修学旅行の途中で祇園の奥にて、女子を拉致しようとした不良達を懲らしめた後、突如、ヴィスタファミリーの一員と思われる紫色の河童の様な髪型の長髪の眼鏡をかけた男が僕らの前に現れた。僕は男に何の目的で僕らに接触してきたのかを尋ねてみる事にした。
「あなたは一体、何者です?ヴィスタファミリーの名前を出していましたが、その一員なんですか?」
「ふっ、良かろう。教えてやろう、そう私は・・・」
「ヴィスタファミリー?何だ、ソレは?」
「私もその事については聞きたいんだけど・・・」
「そういえば、神崎さんにソルテは知らなかったっけ。リボーンと殺せんせーからは黙っておく様に言われていたけど、この場合は説明しないとダメだよね。俺らがこの間、リボーンに誘われて並盛に行った時にヴィスタファミリーの幹部であるラフェイルという男に襲撃されて、茅野が拐われたから、拐われた茅野を助ける為にラフェイルとその部下と戦ったんだよ。俺や杉野はその戦いで気絶した程度で済んだけど、奥田さんは脚の骨が砕かれたし、他の奴らも酷い目に合ったよ。特に前原は胸を貫かれて死にかけたしね・・・幸いな事にリボーンの知り合いによって、特殊な治療を受けて早い回復が出来たから良かったけどさ。」
「そんな事が有ったの!!?最初から話してほしかったけど、その事を話したら、殺せんせーとリボーン君の信頼に関わる事も有るけど、一番は私達に危険な目に合わせない為に黙秘を貫いていたと考えられるしね。」
カルマ君が並盛での出来事を話すと、神崎さんは話を聞いて、さすがに動揺していたが直ぐに気を取り直し、並盛での出来事を話さなかった理由を悟った様なのでこれ以上は追求しなかった。ソルテもそれ以上は聞こうとはせずに、ヴィスタファミリーの一員と思われる男の方を見る。男は今のやり取りで自分の存在を一瞬だが忘れられていた事にご立腹の様で機嫌が悪くなっていた。
「そうか、そうか、そういう事か!貴様ら、私に質問をしておいて、私がその質問に答える前に仲間達と喋り出して、私の話を聞こうとはせずに仲間達と喋り私を無視して、私を怒らせて私の冷静さを無くそうという魂胆だろうが、そうはいかないぞ!」
何か勝手な思い込みを抱かれているし、僕らはヴィスタファミリーの存在を知らない神崎さんとソルテに説明してただけだから怒らせるつもりは微塵も無かったし、冷静さを無くそうとしてもそうはいかないと言いつつ、勝手な思い込みで既に怒っているし、本当に面倒くさい人だと思う。皆も僕と同じ考えの様で、誰もが呆れ顔をしていた。
「何か勝手な思い込みをされていますけど、どうします・・・誤解を解いた方がいいのでしょうか?」
「奥田さん、絶対に余計に面倒になるだけだと思うから勝手に勘違いさせておきなよ。俺としてはあの河童の話相手になるのも嫌だし・・・」
「この私を無視するなぁぁっ!!やっぱり、貴様らは私の話をまともに聞こうとは思っていないのだな!!いいだろう、これ以上は意地でも無視させんぞ!」
『何か訳解らん意地を張ってきたよ、この人!!?』
本当に面倒くさい人だな・・・僕らは別に無視するつもりは無かったんだけど、さすがに本当に無視しても良いのではないかと思ってきたが、ヴィスタファミリーの一員と思われる以上は無視する訳にもいかない。改めて男に尋ねる事にした。
「今度はちゃんと聞きますから、答えてください。あなたはヴィスタファミリーの一員ですか?」
「答えよう、答えよう、本当に答えてやろう!今度は無視するのではないぞ。私の名前はグロ・キシニアだ!薔薇の様に美しく華麗な永遠なる二十代の美男だ!!そして、貴様らの言う様にヴィスタファミリーの一員であり、幹部である身だ!」
このグロ・キシニアという男はヴィスタファミリーの幹部なのか。見た目と言動からは想像出来ないが、このグロという男は相当な実力者の様だ。
「今度はちゃんと話を聞いてくれた様だな。さて、そろそろ仕事に取り掛かるとしようか。」
