暗殺教室 ~バーニング・デイズ~   作:ロナード

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今回はラフェイルとの戦いの前半となります。


標的8 覚悟の時間 二時間目

「やっと、着いた。ここに茅野が・・・」

 

僕らは遂にラフェイルと茅野がいる製鉄所にたどり着いた。長い間、使われてないのか建物全体が古びており埃っぽい感じだ。

 

「さあ、皆さん。いよいよ、茅野さんを助ける事が出来ます。しかし、その前にラフェイルとの戦いは避けられないでしょう。皆さん、覚悟は宜しいですか?」

 

『勿論!』

 

「どうやら覚悟は出来てるみたいだな。いくぞ、ラフェイルを倒して茅野を助けるぞ!」

 

殺せんせーとリボーンの合図と共に僕らは製鉄所の中へと入っていた。

 

 

 

製鉄所の中を進んで行き、一番奥にまで来ると、ラフェイルの姿が見えた。

 

「やっと到着か?今の時刻は夜の7時半、約束の期限まで2時間半は残っての到着だな。」

 

「あなたがラフェイルね!茅野さんは何処にいるの?本当に無事なんでしょうね!」

 

片岡さんがラフェイルに茅野が何処にいるか問い質すとラフェイルは答えた。

 

「ああ、無事だ。今、人質のお嬢ちゃんはあそこの宙ぶらりんしてる鉄檻の中にいる。」

 

ラフェイルが指差した先には、宙に釣り上げられた鉄檻に閉じ込められた茅野の姿だった。

 

「茅野さん!?あの茅野さん、大丈夫ですか?」

 

「今のところはひとまず平気かな?奥田さん、心配しないで・・・多分、まだ平気だから・・・」

 

奥田さんに無事かどうか聞かれた茅野は今のところは何とか無事の様だ。だけど、僕らが来た以上はラフェイルによって茅野が危険な目に合う可能性は有るので、早く茅野をあの鉄檻から出さないと・・・

 

「ヌルフフフ・・・ここまで来れば、さすがに茅野さんには手は出せない筈。なら、先生が今こそ動く時です!」

 

殺せんせーが宙に飛び上がり、茅野を助ける為に茅野が閉じ込められた鉄檻に触れたのだが・・・殺せんせーの触手が鉄檻に触れただけで溶けてしまい、殺せんせーが助けようとしても助けだせない状態だった。

 

「無駄だぜ、超生物!その檻は特殊な加工を施して作られた対超生物用の金属で作られた特性の檻さ。残念ながら、お前では人質を助けられない。何せ、檻に触手一本すら触れる事は許されないからな!」

 

「ググッ・・・さすがに私への対策はされていましたか・・・」

 

そんな!?殺せんせーでも助けられないなんて・・・ラフェイルはやはり、一筋縄ではいかない相手だという事か・・・

 

「それに忘れたのか?超生物かソコのアルコバレーノが手を出した時点で嬢ちゃんの無事は保証しないとな!今、嬢ちゃんを助け出そうとしたのを手出ししたと認識させて貰った。よって、嬢ちゃんの身に危機が訪れる事になったぜ!」

 

ラフェイルが茅野を助け出そうとして動いた殺せんせーの行動は手出ししたと認識し、指を鳴らすと茅野が閉じ込められた鉄檻の下の床が開く。開いた床には溶けた鉄が溜まっており、まるで溶岩の様に溶けた鉄が流れていた。

 

「きゃあああっっ!!?な、何っ!!?」

 

「茅野、落ち着いて!?何とかして助けるから・・・」

 

茅野は自分の身に危機が迫っている事でパニクるので、僕が落ち着いて助けを待つ様に言い、茅野は少し落ち着きを取り戻した様だ。今の茅野の反応を見たラフェイルはまるで余興を見るかの様で薄笑いを浮かべていた。

 

「ははっ。どうだ超生物にアルコバレーノ?勝手な行動をした事で自分の生徒に危機が迫っていく様はよぉ?」

 

「ラフェイル・・・あなたには人としての血と涙は流れていないのですか・・・」

 

