暗殺教室 ~バーニング・デイズ~   作:ロナード

19 / 19
今回はロブロが登場します。


標的19 殺し屋屋ロブロ来る!

6月になり、梅雨入り前になった。そんな時期になり、今は英語の授業を行っているところだ。ビッチ先生が単語を聞き取り、単語の使い方を学ばせる為に海外ドラマのビデオを授業で見せたが、ドラマの内容は少しアダルトっぽいので中学生の授業で使っていいモノなのかどうかは微妙だが、単語の使い方を習う内容としては良いセレクトだったので、今のところは問題は無いので良しとする。ビッチ先生は日本人は英語を発音する時にLとRの発音がゴチャゴチャで区別がついていないと話した。ビッチ先生としてはLとRの区別がついていない発音でも通じはするが、聞いて違和感が有るとの事で、韓流スターが『いつまでも』を『いちゅまでも』と日本語の発音を間違えたのを聞くと日本人には違和感を感じるのと同じ事だと説明した。

 

ビッチ先生はLとRの発音の区別がつく様に頑張る様に皆に伝えた。言語同士で相性が悪いのは有り、日本人の英語のLとRがその相性が悪い言語の組み合わせなのだが、それでも逃げずに克服してちゃんとした発音で言える様に頑張る様に伝えた。ビッチ先生はこれから先、僕らがちゃんとした発音が出来ているかどうか確認し、もしLとRの発音の区別が出来ていなければ公開ディープキスの刑にすると言うが、正解した場合でもディープキスされた生徒がいるので、罰になっているのかどうか解らないし、ビッチ先生が単に痴女なだけではないかと思える・・・まあ、ビッチ先生のディープキスの事はともかく、授業内容は解りやすいし、潜入暗殺を専門にしていた為に話術も上手く、その間に挟む経験談も有り、聞いていて飽きない授業内容なので生徒である僕らに受けは良いので、ビッチ先生の授業は人気だ。全ての授業が終わった後はビッチ先生の授業についての感想を杉野達と話ながら、下校した。

 

 

 

ビッチ先生こと、イリーナは授業が終わり、生徒達が全員下校した後に職員室に入ると、自分の席に座り、疲れたとぼやいた。

 

「あーあ、疲れた!面倒くさいわ、授業なんて!?」

 

「そんな事は言うな。お前がそう言ってる割にはお前は楽しそうに授業を教えていたじゃねえか。」

 

「リボーンの言う通りだ、イリーナ。お前が面倒くさいと言う割には生徒達からの受けが良い様だぞ。」

 

「そんな事を言われたって、私は殺し屋よ!授業が人気でも何の自慢になりもしないわ!それに暗殺対象である肝心のタコは、私の胸を景色に見立ててムカつく程に優雅にお茶を飲んでいやがるし、それにムカついての攻撃も全て避けられるわで、もっとイライラするわ!!」

 

「焦るな、ビッチ。そのタコの隙を伺って暗殺出来る様に先生になったんだろうがお前は!」

 

「ビッチ、ビッチ言うな!せめて先生付けて呼んでよ!」

 

「イヤだ。」

 

「三文字で断るな!もうやってられないわ!」

 

イリーナは気が立っており、気分を落ち着かせる為か職員室を出ていた。

 

「にゅや?随分と気が立っていますね。」

 

「そうだな、殺せんせー。どうしたんだ、あのビッチは?あんなにイライラして?」

 

「原因は確実にお前ら二人だ・・・」

 

「ディーノ先生の言う通りだな。イリーナがあそこまで気が立っているのは貴様ら二人が原因だ。」

 

烏間とディーノはイリーナをイラつかせた原因は殺せんせーとリボーンだと二人に告げた。尚、二人はそれを聞いたところで何の反応も無く、殺せんせーはお茶を飲み、リボーンはコーヒーを飲むのでシカトを貫き通すつもりの様だ。

 

 

イリーナは生徒達がいない教室でどうすれば、殺せんせーを暗殺出来るかどうか作戦を考えたが、良い策が思い付かず、途方に暮れていた時だった。イリーナの首にワイヤーが巻かれると、イリーナはそのままワイヤーによって宙に吊り上げられた。

 

「まさか、教師をやって未だにここに見苦しく居座っているとはな。」

 

