最強問題児は“サウンドアイズ”所属?   作:かき

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一羽

ーーー

『__十六夜君。君は名無しと名乗った民族の最期(さいご)を知っているかい?』

 

『__もしあの壁の向こう側に何かがあるなら。君はそれを知りたいと思はないか?』

 

この言葉は彼__逆廻十六夜と仮名で呼ばれた少年が唯一師事した者が言った言葉。

 

「これが俺の答えだ!!!!!!」

 

そして先程空から降ってきた一枚の手紙を勢い良い破り開け内容を読む。

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 その才能ギフトを試すことを望むのならば、

 己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

 我らの〝箱庭〟に来られたし』

 

「あばよ__金糸雀...」

 

この日、世界からファンタジーを最も宿した者が己が背負う戦いへ乗り出す。

 

運命の天秤。運命の振り子。運命の歯車はこの時を持ちて狂い__否、整い初め...

                    

 

 

 

 

ーーー

 

「ハッ、ハッ、ハハ...ハハハハハハ。最高だぜ!!!」

 

 

 刹那の内、十六夜の視界は夢から醒めるがの如く開く。高さにしておよそ4000メートルもあろうかという場所に、十六夜は現れた……否、放り出された。

 開けた視界一杯に映るのは未知の光景。自然から建造物に到る一つ一つが現実世界じゃ到底知りえなかった御伽噺のもの。

 

 十六夜はすぐに理解した。あの封書は〝招待状〟であり、呼び出されたここは────完璧なまでの異世界なのだと。

「さよなら、マイワールド!!こんにちは、ニューワールド!!今日から此処が俺の世界だ!!」

 

そして、十六夜は目を閉じ、自由落下に身を任せた。

 

ーーー

 

 

「む?なんじゃ?」

 

白髪の幼女の目が、空から落下してくる金髪の少年の姿を捉えた。

 

「仕方がない、私が保護するしかないようじゃな…白雪」

 

『わかっておりますよ白夜叉様』

 

波を立てつつ現れたのは白雪と呼ばれた蛇神。

彼女は落下してくる金髪の少年を助けに行こうとするものの少年は右へ右へとズレて水面から地面に頭から落下する角度であった。

 

そして地面から五メートル程の地点で頭と足の位置を空中回転して入れ替えそのまま着地を果たした。

 

さすがの白夜叉も慌てふためいたが、目の前の少年が着地し歩き出すと冷静さを取り戻し落ち着いた表情になった。

 

最強星霊である白夜叉からすれば僅か4000メートルからのバンジーなど足から落ちようが頭から落ちようが問題は無いが人間である十六夜が4000メートルからのダイブとなれば話が違う。

神格も見られない6歳の少年が落下するのだ流石の白夜叉も慌てふためく。

 

「おんし、怪我はないかの?」

 

「無い」

 

「異世界から来た者じゃな?」

 

「肯定」

 

白夜叉の質問に聞かれた事だけを最低限で答える。

 

「無愛想な奴め。ふむ、ここに呼ばれたと言うことは恩恵持ちのはずじゃが...お主の実力を確かめたい。ギフトゲームに付き合って貰うぞ」

 

 

『ギフトゲーム名 “月は東に日は西に”

 

・プレイヤー一覧

      ・逆廻十六夜

 

      ・白夜叉

 

・プレイヤー側勝利条件 

      一、相手を戦闘不能にさせる

 

      二、相手に降伏宣言をさせる

 

・プレイヤー側敗北条件 

      一、対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合

      ニ、上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

宣誓 上記を尊重し誇りと御旗の下、“サウンドアイズ”はギフトゲームを開催します。

              “サウンドアイズ”印』

 

 

白夜叉が、二度手を叩けば、空からギアスロール(契約書類)が降りてくる。

そして周りの景色さえも移り変わる。

 

「うむ、これで良い。さして、おんしの名は?」

 

「逆廻十六夜」

 

「私は白夜叉。太陽と白夜の星霊である。それはギアスロールと言ってルールが記載されておる。」

 

