暗殺教室 ~バーニング・デイズ~   作:ロナード

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今回は前回の最後に登場したアメルダとの対決となります。果たして、渚達は勝てるのだろうか・・・


標的6 激闘の時間

僕らは茅野を助ける為にも一刻も早く先に進まないといけない。ラフェイルの部下であるアメルダとの戦いを何とか少しでも早く終わらせないといけない。僕らは各自武器を手にして戦闘の体制に入った。

 

「素人の一般人のガキ共に武器を持たせるなんてね。持たせたところで一般人のガキが武器を使う事に戸惑うのは明白!さあ、いたぶってやるわ!」

 

このアメルダという女はどうも最初の頃のビッチ先生よりも僕らを見下している様だ。確かに僕らは武器を使う事に戸惑いは有る。でも、僕らは相手を殺す必要は無い。只、気絶させればいい。速水さんと千葉君の二人が同時に動きアメルダに向けて拳銃から弾を発射した。二人の射撃はリボーンも認める程の達人レベルだ。この二人が手にする拳銃から発砲された麻酔弾がアメルダの右肩に当たり、アメルダは二人の射撃の精度に驚いたのか驚愕した表情を見せた。

 

「この射撃精度・・・本当に素人の一般人のガキなのか?」

 

「勿論よ。確かに私達はあなたが言う様な素人の一般人よ。武器を渡されて戸惑ったのは確かよ。だけど、あなたが私達をいたぶって殺そうとしても、私達はあなたを殺す必要は無い。只、気絶させればいいだけ。」

 

「そういう事だ。あんたに当てた弾は殺傷力の少ないモノだが、麻酔弾だから時期に動けなくなる。この勝負、既に俺達の勝ちだ。」

 

速水さんと千葉君が麻酔弾を当てたので、僕らは勝利を確信したのだが・・・

 

「ふふっふ。やっぱりガキは単純ね!この程度でアタシが動けないとでも思ったのかい?」

 

アメルダの動きは鈍る事は無く、アメルダはバズーカ砲を速水さんと千葉君に向けて発射した。二人は急いで走り何とかバズーカ砲の弾をギリギリ避けたが、大きな爆発音と共に煙が充満し、周りの木々や廃墟を破壊していた。

 

「二人の撃った麻酔弾は確かに当たった筈・・・なのに、何で動けるのよ!?」

 

「確か麻酔弾は当たったさ。でも、残念な事に私は様々な毒物や薬品への抵抗力を浸けているのさ!こんな麻酔ぐらいでアタシの動きは止められないよ!」

 

岡野さんの疑問にアメルダは答えながら、様々な方向に向けてバズーカ砲を撃ってくる。僕らはアメルダが撃つバズーカ砲の弾に当たらない様に逃げ回る。アメルダはまるでわざと外しているかの様に思えた。本当に僕らをいたぶっているみたいだ・・・

 

「渚君、こっち来て!」

 

「えっ?カルマ君。どうしたの、集落の廃墟の中に入って?」

 

「いいからさ。早く入りなよ。面白い物を見つけたからさ。上手くやればあの女を倒せるかもよ?」

 

カルマ君がそう言ってるので、僕はカルマ君と一緒に廃墟の中に入る。その廃墟の中には千葉君と中村さんに岡島君の姿も有った。

 

「千葉君達もカルマ君に言われてこの廃墟に?」

 

「いや、俺は再び狙撃のチャンスを得る為に隠れる為に入っていただけだ。」

 

「私は最初からカルマと一緒に入っていたんだけどね。それで面白そうな物を見つけた訳!」

 

「俺はカルマに誘われて入ったぜ。そんで、その面白い物ってのがアレさ渚。」

 

岡島君が僕に見る様に指で指摘した場所を見ると、ソコには工場で使われる様な大きな袋に入った砂糖が複数有った。

 

「砂糖が面白いって・・・今はアメルダという女を何とかしないと・・・」

 

「いや、渚君。俺はふざけて言ってないぜ。俺が注目したのは袋に入った砂糖が長い間放置されていたのに固まっていない状態でさらさらな粉の状態を保っていた事さ!」

 

「さらさらな粉の状態?」

 