イリーナはその声の主に心当たりが有った。だが、その前にこのワイヤーから脱出しないと危ないのでワイヤーを外そうとしていると、イリーナを吊り上げたワイヤーに向けて一発の銃声が響いた。イリーナを吊り上げたワイヤーが切れるとイリーナは床に着地し、首に絡まったワイヤーを外した。ワイヤーを撃ってイリーナを解放したのはリボーンだった。

 

「ちゃおっス。久しぶりだな、ロブロ。顔を見る限り、随分と老けたもんだな。随分と手荒な挨拶をビッチにするもんだな。」

 

「久しぶりだな、リボーン。お前は呪いが解けたと聞いたが、どうやらあの時の姿に戻るまでには時間が経ちそうだな。それまでに私が生きているといいのだがな。それより手荒な挨拶だと思うが、これは私がイリーナにワイヤーへの防御術を教えているから平気だと判断した上での行いだ。この程度でくたばる様な指導だけはしてないからな。」

 

イリーナをワイヤーで吊り上げた人物はロブロ。イリーナの殺し屋としての師であると同時にこの教室に送り込む様に推薦したのも彼である。ロブロとリボーンは旧知の仲の様で、互いに顔を合わせたのも本当に久しぶりの事らしい。

 

「それでロブロ。殺し屋を引退して今では依頼の環境に適した殺し屋を派遣する殺し屋屋と呼ばれるお前が直接こんな所に出向いてきたって事は、何か大事な用でも有るんだろ?まあ、大体は見当はついているが。」

 

「言うまでも無い筈だ、リボーン。イリーナを連れ戻しに来たのだ。イリーナは私がこの教室に派遣したが、派遣した時と現在の状況では違いが出過ぎている。イリーナは潜入しての暗殺を得意とするが、それは暗殺対象に気に入られる様に話術や女暗殺者ならではの色気といったモノでのハニートラップに寄って暗殺対象の心を掴んで、暗殺対象が完全に警戒を解き油断をしたところで暗殺するスタイルだ。」

 

「つまり、お前が言いたいのは既に正体がバレて暗殺者として認識されてしまっている以上、暗殺するのは不可能だと言いたい訳か?」

 

「その通りだ、リボーン。イリーナは既に暗殺対象である怪物に正体が知られている以上、ここにいても奴の暗殺など出来る筈が無い。だと言うのに、イリーナは今でも往生際悪くこの教室に残り、教師ごっこまでしている。イリーナよ、話を聞いていただろ。さっさと、ここを離れて別の依頼に行く様にしろ。最早、この教室でお前が出来る事は何一つ無い。」

 

「そんな事無いわ!ここに残っている事であのタコの行動パターンは大体解ってきたし、暗殺出来る可能性だって高くはなって・・・」

 

「高くなってなどいない!言った筈だ。お前はハニートラップを仕掛けた暗殺なら暗殺の成功率は高い。だが、暗殺対象に既に暗殺者として認識され、ハニートラップも効かない以上、お前が残ったところで何も出来ん!この依頼はお前と相性が悪かったのだ。暗殺者として自分が得意とする暗殺の策が有効かどうかは依頼の環境や暗殺対象の性格や能力で相性が決定する。お前は相性が悪い依頼を受けて失敗した。それだけだ!」

 

「だけど、師匠。私はまだ諦めていないわ!」

 

「バカめが!!諦めが悪い事は時と場合によっては長所だったり、短所だったりするのだが、今回は短所として動いている。お前と暗殺対象の相性は悪い上に暗殺対象は最速マッハ20で動ける身だ。お前は身体能力はそこそこ高いが、暗殺対象と真っ正面からやり合う事になれば、戦闘技術が無いお前では絶対に殺せん。例え、暗殺対象が完全に油断していたとしても、お前が暗殺しようとして動いた時点で全ての攻撃が避けられるだけだ。お前は授業でLとRの発音について相性の悪さを伝えていた様に、この教室がお前にとってのLとRなのだよ。」

 

「だけど私の力なら・・・」

 

ロブロはイリーナが言っても解らないと思ったのか、イリーナの後ろに素早く回りイリーナの首の喉仏を右手の親指で押し出し黙らせる。

 

「がっ・・・」

 

「イリーナよ。お前にこの動きは出来るか?出来たとしても、お前に適した依頼は沢山有る。この依頼に関してはお前より適任な暗殺者に任せて、お前は退け。これ以上この仕事に執着するのは金と時間の無駄に過ぎん。それにだ、自律思考固定砲台の他にいる、もう一人の転校生暗殺者についてだが、最終調整は終わった様でもうすぐこの教室に派遣される様だ。解っただろ、イリーナ。これ以上、ここに残ってもお前に出来る事は何も無い。もう一度言うがお前にとってのLとRはこの教室の事なのだ!」

