俺は時雨金時を構え、迎え撃つ体勢を取るとそれに準じるかの様にバロンも己の剣を取り出した。バロンの剣は刀身がくねくねと曲がった形をした一風変わった剣の上に持ち手の下には分銅が付いた鎖が付いている剣だ。殺せんせーとリボーンがバロンの剣について説明した。
「あれは確かインド原産の剣であるタルワールですね。しかも鎖付き分銅を取り付けた彼オリジナルのカスタマイズが施された代物の様です。」
「前原気をつけろ!タルワールは見てくれは刀身がくねくねと曲がった感じの剣だが、ああ見えて殺傷力は剣の中でも優れている方だ。切れ味こそ時雨金時の様な日本刀には敵わないが、攻撃力は日本刀より上だ。しかも、バロンのタルワールには鎖付き分銅が取り付けられてるからな。鎖でがんじがらめにされて身動き取れない様にされたりしねえ様に気をつけて戦えよ!」
「解ったよ、殺せんせーとリボーン。要するに油断せずに戦えって事だろ。そんな事は百も承知だっての!」
俺が前に出るとバロンも鎖付きタルワールを手にしながら前に出てきた。
「そんじゃ始めましょか、あんちゃん。俺っちが鎖付きタルワールを使い、仕留められなかった獲物は未だに無いですぜ。くれ~ぐ~れも手を抜く様な真似だけはせん方がいいと思いますぜ!」
「ご忠告ありがとよ。間違っても手を抜く訳が無いだろ!お前は変人だが、実力は確かなヤツだと思うしな。」
「俺っち変人?ま、旦那からも普段から変人呼ばわりされてるから別に構わんですし、気になりゃしませんわ。」
バロンは一応、自分が変人だと自覚してる様だな・・・それは差し置いておき、俺とバロンの戦いは始まった。まずバロンが動き、タルワールの独特な刃で俺に向けて横凪ぎで斬り掛かってくるので、俺は咄嗟に時雨金時を盾にしてタルワールの一撃を防いだが・・・
「刃は防がれましたが、もう一つの方は防げませんぜ!」
タルワールの刃を防いでも、バロンのタルワールの持ち手に付属された鎖付き分銅がバロンの巧みなコントロールで俺に向かってきた。その鎖付き分銅が俺の股間に命中し、俺はあまりの大ダメージで股間を手で覆いながら悶絶する破目になった・・・
「おごぼぼっうこぽっ!!?ここを狙うなんて・・・反則だろ、おい・・・」
「俺っちはソコを狙った訳じゃないですしてね、腹部狙ったのに少しコントロールがミスっちまたみたいでして、すんません。詫びに回復時間を20秒だけやりますぜ。」
俺はダメージで変な声を出してしまい、バロンも股間を狙う気だけは無かったので20秒だけ回復の時間をくれたので俺は股間のダメージを早く忘れる事にした。尚、倒れてたメンバー達も少し回復してきた様で岡野が今の俺を見てか叫んできた。
「おい前原!そんぐらいで何を悶絶してんのよ!!」
「うるせえよ!!女にこの痛みは解らんわ!!」
俺は岡野の言葉に思わず向きになって叫んだ。本当にこの痛みは男にしか解らんものだ・・・俺のダメージをよく解ってくれてる千葉や岡島に渚、カルマにリボーン。後、股間有るのか不明な殺せんせーも首を縦に振って俺に同情していた。
股間のダメージを何とか回復させた俺は立ち上がると、バロンに向かって突っ込んでいく。
「さっきはお前の意思では無いとはいえ、よくも俺の股間にそんな物騒物をぶつけてくれたな!」
「あんちゃん・・・さっきの事だけは本当に悪かったと思っていたりしてますかな?」
「悪びれてねえじゃないか!?今度はお前が受ける番だぜ!股間に攻撃はしねえけどいくぜ!時雨蒼燕流 攻式一の型 車軸の雨!」
俺はバロンに向けて突進して時雨金時を突き出すと、時雨金時は鋼の竹刀から一本の刀に変化し、バロンに刀の突きが襲い掛かろうとしていた。車軸の雨は突進しての突きを相手に喰らわせる時雨蒼燕流の中でも基本的な型だ。突進しての突きを繰り出したのだが、バロンはタルワールで時雨金時を捌くと俺は技が捌かれた反動でよろめいてしまい、バロンのカウンターを許してしまった。