グロという男は懐から取り出した球体状の物を僕らに向けて投げると、その球体が破裂して煙幕を撒き散らした。
「何だよ、これ煙幕か・・・」
「そうだ、そうだ、その通りだ!煙幕で貴様らの視界を遮っている間に人質を二人連れていくぞ!では、早く追い掛けてくるがいい!人質がいる以上は私の事は無視出来ん筈だ!」
そんなに無視されたくないの、あなたは・・・なら、その言動を直そうよ。同じ意味の言葉を何故か三回言う癖を主にね・・・煙幕が消えると、グロの姿は無く、茅野と神崎さんの姿が見当たらないので人質として拐われたのはこの二人の様だ。杉野達も二人がグロに拐われた事に気付くと、拐われた二人の救出に向かう事にしたが、その前に殺せんせーとリボーンに二人がグロというヴィスタファミリーの幹部に拐われた事を伝える事にした。
「殺せんせーとリボーンにはメールで伝えたけど、殺せんせーは今は他の班の人達が計画した自分の暗殺作戦の途中だから抜け出せないから、全ての暗殺を回避して無事に終わらせた後に来ると返事のメールが返ってきたよ。リボーンは解った今すぐにソチラに向かうって返事が返ってき・・・」
「ちゃおっス。来てやったぞ。」
『来るの早いな、オイ!?』
カルマ君が殺せんせーとリボーンの返事を読んでいた中で、リボーンが直ぐに来たので僕らは驚いてしまった。
「で、神崎と茅野を拐った奴の名はグロ・キシニアで本当に間違いないのか?」
「そうだけど、もしかしてグロの事を知ってるのリボーン?」
「まあ、名前と聞いた限りでの実力だけはな。グロは過去に・・・いや、正しくは未来になるんだが、ボンゴレファミリーと敵対していたヴィスタファミリーとは違うマフィア組織の幹部の一人でな、下種な言動とは裏腹にかなりの実力者で常識外の思考を持っている為かボンゴレの術士が作り出した幻覚を簡単に見破り、ボンゴレファミリーを壊滅にまで追い込んだマフィア組織の幹部に相応しい実力を備えた厄介な奴だ。その時の戦いでは何とかグロをボンゴレの術士が自分の作戦に嵌めた事で撃破したんだが、まさか今はヴィスタファミリーの一員になっているとは思いもしなかった。そんな奴に拐われたんだ。早く二人の救出に向かった方がいいな。」
グロという男はリボーンからも高い評価を得ている事から本当に厄介な実力の持ち主である事が伺える。なら尚更、早く拐われた二人を助けに行かないとグロが何をするか解らない。でも、正しくは未来の事ってどういう事だろう?気になるけど、今聞いてもリボーンにしらばっくれられるのが明白だし、聞かなくてもいいか。
「早くグロを探さないと神崎さんと茅野が危なそうだな。問題はグロの野郎が二人を何処に連れて行ったかなんだよな・・・」
「杉野、そういう時こそ、あのタコが作り出したこの修学旅行のしおりの出番だぞ!」
リボーンは殺せんせー手作りの修学旅行のしおりを何処からか取り出すと、しおりを開いてあるページを見せた。そのページにはクラスメイトが拉致された時、拉致をした犯人の潜伏場所の特定方法とかが載っていたので、そのページに記されていた内容を元にグロの潜伏したと思われる場所を京都の地図から絞り一つずつしらみ潰しに向かう事にした。
「さて、絞り出した場所を一つ一つしらみ潰しに向かって、グロと拐われた二人を探し出すぞ!ってか、これ重てぇ!!」
グロがいると思われる場所に向かったのだが、向かう前にリボーンが殺せんせー手作りのしおりをぶん投げては先程の不良のリーダー格の頭にぶつかったかの様に見えたので、僕は心の中で不良のリーダー格に謝った後にグロがいると思われる場所に向かうのだった。
グロがいると思われる場所をしらみ潰しに一つ一つ向かい、最後に残った場所である人の気配が無く、今は使われていない為か荒廃しているボウリング場にたどり着いた。ボウリング場の中に入り奥に進むとグロと拐われた二人の姿が見え、グロは僕らの姿を確認すると歓喜の声を出した。