「渚君、粉塵爆発って知らない?」

 

「粉塵爆発って確か、空気中に大量の粉が舞っている状態で火をつけると爆発を起こす現象の事だよね・・・そういう事か!?」

 

「そう。カルマが考えたのは私達がこの砂糖をあの女に向けてぶっかけて粉塵爆発を起こさせるって作戦。」

 

「火種はあの女がバズーカ砲を撃てば火種としては十分な筈だし、集落に残っていたマッチを使えば確実に粉塵爆発は起こせる。」

 

「まあ、欠点は砂糖が入った袋の重量が重くて簡単に運べないし、空中に砂糖を撒き散らすのが難しいってところだな・・・」

 

確かにソコが問題だ。この袋から別の袋に入れ換えたとしても、量が少ないと粉塵爆発は起きないし、一気に大量の砂糖を蒔かないと直ぐに粉が飛ばされてしまう。だから、この砂糖が入った大きな袋を持って空中にばら蒔く手段が欲しい。僕らが何とか運べる手段を考えようとしてると、リボーンと殺せんせーがこの廃墟の中に入ってきた。

 

「粉塵爆発を攻撃に用いるとは考えたものだな。」

 

「ヌルフフフ。ですが、粉塵爆発を起こす為に使用する砂糖が入った袋は重い。粉塵爆発を起こしてアメルダにダメージを与えるには高い所から砂糖を撒き散らすのがセオリー。君達はどうやって砂糖が入った袋を運び、高い所から砂糖を撒き散らせばいいのか困っているところでしょう。そこで先生からのアドバイスです。この集落は元々は製鉄所が使われていた頃に作業員とその親族が住んでいました。当然、家を作る時には人の手だけでは足りない。ですから機械を使っていました。その時に使用されていた機械は一つだけですが残っています。クレーン車がね!」

 

殺せんせーから僕らへのアドバイスはクレーン車を使って砂糖を撒き散らせという事の様だ。殺せんせーが言ったクレーン車は近くに有り、砂糖が入った袋をそこまで持っていけば、後はクレーン車に袋を取り付けて砂糖を空中にばら蒔いて火を近付ければ粉塵爆発を起こせる筈だ。僕らは砂糖が入った袋を数袋持ってクレーン車に近付き、クレーン車を動かす為の鍵は操縦席の座席の上に有ったので鍵を指して、クレーン車が動かせるかどうか確認したところ、クレーン車は動けるし、おかしな点は無いので正常と思われる。しかし、僕は問題点が一つ有る事に気付いたので皆に問う。

 

「クレーン車は動くけどさ・・・これ誰が操縦するの?」

 

『あっ!?』

 

皆がそう言えばって感じの顔になってる・・・どうしよう、クレーン車は重機の一種だった筈だから車とかとは違う免許が必要だと聞いた事が有る。まあ、そもそも僕らは中学生だから車の免許なんか誰も持ってないけどさ。殺せんせーとリボーンも免許が有る無し以前に戦いに加担した時点で茅野の身が無事にすまないという事も有り、この二人もクレーン車を動かせない。クレーン車をどう動かせばいいのか解らないので僕は本当に困っていたのだが、クレーン車を操縦に岡島君が名乗り出た。

 

「皆、俺がクレーン車を操縦しよう。」

 

「岡島、本当に動かせるの?」

 

「大丈夫さ中村!俺はクレーン車を操縦した事が有ったのさ。ゲームだけど・・・」

 

『ゲームの話かよ!!?』

 

「いや、ゲームと言っても・・・結構本格的なヤツよ。重機のレバーに見せたコントローラで動かすって感じのゲームをクリアした事が有る。多分、ゲームと同じやり方で動かせる筈だ、多分。」

 

不安だ・・・不安だけど、実質ゲームとは言えど、クレーン車の操縦が出来たと言ってるし、岡島君に任せるしかない。岡島君がクレーン車の操縦席に座ると、座席の下に砂糖が入った袋を数袋置き、レバーを引いてクレーン車を移動させ始め、僕らは岡島君がクレーン車をベストな位置まで移動出来るまで、アメルダの注意を引き付けておき、粉塵爆発を起こす為の準備をしとかないといけない。その為にも、まずはこの作戦を他の皆に知らせて協力しないとならない。その為の時間稼ぎはカルマ君がやると言った。