 

ロブロはイリーナにそう告げた時だった。殺せんせーがロブロとイリーナの二人の額に触手を当てながら弁解の意見を出した。

 

「ヌルフフフ。今の意見は半分正解ですが、半分は違いますねぇ。でしょ、リボーン?」

 

「まあ、そうだな。ロブロの言ってる事は半分は当てはいるが、半分は間違えてるからな。」

 

「ほう。それはどういう意味か説明してもらおうか?」

 

「確かに彼女は暗殺者としては恐れるに値しません。」

 

「まあ、俺から見れば三段階格下のビッチだしな!」

 

「誰が三段階格下だ!!」

 

「ですが彼女ほどこの教室に適任した暗殺者はいないと私は思っています。」

 

「暗殺対象よ。そこまで言うというならば、何か根拠でも有るのだな?」

 

「勿論です。それは殺し比べてみれば解りますよ。あなたと彼女のどちらがこの教室では優れた暗殺者なのかをね。ですが、私を暗殺しようとしても無理な事ですので、暗殺対象は私が決めた者とします。よろしいですね?」

 

「よかろう。それで誰が暗殺対象となるのだ?まさか、リボーンとは言わないだろうな?」

 

「無論、リボーンでは有りません。むしろ、彼の暗殺は私の次に難しいので無理ですしね。」

 

「何か例えがムカつくがそういう事だ。このタコが決めた暗殺対象となる者がそろそろこの教室に来る。」

 

リボーンがそう言って数分後、烏間が教室に入ってくると、ロブロを見て何者か問い質したのでリボーンが説明し、殺せんせーから先程までの話を聞かされた後、少し溜め息を吐いた後に自分がどんな現状に置かれたのか理解した。

 

「要するに俺がイリーナとロブロから狙われる暗殺対象になれって事か?」

 

「そういう事です、烏間先生。あなたにはイリーナ先生の残留を掛けた暗殺対決の暗殺対決になってほしいのです。ほら、私にリボーンだと暗殺しようにも不可能ですしね!」

 

「だからと言って、俺に犠牲になれとでも言う気か?」

 

「いえいえ、暗殺と言ってもあなたに使われるのは対先生用のナイフだけですので、人体には無害ですし、間違ってもあなたが死ぬ事は有りません。暗殺の期間は明日1日。暗殺の開始もその時です。それとイリーナ先生とロブロさんは互いの暗殺の邪魔は禁止、更に生徒の授業の邪魔をした時点で強制的に失格です。」

 

「成る程、つまりは模擬暗殺と言ったところか。面白い、イリーナに聞いて解らせるより解りやすいし、余興としては十分だ!」

 

ロブロは対殺せんせー用のナイフを受け取ると不適な笑みを浮かべた。烏間は勝手に模擬暗殺の暗殺対象にされた事にイラついたのか教室を出て行ってしまった。

 

「ヤりたければ勝手にしろ!!」

 

「なかなか出来るな、あの男。」

 

「さすがに解るか、ロブロ。当たり前だ、烏間は一応は短い期間と言えど、俺が鍛えた奴だしな。実力はかなりのモノだ。」

 

「ええ。リボーンが言う様に烏間先生の実力は私の監視役に配属される程ですので、ナメて掛かると危険ですよ。」

 

「そうか。なら、尚更アイツに刃を当てるのはお前には不可能だぞ、イリーナ。お前に暗殺の全てを教えた私だ。お前に可能な事と不可能な事は私が全て知っている。この模擬暗殺が終わった頃には、お前もさすがに理解する筈だ。この依頼に執着しても何も出来んとな!殺せんせーよ、この模擬暗殺が終わり、イリーナを連れ戻した後に、再びこの教室に適した暗殺者を送る事にしよう。リボーンよ、お前ならその気になれば、殺せんせーを殺れてもおかしくない筈だ。なのに何故、本気を出さんのだ?」

 

「さあな。俺には俺の考えが有るしな。それに俺は殺し屋で有ると同時に教師でも有るからな。」

 

「そうか。何を考えているかは知らぬが、敢えて殺せんせーを本気で殺ろうとはしていない事だけは解った。」

 