「何を言ってるんだ、超生物?俺にも血と涙は流れているっつうの!」

 

ラフェイル・・・この男はまるで怪物だ。殺せんせーとは違い、心が人を弄ぶ悪魔の様な怪物の様だ。ボンゴレ十代目の居場所を知る為だけに第三者である茅野を人質にしては、茅野をあんな危険な目に会わせているこの男は許せない!この思いをこの場の皆が思っているだろう。

 

「ラフェイル!!あなたはボンゴレ十代目の命を狙っている様だけど、一体何故かしら?無関係な茅野さんを巻き込んでまで、ボンゴレ十代目の居場所を聞いてはボンゴレ十代目を殺そうとするのはどうして?」

 

不破さんがラフェイルに何故、ボンゴレ十代目の命を狙っているのか問い質した。すると、ラフェイルは少しそっぽを向いて呼吸を整えると質問に答えた。

 

「ま、いいだろ。俺の臣下であるアメルダを戦略で倒し、世界的に名を馳せた傭兵であるバロンを退けたんだ。その褒美程度に教えてやるとするか。俺はヴィスタファミリーの一員だ。おっと、アメルダもそのファミリーの一員だ。」

 

「ヴィスタファミリーだと・・・一年前からちらほら名を聞く様になったが、ファミリーの名前である『幻影』の通りに全容が謎に包まれたファミリーの一員だったのか・・・」

 

どうやらリボーンはラフェイルが所属するマフィア組織のファミリーネームを聞いた事が有る様だが、イタリア語で『幻影』という意味のファミリーネームを持つ様に謎に包まれた組織の様だ・・・

 

「知っててくれてありがとよ。俺の所属するヴィスタファミリーはボンゴレ十代目の命を狙っている。何故かって言うとな、ボンゴレファミリーは裏社会の中でも一番名を馳せたファミリーだからな。ボンゴレ十代目はかの有名なSAO事件で意識が無い状態だ。だから、ボンゴレ機密の場所に匿っているんだろ?意識が無い状態の人間を殺すのは誰でも出来る事だしな!そんで、ボンゴレファミリーの後継ぎであるボンゴレ十代目を殺せば、ボンゴレファミリーは正式な後継ぎがいない以上は滅び、ヴィスタファミリーが裏社会の頂点に立つ訳さ!で、その後は・・・おっと!これ以上は言えないな。ま、ボンゴレ十代目の命を狙っている理由は解ったろ?」

 

「そんな目的で茅野に僕らを巻き込んだのか!?それに、意識が無い状態の人を殺してまで名を馳せようとするなんて・・・プライドとか無いのか!!」

 

「ははっ。言ってくれるなぁ、水色の髪の女々しい坊っちゃんよぉ!アメルダにスタンガンを当てた事は褒めてやるが・・・これ以上、茶々入れするなら只じゃすまねえぜ?」

 

ラフェイルが何者で何を目的で動いているだとかはどうでもいい。只、茅野を巻き込んでは茅野を危険な目に会わせているこの男は絶対に許す訳にはいかない!

 

「ラフェイル、僕はあなたを許さない!!茅野を危険な目に会わせてまで、名を馳せようとしてる組織なんかが裏社会の頂点に立てる訳が無い!」

 

「許せないねぇ・・・俺の実力は知ってる筈だぜ、坊っちゃん。戦おうとするのは無謀だぜ。」

 

ラフェイルは自分と戦おうとしてる僕をバカにするかの様な態度を取るが・・・

 

「渚君。何を勝手に一人で格好付けてるの?俺だって許せないよね、このオッサンはね!!だから俺も戦うよ。渚君が止めても勝手にやるからさ。」

 

「カルマ君・・・」

 

「そうだぜ渚!カルマの言う通りだ。この男を許せないのは俺だって・・・いや、皆が同じだ。だから、一人だけで戦おうとするんじゃねえ。俺はあのオッサンに時雨蒼燕流を習わされた理由が解った。あのオッサンはきっと、こんな時の為に時雨蒼燕流を俺に教えてくたんだと思う。時雨蒼燕流で仲間を守れってな!」

 