 

「さて、渚君達は他の皆にこの作戦を知らせてきてよ。その間の時間稼ぎは俺がしとくからさ。」

 

「カルマ君。無理しないでよ。」

 

「はいはい、解ってるって。渚君達も気をつけていきなよ。」

 

互いにエールを送った後、僕らは動き出した。

 

 

 

アメルダっていう女は威嚇射撃に近い感じでバズーカ砲を杉野や片岡さん達に当たらない様にわざと外して撃っていたところでこの俺、カルマはアメルダの前に姿を現したと。

 

「おや?アンタはさっきから姿を見せずに何処かに逃げ隠れていたガキの一人よね?それなのにわざわざアタシの前に姿を現すなんて、どういうつもり?」

 

「逃げ隠れていた?何を言ってるの【オバサン】!俺らは逃げ隠れていたんじゃなくて、【オバサン】をどう倒すかどうか考えてただけだし。そんな事も解らないの【オバサン】!」

 

俺はアメルダを挑発する為に【オバサン】の部分を一番強調して発したので、アメルダの顔は遠目から見ても解る程に眉間にシワが出ていたので相当キレていらっしゃる様だ。

 

「誰がオバサンだぁぁぁっ!!?アタシはこう見えて19歳よっ!!」

 

「へぇ、ごめん。まさか19歳だとは思っていなかったよ。だって、年齢にしては肌の艶が感じられないカサカサした肌だったからつい三十路手前の【オバサン】かと。」

 

俺は相手をムカつかせる笑みを浮かべ、さらにハンドジェスチャーで挑発する。例えば、『結婚しないの?ってか、出来ないの?いや、まず彼氏がいないの?』とか色々とね。その結果、アメルダから何かがキレていく音が聞こえた気がする。

 

「こんのぉぉっ・・・クソガキがああぁぁっ!!?そんなに死にたいなら望み通りに殺してやる!!いや、跡形も無く消し去ってやろうじゃないの!!」

 

アメルダの目が明らかに俺への殺意で染まったところで俺は更に挑発しながら走り回っていく。アメルダは俺に向かってバズーカ砲を乱射し続けるけど、怒り任せで乱射してるお陰で狙いは正確じゃないので俺は軽やかに避けてはアメルダを挑発して走り回っていく。岡島の操縦するクレーン車はもう少しでベストな位置に到着するのが確認出来たところで、アメルダが持っていたバズーカ砲の弾は予備の弾も含めて使いきったらしく、アメルダは俺を憎たらしく睨み付けながらバズーカ砲を手放した。

 

「チッ!!弾切れか!!バズーカ砲が使えなくなっちまた・・・」

 

「あ~あ、無駄遣いしちゃったね。当たる見当も無く撃ってるから弾切れしたんだよ。俺を殺せなくて残念だったね、【オバサン】!」

 

「このクソガキ・・・ナメた真似してくれるじゃない!!」

 

さすがにバズーカ砲の弾切れを気に冷静になったのか、挑発に引っ掛からなくなったな。まあ、武器が無い以上は粉塵爆発を起こす必要も無いかもね。クレーン車を操縦した岡島の努力が水の泡に消える事になるけど・・・

 

「武器が無い今なら勝てる!」

 

「バズーカさえ無けりゃ、もう恐れるものは無い筈だ。一気に終わらせようぜ!」

 

武器が無いアメルダになら勝てると思ったのか岡野に杉野の二人がアメルダに接近してスタンガンを当てようとしたけど、アメルダは今までに無い軽やかで隙の無い身のこなしで二人の攻撃を避けると、二人の腕を掴むと岡野を地面に叩きつけ、杉野を投げ飛ばして廃墟の壁に激突させた。

 

「がっ・・・ごっほっ・・・」

 

「バズーカさえ無けりゃ勝てると思ったみたいだけど、アタシをナメるんじゃないよ!アタシが得意とするのはバズーカ砲での遠距離攻撃じゃなくて肉弾戦による接近戦なのさ!バズーカ砲での攻撃なんて、アタシからすれば只の遊びさ!それにバズーカ砲の重量に撃った反動を考えたら解ると思ってたんだけどね。その事に気付かなかったって事は所詮はガキって事ね!」