十六夜は理解する。

この者は星霊。つまり多概念の中で頂点に君臨する種族。

勝てる筈が無い__俄然価値観が有る。

 

「ゲームスタートじゃの!!」

 

白夜叉は十六夜の初発を諸に受ける。

その一撃後にすぐさまもう一度拳を入れる。

十六夜の二撃により距離が少し空くとすぐさまビルを軽く第三宇宙速度以上で投げつける。

一つ、此処はビルの多い都市部のようなフィールド。

一つ、十六夜は軽く一瞬で定義を書き換えた。

 

ビルを投げつけた後ビル以上の速度で移動しもう一度拳を入れようとするも白夜叉と目が合い一度退くも時既に遅し。背後には白夜叉が回っており一撃目二撃目と拳を入れられ右膝を着く。

 

「十六夜よ、おんしは下層に居ては成らぬ人材じゃの。話は後でするとして__死ぬなよ十六夜」

 

その一撃は先程とは比にならない程重過ぎる一撃であった。

意識を全て刈り取られ全身から力が抜ける。

そのまま、重力の流れに乗っ取り前へ倒れる__筈であった。 

 

ーーー

 

目を開ければ其処は真っ黒な空間。

それは死んだのかと思わせる程の黒さであった。

 

「此処はどこだ?」

 

その質問に答える一人の少女。

 

「此処は私の世界だよお兄ちゃん」

 

「ふーん。で、此処に呼び出した理由は?」

 

今はゲーム中である。

呼び出されて不満である逆廻十六夜。

 

「少しお話がしたかったんだ...でも今はゲーム中だもんね。なら私と一つゲームをしようか!!」

 

そう言ってギアスロールではなく戦闘体勢に入る。

この空間からの脱出方法が見当たらず仕方なく戦闘に望む。

 

数十分の戦いにより十六夜は思う。

(箱庭と呼ばれる場所は俺を飽きさせない)と

 

この現状を変えるには進化及び覚醒しか無いと確信する。

 

十六夜は右手を引き其処に強い感情を込めると恩恵は応え蒼いオーラのような物を宿し遠距離から拳を放つ。

放たれたソレは物質が余波で崩壊しソレは元素さえ残さす事無く少女へ届く。

 

少女は一瞬唖然としていたが間一髪で避け安心した事が勝敗の決め手と成った。

 

十六夜はその一瞬を見逃さず次は至近距離で蒼いオーラを全身に纏い右手に集めたソレが直撃する。

 

存在こそ消えなかったが意識を刈り取るには充分過ぎる程の威力であった。

 

ーーー

 

「さて、ゲームクリアおめでとう!!」

 

あの後すぐさま起き上がり質問があった。

Q1 君は何者?

 A. 不明

 

Q2 魔王に成る気は?

 A. 面白そうだ。

 

Q3 欲しい物は?

 A.もう持っている。

 

「君は本当に面白いね!魔王アンノーン...良い響きだよね。そんな君に僕からプレゼント!」

 

そのプレゼントが身体の中へ入る感覚は無くただ入って行った。

 

「その恩恵は何時か魔王と成った日に必ずしも役に立つだろう。それじゃあ向こうのギフトゲームも頑張ってね~」

 

そうして光に包まれた十六夜は“少し重い一撃”を受けた。

それは先程の蒼いオーラの影響であり能力解除後も影響力は有るようだ。

 

そして少女との戦いで使った蒼いオーラを右手に集めて放つ。

そして今分かった事はオーラを纏う際に両手を前に出し右手で掴めば右手に集まり左手で掴めば全身にオーラを纏う事に成る。

 

そして____

 

 

『ギフトゲーム名 “月は東に日は西に”

 

 勝者・逆廻十六夜

 

 敗者・白夜叉      

 

※上記の結果を持ちまして、今ゲームは終了と成ります。

参加者の皆様はお疲れ様でした。』

 

ーーー

「久々に負けたのう。」

 

「白夜叉様が負けるなんて...」

 

何故か負けて喜ぶ白夜叉と悲しむ白雪。  

 

「ギフトゲームの勝者にはコレをやろう」

 

二回手を叩くと...