「そう言う事。前原君が言う様に皆が渚君と同じ気持ちよ。だから、私達も戦う!こんな勝手な考えの奴には一矢を報いてやらないとね!」

 

『そう言う事さ、渚!』

 

「前原君、片岡さん、それに皆まで・・・」

 

「そうです渚君。皆の言う通りです。先生だって彼を許せない。だから先生も戦いますよ。彼を触手攻めにしてやりますよ!」

 

「渚、俺はボンゴレファミリーの掟で手は出せない。だが、俺は信じてるぞ。お前らE組の勝利をな!」

 

そうだよね・・・ラフェイルを許せないのは皆が同じだ!だから、皆と一緒に戦うんだ!

 

「言ってくれるじゃないか。そこまで言うなら覚悟は有るって事でいいな?アルコバレーノは手を出さない様だが、戦いを開始する前にちょっとした余興をサプライズしてやる!」

 

ラフェイルが指を鳴らすと、茅野を閉じ込めた檻を支えていた金具が外れると下に流れている溶けた鉄の中に落ちていく!?

 

「キャアアァァッッ!!?」

 

「茅野さん!!?今、先生が助けます!?」

 

落ちていく茅野を閉じ込めてる檻を殺せんせーが何とか金具に付いていたフックを持ち、天井の鉄骨に脚の触手を絡めると茅野が閉じ込められてる檻を支えて落ちない様にした。だけど、これでは殺せんせーが支え続けていないとならないので、殺せんせーは動けないも同然だった・・・

 

「やっぱりな。こうすりゃ、生徒思いの優しい超生物様は助けに向かうと思っていたんだが、ここまで上手く行くとは思ってなかったぜ。その檻はお前が触れられない性質上、支えていたフックを持つしか檻を持つ手段は無いし、檻を投げて溶けた鉄が流れていない場所に飛ばす事も出来るが、それだと人質のお嬢ちゃんの身に負担を掛ける事になるしな!生徒思いの超生物は最早、お嬢ちゃんを閉じ込めた檻を支え続けるしかない以上、お前らだけで俺と戦う事になる訳だ。って事で改めて聞く。本当に戦う覚悟が有るのか?」

 

『勿論、有るさ!』

 

ラフェイルの策略で殺せんせーが動けない以上は僕らが殺せんせーの分まで戦う決意をしたので、ラフェイルに戦う覚悟は有ると伝えた。

 

「ククッ・・・こりゃ、本当に戦う気みてえだな・・・フハハハハッ!いいだろう、余興程度に相手してやるよ!俺が本当の戦いってのを特別に教えてやるよ!」

 

ラフェイルは僕らを嘲笑っているが、既に前原君が仕掛けに向かっていた。

 

「隙だらけだぜ、オッサン!俺らが中学生だからって、いくら何でも油断し過ぎだろ!バロンは間違っても、そこまでナメてはいなかったぜ!時雨蒼燕流 攻式八の型 篠突く雨!」

 

前原君が篠突く雨を放つと、ラフェイルの右腕に当たったが・・・金属にぶつかったかの様な鈍く大きな音が響くと前原君の刀が弾かれた。

 

「油断?違うな。これは・・・余裕って言うんだよ!」

 

ラフェイルはそう言うと右腕を挙げた。すると、ラフェイルの右腕に黒い塊が集まっていき、ラフェイルの右腕がまるで鋭利な爪を持つ巨大な悪魔の腕の様になる。

 

「な、何!?何だよ、その腕は!!?」

 

「聞かなかったのか?俺は影を操る能力が有るのを聞いていないのか?ま、あの時は影から姿を見せたり、遠くの影から腕を作り出した程度だけどな。俺は影に実体を持たせて自由に操れるのさ!それを応用すれば、影を強力な武器や防具にする事も出来るのさ!」

 

「それで右腕に影を纏ってまるでガントレットにして、俺の篠突く雨を防いだのか・・・」

 

「そう言う事だ。って事で一番戦闘力が高いお前は脱落しな!」

 

「グワァアッ・・・」

 