 

してやられたのは俺らだったか・・・俺らはてっきり、アメルダはバズーカ砲を使っていたから遠距離攻撃が得意分野で接近戦は不得意だと誤認してた。そうだよな・・・よく考えたら解る事だった。相当な重量を誇るバズーカ砲を楽々と持っていて、バズーカ砲を撃った反動を物ともしない時点で身体能力が高い事は解る筈だ。俺はどうも自分以外の相手を軽く見る癖みたいなのが有るから、俺も気付かないでいた。

 

 

やっぱり岡島の努力は実らせないといけない様だな。今はアメルダが得意とする接近戦になってでも、アメルダの注意を引き付けて岡島がクレーン車をベストな位置に移動し終えるまで時間を稼ぐしかないね。アメルダによって杉野は気絶してしまい、杉野はこの戦いで脱落と捉えた方がいい。岡野は何とかこらえた様で立ち上がって、アメルダから距離を取る。その直後に渚君と中村さんが片岡さん達に作戦を伝えた様でクレーン車を操縦する岡島以外の皆がアメルダの前に立ちはだかる。

 

「ふーん。集団で仕掛ければアタシに勝てるとでも思ってるのかい?」

 

「さあ、どうだろうね?俺らが勝つ可能性は0じゃないし、もしかすると俺らが勝つかもよ。」

 

「へっ!やっぱり、赤毛のお前は一番生意気なガキね!面白い、掛かってこい!全員屈服させてあげるわ!」

 

 

 

 

 

カルマ君が前に出ると同時に皆がアメルダへの攻撃を開始した。僕は菅谷君に三村君、倉橋さんと同じ様にスタンガンを手に持ち、アメルダに駆け寄りスタンガンを喰らわせようとしたが、アメルダは高くジャンプし僕らの攻撃を回避すると、まずは菅谷君の手にするスタンガンに強烈な蹴りを放ちスタンガンを破壊した後、菅谷君の腹に蹴りを喰らわせると菅谷君は嘔吐しながら気絶してしまった。

 

「菅谷!?」

 

「余所見をするんじゃないよ!!」

 

三村君は倒れた菅谷君の心配をしてしまい隙を見せてしまったので、アメルダのエルボーによって菅谷君同様にスタンガンを破壊された上に、胸にアメルダからの正拳突きを喰らってしまい、その衝撃で吹っ飛ばされ、更には倉橋さんに片岡さんに千葉君や吹っ飛ばされた三村君の巻き沿いを受けてぶつかってしまい、三村君はそのまま気絶してしまった。吹っ飛ばされた三村君とぶつかった三人は脚に大きなダメージが出来てしまったらしく、立つのが辛そうだった。不味い・・・アメルダによって、杉野と菅谷君に三村君の三人は気絶してしまい戦える状態ではなくなった上に、片岡さんに岡野さんに倉橋さん、千葉君の四人は大きなダメージを受けてしまい、立つのも辛そうなのでまともに戦える者が少なくなってきている。

 

 

負傷者が増えていく中で、この戦いに勝つ為の希望である粉塵爆発を起こす為に岡島君が操縦するクレーン車は後少しでベストな位置に到着する筈だ。だから、後少し。後少しだけでも時間を稼ぐんだ。幸いな事にアメルダは岡島君がいない事に気付いてはいない。このまま気付かれない様に注意を引かせ続けないと。僕はアメルダの前に出ると、アメルダは僕一人だけで前に出てきた事に少し戸惑ったのか唖然した表情になったが、直ぐに気を取り直したのか口を開く。

 

「おや?アンタみたいな女々しい顔のガキがアタシの相手になるとでも思っているのかい?」

 

「僕があなたに勝てるか負けるかどうかは関係無いんですよ、今はね。今は只、あなたの相手を勤めるだけ!」

 