少年の手元にはギフトカードが現れていた。

 

「うむ、それはギフトゲームと言ってな己の持つ恩恵が分かるんじゃよ」

 

全知の一端であるギフトカードはサウンドアイズの幹部が創ったようでとても高価な物らしい。

 

 

「さて、十六夜よ!その手もとのカードを見てみるがいい!」

 

十六夜は、自分のカードをチラリとみる。

そこに書かれているのは【正体不明】と【解析不能】【◆◆◆】【■操】という文字。

 

「そこに書かれているのはおんしが所持している恩恵じゃ。恩恵と言うのは個人個人が持つ特異な能力…と言ったところだ」

 

「ふーん..バグが目立つな」

「なんじゃと?」

 

十六夜に渡されたギフトカードを見た途端、白夜叉の表情に緊張の色が見えた。

 

十六夜自身これほど所有しているとは思っては居なかった。

先程の恩恵も含め確かにバグが目立つギフトカードである。

 

「...ふむ、私がおんしを保護しよう。お主はサウンドアイズに来て貰う」

『お待ちください白夜叉様!そのような子供、サウザンドアイズに連れていかれるおつもりか!?』

 

「む、白雪は気に入らぬのか?」

 

『確かに実力は分かりますが力だけでは箱庭は生き抜けませんから!』

 

「なら、知恵のギフトゲームをすればよいではないか」

『…こんな子供に我の知恵のギフトゲームがクリアできるとは思いません』

 

失礼な態度を取る白雪に少し笑みを見せる。

 

「なる程な、力以外でも知恵でクリアも出来るのか。なら遣ろうかな知恵ギフトゲームって奴を」

 

『ふん……そうだな。では小僧よ、神格を宿し我の試練、精々その非力な身で乗り越えてみせるがいい!!』

 

 

 刹那、膨大な水飛沫と共に蛇神はその巨躯を水中へと消し、入れ替わるように一枚の『契約書類ギアスロール』が十六夜の手元に下りてきた。

 

 

 

―ギフトネーム名〝湖上の華〟―

 

・プレイヤー一覧

 〝ノーネーム〟逆廻十六夜

・ゲームマスター

 〝トリトニスの滝の主〟白雪姫

 

・クリア条件

 水仙卵華の蕾を入手し開花させよ。

・敗北条件

 正午までにプレイヤーが勝利条件を満たさない場合。

 プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

※舞台補足

・参加者は鉄則として、トリトニスの滝から半径一キロメートルから出てはいけない。

・主催者は鉄則として、ゲームテリトリー内に水仙卵華が群生している事を保証する。

 

 

 

 羊皮紙の内容は以上。

 十六夜は記載事項を読み、頭の中で条件に見合う情報を組み合わせて反芻させ始める。

 

 

「水仙卵華って...水仙と卵華。」

 

 

 情報不足過ぎる十六夜は、河川を巡ろうと歩を踏み出した。

 

 勝利条件に必須である水仙卵華。取り敢えず名前や以前見掛けた特徴からして、水辺に群生する花である事は間違いない。

水のある場所を辿っていけば良い。

今はこれが最も有力だろう。因みに開花については後回しだ。

 

 

「___っと、これが正解か?」

 

 

十六夜の視線の先……流れが多少緩やかな大河の水内に亜麻色の卵のような蕾を見つけた。時間にしては数分だが問題はここからである。

 ……の前に、話は水中の蕾を取ってからだ。今回ばかりは仕方ないと割り切って水底へと飛び込み、小さな蕾を一つ手に取った。

 

__そしてふと、背後の木陰に声を掛けた。

 

 

「……おい、そこに居んだろ大蛇。ちょいと提案があっから出てこいよ」

 

「――――……ふん、気付いてたのか」

 

 やや沈黙があって、森の木陰から高圧的な返答と共に声の主が姿を現す。

 しかし、その者は十六夜の言う大蛇ではなく、白地を基調とした単衣を纏い簪で黒髪を結わえた齢二十前後女性であった。

 

