デート・ア・ライブ–希望と命を繋ぐのは絶望を体験せし者– 作:黒乃 柳
1年程前に書こうとした作品の再投稿です、アニメ1期、2期、映画、DVDは視聴済みで原作は最近読み返したばかりなので不備はあるとは思いますが暖かく見守って頂ければ幸いですm(_ _)m
絶望の中での出逢い
ある少年が居た
少年は一人の少女に恋をしていた。
…が、その想いは叶う事無く寧ろ少年が亡き母から託された家族…弟と少女が想い合っている事を痛感した
彼には生まれ付き、というより生まれた家が普通の人とは一味も二味も違う為に過去や未来を見通す力があった。
——そう、弟や少女に刺される瞬間にそう遠くない未来を観たのだ
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「へへ…可愛いな…」
清潔感溢れる病室に横たわる女性とその傍らに小さな身体を産着に包まれすーすーと寝入っている赤子を優しく見守る男性
「当たり前だよ…私達の子だもん…♪」
自分達の間に産まれてきてくれた赤子を愛おしそうに見詰める女性、少年にはこの二人に見覚えがあった…否、見覚え処の話では無い
(…恋…勇…)
此方からの声は二人には聞こえない、少年はあくまでも確定した未来を閲覧しているだけ。
尤もその気になれば干渉は出来るが少年や少年の父…牽いては彼等の家の歴代当主達が禁忌と定めた為彼等は愚直な迄に運命を受け入れている
「…俺が…二人を護るから…」
少年の弟の未来の姿である男性と女性はそっと口付けを交わす…彼等には見えず、聞こえず、触れられなくとも"其処に二人を愛し人知れず支えてきた少年が居るにも関わらず"
(はは…ははは…っ!)
認めたくない現実。
それでも認めなければ彼が彼自身の意思で継ごうとした家そのものを否定してしまう
悲痛な笑い声が木霊する
誰が悪い訳でも無い、咎を背負うべき者も一人も居ない…唯、少年が選ばれ無かっただけという
(…解ったよ…此の心も想いも…捨てよう……不要なものは捨てる…それが正しいんだ…!)
意識は無く、唯自らを意図的に創り出した者に操られるがまま弓を引く少年は眼尻に涙を浮かべ乍矢を放つ…少女を愛していたという想いも、実の弟に対する嫉妬や妬みすらも
そうして…月日は流れて行く
見渡す限り何も無い漆黒の世界に人知れず消えて逝く想いが在った。
想いはかつて少年が捨てた想いに同調し悲、哀、怒、嫉妬…人が想像出来得る負の感情が寄り集まり人の形を成す
そして…其れを傍らで見守る一人の女性が居た
「…御免ね…貴方には重荷を背負わせてばかり…でも…せめて…此の世界とは別の世界で幸せを見付けて…」
巫女装束に身を纏う女性は自身に虚ろな瞳を向け憎悪を剥き出しにした様な見る者に戦慄を与える笑みを浮かべる少年を時空の狭間に送り出す
新しい希望…新希…。
貴方自身の希望を探して…幸せを掴み取って…今は無理でも…必ず…
巫女は万感の想いを込めて負の権化と化した少年の想いの残滓に名を付ける、元となった人物と同質の力を持つ少年は人としては生きて行けないだろう…それでも彼女は人としての幸せを願い人の名を付ける。
——其の祈りが届くか否か、其れは未だ解らないが此の
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英国某所
「また…あの夢、か…」
黒に近い赤髪を無造作に伸ばし身の丈に似合わぬぼろぼろの外套に身を包んだ6、7歳位の少年は空気の淀んだ
誰とも連む事も…人並みの暖かみを感じる事も無くたった一人で、だ。
「…昨日は残飯を結構拾えたし、水はまだあるから良いかな……?」
蠅の集った残飯が入った袋と泥水に視線を向け未だ寝ていられると身動ぎするが、ふと自分だけが感じる何時もの"気配"と別の気配を感じ立ち上がる
「誰だか知らないけど僕の
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———
「はッ…はっ…!はるちゃん!」
「たっく、ん…逃げ…て…ッ!」
黒縁の眼鏡を掛けた男性はショートカットの女性の首を掴む"姿の見えない"何者かから彼女を救おうと殴り掛かるがあらぬ方向から攻撃を受け無様に吹き飛ぶ
がっしゃァァンッ…!