僕は落ち着いた表情でまるで通学路を歩くかの様にアメルダに向かって歩き出していくと、アメルダはそんな僕の動きに同様したのかまたもや唖然した表情になっており、僕がスタンガンを与えられるまでにアメルダの懐にまでたどり着くと、アメルダは自分が追い詰められた事に気付き、僕に向けて拳を放とうとしたが、僕の方が先に早くアメルダにスタンガンを当てた。スタンガンはアメルダの右脇に当たり、アメルダに6万ボルトの電圧が流れていき、アメルダは身体が痺れ動きが鈍ったので、僕は追撃を加えようとしたが・・・

 

「クソガキがっ!!?アタシをナメるなっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

アメルダは痺れて動きが鈍っている中でも強力な体術を誇っており、僕の追撃は許されず、僕はアメルダの回し蹴りを喰らい、その衝撃で後ろに吹っ飛んでしまったが、ダメージは片岡さん達よりは低かったらしく、僕の身体は痛みこそは有るが平気に立てたので、アメルダはスタンガンの電撃を受けて動きが鈍った様だ。だけど、それは一時的なものなので時間が経てば回復してしまうので、結局のところは時間稼ぎでしかない。でも、その時間稼ぎも既に役目を終えた様だ。それを合図するかの様に岡島君の声が集落の上の崖から聞こえた。

 

「皆!準備は出来たぜ!後は頼んだぜ!」

 

岡島君は崖の上からクレーン車のクレーンを操作して、クレーンに取り付けた荷台からアメルダに向けて大量の砂糖を撒き散らした。

 

「何だ?何をする気なんだ!?」

 

「何をする気かって?こういう事だね!」

 

砂糖が空中に充満した事を確認したカルマ君が一本のマッチに火を付けると、驚愕しているアメルダを差し置いてマッチを空中に充満した砂糖に向かって投げた。

 

「皆、爆発に巻き込まれない様に地面に伏せて!」

 

僕がそう言うと同時に皆が地面に伏せて爆発に巻き込まれない様にする。カルマ君が投げたマッチは空中に充満した砂糖にぶつかり、粉塵爆発を起こした。

 

「うあっぁぁ!!?」

 

その粉塵爆発の威力をアメルダはまともに喰らい、数メートル先にまで吹っ飛んでいた。だが、アメルダは爆発のダメージで身体に傷を負いながらも立ち上がり、ふらついた状態ながらも僕らに向けて拳を突きだそうとしてきた。

 

「このアタシが・・・只の一般人のガキにこんな傷を負う程に追い詰められる訳が無い・・・そう、これは何かの間違いだ!!アタシが負ける筈が無いんだよぉう!!」

 

弱り切ったアメルダの拳は今の僕らなら誰でも避けられるものだった。アメルダの拳を避けた後、最早まともに立てないアメルダにカルマ君が首にスタンガンを当てた。

 

「残念だけど、この勝負は俺らの勝ちさ。そんでアンタは敗者。それだけの話さ。」

 

(このアタシがこんなガキ共に・・・負けただと・・・そんな事有り得ない・・・)

 

カルマ君の言葉を聞いたアメルダは最後まで己の敗北を認められずにいた様で、悔しそうな表情をしながら気絶した。

 

「勝ったのよね?私達・・・」

 

「ああ、速水。俺達が勝ったんだ。だけど、杉野と菅谷に三村は気絶、俺や片岡らは脚の骨にヒビでも入ったのか立つのが辛い状態での勝利だけどな・・・」

 

千葉君の言う様にこの戦いで杉野を含めた三人は気絶してしまい、千葉君や片岡さん達は立つのも辛い状態になる程のダメージを負ってしまった。ラフェイルから茅野を救いだす以前にまともに戦える者が少なくなってしまった。もし、ラフェイルのいる製鉄所に着くまでにアメルダの他にも待ち構えている者がいたらどうしよう・・・今の戦いだけでも、僕らへの損害は多いのに、また戦う事になってしまったら、ラフェイルと戦う前に全滅してしまうんじゃないかと考えてしまう。そんな僕らを見た殺せんせーとリボーンは僕らに向けて口を開いた。

 