ロブロは話を終えたのか、この教室から立ち去っていた。イリーナは殺せんせーとリボーンに庇われたと思ったのか、自分の思っていた事を二人に向けて発した。

 

「私を庇ったつもりかどうかは知らないけどさ、どうせ暗殺対象であるアンタからすれば、私なんてあしらい易い暗殺者だから、ロブロ師匠が新たに呼ぶ暗殺者が手強いと思うから私に残ってもらった方が都合がいいんでしょ!それにリボーンも私を庇うなんて、いきなりどうしたの?今まで私をビッチと呼び捨てにしたり、先程は三段階格下だとか言ってた癖に今の様に庇われると逆にキモいわ!全く、どいつもコイツも私をナメくさりおって!!烏間もソコのタコも私がロブロ師匠より先に殺してやるわ!!」

 

イリーナがそう発言した後、イリーナはこの教室から出ていった。イリーナが出ていった後にディーノが教室に入ってくると、殺せんせーとリボーンに何が会ったのか聞くと、殺せんせーとリボーンはディーノに事の始終全てを教えた。

 

「要するにイリーナ先生がこの教室に残るには、イリーナ先生の暗殺者としての師であるロブロと模擬暗殺で対決して、先に烏間先生にこのゴムナイフを当てる必要が有るって訳か。ロブロは引退したとは言えど、元はプロの殺し屋だし、リボーンが一番知っているんだろ、ロブロの全盛期の実力をな。」

 

「ああ、勿論だ。ロブロが若い時は磨き抜かれた暗殺技術で臨機応変に適した暗殺技術で対象の暗殺を成功させてきた手練れだ。まあ、それでも俺には敵わないけどな。」

 

「本当にリボーンは実年齢いくつ何だか気になるぜ・・・」

 

ディーノがリボーンの年齢は本当にいくつなのか気になると、教室に残っていたと言うよりは自立思考固定砲台なので動けないので教室にいた律がリボーンの実年齢を計算して出そうとした。

 

「ディーノ先生の疑問に答えると、ロブロさんの今の年齢とリボーンが若い頃のロブロさんを知っている事を比較して計算すると、リボーンの実年齢は・・・」

 

「律。答えたら、スクラップだからな!」

 

「ごめんなさい・・・ディーノ先生、この疑問についての答えは無かった事にして下さい・・・」

 

「いや、俺は聞いちゃいないんだけどな・・・とりあえずはリボーンの実年齢について追求するのは止めとくべきだと思ったぜ・・・」

 

(にゅやあぁっ・・・私の実年齢も調べられたらどうなるんでしょか・・・)

 

結局はリボーンの実年齢は解らなかった。律は大体の年齢は分析出来たが、言ったらスクラップにされかねないので言えない。殺せんせーは自分の実年齢が調べられたら、本当に特定されるのではないかと期待と不安が混ざったという。

 

 

 

次の日、烏間を暗殺対象とした模擬暗殺が開始される事となった。

 

 

 

 

「と言う事で迷惑極まりない話だが、イリーナの残留を賭けてイリーナとその師であるロブロが俺を暗殺対象に見立てた模擬暗殺で勝負を行う事になった。君達の授業に影響は与えないから普段通りに過ごしてくれ。」

 

烏間先生は本当に苦労人だな。体育の授業で模擬暗殺が行われる事を聞かされた後、体育の授業が終わるとサンドイッチと水筒を持ったビッチ先生が烏間先生に近付いてきた。どうも、その手にするサンドイッチと水筒を烏間先生に渡そうとしている様だが・・・

 

「烏間先生、お疲れ様!喉渇いたでしょ?それと小腹も空いたと思ってサンドイッチも用意したの。はい、冷たい飲み物に手作りのサンドイッチ。」

 

バレバレだ・・・どう考えても不自然だ。烏間先生にいつも飲み物や食べ物を持ってくるというなら話は別だったかもしれないが、いつもはそんな事をしないのに急に渡されそうになっても受け取る筈も無く、烏間先生は溜め息混じりでビッチ先生に言った。

 

「はあっ。サンドイッチにはパンか具のどちらかあるいは両方に痺れ薬でも塗ってあって、飲み物にはおそらくだが筋弛緩剤が混ぜられているんだろう。それで俺が動けなくなったところでナイフを当てるつもりだったのだろうが、まずそんな事をされても俺は受け取らない。そもそも野生の獣ですら引っ掛からないし、飼い猫も餌が安物のカリカリから急に高級なウェットフードにされても口にはしない筈だ。それほど簡単に何か有るとしか思えない程に露骨な策で、正直言ってガッカリだぞイリーナ・・・」