ラフェイルは変化した右腕で前原君の胸を何の躊躇いも無く貫くと、前原君は胸から大量の出血をして意識を失い、その場に倒れてしまった・・・

 

「はい。一人脱落!」

 

「前原!!?あ、あんたよくも前原を・・・」

 

「おいおい!?一応、心臓を避けてはいるんだぜ。もしかすると、助かるかもな。処置が間に合えばだけどな!」

 

「許せないわ!前原は女たらしで浮気性で軟派野郎の男としては屑の部類だけど、基本的に優しくて頼れる奴だったのよ!それなのに・・・そんな前原をよくも殺してくれたわね!!」

 

「岡野・・・前原はかろうじて生きてるぞ。勝手に殺さないでやってくれ・・・」

 

岡野さんは前原君の胸を躊躇いも無く貫いたラフェイルに怒りを感じていたが、前原君が死んだ事前提だったのでリボーンが前原君はかろうじて生きてる事を伝えた。リボーンが応急措置で前原君を治療するが、状態はやはりかなり悪いらしく、リボーンの表情に焦りを感じた。

 

「ヤバいな・・・この傷じゃ、応急措置だけじゃ足らねえ・・・ボンゴレアジトに戻れば豊富な医療機材で回復を見込めるんだが・・・ラフェイルを倒す倒さない以前に今すぐボンゴレアジトに戻っても手遅れになりそうだな・・・」

 

「そんな・・・前原君・・・」

 

リボーンの言葉を聞いて、僕は今までにない絶望を感じた。間違いなくラフェイルは僕らを本気で殺しに来ている。アメルダの様にいたぶる訳ではなく、バロンの様に自分の誇りに掛けて戦っている訳じゃない。まるでラフェイルは僕らをハンティングゲームの獲物の様に確実に仕止めに来ている・・・僕はさっきまでの怒りが嘘だったかの様に脚が恐怖で震えてしまい、動けなくなってしまった・・・これが死への恐怖なのか・・・殺せんせーはいつもこんな感情を持って生活してるのか・・・恐怖を感じていない可能性の方が高そうだが、こんな感情を持って生活していたとしたら殺せんせーは本当に凄い・・・だけど、僕には無理だ・・・ラフェイルへの怒りより恐怖の方が勝ってしまった以上、身動きが出来なくなってしまった。

 

「オッサン・・・俺は正直、仇討ちとかするキャラではないけどさ・・・俺の知り合いを殺そうってなら許さないよ!」

 

「ほう?あの時の赤色の髪の坊主か。少しはあの時よりは楽しめる相手になったのか?」

 

「さあ?どうだろうね・・・言っとくけどさ、俺はアンタの遊び道具じゃないって事は確かだね!」

 

僕が恐怖で動けない中、カルマ君はラフェイルへの恐怖を感じていないのか・・・いや、恐怖に打ち勝ったのかサバイバルナイフを手にして、ラフェイルに突っ込んでいった。カルマ君はナイフをラフェイルの顔面に向けたが、ラフェイルによってナイフは先程の右腕で受け止められ砕かれてしまった。

 

「どうした?この程度か?」

 

ラフェイルはカルマ君を小馬鹿にするかの様に薄笑いするが、カルマ君はナイフを持っていた手とは逆の手にスタンガンを手にしていた。

 

「例え、影を操って全身に鎧を纏ったとしても電気は通す筈・・・電気が通りさえすれば気絶させる事は出来るよね?」

 

カルマ君はスタンガンをラフェイルの左脇に当てようとしたが・・・

 

「残念だが影は電気を通さないのさ!それに坊主。何か大事な事を忘れてないか?俺は遠くの影も操れる事をな!もしかすると勘違いしてるのか?俺は影を二つ以上を同時に操れないとな!」

 

「何だって!!?グハッ・・・」

 

カルマ君はラフェイルは二つ以上同時に影を操る事は出来ないと考えていなかったのか、ラフェイルがカルマ君の後ろから巨大な腕を作り出すと、巨大な腕がカルマ君を掴み、壁にカルマ君の頭を思い切り叩きつけた。カルマ君は頭から血が出血し、脳震盪を起こしたのか意識を失い気絶してしまった。