「今のは時雨蒼燕流の中でも基本的な技の様ですが、残念ながらそんな基本的過ぎる技では俺っちは倒せませんぜ!って事で俺っちの独自で生み出した剣術、蜃気楼流の技を見せてやりますぜ!蜃気楼流、返し技、砂嵐!」
バロンは自分の身体を回転させると、タルワールでの回転斬りを繰り出した。いや、これはタルワールだけでは無い・・・タルワールに付いた鎖までもが回りを切り裂きながら俺に向かってくる。その威力によってか周りの砂を巻き上げており、その様子は正に砂嵐の様であった・・・この技をまともに受けたら危ないので、俺は咄嗟に時雨蒼燕流の防御技を放つ。
「時雨蒼燕流 守式六の型 円月雨(えんげつう)!」
俺は時雨金時を右手の指で器用に横に回転させ、空気の渦を作り出して周りの砂塵や木の葉に水を巻き上げて壁を作り相手の攻撃を防ぐ時雨蒼燕流の守式六の型である円月雨を繰り出して、バロンの蜃気楼流の技である砂嵐を防ぐ為に時雨金時を回転し続ける。バロンの砂嵐と俺の円月雨が作り出す空気の渦がぶつかり合い、互いに均衡していたが、何とか俺の円月雨が勝りバロンの砂嵐を防ぐ事が出来た。でも、防げたのはいいが指で横に時雨金時を回転させるから指が痛くなるんだよな、この技・・・
「俺っちの砂嵐を防ぐとはやりますな、あんちゃん!そんな防御技を持ってるとは大したもんですぜ!」
「ふざけんな・・・俺が一番使いたくない型を使わせやがって・・・」
「ま~ま~、そう言わずに。あんちゃんがその一番使いたくない型を使わせた程に俺っちの剣術が強かったって事が証明されたって事で間違いないと考えてよろしいですかね?」
「ま、確かにそうだな・・・」
「な~る~ほ~ど~。じゃ、決まったも同然ですな。時雨蒼燕流と俺っちの作り出した蜃気楼流、どちらが強いかどうかが。蜃気楼流が強いって事になりますよね?だって、あんちゃんは一番使いたくない型を使った程ですし、やはり時雨蒼燕流は時遅れの古臭い流派って事か・・・」
「おい、お前・・・今、何て言いやがった?時雨蒼燕流が時遅れの古臭い流派だと言ったよな?それに自分の作り出した蜃気楼流が強いって思っているみてえだが、それは慢心による勘違いだ!」
「俺っちの慢心だと・・・どういう事か説明してもらおうか。」
「確かにお前の言う通り、時雨蒼燕流は時遅れの古臭い流派かもな。だけどな、俺に時雨蒼燕流を教えてくれた人はなこう言ったんだ。時雨蒼燕流は完全無欠最強無敵だとな!」
「そう言う割には俺っちに苦戦してますがどういう事でしょうかね~。時雨蒼燕流は完全無欠最強無敵なのにおかしいですね~。本当に笑えねえな・・・で、テメエが言いてえ事は何だ?早く言え!俺も暇じゃねえんだよ!!あのラフェイルという陰気野郎とはあくまでも契約で協力してるだけだ。もう少しでその契約の時間は終わるからな。だから俺はテメエみてえな古臭い流派を使う奴を相手にして時間潰ししてただけだ。そろそろ次の依頼の為に準備しねえとならねえんだよ!!早くテメエの言いてえ事を言え!俺はテメエらみたいな中坊と違って忙しいんだよ!!」
「バロン、今の話し方こそが本当のお前か・・・まあ、今はそんな事よりも俺の言いたい事を言わないとな。時雨蒼燕流を俺に教えた人が言うには、『時雨蒼燕流の型全てはその時の継承者が実戦で作り出して生み出した無駄の無い動きで、それを超えるなんて小後摩しい!』って事らしい。バロン、アンタにこの意味が解るか?」
「下らんな・・・負け戦とは気付かずに戦いに参加し、無様な敗退を見せた敗者の戯れ言にしか聞こえん。いや、寧ろ負け犬の遠吠えにしか思えんな。」
「そうか。じゃあ、アンタは弱いよ。時雨蒼燕流を俺に教えてくれた人よりはな!」
「何だと!!?俺がお前の師より弱いだと・・・」