 

「何の事かさっぱり解らないわ・・・ほら、ここに置いとくからさ、後で食べるか飲むかしなさいよね。」

 

ビッチ先生はそう言って、サンドイッチと水筒を地面に置こうとしたら何故かその場で転んでしまい、足を軽めだと思うが挫いた様で大声を挙げながら泣き叫ぶかの様に烏間先生に自分をおぶる様に言った。

 

「いったーーーーい!!?おぶって運んでよ烏間!!おんぶしてよ烏間!!」

 

「やってられん・・・好きなだけソコで騒いでろ!!」

 

ビッチ先生が泣きじゃくって烏間先生におぶる様に言ったが、烏間先生は無視する事にしたのかビッチ先生を放って職員室に戻っていた。

 

 

 

イリーナはその後、烏間では無く生徒達に抱え上げられる形で立つ事になった。

 

「ビッチ先生、さすがに今のじゃ俺達も引っ掛からないよ・・・」

 

「仕方無いでしょ!!顔見知りに色仕掛けなんてやったらどうしても不自然な出来になるわ!!キャバクラで働いていたら父親が客として来たらぎこちなくなるでしょ!それと同じよ!!」

 

『例えが解りにくいわ!!』

 

イリーナの例えが解りにくいと指摘されたが、イリーナはそんな事よりも今は師匠であるロブロより先に烏間にナイフを当てないとと焦っていた。イリーナの師匠であるロブロは元は凄腕の殺し屋。ロブロが本気を出せば、暗殺対象を一気に仕留めるのも簡単な話なのだ。それ故にイリーナは焦っていたのだ。

 

一方で烏間は職員室に戻った後、殺せんせーとリボーンと話をしていた。

 

「どうですか烏間先生?たまには暗殺される側もスリルが有って面白いでしょ?」

 

「バカな事を言うな!!そもそも俺が二人の暗殺から逃れた場合、どうする気だ?さすがに見返りが無いと俺はさっさと二人のどちらかのナイフにわざと当たってこの模擬暗殺を終わらせるからな。」

 

「じゃあ、こうするか。もし烏間、お前がビッチとロブロの暗殺から逃れた場合、このタコは一分間動かない。つまり、一分間動かない間にこのタコを殺せるチャンスを貰えるってのはどうだ?」

 

「にゅやああっ!!?だ、ダメです・・・それはさすがにNOです!?一分間はさすがに無理ですが、一秒ならあなたの前で止まって上げても構いませんよ。その一秒間は本当に動かないので暗殺し放題ですよ。ただし、この事は二人には秘密です。これを理由に手を抜かれては台無しですからね。」

 

「何か丸く納められている感じがしかねないが、いいだろう。その約束を守れよ暗殺対象。一秒も有れば、俺はお前にナイフ5回刺す事が可能だからな!」

 

「って事だ。約束守れよ、殺せんせー!」

 

「あれ?もしかして本当に丸く納められたのは私なのでは・・・」

 

殺せんせーは自分がとんでもない約束をしてしまったと思い、イリーナかロブロのどちらでもいいから烏間の模擬暗殺を成功してほしいと思ったという。殺せんせーは念のためにと、もしもの場合を想定しての準備をしに何処かに行った後、ロブロは職員室で作業中の烏間を狙って動き出した。ロブロは烏間の様な警戒心が高い相手には二重三重の小細工はむしろ不要で、こういう相手には真っ正面から磨き抜かれた技の精度とスピードで仕留める方が効率的だからだ。この方法で動いた理由はもう一つ有り、それはイリーナの暗殺に欠ける部分でも有ったからだ。

 

ロブロは職員室に入ると、烏間に向かっていき真っ正面から暗殺を仕掛けようとすると、烏間は真っ正面から来るとは予想外だったのか、少し驚きつつも急いで椅子を引いてロブロの攻撃を避けようとしたが、ロブロは事前に椅子が引きにくい様に床板に細工しており、ほんの一瞬だが反応が遅れた烏間を仕留めようとしてナイフを彼に当てようとした。しかし、烏間はロブロの攻撃を避けられないなら、受け止めるべきだと判断し、ロブロの腕を掴み、ロブロの腕を机に叩きつけた後にだめ押しでロブロの顔に蹴りをすん止めで止めた。