 勿論、十六夜の頭の中にその様な女性は記憶にない。が、彼は訝しむでも驚くでもなく予ねて知っていたかのような気軽さを思わせる笑みを浮かべた。

 

 

「……敏いな小僧。この姿を見て驚きもせんか」

 

「別に驚くに値しないだけ」

 

「口数が少ない小僧だな。それに我を大蛇などと連呼するな。己が参加するゲームマスターの名くらい確認せんかっ。

…………と、それはまぁ良い。して、提案があると言ったな? なに、残り一刻を余す時になって泣きを見たか」

 

十六夜はギアスロールを見て白雪との名前を思い出す。

 十六夜はそんな彼女の言葉を鼻で笑い返した。

 

 

「ハッ、冗談ならせめてとんちの利いた物を言うこったな。で、提案ってのは……何てことない、互いのチップを変更しようぜってだけだ」

 

「…………ほぅ? 白夜叉殿が認めた童子とは言え、我に勝てるつもりでいるのか? ククッ、面白い。ここで引いては神格保持者の名折れも良い所……良かろう。その意気は買ってやる、何なりと申してみよ」

 

「一々仰々しいのな……。時間もねえから簡潔に言う────互いをチップにしようぜ? 俺が勝てばアンタを隷属下に、アンタが勝てば俺はアンタの従僕でも餌にでも成り下がってやる」

 

 

 白雪姫は呆然と目を丸くした。だがそれも一瞬で、次には険しい眼光で十六夜を射抜く。

 

 

 白雪姫としては、このゲームは人がそう易々とクリア出来る物でも無い。

 

 

「……正気か小僧?」

 

「ハハッ、俺は何時でも正気だっての。────で、どうする? さっきも言ったが時間も大詰めだ。さっさと決めねえなら〝是〟と見なしちまうぜ」

 

 

 今度は十六夜が挑発的な笑みを白雪姫に向ける。

 正直、彼の提案は今となって安易に決め兼ねる物となっていた。一向に崩れない不遜な態度、それは絶対的勝利が自分にあると断言できたとしても言い知れぬ不安を煽っている。

 

しかし、一度勝負を受け取った以上、怖気づいて後退を許すなど彼女の矜持が断じて認めない。そうでなくても、逃げの一手は専ら有りなどしない。

 

 

「…………ふん。先の言葉、忘れるでないぞ。無論、我もだ」

 

 

 長い口上など不要。返答はそれだけで充分であった

 

 

「ゲームクリア」

 

 あれほどの事を豪語したのだ。当然ゲームのクリア方法は既に解っているのだろう。だがそれでも、このゲームは常人にクリア出来る程優しくはない。言ってしまえば人の子にとって無理難題も同然のクリア方法しか存在しないのだ。

 

 水仙卵華はその名の通りに水辺、それも水流があって且つ流れの緩やかな河川の沢に存在する箱庭特有の華である。

 

 今回はその華の開花がクリア条件。しかしながら、どんな華であっても通常は一時間という短時間で開花するなんて事は先ず無い。もしあったとしても、何らかの特別な条件下に置く必要がある。そしてそれは、この水仙卵華に当て嵌まるのであった。

 

 簡単に説明すると、水仙卵華は急激な環境の変化において種の保存をする術を備えており、その条件は急激な水深の変化。

 

 そもそもギフトゲーム名は〝湖上の華〟とあり、水仙卵華は緩やかな水流地域に群生する。考えてみれば実に簡単な連想ゲーム、この二つだけでも条件は必然的に絞れたのだ。

 

 それで話は戻るが、こう聞くとクリア条件を満たすには湖や池などのある程度の水深を持つ水溜りを探せばいい……のだが、実はこのゲームの行動許容範囲内に該当する池も湖も存在しないのである。

ただ一つあるのが、トリトニスの大河でも最も水深の深い下流の中央。

でもそこは非常に流れが激しく、目の鼻の先には世界の端に通ずるトリトニスの大滝が存在する。落ちれば十六夜でも生きて返ってこれるかは解らない。

 

 そんな人間にとっての正真正銘の難題を、彼はサクッとなどと軽いノリでクリアすると言ったのだった。

 