 

「二人目脱落と・・・後で止めを刺してやるから待ってな坊主!で、次は誰だ?」

 

前原君に続いてカルマ君まで倒れてしまった。これでは本当に僕らはハンティングゲームの獲物みたいだ・・・

 

「ふざけないで!!私達はカルマの言う様にアンタの遊び道具じゃない!前原によくもあんな真似をしてくれたわね!」

 

岡野さんはラフェイルが前原君に深手を負わせた事に怒り続けていたのか、ラフェイルに突っ込んで回転蹴りをラフェイルの横顔に喰らわせようとしたが、ラフェイルは変化すらしてない通常の状態の左腕で岡野さんの脚を受け止めてしまった。岡野さんはラフェイルに掴まれた脚をラフェイルから引き抜こうとするが、ラフェイルの腕から抜けられる素振りは無かった。

 

「くそ、離しないよ!!」

 

「ほう?良い脚してるねえ。新体操とかやってたりしたのかな?性格はがさつそうだが、俺好みだ。中学生なのが残念だが、どうだ?俺の愛人になりゃ、優遇して贅沢な暮らしをさせてやるが?」

 

「ふざけんな!!誰がアンタの様な外道の愛人になるか!!お断りよ!アンタなんか大嫌いだから!!」

 

「おっと、そりゃ残念。じゃ、仕方無い。なら、砕かせてもらうぜ!」

 

「ひぎいぃっっ!!?」

 

岡野さんの脚から砕ける音が響くと、岡野さんは痛みによってか気絶してしまった。

 

「三人目と・・・迎え撃つのもめんどくさいな・・・ここからは俺が仕掛ける番だ!さてと、ハンティングゲームといくか!」

 

遂にラフェイルが攻めに入る様だ・・・本当にラフェイルにとっては僕らの相手をする事はハンティングゲームに等しかった様だ・・・ラフェイルが攻めに入った瞬間から次々と僕の仲間がラフェイルが操る影によってヤられていく・・・

 

『ウワアアァァッ!!?』

 

「四人目、五人目と!男は水色以外潰したと・・・さて次は・・・」

 

巨大な腕を作り出し、千葉君と岡島君を握り潰すかの様に締め付け、二人の身体の骨を砕き二人を気絶させた。

 

『キャアアッッ!!?』

 

「はい、残った女子達も全滅と!女は調教でもするか・・・」

 

片岡さん達、女子には彼女達の足下から腕を作り出し、脚を握り潰して脚の骨を砕き、その痛みで気絶する人もいれば、気絶しなかった者には影の腕が頭を掴み地面に叩きつけて気絶させた。どうしてだ・・・何で僕以外の皆を先に片付けたんだ・・・ラフェイルは僕のそんな疑問に気付いたのか、口を開く。

 

「おいおい、水色。お前は何で自分以外の皆を先に片付けたのか疑問に思っているみたいだが、答えは簡単だぜ。お前が最初に俺に向かって俺を許せないと言ってたんだぞ。それを忘れたのか?ま、無理もないか。あの刀使いの胸を目の前で貫いてやったんだ。普通、一般人が見たらトラウマ物だよな。だからか、お前は怒りを感じていたのに怒りより後で来た恐怖の感情に負けてしまい、怖じ気ついている。そうだろ?」

 

認めたくないけど否定出来ない・・・僕は最初にラフェイルに戦う意思を持って前に出たのに、今は恐怖で怖じ気ついて動けないでいる・・・僕は本当に弱い人間だ・・・

 

「それで戦うのか俺と?それとも戦わずに尻尾巻いて逃げるか?俺はどちらでもいいぞ。逃げるなら、今回は特別に見逃してやる。だが、逃げた時点でお前は仲間を見捨てて逃げた臆病者の負け犬となり、一生それを後悔しながら生きる事になるけどな!」

 

僕はどうすればいいんだ・・・逃げたいけど、仲間を見捨ててまで逃げたくない。でも、ラフェイルが恐くて戦う勇気が出ない・・・僕は本当に情けない奴だ・・・ラフェイルは今悩む僕を見て、薄笑いながら僕にこう告げる。