 

「熟練とは言えど、年老いて殺し屋を引退した者が先日まで精鋭部隊にいた人間を相手に模擬と言えど、暗殺出来ると思ったものだな。」

 

「成る程、さすがはリボーンが鍛えたと言ってただけは有る・・・強いな、烏間先生。」

 

ロブロは烏間の強さを肌身で知ると、この男を侮っていた自分が情けなく思った。イリーナはその暗殺の始終を見ていたので、イリーナは師匠であるロブロですら暗殺出来ない烏間を本当に自分が暗殺出来るのか不安になった。烏間はロブロが持っていた対殺せんせー用のナイフを取ると、イリーナの横にいる殺せんせーに向けると声を発した。

 

「解ってると思うが、もしも今日殺れずに終われば・・・」

 

烏間の迫力にビビってしまったのか、イリーナは自分に向けられた言葉だと思った様で殺せんせーと声がかぶった。

 

『ひぃぃぃっっ!!?』

 

「って、何でアンタもビビっているのよ!!」

 

「イリーナ先生・・・絶対に烏間先生にナイフを当てて下さい!」

 

烏間が職員室を出た後、イリーナは殺せんせーが何故か冷や汗かいてる事に気付いたが、理由が解らないので聞かない事にしたが、ロブロは先程の烏間の反撃で利き腕をヤられてしまったのか、手を庇っている。

 

「ロブロ。お前本当に老けたな。昔のお前はそんなミスをしなかったってのにな。」

 

「全く持ってその通りだな。リボーンの言う様に私は相手の戦力を見謝ってしまった上にこの体たらくとはな・・・本当に歳は取りたくないものだな。この手のダメージを見るからに今日中で彼の暗殺は不可能だな。」

 

「にゅや!!?諦めないでロブロさん!あなたはまだ若いです(多分)。まだチャンスは有る筈です!」

 

「アンタ、私に残ってほしいのか残ってほしくないのかどっちなのよ・・・」

 

イリーナは殺せんせーが何故か焦っている事は解るが理由は知らないので、問い質そうとはしない。むしろ、自分に残ってほしいのかほしくないのかが解らないと思いつつ有る。

 

「どうやらこの勝負は引き分けの様だな。イリーナ、経験を積めば自然に解る様になると思うが、時には相手との戦力差を見極めて素直に諦めて引くのも一流の暗殺者の条件だ。最強の名を誇るボンゴレの独立暗殺部隊ヴァリアーですら、成功率が九割以上でないと暗殺依頼は引き受けない。イリーナにしても同じ事だ。殺る前に解る、お前ではあの男は殺せん。」

 

イリーナはロブロの言葉を聞いて諦めかけたが、殺せんせーとリボーンはそれに待ったを掛けた。

 

「ロブロさん、あなたが諦めたのは解りました。ですが、あれこれ予測する前にイリーナ先生を最後まで見てあげなさい。」

 

「このタコの言う通りだぞ、ロブロ。確かにお前の言う通り、相手と自分の戦力差を見極めるのも大切だが、戦力差が著しい時でも諦めずにいれば何が起こるか解らないぞ。どのみちだ、経験が有ろうが無かろうが、烏間にナイフを当てた奴がこの模擬暗殺の勝者であり、優れた暗殺者である事の証明になるんだからな。」

 

「そこまで言うなら好きにするがいい。ただし、本当に今日中にあの男にナイフを当てられずに終わった時点で引き摺ってでもイリーナはこの依頼から外させるからな!」

 

ロブロはそう言った後に職員室を出ていった。イリーナは殺せんせーとリボーンに何故、そこまで根拠が有るのか聞いた。

 

「アンタ達二人は本当に私が烏間にナイフを当てられると思っている訳?」

 

「勿論です。あなたが師匠の下で何を教わったまでは知りませんが・・・」

 

「E組の教師となったお前が何を頑張ったかどうかは知ってるぞ。お前の力を見せてやれ!お前の師匠であるロブロに、烏間に、そして生徒達にな!それが出来れば三段階格下のビッチから二段階格下のビッチ先生に格上げしてやる!」

 

「ナメくさりおって、リボーン・・・いいじゃない、やってやろうじゃないの!」

 

イリーナは二人の言葉で決意をしたのか、ナイフを手にして外に向かっていた。外に出ると、校庭の木の下でジャンクフードを食べる烏間に近付いていった。

 

「ちょっといいかしら、烏間。」

 