「来たか、来たか、本当に来たか!私の事を無視せずにちゃんと来た様だな。感心したぞ!やっぱり、人質は取るモノだな。人質さえ取れば、私を無視しようとは思えない筈だからな!」
「コイツがグロ・キシニアか・・・言動以前に見てくれと存在自体がウゼェな!!こんな奴だと知っていれば、俺の中では存在無視の対象で無視していたんだが、人質を取ってる以上は仕方無いな。さっさと用を済ませて帰るぞ、お前ら!」
リボーンはグロの事がウザイのか毛嫌いしているな・・・グロがウザイのは僕と他の皆も同意だが、今は早く人質になっていた二人を助けないといけないと思っていたのだが・・・グロは人質にした筈の二人を押し出すと、僕らに返した。
「えっ!?私達を人質にして、渚達が手出し出来ない様にして戦ったりしないの?」
「下らん。人質を取って相手を無力にして勝つ様な戦い方は美しくないのでな。人質を取ったのはあくまでも私の事をを無視させずにここまで来させる為だ。私の戦術は常に優雅に華麗に戦うのがセオリーなのだ。解ったなら、さっさと奴らの元に戻らぬか!私の目的はあくまでもヴィスタファミリーの名を汚した貴様らE組全員の始末だ。人質にしてる間に殺すのも美しい戦術ではないからな。美しい戦術というのは複数の相手を纏めて圧倒的な実力で圧倒し、いたぶる事なのだ!それこそが私の求める美しい戦術なのだ!」
「何処が美しい戦術なのか解りませんけど・・・あなたは自分のエゴを貫き通すという事だけは解りました。茅野ちゃん、皆の元に戻ろうか。この人は変わった人過ぎて私は正直苦手だしね・・・」
神崎さんがそう思ってもおかしくない。実際にグロはかなりの変わり者だしね・・・グロが自分の理想的な戦術を行う為に人質である二人を解放して、茅野と神崎さんが僕らの元に戻った。それを確認したリボーンは口を開いた。
「よし、人質になっていた茅野と神崎の二人は無事に戻ってきた。だから、これ以上ここに留まる理由も無いし、さっさと修学旅行に戻るぞ!」
グロの事を無視する気かリボーン!!?無視したいのも解るけど、さすがに茅野と神崎さんを助けたら放置ってのも可哀想だよ。実際、グロが悲しげな顔をしながらコチラを見つめているし・・・
「そうか、そうか、そういう事か!!やはり貴様らはあくまでも私の事を無視する気か!!良かろう、無視出来ない様に最初から全力を出して貴様らを葬ってくれよう!!」
グロはさすがに無視され続けられるのが我慢ならないのか、怒ってしまったらしく本気で僕らを始末しようとして動き出した。グロは右手の中指に填めた青い石が付いた指輪から水の様にも見える青い炎を出した。あれは死ぬ気の炎で間違いない。しかも、スクアーロの出していた炎と同じ色の炎だ。グロが死ぬ気の炎を出したのを見たカルマ君達は驚きを隠せずにいた。
「何その炎は?どういう種で指輪から炎が出ている訳?」
「炎を出す種は解りませんけど、指輪から出ている炎はどう見てもあの人の手に当たっているのに火傷する素振りも無いなんて・・・」
「神崎さん、きっとあれは実写映像か何かなんだよ。あれで俺達をビビらせようとしてるんだって。だよな、奥田?」
「杉野君、多分、あれは実写映像とかの類いでは有りません。あれは明らかに熱量を誇っています。なのに彼が火傷しないのは、私でも解りません・・・」
「炎が出る指輪・・・何でだ、俺はあの炎が出る指輪の事を知ってる?俺の失った記憶に何か関係が有るのか・・・」
解らないのも無理は無い。死ぬ気の炎を知ってるのは僕以外ではリボーンと茅野、後はディーノ先生とその部下達ぐらいか・・・ソルテはどうもリングから出る死ぬ気の炎を見て何か失った記憶に引っ掛かるモノが有るのか頭を抱えている。グロが出す炎に驚く四人に対して茅野とリボーンは死ぬ気の炎について教えた。
「皆、あの炎は死ぬ気の炎と言うみたい。」
『死ぬ気の炎?』