「皆さん、この先に今のアメルダの様にラフェイルという男の手の者が立ちはだかるかもしれません。ですが、今はここで立ち止まっている訳にはいかない筈です。次にまた戦う事になったらどうするかは今考えても仕方ありません。今の君達に出来るのはこんな所で立ち止まらず、一刻も早く茅野さんを助ける為に先に進む事です。」

 

「殺せんせーの言う通りだぞ、お前ら!こんなところで立ち止まっている暇が有ったら、茅野を助ける為に少しでも早く先に進め!こんな所で立ち往生してたら約束の時間が過ぎてしまうぞ。時間は待ってくれねえ。だから、ここで立ち止まっている暇が有ったら、一刻も早く先に進め!」

 

殺せんせーとリボーンの言う通りだな。僕らは立ち止まっている訳にはいかない。一刻も早く、茅野を助ける為にも先に進まないといけないんだ!僕らは殺せんせーとリボーンの言葉を聞いて先に進む決心をした。崖の上にいた岡島君が無事に僕らと合流した後、気絶した杉野と菅谷君に三村君に軽い応急措置をした後に、三人を集落の中でも一番荒廃が進んでない建物の中に休ませる事にして、アメルダは殺せんせーが用意したガムテープやロープで目覚めても身動き出来ない状態に縛った後に集落に有ったロッカーの中に強引に押し込んだ。

 

「杉野、菅谷君に三村君・・・三人供、茅野を助けたら絶対に向かえにくるから待ってて。僕らは先に進まないといけないんだ。だから、三人は休んでいて。」

 

僕は杉野達三人にそう告げた後、僕は皆と供に先に進んでいった。

 

 

 

しばらくすると、川が流れる広い空間に出ていた。地図を見るからにこの川の流れに逆らう様に進んだ先にラフェイルがいる製鉄所が有る。もう少しで茅野を助け出せる。この川の川辺に足を踏み入れて先に進もうとした時だった。

 

「おいお前ら!口を早く塞げ!」

 

『えっ?』

 

リボーンが僕らに向かってそう叫んだので僕は口を塞ごうと手を口に当てた。他の皆も口を塞いだが、僕とカルマ君と不破さん以外は全員が倒れてしまった。僕も少し意識が朦朧してるが、倒れた者の一人である岡島君に声をかけた。

 

「岡島君、他の皆もだけど、急に倒れてどうしたの?」

 

「きゅ・・急に・・・身体が・・・石の様に重・・く・・なったんだ・・・」

 

岡島君以外の倒れた者も岡島君と同じ症状だった。僕も身体が重く感じ意識も朦朧としてるのだが、何とか堪えていた。

 

「リボーン、これってもしかして・・・」

 

「ああ、そうだぞ渚。これは敵の罠に嵌められて、この場のほとんどのメンバーが痺れガスを吸ってしまったんだ。タコは平気なのは明白だし説明は不要だな。俺は殺し屋として生きる以上は有る程度の毒物の耐性をある程度つけてきたから少し吸った程度では平気だ。だが、お前らはそうはいかない。渚、お前も少し吸ってしまったから解ると思うが、この痺れガスは即効性に優れた強力な方だ。と言っても、痺れさせる効果が高いだけで他の痺れガスと比べれば回復に時間はかからない物だから、遅くても1時間程度で回復する筈だ。」

 

「なら安心なんだけど・・・こんな罠を仕掛けてる以上はアメルダの様に誰かが待ち構えているって事だよね?」

 

「渚君の言う通りよ。犯人は直ぐ近くにいるわ。犯人はそこの木の影に隠れてるあなたね!」

 

不破さんがそう指摘した木の影から、一人の青年が姿を見せた。その青年は茶髪で長い髪を後ろに一本に纏めた髪型で顔に少し傷が入っているややイケメンな感じの男だった。

 

「いやぁ~、ばれっちゃ仕方有りませ~んね~。そこのおかっぱ頭のお嬢の言う通りですぜ、俺っちが痺れガスを撒きました。そんな気になる俺っちの名前はバロンと申します。ま、名前は俺っちの顔ごと覚えてくれなくて結構。何故かって?俺っちの事を覚えてしまったら、俺っちにヤられた君達が俺っちの事を思い出す度に苦しむと思っての気遣いね!」

 