「何だ?これ以上は模擬暗殺と言えど、手は抜かんし、女だからって手加減はしないぞ。」

 

イリーナはナイフを烏間に突き付けているので、それを見たロブロは呆れた様子になりながら隣にいる殺せんせーとリボーンに話した。

 

「イリーナが真っ正面からいったとしても、アイツに高度な戦闘技術は教えていない。訓練された動きはむしろ暗殺対象を警戒させてしまう。女である身を使った暗殺スタイルには無用の長物だ。素人ならともかく、あの男はリボーンが鍛えた者。正面からぶつかっても勝算など無いとアイツ自身も承知の筈だ。つまりは色仕掛けに頼らざるを得ない。」

 

ロブロが言う様にイリーナは烏間を色仕掛けで誘惑するが、烏間は微動だにしない。それどころか烏間は内心、彼女は所詮はここまでかと呆れていたので、さっさとナイフを取って終わらせる事にした。

 

「いいだろう。殺ればいい。好きにすればいい。」

 

烏間はそうイリーナに告げた後、イリーナは烏間の後ろに移動し、木の影に隠れた。ロブロは烏間がイリーナの色仕掛けに掛かった振りをしている事に気付いているが、イリーナは烏間が色仕掛けに掛かったと思い込んでいるので溜め池を吐いて呆れた様子だったが、殺せんせーとリボーンはロブロにいイリーナの真の狙いを伝えた。

 

「ロブロさん、イリーナ先生の授業は聞いていましたね。」

 

「苦手な発音から克服するのがアイツなりの流儀だ。実際にアイツの日本語も驚く程に流暢だ。外国語を覚えるのは挑戦と克服の繰り返しだ。十ヶ国の言葉を克服したアイツは未経験だった教師の仕事も最初こそは反発して嫌がっていたが、臆せず挑んでは克服して今では生徒達に評判の良い授業が出来る様になったしな。」

 

「リボーンが言う様に彼女は挑戦と克服のエキスパートです。この教室に来てから彼女が何もしていないと思っていたのですか?」

 

殺せんせーはイリーナの手荷物が入ったカバンの中身をロブロに見せると、ロブロはカバンの中身を見て驚いた。カバンの中に入っていたのは薄汚れたレインコートにワイヤーで埋め尽くされていたからだ。とても色仕掛けに頼る様な暗殺者が持つ物には見えなかった。ロブロはイリーナと烏間がいる木の方を向くと、イリーナが烏間に向けて声を発した。

 

「今からソッチに行くわね。」

 

イリーナが声を発した後、烏間の足にイリーナが脱ぎ捨てたシャツがワイヤーで括り付けられており、イリーナはワイヤーを引っ張って烏間を転倒させた後に烏間に馬乗りして烏間の上を取ったのだ。ロブロはイリーナが服と木を巧みに使って色仕掛けでカモフラージュをしたワイヤートラップを見て、自分が知らない間に教えた事も無い技術を使った事に驚きを隠せずにいた。

 

「彼女は私を殺すのに必要な技術を自分で考えては外国語と同じように挑戦と克服をして完全にモノにしてるのです。」

 

「ロブロ、お前ならこのカバンの中身を見て、お前の教え子がどれだけ見えない努力をしてたか見える筈だ。」

 

ロブロは二人の言葉を聞くと、静かに頷きながらも、イリーナの方を見てイリーナの成長を確認しようとした。イリーナは烏間に馬乗りした状態で烏間にナイフを当てようとして、ナイフを降り下ろしたが烏間は両腕を動かしてイリーナが降り下ろしたナイフを受け止めた。

 

「危なかった・・・もう少しで当たるところだった・・・」

 

イリーナは受け止められてしまったので、自分が苦手とする力勝負になってしまい打つ手が無いので困惑したが、ダメ元で何とか当たる様に烏間に催促した。

 

「ねえ、烏間。私ここに残りたいの。だから、殺りたいの。ダメ?」

 

「アホか!殺させろとすがり付く暗殺者など聞いた事が無いぞ!!諦めがここまで悪いと本当に往生際が悪いな!!はあっ・・・もういい。諦めが悪い奴とまともに付き合っていたら疲れるだけだ。」

 

烏間がごもっともな事を言うと、イリーナは黙ったが、烏間は溜め息を吐いては力を抜くと、イリーナの腕は下がっていきナイフが烏間に当たり、ゴムなので変に曲がったが当たったのに変わりはないので模擬暗殺はイリーナが勝者となった。