「詳しくは俺が説明するぞ。死ぬ気の炎は人間の誰もが持っている波動が炎として具現化したモノだ。死ぬ気の炎の大半は自分の波動と一致した属性のリングを填める事で出せるんだ。波動はいわゆるオーラの様なモノだと思えばいい。その波動には決まった属性が有ってな、その属性も人それぞれだ。自分の波動と同じ属性のリングを填める事で死ぬ気の炎が出せる。ただし、波動とリングの属性が一致しただけでは死ぬ気の炎は出せない。死ぬ気の炎を出すに必要なのは覚悟だ。覚悟を炎としてイメージする事で初めて死ぬ気の炎を出せる訳だ。自分の覚悟が炎として具現化したモノだからこそ、自分で出した死ぬ気の炎でダメージを受ける事はまず無い。」
「成る程ね、少し信じがたいけど、今目の前で出されている以上は信じざるを得ないね。」
リボーンの説明を聞いたカルマ君は死ぬ気の炎の存在に戸惑ったが、受け入れる様子なので他の皆もそのつもりの様だ。
「ほう。死ぬ気の炎を知らないというのか。なら、これの事は知る筈も無かろうな。」
グロは懐から四角い箱の様な物を取り出した。あの箱は一体何なんだ?リボーンはあの箱を見た瞬間に表情が少し曇ると、あの箱の事を説明した。
「あれは匣(ボックス)だ。」
『匣?只の箱じゃないのか?』
「あれは決して只の箱じゃねえ。匣は裏社会で作り出された死ぬ気の炎を使用する兵器なんだ。匣兵器は普通の兵器とは違い、死ぬ気の炎毎に違う属性によって様々な特性が付与され、只の銃弾一発ですら強力な一撃になってしまうんだ。しかも、匣兵器は武器だけでは無くて、自然界に生まれるモノをモデルとした兵器も有るんだ。最も有名な自然界をイメージした匣兵器はアニマル型だ。動物をモデルにし、思考を持ち、持ち主の指示を聞いて動く厄介な代物だ。」
「自然界に生まれたモノをモデルにした兵器を作り出すなんて・・・裏社会の人には優秀な学者がいるという訳ですね。」
「ああ、奥田の言う通りだ。匣は裏社会で名が通った三人の学者の手によって完成したんだ。とにかく匣を使えば一人だけの状態でも複数の相手を仕留める事が出来る。それ程に強力な兵器なんだ・・・匣は死ぬ気の炎を注入して初めて開口され、使用が出来る兵器だ。匣もリングから出る死ぬ気の炎と一致した属性じゃないと開口出来ない。だが、開口出来ればその威力は計り知れない。」
匣兵器・・・そんな物が有るとは思いもしなかった。グロは本気で僕らを始末する為に匣兵器を使う気だという事か・・・でも、戦う前にグロをここまで怒らせて最初から全力を出させた元凶ってリボーンだったよな・・・
「説明ご苦労、晴れのアルコバレーノ、リボーンよ。見るがいい、これが私の匣兵器だ!今ここにて我が匣兵器を開口する。出でよ、雨巨大イカ(クラーケン・ディ・ピオッジャ)!」
グロがリングから出る青い死ぬ気の炎を匣に注入すると匣が開き、その中から巨大なイカの化け物がグロと同じ青い炎を身体に纏った状態で姿を現した。と言っても、触手の部分しか見えず、全貌は明らかになった訳ではないが・・・カルマ君達は目の前で起きた事に驚愕していたが、直ぐに気を取り直してリボーンにある事を尋ねた。
「あんな小さな箱から巨大なイカの化け物が姿を現したのは正直信じがたいけど、今目の前で起きた事は現実だし、夢じゃないと嫌でも解るし、今はあの巨大な下手物を退治してあのオッサンをぶっ飛ばす方法を考えないとね。その為にもリボーンに聞きたいんだけどさ、あのオッサンの出した死ぬ気の炎とやらには属性が有るとか言ってたけど説明してくんない?」
「いいだろう。死ぬ気の炎は大空、嵐、雨、霧、雲、雷、晴れの7つの属性が有る。まあ、この7つに属さない例外も有るけどな。」
「その属性の名前のモデルは天気かな?」
「神崎の言う通り、死ぬ気の炎の属性の名前は天気から取っている。グロが出した炎の属性は雨だ。その名前の通り、水に類似した青い炎なのが特徴だな。そんな雨属性の炎の特性は鎮静だ。雨の炎を受けた相手は動きが鈍ると言った方が解りやすいな。あの匣兵器のイカの身体に付いた雨の炎に触れてしまえば、動きが鈍り追撃を回避しにくくなり、追い詰められるだろう。」