「ああ。弱いさ。俺はアンタは変人だが、相手を見下さない奴かと思ってたんだが・・・本性がそんな自己満足で自惚れた人間だと知った今は正直言ってガッカリだよ。俺は確かにアンタより弱い。だけどな、それが時雨蒼燕流がお前の蜃気楼流という剣術より弱いという証明にはならない。俺は時雨蒼燕流はまだ完全に使いこなせる訳じゃないしな。それに、俺はまだ時雨蒼燕流の技をまだ二つしか使っていない。それなのに、アンタはその二つを見ただけで時雨蒼燕流がアンタの剣術より弱いと勘違いした。だから、アンタはあの人より弱い。時雨蒼燕流を完全に使いこなせてない相手に勝ったとしてお前は嬉しいか?」
「言わせておけば・・・好き勝手言いやがって!!いいだろう。そこまで言うなら俺は本気でお前を仕留めに掛かる。死んでも恨むなよ!って事だ。ソコのタコにアルコバレーノ!今から俺はお前らの生徒の一人を殺しに掛かる。だからといって手出しすれば、あの人質の少女はラフェイルの野郎に消されるだろう。だから、手出しすんじゃねえぞ!」
バロンが本当の口調で話してる今、バロンは本気で俺を殺しに掛かるだろう。殺せんせーとリボーンはそれを承知の上でこの戦いを見守る事にした様だ。
「ええ、勿論です。前原君とあなたとの戦いに私とリボーンは一切手出しはしません。ですが、勘違いしないでほしい。私とリボーンは茅野さんを人質にされてるから手出し出来ないのではなくて、前原君の意志を尊重して手出ししないだけです。そもそも私とリボーンが手出しする必要も無いでしょう。何故なら、バロン。あなたは前原君が言う様に自身の強さに自惚れただけの弱者ですからね!」
「という事だ。前原、俺とこのタコはお前の勝利を信じて、手出しはしないからな。だから、死ぬ気で食らい付け!そんぐらいの覚悟を出さなきゃ勝てる戦いにも勝てねえからな!」
「解ってるさ、殺せんせーにリボーン!俺は絶対に負けねえ!こんな自惚れただけの弱者なんかにな!」
俺は二人の先生の言葉を胸にし、バロンに絶対勝つと決意し、本気になったバロンとの戦いに望もうとした。
「俺が弱者だと・・・ふざけるな!!俺は絶対的勝者の傭兵だ!50以上の依頼を受け戦場に向かったが、負けた戦いなど一度たりとも経験した事など無い!そんな俺がこんな中坊になど負ける筈は無い!俺は生まれて物心付いた時から一度も親の愛情など知る事も無く、ゴミ溜めの中に捨てられ、周りの人間からはゴミを見るも同然の仕打ちを受けてきたが、ソコから這い上がり、現在の負け知らずの傭兵にまで上り詰めた!そんな俺が戦争や貧困に差別とは程遠い平和な場所で何不自由困らない生活をして、人生の苦労を知らない様な中坊に負ける訳にはいかないんだよぉぉっ!!」
「そうか・・・アンタは一人の力だけで生きてきたのか・・・」
「そうだ!俺は物心付いた時からは俺一人だけの力で生きてきた。生きる為に俺は何でもした。幼い子供の頃はパン屋の商品を盗んではそれを食べ、金を手に入れる為にバールでATMをぶっ壊して強引に金を取り出した。更に生きる為に必要な学力と言った知識は全て捨てられた教科書に参考書、新聞に小説、ニュース番組は勿論だが、それ以外には普段はお前らが気軽に楽しみながら見てる様なライトノベルに漫画、アニメとかどんな物からでも知識を吸収した。生きる為に俺は一人で何でもやってきた。依頼を受けた時は依頼人の指示で協力こそはするが、仲良くする気など一回も起きなかった。俺が信じるのは俺一人だけだ。俺は一人で十分に強い。俺はお前らの様な苦労を知らないガキに負けるなんてあり得ないんだよ!!」
「アンタの言いたい事は解った。確かにアンタの言う様に俺らは戦争に貧困とは遠い世界に生まれたかもな。でも、俺らは苦労を知らないガキじゃない!俺らはエンドのE組とまで言われる程に本校の生徒からはゴミの様な扱いをされる程の差別を受けてる。アンタからすれば、俺らの扱いはまだマシに思う方かもしれないけどよ、俺らは殺せんせーを暗殺する為にリボーンに烏間先生から暗殺の手解きを教えられているんだ。俺が負けられない理由は今の様な事も有るからなんだ。俺は一人の力だけで戦うんじゃない。皆の思いを乗せて戦う。」