「そこのバロンっていうお兄さん。ちょっと言ってる事おかしくない?自分で言ってる事が無茶苦茶だと自覚してんの?」

 

「おや?こりゃ一本取られました。確かにあんちゃんの言う通りですぜ、赤毛君。そう!これぞ、俺っちバロン様の無茶苦茶な接客サービスの口説き文句ですぜ!さて、痺れガスの影響を受けてない君達三人は今から俺っちの出す選択肢を意見を纏めて必ず一つに絞って選ばないといけませんよぉ!さあ、まずは一つ目の選択肢は全員速やかに投降してボンゴレ十代目の居場所を吐く事。二つ目の選択肢は無様に俺っちにヤられた後にボンゴレ十代目の居場所を吐かざるを得なくなる。三つ目は敗けを認めて俺っちの奴隷となった後にボンゴレ十代目の居場所を吐いてくれる。さあ、この三つの選択肢から何を選ぶのかな?ま、三つの選択肢とも同じ答えなんだけどね!」

 

このバロンという男はまるで行動が読めない。ってかウザい!三つの選択肢も本人が認めてる通り、結局は同じ意見だ。三つ目の選択肢に限っては奴隷になれとも言ってるけど、僕とカルマ君に不破さんの答えは明白だ。

 

『四つ目の選択肢である、お前を倒してこの先を通るを選択するよ!』

 

「あらら?こりゃまた残念!?四つ目の選択肢を勝手に作るなんて・・・ナイスアイデア!って事でこの戦いを楽しみましょか。そうそう、そこの百億ダコとアルコバレーノは手出ししちゃダメよ。手出ししたら、ラフェイルの旦那の手によって、あの人質の貧乳でちっパイの幼児体型のお嬢ちゃんはドカンされて五体がバラバラになりますぜ!」

 

この戦いも何処かでラフェイルに監視されてる状態なのか・・・それにしても、バロンは茅野の事を貧乳でちっパイの幼児体型だと言ったが二つは同じ意味じゃないか・・・

 

「さて、いきますぜ!バロン、参りま~す!」

 

「渚君。コイツウザいから本当に早く倒そうか・・・さっきからストレスが溜まるんだよね、コイツの言葉を聞く度にね・・・」

 

「カルマ君、気持ちは解るけど落ち着いて。こういう奴程、案外バトル漫画での強者である事が多いわ!」

 

ジャンプ愛好者の不破さんが漫画でのパターンだが、バロンは強者だと言うので油断しない様にしよう。何せ、今戦えるのは僕ら三人だけなんだから・・・それにしても前原君はいつ来るんだろう。出来れば、早く来てほしいところなんだけど・・・

 

 

 

 

この俺、前原陽斗は今全力で茅野を助けに向かった渚達に合流する為に山を急ぎ足で登っている。あのオッサンに半ば強引に剣術の修行をやらされ、何とかオッサンから教わった剣の流派である時雨蒼燕流の八つ有る型を全て習得した。その後に精神修行だと言われて滝に何時間も当たる事になったのだが、入江さんがやって来て茅野が拐われた事を話すと、オッサンは滝打ちは止めて俺に茅野を助ける様に言うと時雨金時という鋼の竹刀を渡された。この時雨金時は本来はオッサンの息子が持っていた物だが、その息子が今はかの有名なSAO事件によって意識が無い状態なので今はお前が使うべきだと言って渡してくれた。

 

時雨金時は見た目は鋼の竹刀だが時雨蒼燕流を放つと刀の刀身が現れる原理が解らん武器だ。時雨蒼燕流はオッサンの息子が九の型から十二の型まで作り出したらしいが、オッサンが俺に教えたのはオッサンが作り出したという八の型までだ。九の型からはオッサンの息子とは違う技を俺自身で作り出せって事だろう。オッサンの思いは伝わったので、時雨金時を手に俺は茅野を助けに向かった。言うまでも無いが俺はオッサンに言われずとも助けに向かったがな。

 

 

そんで俺は入江さんから渡された地図を頼りに山の中を進んで行くと今は誰も住んでない集落跡地に着いたが、地面に何か焦げた跡が付いており、その跡はまだ新しく渚達の姿が見えないので渚達は先に進んでいったと判断した俺は集落を後にして進む事にした。集落を後にして、しばらく進んでいくととにかく目立つ殺せんせーの姿が見えたので、俺は殺せんせーの近くにまで移動して殺せんせーに声をかけた。