グロとスクアーロが出した青い死ぬ気の炎の属性は雨で、その特性は鎮静。雨の炎を受けたら動きが鈍り、相手の攻撃を回避するのが難しくなると考えた方がいいみたいだ。雨の炎を受けて動きが鈍らない様に気を付けたいところだが、あんな巨大なイカの攻撃を回避する事自体が難しい。しかも、ここはボウリング場の中なので地形的が狭く、あんな巨大なイカの攻撃を避けるのが尚更難しくなっている。それを解っていたからこそ、グロはここまで僕らを誘い出した訳か・・・
「死ぬ気の炎にリングと匣の説明はここまでにしておいてもらおうか。そろそろ引導を渡してくれよう。やれ!雨巨大イカ!!」
グロは雨巨大イカに指示を出すと、巨大イカが僕らに向けて5本の触手を動かして凪ぎ払おうとしてくるので、僕らは急いでしゃがみこんで回避した後に、リボーンが各自分断して動く様に言った。
「一ヶ所に集まっていたら、グロの思い通りに纏めて全滅される危険性が有る。各自に分断して匣である雨巨大イカは相手にする必要は無い。匣は例外も有るがほとんどが出した人間が倒れさえすれば自然に機能停止して動かなくなる。だから、グロを何とか倒せば雨巨大イカも同時に機能停止して動かなくなる筈だ。標的はあくまでもグロだけだ!」
『了解!』
「そして分断する前に渚。お前は一度ここで死ね!」
リボーンは小言弾を銃のトリガーにセットすると、僕に向けて小言弾を撃つと僕の額に小言弾が被弾し、僕はその場で倒れた。その行動を見たカルマ君と奥田さんに神崎さんはリボーンの行動に驚き過ぎて口をあんぐりと開けていた中、ソルテに杉野はリボーンを責めた。
「待てよ、リボーン。何で渚に弾を撃ちやがったんだ!!」
「そうだぜ、何で渚を殺しやがったんだよ!!」
「落ち着け単純バカ二人。俺が撃ったのは特殊弾だ。渚を殺してはいない。俺が撃ったのは渚を覚醒させる為の特殊弾だ。」
『渚の覚醒?』
リボーンが撃ったのは僕を覚醒させる為の弾だと聞くと、皆は僕の方を見る。僕はそのタイミングで額に橙色の死ぬ気の炎を灯して立ち上がり、水晶の剣を取り出して、剣に額の炎を付与させた。この状態になった僕を見て杉野達は驚くので、茅野が簡単に説明した。
「渚の頭から炎が出ているけど、あれも死ぬ気の炎ってヤツか?」
「そうだよ。あれこそ、ハイパーな渚。あの状態の渚がラフェイルを倒したの。と言っても、ラフェイルの能力を封じる為に自分で火事を起こして勝利したみたいだから捨て身だった訳だけど・・・」
「へえ、渚君は覚醒すると頭から死ぬ気の炎が出て、性格も普段と違って大胆になるって事かな?まあ、その方が頼れそうでいいんだけどね。」
カルマ君、それは普段の僕は頼り無いって事なのか・・・まあ、そうなのかもしれないな。それよりも、さっさとグロを倒して無事に修学旅行に戻らないといけない。さて、まずは雨巨大イカの触手が厄介だな。リボーンは雨巨大イカの相手はする必要は無いと言ってたが、どのみち雨巨大イカがいる限り、グロへの攻撃は雨巨大イカの触手で防がれる可能性が高い。なら、雨巨大イカの触手を少しずつ確実に別の場所に誘導するまでだ!その為にもまずは杉野にメールで指示を出した。
『杉野頼む、グロに目掛けて石を投げてくれ。杉野の投球フォームなら石でもボール同様に軌道を変化させられる筈だ。グロに当たらなくても構わない。石を投げてグロの注意を引いてくれればいい。危険だが、これはグロを一撃で仕留める為にも必要な事なんだ。』
『了解。少し恐いけど、あの紫河童を倒す為ってなら喜んで引き受けるぜ!』
杉野とメールでやり取りした後、次は奥田さんにメールをして指示を出す。