 

「逃げるのが嫌なら自殺すればいい。そのナイフで自分の喉をさせばいい。そうすれば、あまり痛い目に合わずに死ねるぜ!臆病者!」

 

臆病者・・・僕は本当に臆病者だ・・・確かにいっそのこと自殺すれば楽なのかもしれない・・・そんな考えが頭を横切った時だった。

 

「渚は臆病者なんかじゃない!臆病者はラフェイル、あなたの方よ!」

 

「茅野!?」

 

茅野は檻に閉じ込められた中で今までの出来事を見ていたんだった。殺せんせーは檻が落ちない様に支えるのに精一杯の様だが、殺せんせーも見続けていた。茅野は臆病者は僕じゃなくラフェイルの方だと言う。

 

「俺が臆病者だと?どういう事だお嬢ちゃん!!」

 

「そのままの意味よ!だって、あなたは私を人質にして渚達をここまで引き寄せた。それに殺せんせーの動きを封じ込める為に私が閉じ込められた檻を溶けた鉄の中に落ちる様に仕向けて、殺せんせーが落ちない様に支える様に動きを制限させた。そんな奴こそ臆病者じゃないの!」

 

「言わせておけば・・・人質がでしゃばるんじゃねえ!!」

 

ラフェイルが茅野が閉じ込められた檻に向けて影で作り出した槍を飛ばしたが、その槍を殺せんせーが受け止めて防いだ。殺せんせーの黄色い身体は黒く変色しており、ド怒りの様だ。

 

「ラフェイル!!私は生徒達に大怪我を負わせたあなたの所業を決して許す事は出来ません!今すぐにあなたを倒したいところですが、今私は茅野さんを閉じ込めた檻を支えるのに精一杯だ。だから、あなたを倒すのは私の役目では無い!あなたを倒すのは渚君の役目です!」

 

殺せんせーはそう言うと元の黄色い身体に戻り、ラフェイルを倒すのは僕の役目だと言った。

 

「俺を倒すのは、ソコの水色だって?笑わせるなよ!コイツは恐くて動けない蛇に睨まれた蛙と同じだよ!そんな奴が俺と戦える訳が無いだろ!」

 

「黙ってろ、ラフェイル!!テメエこそでしゃばるんじゃねえ!」

 

笑いこけているラフェイルにリボーンが黙ってろと叫ぶと、リボーンは僕の側に来て、僕に語りかけてくる。

 

「渚。後はお前次第だ。お前の気持ちを吐いてくれ!それが答えになる!」

 

「僕の気持ち?」

 

「ソイツの気持ちを吐かせたところで何の意味が有るんだ?ソイツの気持ちは恐いから逃げたいか仲間を置いて逃げたくないぐらいさ!」

 

ラフェイルが嘲笑うが、僕は自分自身の本当に思っている気持ちを吐いた。

 

「僕は勝ちたい!この男だけは本当に倒さないといけない!だから僕は勝ちたい、ラフェイルを倒したいんだ!」

 

僕は恐怖で沈みかけてた気持ちである、ラフェイルに勝ちたい、ラフェイルを倒したいと叫んだ。僕の叫びを聞いたラフェイルは呆れたかの様な顔をするが、そんな事は関係ない。この叫びこそが僕の本当に思っている気持ちだから!

 

「こりゃたまげた・・・まさか、俺に勝ちたい、俺を倒したいと言うとは思いもしなかったよ。でも、そんな事を思っても俺に勝てはしないぜ!」

 

「それはどうかな?渚の覚悟を聞いた今、繭になっていたレオンが覚醒した!」

 

「何だと!!?何が起こっていやがるんだ!?」

 

僕の事を嘲笑うラフェイルだったが、リボーンの一言を聞き繭になっていたレオンに視線を向けると、レオンが光始めると空中に浮かび、口から何かを吐き出すかの様に口からクチュクチュと物音を立て始めた。

 