「成る程な。どうやらお前らは相当な苦労をしてた様だな。それを知らずにいた事は謝ろう。だが、俺はお前に負けるつもりは無い!俺は俺一人だけの力だけで今まで生きてきた。だから、俺は技を継承という形で得た様な仲良しこよしのガキに負ける筈が無い。お前が継承して得た時雨蒼燕流と俺が作り出した我流剣術である蜃気楼流とどちらが本当に強いのか決めようじゃねえか!」
「ああ!少し話しただけでアンタから自惚れた感じが無くなってきたし、それでこそ戦う意味が有るって事だろ!」
「ふはは!言ってくれるじゃねえか!ここからはお前と俺の一対一の真剣勝負だ!誰にも邪魔する事は許さねえ!さあ、その変形刀を構えな。俺は有言実行で殺す気で掛かってくるからな!死にたくなかったら、お前も本気で俺を沈めにこい!」
俺とバロンは互いに剣を構えると、互いに技を放った。
「時雨蒼燕流 攻式五の型 五月雨!」
「蜃気楼流の乱舞技、霰(あられ)!」
俺は時雨金時で相手に斬りかかる様に見せたフェイントで相手を惑わした後で時雨金時を逆の手に素早く持ち替えて斬りかかる時雨蒼燕流の攻式五の型である五月雨を繰り出し、フェイントの後の本命の一撃を当てようとしたがバロンのタルワールに付いた鎖で防がれてしまい、バロンが放った蜃気楼流の霰はタルワールを連続で叩きつけるかの様に縦斬りを連続で行いながら、鎖をもコントロールして鎖がまるで空から降り続ける霰の様に俺に襲い掛かってきて俺の身体は傷付いてくるが、俺はバロンの霰の威力を抑える為に次の技を放って防御に入った。
「時雨蒼燕流 守式二の型 逆巻く雨!」
俺は川の水を時雨金時で打ち上げて大きな水柱を作り出して、身を屈める事で相手の攻撃を防ぐ逆巻く雨を使い、バロンの霰の勢いを弱めると、バロンに隙が出来たので追撃の技を放った。
「いくぞ!時雨蒼燕流 攻式八の型 篠突く雨!」
「ぐわああぁっああ!!?」
俺はあのオッサンが作り出した型である時雨蒼燕流の八の型、篠突く雨を繰り出してバロンに初めてまともなダメージが入った。篠突く雨は相手に向かっていき、強力な斬撃を放ち、その威力によってか周りの水が引き寄せられて大量の水柱が生まれる程だ。篠突く雨を喰らい、バロンの腹部から血が出てるが、バロンはそんな状態だろうとお構い無しに立ち上がってくる。
「これが時雨蒼燕流の威力か・・・確かにお前が使いこなせる様になれば完全無欠最強無敵の剣となるだろう。だが、この程度じゃ俺はくたばりはしねえぜ!八つ有る型の内、今の篠突く雨を含めた既に出した六つの型は全て見切った。最早、同じ型は俺には意味を成さないと思え!さあ、残った二つの型も出してみな!その二つも見切ってやるからよ!」
さすがに強いな・・・今のバロンの言葉は嘘じゃないだろう。本当に時雨蒼燕流の八つ有る型の内、六つは見切られたのは本当だろう。同じ型はバロンに二度も効かないのは明白。残った二つの型も時雨金時を手放してしまい武器が無くなるものと相手の呼吸や視線を観察して回避する様な技だから、正直言ってバロンに効く様な技じゃない。なら、やるしかないな。一か八かの賭けだけどな・・・俺は時雨金時を逆手に持つと、前方に身構えた。
「ほう?今まで見た事が無い構えだな。三の型と四の型、どちらの構えだ?」
「いや、これは九の型の構えだ。」
「九の型だと!?まさか、新たな型を今ここで作り出すっていうのか!!?」
「言わなかったか?時雨蒼燕流の型全ては歴代の継承者が実戦で生み出した無駄の無い動きだってな!」
「確かに新たな型を作り出せば、戦う相手にとっては想定外でどんな攻撃か予想出来ない・・・だが、その時雨金時という変形刀は時雨蒼燕流じゃない技を使えば只の鋼で出来た竹刀に過ぎない。つまりだ、時雨金時が新たな時雨蒼燕流の型だと認識しなかった場合、お前の負けは決まったも同然。それを承知で新たに九の型を作り出すという気か・・・」
「当たり前だ。バロン、アンタに勝つにはこれぐらいやらないと無理そうだしな・・・だから、俺は一か八かの賭けで新たな型を作り出す!」