 

「己が身を賭けた故、命も惜しくないと……そういう構か?」

 

「別に」

 

 

 その時、その言葉に白雪姫はふと薄ら寒い予感を覚えた。今すぐに判断しなかったのが致命的となった。

 

 

「少し派手に喝采に」

 

「あ、お、おい!! ちょっと待て小僧ッ……!?」

 

 

 十六夜は上空に跳躍。気付けば、彼は河川より遠くの上空に跳躍……していたかと思えば重力にしたがって地上へと落下していく。 

 

 そして無表情で手加減承知で森林を、岩盤を……白雪姫の領地を衝撃波で薙ぎながら深く巨大なクレーター造り上げた。

 

 

「土台の次は」

 

 

 水仙卵華の蕾を地に落とす。穴を造ったが良いが肝心の水が無ければクリア出来ない。

 

 そして十六夜がとった行動は

 

 

「水が無ければ余所から引っ張ってくればいい。」

 

 

 

 宛ら大地震とも言える揺れに足を取られつつも白雪姫は、十六夜が空けたクレーターの元へ足早に向かう。

 

そして勿論洪水となる。

 

その光景は珍事ながらの最早氾濫、大洪水である。

 

 

「ば……馬鹿止めろッ、いい加減にせんか貴様ああああああああああああああああ!!!」

 

 

 押し寄せた激流に抗う白雪姫の心の底からの叫びが一帯に響き渡るが、十六夜の耳には届かない。

 

 

 ────その日、たった一刻にしてトリトニスの滝周辺の地域は水棲生物の居住を大きく広げる事になったのであった。

 

ーーー

 

「さて、十六夜よ。白雪の納得も得たようだし」

 

「なんだ」

 

「おんしが良ければ私のコミュニティーに来ないか?」

「白夜叉、あんたにメリットはあるのか?」

 

「ある。これは断言できるな」

 

「…そうか、なら邪魔させて貰う」

 

アレほどの強敵はそうそう居ない。

ましてや本気では無いと言っていた。

断然面白そうだ。

 

「うむ。コミュニティーとは何か…説明しなくてもよいのか?」

 

「説明求む」

 

「うむ、いいぞ。しかし…この森で立ち話はなんだ…私の店に来るといい。大歓迎じゃ私直々に上へ掛け合ってやろう」

 

「...ありがとう」

 

そんな十六夜を見てニヤリ、と笑った白夜叉。

 

「白雪も一時的に来て貰うぞ。この荒れようと隷属が有るからの。」

 

「は、はい」

 

白雪が十六夜を睨んでいるが気にも止めない。

ーーー

そしてサウンドアイズ内にて

 

「さて、コミュニティーのことについてじゃったな…十六夜、私の目の前にある座布団に座れ」

 

「ん」

 

背筋の曲がらない綺麗すぎる正座に感心より悲しさもあった。 

子供が子供らしく無く。

教えた者が完璧主義者なのかも知れない。

と十六夜にコミュニティーの話をしていく。

この世界ではコミュニティーに在籍しなければならないこと。

コミュニティーにも階級があること。

など、基本的な内容を十六夜に教えた。

十六夜は時々相づちをうつように、コクコクと頷いたり、白夜叉にたいして質問したりしてきたので、ただ情報を伝えるだけの単調な作業にならずに済み、とても有意義な時間のように思えた。

 

説明し終えてから、従業員の一人にお茶とお茶うけの大福を持ってこさせた。

 

「ちょうどおやつどきじゃ…食べるといい」

 

「いただきます」

 

そして、その日は何事もなく夜が過ぎていった。

 

ーーー

翌日の朝

 

「白。このウサギって」

 

「うむ。月のウサギの末裔 黒ウサギじゃの」

 

本日黒ウサギにセクハラしない理由は十六夜に悪影響だからだそうだ。

 

「は、初めまして。サウンドアイズ専属審判を勤めさせて戴いてます。月のウサギの末裔黒ウサギと申します。」

 

「ふーん。定例文な挨拶だね」

 

その一言は黒ウサギにズシリと刺さる。

 