「レオンは俺の生徒に試練の時が迫った時、繭になるんだ。その試練に合格すれば、レオンが生徒専用のアイテムを吐き出すんだ。そんで渚、お前の試練は今の状況で自分の本当に思っている気持ちを吐き出す事だった。よって試練は合格と見なして、レオンはお前専用のアイテムを吐き出す。それでラフェイルを倒せ!」

 

僕専用のアイテム?どんな物が来るか解らないが、この男に勝てる可能性が有るなら何でもいい。レオンは僕に向けて何かを吐き出した。僕はレオンが吐き出した物をキャッチし、吐き出された物を確認したのだが・・・

 

「これ・・・只のボールペンじゃないか!!?」

 

そう、吐き出された物はまさかの只のボールペンだ・・・一応、持っていたメモ用紙に適当に文字を書いたが単に書きやすいボールペンという感想しか無い・・・レオンは繭から元の姿に戻り、リボーンの帽子の上に戻っていたが、僕は思わずリボーンに問い質す。

 

「リボーン!?これでどう戦えって言うんだよ!!ラフェイルに落書きでもしろって言うのか?只の嫌がらせにしかならないじゃないか!?」

 

「知らねえ。いいから持ってろ。それがどんな物で有れど、レオンが吐き出したお前専用のアイテムだ。」

 

「残念だったな!頼みの綱も結局はデマだったみたいだな!」

 

結局、ラフェイルに笑われてるだけじゃないか・・・こんなのでどう戦えと・・・あれ?何かおかしい?僕がキャッチしたのは二つだった様な・・・僕がその事に気付くと、僕の服の袖から赤い目の白い蛇が姿を見せた。まさか、この蛇も・・・

 

「もしかして、この蛇、レオンが吐き出したの?」

 

「そうみたいだな。その蛇もレオンが吐き出したお前専用のアイテムってか、相棒と言った方が正解か。」

 

「待って!?蛇が何でカメレオンから産まれるんだよ!?爬虫類という共通点しかないぞ!?」

 

「そのツッコミはごもっともだが、気にしないでくれ。その蛇はお前の思いを聞いたレオンが創造したんだぞ、そのボールペンもな。」

 

蛇を確認するが、どう見ても白いだけの何処にでもいそうな細い無毒な蛇にしか見えない。だが、この蛇は他の蛇と違っていた。伸びるのだ。まるでゴムの様にしなやかに伸縮して伸びるし、ゴムと違って弾力性が高くて切れる様な体では無さそうな他の蛇と違った体の蛇だ。

 

「ゴムみたいに伸びる体を持つ蛇か・・・ソイツの名はネークにしろ渚。」

 

「ネークって・・・スネークだからって、まんま過ぎるだろ!!?」

 

リボーンに半ば強引にネークと名付けられた蛇は僕の目を見て何かを伝えようとしてるかの様に見えた。僕がネークの顎を撫でると、ネークは口から一発の弾を吐き出した。リボーンはその弾を見ると自分に渡す様に指示した。

 

「渚、その弾を俺に渡せ!」

 

「う、うん。」

 

僕はリボーンに弾を投げ渡すと、その弾をキャッチしたリボーンは弾を拳銃に入れた。まさか、その弾を撃つきなのか!?

 

「死ね!」

 

リボーンはその一言と共に銃の引き金を引いた。その弾はラフェイルでは無く、僕の頭の額に当たり、僕は倒れた・・・

 

 

 

 

「渚!!?どうしてリボーン!?どうして渚を撃ったの!!?何で渚を殺したの!!?」

 

茅野は渚を撃ったリボーンに何故、渚を撃ったのか尋ねた。すると、リボーンはこう答えた。

 

「いや、茅野。俺は確かに渚を撃った。だが、俺が撃ったのは特殊弾である小言弾だ。この弾は相手を殺す為じゃなくて、相手を覚醒させる為の弾だ。渚は死んではいない。只、覚悟を再び問われるだけだ。渚の覚悟が本物で有れば、渚は強くなって復活、リ・ボーンする!それが小言弾の力だ。ただし、覚悟が低ければ本当に死ぬけどな。」

 

「茅野さん。信じましょ、リボーンを。そして渚君の覚悟を!」

 

「渚・・・無事でいて!!」

 

 