「そこまでの覚悟が有るならいいだろう。なら、俺は一か八かの賭けで新たに九の型を生み出そうとするお前に敬意を表してやる。見せてやろう、蜃気楼流の奥義をな!」
俺が新たな時雨蒼燕流の型を作り出そうとしてる事に敬意を表すと称したバロンは右手でタルワールを強く握り、左手で鎖を握ると、タルワールを高速で振り回しながら、鎖をも操作してバロンの周りを切り裂く鎌鼬が発生し、俺に向かって突っ込んでくる。
「これぞ、蜃気楼流の奥義、威綱皇(いづなおう)だ!」
イヅナ?確か鎌鼬の別名称だったけか?どちらにしろ、鎌鼬を発生させる程の乱舞だ。こんな技を受けたら、俺は終わりだな・・・正に背水の陣ってところか。バロンの威綱皇を防ぐのは不可能に近い。なら、俺は威綱皇を超える威力の型を生み出す必要が有る・・・頼む、時雨金時。俺に力を貸してくれ!俺はそう思いながら、時雨金時を逆手持ちにした状態で威綱皇を放つバロンに向かって突っ込む。
「いくぞ時雨蒼燕流・・・攻式九の型。」
俺は逆手持ちにした時雨金時で切り上げに入ると、時雨金時は鋼の竹刀から刀に変化したのを確認したので、俺はその刀身の背を蹴り上げて、切り上げの勢いを強めると強力な斬撃を誇る切り上げとなり、バロンのタルワールを一瞬だが弾き、バロンは後ろに仰け反ったが・・・
「甘いな!土壇場で生み出した新たな型は俺を倒すまでには至らなかったな!俺の威綱皇はこの程度で止まる様な技じゃねえ。じゃないと奥義とは言えないしな!」
バロンの威綱皇は完全に止まっておらず、俺をタルワールと鎖で切り裂こうとしてきた。だが、俺の生み出した新たな型もまだ終わってない!蹴り上げた時雨金時は反動で俺の背中にまで回ってくる。それを利用し素早く背者刀への攻撃に切り替えた。そして、これが俺も想定外の現象を引き起こした。
「なっ、何!?空気が渦を巻いて螺旋に成って俺を引っ張っている・・・まるで小型の竜巻だ・・・」
俺とバロンの目の前に大きな空気の渦が螺旋を巻いており、その螺旋を巻いた空気の渦がバロンを引き寄せる。この螺旋を巻いた空気の渦はバロンの動きを封じ、威綱皇で発生した鎌鼬は消えたので俺はそのまま時雨金時で横に凪ぎ払う。バロンは鎖で防ごうとしたが、螺旋の空気の渦が俺の一撃を強化し、鎖は切れ、バロンに俺の一撃が命中しバロンは空中へ打ち上げられた。
「グワアァアッッ!!?(これが敗北か・・・思ったよりも涼しげなモノじゃないか・・・)」
空中へ打ち上げられたバロンは地面に落ち、自分の敗北を認識してたがその顔は何処か誇らしげで悔いのない感じの表情で微笑んでいた。土壇場で生み出したこの型の威力は俺でも想定外だったが、俺はこの型に名前を口に出した。
「螺旋の雨。これが俺が生み出した新たな時雨蒼燕流の型だ。時雨蒼燕流 攻式九の型 螺旋の雨だ。まさか、ここまで凄い技になるとは思っていなかったけどな・・・」
「そうか・・・これが時雨蒼燕流の強さか。俺が知る強さとは別の強さを持った剣術だ。一人だけじゃなく、何人ものの継承者が作り出してきた人との繋がりで生まれた強さの剣術だ。俺が作り出してきた蜃気楼流は所詮は孤独な一人ぼっちの人との繋がりを拒絶してた俺が作り、只周りから反発しては自分が強いと思って舞い上がっていた俺と違い、本当の強さを持った剣術だった。この勝負はお前の勝ちだ。いや、違ったな。お前らの勝ちだ。さっさと進みな!あの少女を助けるんだろ?俺も手助けしてやりたいが、生憎な事に今の状態じゃ俺はラフェイルと戦っても勝てやしない。だが、お前らなら勝てるかもしれない。人との繋がりと言う強さを持ったお前らなら、もしかしたら奇跡を起こせるかもしれない。」
「バロン。アンタが悪人じゃなくて良かったよ。アンタの怪我はどうするんだ?その怪我じゃ・・・」
「安心しろ。この程度の怪我など、戦場では当たり前だ。応急措置は自分で済ませる。それに言っただろ、俺は次の依頼が有るとな。だから早く行け!俺は暇じゃないし、簡単には死なねえさ。それよりもそう言うお前の方が危ないと思うがな!」