 

「これでお前の残留は決まった。さっさとお前の師匠に顔を合わせて残留すると告げてこい!(どうせ、口約束だ。奴が本当に一秒と言えど、動かない時間を寄越してまで暗殺させてくれる筈が無いしな。)」

 

烏間の言葉を聞いてイリーナは本当に自分が烏間にナイフを当てられた事に確信を持った後に立ち上がると、E組の生徒達とディーノとその部下達が彼女に称賛を送った。

 

『凄かったぜ、ビッチ先生!思わず見っいてしまったよ!』

 

「良かったな、イリーナ先生。これで残留決定だな!」

 

『ですなボス。良かったな、イリーナさん。』

 

皆がイリーナに称賛を送る中で殺せんせーとリボーンはロブロに告げていた。

 

「苦手なモノだろうと一途に挑んでは克服していくアイツの姿を見れば生徒達は挑戦する事を学び、一人一人の暗殺者としてのレベルの向上に繋がるし、何よりもアイツ自身が生徒達と一緒に成長していくんだ。」

 

「リボーンが言う事を含めて私を殺すならば彼女はこの教室に必要なのですよ。」

 

ロブロは二人の言葉を聞いた後、イリーナに近付き残留する事を認める事を告げた。

 

「相変わらず出来の悪い弟子だ。だからこそ、この教室に残って先生でもやっていた方がまだマシだろう。だから必ず殺れよイリーナ。」

 

「えっ!?は、はい師匠!!やったわオホホ!!」

 

「相変わらず卑猥で高慢だな、さすがは二段階格下のビッチ先生だな。」

 

「本当にリボーン、アンタにとっての私の順位が昇格したのならいいんだけど、卑猥で高慢で悪かったわね!!」

 

「だが性格は真っ直ぐだ。真っ直ぐ進んで挫折をしても挫けない真っ直ぐさがお前の良い部分だ。」

 

「それって褒めてんの?貶してんの?」

 

「褒めてんだ。だから有り難く思えよビッチ先生。」

 

「じゃあ、聞くけど、二段階格下ってなら、何かムカつくけど一段階格下に昇格した場合は何って呼んでくれるのかしら?もしかして、イリーナ先生とか?」

 

「いや、一段階格下になったらの話だが、その場合はイェラビッチ先生と呼びます。」

 

「余り変わってないじゃないの!?」

 

「全く、相変わらずよく喋るバカ弟子だな・・・」

 

ロブロはイリーナがリボーンの目で付ける順位についての口論をしてるのを見て少し呆れながらも、イリーナを信じてこの教室に残留する事を認めた後に去っていた。

 

 

 

「にゅやあ。良かったですね。これでイリーナ先生はこの教室に残れますね。」

 

「そうだな。ところで暗殺対象、この甲冑は何だ?」

 

殺せんせーはイリーナが残留する事が決まったのと一秒動かない時間を与えずにホッとしていたが、烏間に甲冑の事について聞かれたので恐る恐る答えた。

 

「ええと、万が一の一秒間に備えて用意したのです・・・」

 

「そうか。本当に約束は守る気だった様だな・・・それさえ知っていれば、今日1日はあの茶番に付き合ったモノを・・・」

 

烏間は本当に約束を守る気だったと知ると、内心後悔したというのは秘密の話であった・・・




今回はロブロが登場しました。ロブロは原作通りにイリーナを連れ戻しに来ては、イリーナの残留を掛けて模擬暗殺を行いました。結果はイリーナの勝利となり、残留が決定しました。

リボーンの実年齢?正直言って不明です・・・律は計算でリボーンの実年齢を答えそうでしたが、リボーンに脅されたので答えませんでした。機械である律ですら畏怖するオーラを持つのがリボーンです。

ロブロとリボーンは旧知の仲で、リボーンが呪われる前からの知り合いです。ロブロは本来の姿のリボーンを知る数少ない人物です。リボーンは全盛期のロブロの実力を目にしており、その実力はかなりのモノだったとの事。

今回でイリーナのリボーンの格付けの順位が三段階格下のビッチから二段階格下のビッチ先生に昇格?しました。これって扱いが変わったのかって感じですが、多分リボーンからの扱いも少しは良くなる筈です。


次回はオリジナルとさせていただきます。今回は敢えて次回のタイトルを発表しておきます。次回は『流派の時間』です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。