『奥田さん、確か並盛でスパナさんから音波兵器の作り方を教えてもらったと言ってたよね。もし、その音波兵器が今有るなら、それを使ってグロに放ってほしい。音波を放った後は直ぐにその場から逃げてくれ。雨巨大イカの触手が襲ってくる筈だから。何でこんな危険を承知の上での頼みをしたかの理由は解るよね、奥田さん?』
『ええと、多分ですけど、雨巨大イカの触手を引き付けて彼の防御に回る触手が手薄になる為に必要な事ですよね?解りました、恐いですけど、必死にやってみます。』
奥田さんとメールでやり取りし、最後はカルマ君とソルテの二人に同様の内容のメールを飛ばした。
『カルマ君にソルテ。二人に頼みが有る。二人は積極的にグロを挑発してグロの精神を逆撫でさせて、雨巨大イカの触手を出来れば二本引き付けてほしい。二人の運動能力なら雨巨大イカの攻撃を避けられる筈だ。無茶な頼みで有る事は承知の上だ。グロの防御を手薄にする為にも二人の力を貸してほしい。』
『中々難しい注文してくれるね渚君?でも、渚君が積極的に頼み事をするなんて滅多に無さそうだから引き受けるよ。俺はあのオッサンの悪口なら沢山思い付いているからさ。任せておきなよ!』
『仕方無いな。どのみち、あのイカの化け物を引き付けておかないとあの河童野郎に一撃加えるのも難しそうだしな。解った、あの河童野郎を挑発してイカの化け物の触手を引き付ければいいんだな。任せろ、その代わりに絶対にあの河童野郎の意識を沈めろよ!』
カルマ君とソルテにメールをし、二人もメールの指示通りに動いてくれる様だ。神崎さんと茅野はリボーンが保護しているので、二人は失礼だと思うが戦力外としてカウントさせてもらったので、二人にメールで指示は出さずにリボーンの元を離れない様に伝えた。
「どうしたのだ?恐怖で呂律が回らぬのか?まあ、無理も無いか。この雨巨大イカは貴様らにはスケールがデカ過ぎる様だからな!」
グロは余裕の様子で僕らを挑発するかの様な言動をするが、そんなグロに向かって杉野が石を様々な方向から変則的な軌道を描きながら投げると、杉野が投げた石のいくつかがグロの頭と背中に当たったので、グロはごっ立腹の様で雨巨大イカに杉野を追い掛ける様に指示を出した。
「雨巨大イカよ、私に石を投げたクソガキを触手を二本使って追い掛けろ!一人片付けるのに二本有れば十分な筈だ!」
「作戦通りになったけど、思ったより早く動くからな、このイカの化け物の触手は・・・渚、早くしてくれよ!?」
杉野を追い掛けた触手は二本。雨巨大イカの触手は本物のイカと同じ様に十本だ。だからこれで残りは八本だ。グロは雨巨大イカに杉野を追い掛ける様に指示した後、今度はグロに強力な耳鳴り音が襲ってきた様だ。どうやら、奥田さんは例の音波兵器をグロに向けた使った様だ。味方には影響は出ていないので、音波兵器の中では便利な方かもしれない。
「クソが!?こんな耳障りな音を出している元凶はあそこか!!雨巨大イカよ、あそこを狙え!」
「キャッ!!?危なかったです・・・でも、音波兵器は設置型ですので、何個も他の場所に仕掛けていますよ!」
「クッ・・・なら、その音波兵器を全て壊してやるまでだ!雨巨大イカよ、音波兵器を見つけ次第に破壊しろ!そんな兵器の破壊は触手一本で十分だ!」
奥田さんの設置した音波兵器の破壊に回った触手は一本。これで残りは七本か。グロが音波兵器で苦しんでいると、カルマ君とソルテがグロの前に出るとグロを挑発した。
「オッサン。さっきからさ、その下手物に頼ってばかりだよね?もしかして、実は自分が弱いから匣兵器とやらで自分が弱い事を隠しているだけなんじゃないの?じゃないと、そんな小物みたいな言動にならないだろうしね!」
「何だと!!貴様、それ以上言ったら只じゃ済まさんぞ!!」
「へえ?只じゃ済まないって言うならさ、只じゃ済まない様にしてみなよ!まあ、無理だろうけどね。だってオッサン、雑魚感半端ない顔してるしね!」
「カルマの言う通りだな。確かに雑魚感半端ない顔してるぜ河童野郎!お前はイカの化け物に命令しかしてないし、本当に自分が弱いから匣兵器に頼りきりじゃないか!だから、お前は雑魚感半端ないって言ってんだよ!この紫河童野郎!」