「確かに正直、立っているのすら辛い状態だ。だけど、それは俺以外の奴も同じだ。だから、俺もここで倒れる訳にはいかない!」
「そうか・・・じゃ、俺はここでラフェイルとは手を退いて次の依頼主の下に行かせてもらう。おい前原、いつか必ずリベンジさせてもらう。それまで絶対にくたばるんじゃねえぞ!じゃあな!」
バロンはそう言った後にこの場から姿を消した。最後にバロンは俺を名前で呼び、リベンジさせてもらうと言ってたな。正直、俺は女の子と仲良くお茶したいところなんだが、まあ、リベンジマッチぐらいは受けてやるか。殺しとか抜きでならな・・・
前原君がバロンに勝利した後、殺せんせーとリボーンが僕ら全員に出来るだけの回復処置を行い、痺れガスの効果が切れた頃には既に約束の時間まで後、残り3時間となっていた。
「なあ、どうだった?さっきのバロンとの戦いで勝った俺、格好いいと思わねえか?もし、そう思ったら俺と今度デートでもしようぜ!」
「そう・・・さっきの戦いを見て精神も成長してたと思っていた私がバカだったわ!アンタなんかデート以前にこれでも喰らっておけ!」
「ギャアアアアッ!!?や、止めろ岡野!?し、閉まってる・・・閉まってるから・・・」
前原君は確かに強くなったが、心の中は成長していなかった・・・そんな前原君に逆海老固めでお仕置きする岡野さんを見て、やっぱり前原君は前原君なんだと思った。殺せんせーは前原君がさっきの戦いで生み出した時雨蒼燕流の新たな型である螺旋の雨について説明した。
「前原君、君がさっきの戦いで生み出した螺旋の雨は刀の刀身の背を蹴る事で刀の切り上げの勢いを強め、その刀が蹴った勢いで背中の後ろにいくので背車刀に切り替えて攻撃する技です。蹴った勢いで威力の上がった切り上げによって空気が螺旋を巻いた強大な空気の渦となり相手を引き寄せていましたね。それほど強力な技だという事です。当然、最後に背車刀に切り替えて攻撃に移る事で空気の渦と蹴った勢いが残った影響で凄まじい威力を持った斬撃となりますので、決まればどんな相手もほぼ一撃で倒せるでしょう。ただし、今回の相手は歴戦の戦いを生き抜いた猛者だったから良かったものの、本来なら螺旋の雨を受けた相手は真っ二つに切れてから空中に打ち上げられていたでしょう。それほど殺傷力が高い技なんです。だから、その技を含めて時雨蒼燕流を放つ時は峰打ちにしておいとく事を先生は勧めます。先生は君に先生以外の命を奪う様な事だけは避けてもらいたい。」
「解ったよ、殺せんせー。出来るだけ峰打ちにしておいとくよ。でも、ラフェイルって奴との戦いでは峰打ちはやらないけどな。」
「ええ、ラフェイルという男は峰打ちして勝てる相手では無い。ラフェイルとの戦いでは許可しましょう。それと、螺旋の雨は威力が高過ぎて反動も大きい。今の前原君では1日に1回が限度でしょう。螺旋の雨の反動は蓄積すれば身体能力を大幅に落としかねない。ですから、螺旋の雨を使うのは本当にヤバい相手の時だけにしなさい。さもないと、あなたの身体が持ちませんからね。」
「確かにな・・・螺旋の雨を放った時、身体全体が軋むかの様な感じになっていたからな・・・螺旋の雨は極力使わない事にするか。」
前原君が生み出した螺旋の雨は威力が高い分、大きなデメリットも持っていた。ラフェイルとの戦いでは前原君に無茶させない様にしないと・・・
「よし、お前ら。十分に休んだだろ。さっさと茅野を助けにこの先の製鉄所へ向かうぞ!茅野とラフェイルがいる製鉄所にはもう少しで着くからな。解ったなら出発するぞ!」
リボーンの合図を聞き、僕らはラフェイルと茅野がいる製鉄所へ向かうのであった。もう少しで茅野を助けられる。だけど、その為にはラフェイルと戦う事になるだろう。ラフェイルは影に潜ったり、影から巨大な悪魔の腕みたいなのを召喚して使役する能力を持っている。そんな相手に僕らは勝てるのだろうか・・・いや、勝たないといけないんだ!茅野を助ける為に、僕らは絶対にラフェイルと戦って勝つしかないんだ!