 

 

僕はリボーンに撃たれ倒れた後、暗い世界にいた。その暗い世界で僕は茅野が僕の事を心配してる様で茅野の祈りが僕に届いた。その祈りの後にリボーンの声が響いていく。

 

『渚。これは小言弾による効果だ。今から様々な小言がお前に向かってくる。どんな内容だろうと耳を反らさずに聞けよ!』

 

僕の頭に様々な人達の小声が聞こえていく。僕の事を見下す椚ヶ丘中学校の本校舎の生徒や教師の僕に対するバカにするかの様な小言が聞こえた時は、死ぬ時にまでエンドのE組の生徒だと思い知らされるのかと思ったが違った。僕の事を見下す者達の次に聞こえた声は今回の戦いで倒れた仲間達の声だった。

 

『ごめんな・・・俺達はもう少し頑張りたかったんだが、アメルダにヤられちまって面目無かったぜ・・・でも、俺達がヤられても他の皆がきっと茅野を助けてくれるって信じてるから任せるぜ!』

 

これはアメルダとの戦いで倒れた杉野に菅谷君に三村君の三人の言葉だ。この三人以外にもこの戦いで倒れた仲間達の声も聞いた。ラフェイルを倒して茅野を助ける。例え、最後の一人になっても残った者が倒れた者達の思いと一緒に戦ってくれる事を信じてるという意思だった。並盛に来ていない磯貝君達の声も届き、磯貝君達はゴールデンウィークが終わった後に皆といつも通りの会える事を祈っていた。その後に殺せんせーの声が届いた。

 

「渚君、先生は信じています。あなたなら、ラフェイルを倒せるとね。だから、渚君。君は決して諦めてはならない!君を含めたE組の生徒は全員が可能性を秘めた者達です。決して落ちこぼれの集まりじゃありません!ですから、仲間を信じると同時に自分を信じて戦いに望みなさい!」

 

自分を信じる・・・そうだ。僕は自分の事を一番信じていなかった。自分を信じられない者が他の相手に勝てる筈が無い!僕はこれからも些細な事で悩み続けるだろうが、今一番大事なのは自分を信じる事だ。今は自分の意志を信じて戦うんだ!仲間達の思いも背負いながら!

 

「どうやら覚悟は出来た様だな。俺が言いたい事は言わなくても解るよな、渚?」

 

勿論だ、リボーン!僕はもう迷わない!もう逃げたりしない!僕は選んだ!ラフェイルと戦って、ラフェイルに勝って茅野を助ける事を!

 

 

 

 

僕が自分の意志を信じて戦う事を決意すると、僕は立ち上がり、ラフェイルの前に出た。今の僕を見てラフェイルは驚いている・・・

 

「バカな!!?その頭から出る炎は死ぬ気の炎・・・しかも大空の炎だと!!?」

 

「これは死ぬ気の炎と言うのか・・・」

 

僕の頭の額には橙色の炎が灯っていた。だけど、その炎は灯してる僕には熱く感じず、むしろ自分の身体の一部の様に感じる。そして、あのボールペンが姿を変えていた。水晶の様な透き通った刀身を持つ剣となっていた。

 

「この剣があのボールペンの真の姿だったのか・・・」

 

「まさか、ここまで様変わりするとは思っていなかった・・・だが、それでも俺に勝つのは不可能さ!」

 

ラフェイルは未だに余裕そうだが、今の僕にはもう恐れは無い。僕はもう逃げたりしない!絶対に僕は勝つ!この男に!

 

 

死ぬ気の炎と言う不思議な炎を額に灯し、水晶の剣を持ち僕はラフェイルとの決戦を開始するのであった。




今回の戦いで渚以外の皆が倒れ、前原は胸を貫かれてしまいましたが、ちゃんと救済処置は有りますのでご安心を。ラフェイルが所属するヴィスタファミリーは幻影の意味を持っており、その名の通り謎が多いファミリーです。尚、活動内容は案外質が悪いモノが多いので、他のマフィアからは余り快く思われてないです。

次回は渚とラフェイルの戦いです。果たして、勝てるのか・・・
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