
百億円が手に入ったら何に使う:世界を回り自分の記憶を巡る旅
突然、E組に転入してきた記憶喪失の少年。防衛省の前に倒れていたところを防衛省の職員に保護されたが、記憶喪失以前の履歴が解らない為か防衛省の上部がソルテを煙たがり、防衛省から追い出されそうだったところを殺せんせーが自分の暗殺を行わせる事を条件に保護の続行を促されたお陰で現在は防衛省から生活給付金が渡され、殺せんせーの暗殺を終えるまでの一時的に暮らせる家を渡された。尚、勉強は記憶が無くても出来るみたいだが、社会だけは苦手らしい。防衛省に保護された時の手荷物から解った事は日本人とスイス人のハーフらしく、装飾品作りが得意だという事だ。年齢と誕生日については手荷物でソルテの物か解らないが、記入されていたので一応、仮の誕生日として扱っている。そして性格は、口が少し悪いだけで根は素直で負けず嫌いらしく、どんな事にも恐れずに立ち向かえる行動力も持っている。