「たっくん…ッ!?」
「っ…力が…力さえあれば…ッ!」
歯痒そうに拳を叩き付ける横には妙な形をした…そう、まるで目玉の様な何のヒーローの様な造形物が転がり女性を男性に向け放り投げた何者かは其れを拾おうと姿を見せる——。
『漸く手に入れた…"ウィザード"の
斧…正確にはフランキスカと呼ばれる得物を手にした怪人は
「「!?」」
カランカラン…薬莢が落ちる乾いた音が響く中二丁の拳銃を巧みに操り剰え薬莢を片方の拳銃で撃ち、跳ね上げた後もう一丁の拳銃で薬莢を撃ち
彼は落とした
「…何て言ったっけ、確か…ガンマ…?君達ってゴキブリか何か?僕の所にも現れるけどさ…いい加減迷惑なんだよね、うざいから。」
夫妻は眼を疑う、幼稚園児位の少年が繰り出した妙技にもだが…何より、彼の腰には研究室に厳重に保管されて手出しは出来ない筈のベルトが装着されている事に。
「小僧…その
ぱァン!ぱぱァンッ!
「——煩い、折角今日はゆっくり寝れると思ったのに…頭に来たから叩きのめしてあげるよ。」
退がってて…と、夫妻を気遣う様な声が聞こえたかと思うと少年は恰も急激に"成長"したかの様に頭髪も銀髪に変化したものを腰迄伸ばした青年の姿となる。
彼の周りにはフードを被ったオバケの様なものが飛び交い怪人へと攻撃を繰り出し怯ませる
「アーイ!」「バッチリミナー!バッチリミナー!」
「…変、身…ッ!」
「開眼!俺!」「レッツゴー!覚悟!ゴゴゴゴースト!」
オレンジ色の顔、フードの被った出で立ち…とある世界では天空寺タケルが変身するヒーローそのものが今、此の地に立つ…!
「き、貴様は一体何者だッ!!」
「——僕は、仮面ライダーゴースト…何者でも無い者さ…!!」
「ッ!?ば、ばかな……此のおれが…一瞬、で…!?」
名乗りを上げたと思った瞬間、タケルが使わない武器…二つの鋒が巻き付く様に畝った三叉撃を以て怪人は貫かれ信じられないとばかりに消滅する
「——
怪人を一瞬にして屠った槍を一度だけ振り手を合わせる様に夫妻はぽかんと口を開けるが変身を解いた少年は二人に振り向く
「…あんまりうろちょろされても僕が困るから片付けたけど、用がないならさっさと帰ってよね?」
じゃ、と手を振り踵を返す…本来なら此処で彼の話は終わりの筈だった
——然し、たっくんと呼ばれた男性は少年の裾を掴み会話を…此れから始まる物語を刻もうと口を開く
「——良かったら話をしたい、否、是非来て欲しい場所がある…!」
「…世間一般的な考えからして、知らない大人の人に付いて行くのは危ないと思わない?綺麗なお姉さん?」
裾を掴まれては動けない為傍に立つはるちゃんと呼ばれた女性に視線を向ける、話し方からして日本人だと判断した少年は流暢な日本語を話す
「世間一般には、ね?でも私も貴方には興味があるわ。私は
先程の出来事が未だに信じられないとばかりに目を疑うが純然たる事実だと首に残った痕で再確認された為に未だ年端も行かぬ少年…否、少年の皮を被った何某かに問う。
そして、其の何某かは口許を緩め仕方無いとばかりに答えた。
「…僕は精霊じゃないよ、言ったでしょ?何者でも無い、って。名前は…御免ね、思い出したくないから『新希』とだけ名乗っておくよ。
でも、もし役割があるとしたら…神様、かな…尤も、破壊と想像、そして時間と空間を司る2柱の神様のチカラを使える神様だけど、ね——。」
答えた側、そして問うた側…此の時は未だ深い間柄に成るとは露にも思わないまま二人は紆余曲折あったが新希と名乗る少年を連れ『アスガルド・エレトニクス』の研究施設迄向かう。
此れは絶望を経験し、要らぬとされ捨てられたある現人神の『想い』の結晶が経験する物語。
——異性を愛するという感情が欠落してしまった少年が辿る数奇な物語。
次回は養子縁組みの話になると思います、恐らく近い内にまた投稿するかと(笑)