「紫河童野郎だと・・・貴様ら、二人だけは許さぬぞ!!やれ、雨巨大イカ!!あのクソガキ二人を先に片付けるのだ!!」
雨巨大イカはグロの怒りを感じたのか全ての触手を使い、カルマ君とソルテの二人を追い掛けていく。
「ヤバい思った以上に来やがったぞ!!?」
「渚君、俺達が全ての触手を引き付けておくからさ、早くこのオッサンを倒しちゃってよ。」
カルマ君とソルテに雨巨大イカの触手全てが向かうとは思ってもいなかったが、好都合だ。これでグロの防御に回れる触手は無い。今この瞬間だけがグロを倒せる唯一のチャンスだ!僕は集中して水晶の剣に炎を込めていくと、僕の回りを大きな橙色の炎が包み込んでいく。
「何だ、この炎の熱量は・・・」
「これで決める!!グロ・キシニア、お前は雨巨大イカの触手を防御用に一本も残さずにいた事が最大の汚点だ!喰らえ、バーニング・ストライク!」
「ひっ!!?」
僕は水晶の剣に炎を集中させた突きの一撃を繰り出すバーニング・ストライクを繰り出した。その突きはグロを捕らえるかと思ったのだが・・・
「甘い、甘い、考えが浅はか過ぎて甘いぞ貴様ら!こんな易い挑発に乗る様なグロ・キシニアでは無いわ!!そもそも、雨巨大イカより私が弱いと思った事こそ根本的なる間違いなのだ!雨巨大イカの防御が無くとも、自分の身は自分で守れるわ!!」
「うわあぁっ!!?」
グロは僕が放ったバーニング・ストライクを当たる直前に避けると、カウンターとして鞭に雨属性の炎を付与させると僕に思い切り鞭を叩きつけ、僕を吹っ飛ばし、僕は壁に衝突してしまった。
「渚、大丈夫か?」
「大丈夫だよ、杉野。それよりも皆、ごめん。グロは最初からわざと引っ掛かった振りをしていただけで、手のひらで踊らされていたのは僕らだった様だ・・・」
「気にしないでよ、渚君。それほどに頭が切れる相手だと改めて知った事だし、次こそはあのオッサンに悟られない様にすればいいよ。」
「ほう。まだそんな事を言える余裕が有るのか?この私が無視されていると思いこんでいると思わせ、その上でわざと貴様らの策に嵌まってやった事にも気付かずにいた小僧共がこの私を嵌めるだと?無理な事だ。過去の過ち、いや正しくは未来での過ちを二度も繰り返す様なグロ・キシニアでは無いわ!!さあ、今度は雨巨大イカだけでは無くて私自身も動く事にしよう。貴様らはここでくたばる運命なのだ!!潮田渚、貴様の必殺技も見せて貰ったお陰で最早、私が恐れるモノは何も無いわ!!貴様の必殺技は既に見切ったぞ。金輪際、必殺技を使っても私に当てる事は無理だと思え!」
グロ・キシニアを罠に嵌めたと思っていたが、逆に罠に嵌められていたのは僕らだった。僕らはグロ・キシニアのスペックを侮っていたせいで僕が持つ最大の技であるバーニング・ストライクが見切られてしまった以上、決め手になる技が今の僕には無い・・・僕らは本当にこの男、グロ・キシニアに勝てるのだろうか・・・
今回登場した敵はリボーン原作の未来編の初期に登場した雨の6弔花だった男、グロ・キシニアでした。グロが何故、ヴィスタファミリーにいるかと言うと、ミルフィオーレのボスである白蘭が改心した事も有りますが、過去にはミルフィオーレの基となったジェッソファミリーが無いのも理由の一つなので、無所属であった彼がヴィスタファミリーにスカウトされて入ったからです。
前半はシリアスな展開なのにギャグ多めでしたが、後半からは本格的な戦闘となりました。
グロは戦いの中で匣兵器を使い、雨巨大イカを呼び出しました。雨梟?骸とクロームに奪われた時点でグロは自分の使う匣の候補からは切り離した様です。
連携プレーでグロを追い詰めたと思われましたが、実際はグロがわざと策に嵌まった振りをしていただけで、追い詰められたのは逆に渚達でした。
次回は渚達とグロ・キシニアとの戦いの続きとなります。