前原はバロンとの戦いの中で、前原オリジナルの九の型を作り出し勝利しました。
次回はラフェイルとの決戦です。多分、後編も出たりします。
一応、アメルダとバロンのプロフィールを載せておきます。
名前:アメルダ
性別:女
年齢:19歳
誕生日:9月29日
血液型:B型
出身地:ドイツ
最近気になった事:自分は老けて見えるのかどうか・・・
好物:タコス
顔半分を道化師の様な仮面で隠した橙色のショートヘアーの女性。性格はサディストで相手をいたぶるのが趣味で、負けず嫌いで男勝りだが、実は内面は乙女だったりするのか、オバサン呼ばわりされた時はさすがに傷付いたらしい。尚、渚達との戦いで最後まで負けを認めなかったが別に恨んではいないので何処かの器の低い防衛省のぽっちゃり野郎とは違う。むしろ、この敗北をきっかけに相手が子供だろうと侮らない事にしたらしい。尚、ラフェイルとはあくまでも上司だから従っているだけであり、好みの男性では無いらしい。彼女の好みの男性は渋い雰囲気のダンディーなおじ様らしい。顔を半分仮面で隠した理由は彼女は元々サーカスをやっていた一家の一人だったが、ある日にサーカスのテントで眠りに着いてたところを放火魔によってテントを燃やされ、自分だけ生き残ってしまい、その時に顔半分を火傷し、サーカスの団長だった父の形見である半分に割れた道化師の仮面を着けて火傷の跡を隠した。その後、どういう経緯かラフェイルの所属する、あるマフィア組織のメンバーになった。
名前:バロン
性別:男
年齢:26歳前後(下記に記入した理由が主なもので自分でも詳しい年齢は解らないらしい。)
誕生日:不明(本人曰く物心ついた時から誕生日を祝う奴なんていなかったので、誕生日は本当に忘れたとの事。)
血液型:AB型
出身地:インド
好物:カレー ナン お茶
最近気になった事:人との繋がりはどれ程強いものなのかどうか
今回、前原と激闘を繰り広げたインド生まれの傭兵。物心ついた時から一人だけの力だけで生き残ってきたので、他人との繋がりを拒絶してたが、前原と戦い、考えを改めたらしい。最初に登場した際の変人の様な話し方は本人曰く生き残っていく為の処世術で、この話し方が一番相手を油断させながら、イラつかせて冷静さを奪える為だという。本当の口調は単に少し口が悪いだけの自信家という感じで、本人は本来の口調でいる時は一人でいる時か完全にイラついてきた時だけにしてるとの事。彼の使用する我流剣術である蜃気楼流は今回出た三つだけではなく、他にも有るとの事。もしかすると、彼は何処かで自身が気付かない内に前原との戦いは手加減してたのかもしれない。50以上の戦場で戦っているというので、陽動作戦とか罠の作成とかも上手なのかも・・・ラフェイルとは依頼を受けて協力してただけで、ラフェイルの事は内心嫌っていた。実は痺れガスを蒔いたり、誰かを人質にする様な卑怯な真似は快く思っておらず、意外と正々堂々と戦う事を好んでいる。もしかしたら、その内にE組の味方になるかもしれない・・・