「...でも、その心構えは良いと思うよ」

 

そう言いながらギフトカードを眺める。

その恩恵については謎のままである。

黒ウサギは落ち着いたように呼吸を整える。

 

「白夜叉様?其処の男の子は...」

 

「うむ。サウンドアイズの幹部にさえ匹敵する子だよ。昨日召喚されたらしいが既に四桁は越えておる」

 

四桁越えに驚く黒ウサギ。

「よ、四桁越えですか!?」

 

「五月蝿いよウサちゃん!」

 

「す、すいませんってウサちゃん!?」

 

いちいちテンションの高い黒ウサギ。

昨日白夜叉が小声で呟いた言葉を気にしている。

(もっと子供ぽくて良いのに)と

 

「白夜叉様?今日お呼び戴いた理由は?」

 

「うむ。ギフトゲームの審判を...「是非お願いします!!」りょ、了解じゃ」

 

すぐさま喜ぶ黒ウサギに十六夜は尋ねる。

 

「何故喜ぶ?」

 

「黒ウサギの所属するコミュニティはノーネームで...」

 

「続きはいらない」

 

「三年前に正体不明の魔王に滅ぼされまし」

 

「それ以上話すな!!!!...ごめん言い過ぎ、ッ」

 

頭痛が酷くなる。

頭を抱える十六夜の痛みは増して行く。

最終手段として自分を拳で殴りの意識を切り離した。

 

目覚めると既に昼と夕方の間と成っていた。

周囲を見渡すと何時もと同じ部屋だが少し頭の位置が高く柔らかい感じがした。

少し上を見れば黒ウサギが世間的に言う膝枕をしていた。

 

「い、十六夜様!?目が覚めたのですね!!」

 

「ああ、覚めたのは今だがな」

 

頭痛は既に引いていた。

 

「申し訳有りません。黒ウサギの責任です」

 

「そんなに自分を責めるなって。はぁー少し君たちノーネーム否、アルカディアの結末が見えたよ。旗印と名を掛けた戦い。主権を賭けた戦い。正体不明の魔王戦。そして箱庭の命運を分ける戦い。それが降り注ぐだろう。俺も協力するし他の奴にも協力させる。その重みを背負う覚悟が有るならば今日の事は忘れて本拠へ戻るが良い。もし重みを背負う覚悟が無いならば本拠を立ち去ると良い。たが黒ウサギ。お前の決意は当の昔に固まったのだろう。次の審判期待してるよ」

 

その言葉を聞いて涙が零れる黒ウサギ。

背負う覚悟が無い者に戦う資格なし。

黒ウサギは今思い出す。

子供達は黒ウサギなんかと比較に成らない程の重みを背負い空腹感を戦う者。生と死の境を戦う者。多くを背負い日々戦い抜いている。

それは黒ウサギにはまだ身に付いて無い大切な感情であった。 

嘗て黒ウサギを救ったあの方のよう...に!?

黒ウサギから見た十六夜はあの方...金糸雀と重なった。

 

「そうだ、ウサギさん」

 

「なんでごさいますか?十六夜様」

 

「もし、君が戦い抜いたら何を貰う?」

 

「そうですねぇ…黒ウサギでしたら、水源のギフトが欲しいです」

 

「そっか、ならこれやるよウサギさんに」

 

「これは…【水樹の苗】!?どどど、どうしてこんなものを!?」

 

十六夜は黒ウサギに【水樹の苗】を渡した。

 

「ウサギさんが可愛かったからかな?今度はメイドを期待してるよ...冗談だよウサギさん」

 

少しながら部屋の奥へと入って行く。

 

「ま、待ってください十六夜さん!」

 

それを追いかける黒ウサギ。

 

その直後に出掛けていた白夜叉が帰ってきて色々ゴタゴタが有ったそうだ。

 




子供ぽくしている十六夜。
バグが多い十六夜の恩恵。
正体不明だけで将来二桁行く可能性がある?のに追加される恩恵。
予知能力は十六夜自身が持っていた数少ない能力。
続いたら少しずつ解説したいと思います。
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