 

「殺せんせー、すまねえ。少し遅れた・・・」

 

「前原君、ちょうど良かった。合流した事を喜ぶのは彼を何とかした後でお願いします。」

 

殺せんせーが触手で指した方向を見るとソコには岡野に片岡、岡島に千葉達が倒れており、更には渚とカルマに不破が誰かと戦っているのが見えた。だが、渚達三人も戦っていた男によって地面に倒れてしまった。三人を倒した男が俺に気付くと、俺に話しかけなかてきた。

 

「おや?君も俺っちの接客サービスを受けに来たのかな?俺っちの名前はバロンと申す。ま、覚えてくれなく・・・」

 

「おい!皆が倒れているのはお前の仕業なのか?」

 

「人が話してるのに・・・でも大いに結構です!そう!俺っちの用意した痺れガスを吸ってソコの奴らはバタバタと倒れていきまして、この三人はアルコバレーノの忠告でガスをかろうじて吸わずに済んでいましたけど、残念ながら只今俺っちにヤられちまったところです。」

 

「やっぱりお前がやったのか!!だとすれば加減しなくていいよな?」

 

「別に君の好~きにすれ~ばい~い。ま、俺っちと戦う前にこれでも喰らってなさい!」

 

バロンという変人は服のポケットからリモコンを取り出すと、リモコンのボタンを押した。リモコンのボタンが押されたと同時に何処からか俺に向かって矢が飛んできた。

 

「はい、遅めに来た助っ人さんもこれにてアデュー!」

 

バロンという変人は勝手に俺が終わったと勘違いしてる様だが、そうはいかない!あのオッサンに流派を習っておいて簡単に倒されたら、1日だけとは言えどあの辛い修行が無意味に終わるからな。だから、ここで倒れる訳にはいかねえんだよ!

 

「時雨蒼燕流 守式七の型 繁吹き雨!」

 

俺は時雨金時で川の水を思い切り叩き上げて巨大な水煙を作り出して飛んできた矢を弾き飛ばした。これが相手の攻撃を巨大な水煙で防ぎ防御する時雨蒼燕流の守式七の型である繁吹き雨だ。今ので矢を防いだ俺を見たバロンは想定外な事で驚いた顔になっていたが、直ぐに揚々とした顔になって声を発した。

 

「ヒッハハハッ!まさか時雨蒼燕流を使う奴とこんな所で会うとは思いもしなかった。俺っちは戦ってみたかったんですよ。最強の流派と噂されてる時雨蒼燕流の使い手とね!かの雨の守護者じゃないのが残念だが、叩き潰しがいが有りますねぇ!俺っちはこう見えて剣の使い手ですのでね、俺っち独自の剣術と最強の流派と噂されてる時雨蒼燕流とどっちが強いのか勝負といきましょうかね!」

 

あのバロンという男は渚達を相手に素手だけで戦っていたが、どうやら俺に対しては本気で戦うって事か。俺は時雨蒼燕流を今日習って習得したばかりなんだが、時雨蒼燕流は技を一回見て真似ただけで剣の教えは終わる独自の継承方法だから俺は時雨蒼燕流を使いこなせるのか解らない。だけど、茅野を助ける為にも俺がこのバロンという男を倒さないとな!

 

 

 

 

こうして、前原とバロンの戦いが始まるのであった。




痛い被害を出しながらもアメルダを何とか撃破した渚達。だが、バロンによって窮地に落とされる。ソコにやって来た前原は山本剛から教わった時雨蒼燕流と時雨金時を手にバロンと戦う事となりました。

次回、前原VSバロンの対決です。


オマケコーナー  茅野は今・・・

隠された監視カメラの映像と音声から聞こえたバロンの言葉に腹を立てていた。

茅野「ちょっと!?バロンってヤツ失礼じゃない!!誰が貧乳でちっパイの幼児体型の永遠の0だ!!」

ラフェイル「『永遠の0』までは言ってなかったと思うが・・・」
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