魔法瓶   作:春の雪舞い散る

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冒険の為の修行するって聞いてたのに実際に与えられた課題と僕の職業は…なにこれ、やり直しを要求したいんだけどっ!
そんな僕の願いは虚空に消え去り冒険へと送り出されました



いつかどこかで見たような?

冒険の為の修行するって聞いてたのに実際に与えられた課題と僕の職業は…なにこれ、やり直しを要求したいんだけどっ!

そんな僕の願いは虚空に消え去り冒険へと送り出されました

第一章 なんでセーラー服なんだよっ!?

 

 

① 序章

 

 吐く息が白く煙る初冬の…しかも日の出にもほど遠い早朝の山道を歩く僕…つかそもそも嫌でも歩く以外の選択コマンドが存在してないんですけど?

 

 リュック一杯の荷物を背負いピクニックバスケットとクーラーボックスを括り着けたカートを引きながら歩く僕は余りこの場にそぐわないのは自覚してる

 

 着せられてる服装だってブルマの体操服にウィンドブレーカーだしさ…

 

 僕の名は氷華、勿論本名じゃなくとあるオンラインゲームで使っていたハンネで有り難く無いことに僕の事を美少女だって誤解が広まってる

 

 まぁ元はと言えばアバターのチョイスや超甘党に可愛いモノ好きとか勘違いさせる要素満載な僕の責任っちゃ僕の責任も有るけど……

 

 「リアの僕は可愛くなんかないし男の子だっ!」

 

 って言っても「謙遜」「はいはいじゃあ僕っ娘っ♪」とか言われて誰も信じちゃいないんだからどうしようもないんだよね…

 

 だけど実際ははっきり言ってただのひきこもり系の男の子にすぎないし別に可愛いと書いた覚えもない

 

 うん、まぁ面白半分で思いきり可愛いアバにした僕の自己責任って言われたら事故弁護の余地なんかないんだけどね

 

 そんな事を思いながら溜め息をひとつ吐いて手頃な岩を見付けマグボトルの表現しようのないあまり美味しいとは言えない変わった味のブレンド茶を一口飲みもう一度溜め息を吐く僕

 

 小休止の後に再び歩き始め暫く歩くと山のような荷物を積んだリヤカーの前でひぃひぃ言ってる男がへたり込んでいるのが見えた

 

 けど、別に知り合いでも何でもない僕はそいつを気にする理由も無く通り過ぎようとしたら盛大な腹の虫鳴く声がして

 

 「わ、わりぃ…ちょっとで良いから食べ物分けてくれねぇかな?」

 

 そう声を掛けてきたから値踏みするようにそいつを見回し

 

 「まぁ良いんだけどさ…それでまさかただで寄越せとかは言わないよな?」

 

 僕がそう答えると男は

 

「直ぐじゃ無くて良いなら…この荷物引き取って貰えたらちゃんと対価分払うから頼むよ…」

 

 そう懇願された僕は勿論

 

 「なら後払いの利息貰うけどそれで良いんだよね?」

 

 そう言って僕専用のアイテムのメニューを渡すと

 

 「うん、勿論それで構わないっ!取り敢えずカレーヌードルとお握り…ホットのウーロン茶を頼むよっ!」

 

 食べられるとわかったソイツが勢いづいてそう注文を受けた僕は黙って頷き料理を始めた…

 

 と、言っても魔法瓶のお湯を沸かし直しカップ麺に湯を入れマグカップにはもうひとつの保温用水筒に入ったお茶を注ぐだけ

 

 保冷バッグに入ったお握りを手渡すとあっという間に五個をカレーヌードルと共に平らげ

 

 ウーロン茶をもう一杯飲む奴にウーロン茶と一緒に請求書を渡した

 

 男がご飯を食べ終わり休憩後僕達は連れだって先を進むことにした

 

 どのみち目的地は一緒で互いの利害は一致している

 

 ソイツからしたら僕と一緒なら食料の心配が要らなくなり僕からしたら売り上げになるし荷物が減って楽になるんだからさ

 

 「僕の名は氷華…」

 

 「僕の名は太っ♪」

 

 それがテンションの違う凸凹コンビの 僕と太の出会いだった

 

 その日の日没後に僕達は第一の関門になんとか辿り着けた

 

 

 先に依頼の荷物の引き渡しを済ませた太と参加登録を済ますと部屋に案内された

 

 僕達に宛がわれた部屋には既に二人の先客が居て入って来た僕達を見てあからさまに失望したのが見え見えだったけどそんな事を今更気にしても仕方無いので相手にしないことにする

 

 ボク以上に鈍い太なんかはそれを一切気にする事無くヘラヘラと笑ってるけど僕も目に見えて仏頂面で

 

 「太、夜の注文聞くけど何食べる?」

 

 僕専用のアイテムのひとつであるメニュー(夜のメニュー)を太に手渡すと話を聞き付けた二人の先客達が太の後ろから覗き込み

 

 「中華丼、親子丼、カレー丼?」

 

 太の右後ろに立つ男が言えば

 

 「熱燗にビールまで有るのか…」

 

 と、もう一人の男も唸ってる

 

 「俺達も頼めるのか?」

 

 そう聞かれた僕は

 

 「別に構わないよ、勿論代金はしっかりと貰うけどね」

 

 そうそっけ無く答えると

 

 「そうか、わかった…俺はカツカレーWスープ付きを頼むが兄者はどうする?」

 

 一人が聞くと聞かれたもう一人の方は

 

 「吾輩は豚丼W味噌汁付きだな」

 

 最後に太が

 

 「じゃあ僕はカツ丼W味噌汁付きを頼むよ、氷華」

 

 そう注文を聞いた僕は急ぎ三人分の食事を用意した

 

 大人の二人がご飯食べなから酒盛りしたいってゆーから取り敢えず数は少ない缶ビールを出すと飲み始めた二人

 

 僕は肴にパック入りのオデンを温めて出してたら匂いに釣られらしい他の部屋の連中が集まって来た

 

 二つのグループ八人が腹を空かせててやって来てオデンを摘まみながら宴会が始まり太は僕同様にお酒を飲まない未成年だから食後の散歩を兼ね僕達の部屋と建物内の探索をした

 

 その結果、隠し扉を見付けその中に有る温泉を発見したんだ

 

 『太っ!グッジョブっ♪』

 

 この発見で僕達は他のグループよりかなりの優位を得る事になったんだからさ

 

 結局この夜は親子丼W二人前、牛丼W二人前、中華丼W二人前翌、カツ丼二人前にハマチ、マグロ赤身、鰹の叩きの三点盛りを五皿追加オーダー

 

 オデンは三~四人用のパックを十パック

 

缶ビール一人二缶に十人で二リットルの酒パック五パック空けてお開きに…

 

 その結果、初日にして売上高のノルマ一万を突破した僕は早速ボーナスを貰った

 

 ボーナスアイテムは七輪で持ってきたカセットコンロがいつまでも使え無いと言われたからかなり活躍しそう

 

 翌朝から僕達の試練が始まるけど飲み過ぎで修行にならないなんて事ない…よね

 

 明日からの修行に若干の不安を感じながら一足先に眠りに就く僕だった…

 

 

 修行初日からいきなりのハードな修行でヘロヘロな三人に不安な僕は夕食メニューをピリ辛のもつ鍋にしたら他の連中もばくばく食っちゃってさ…

 

 風呂上がりに疲れ癒す為の足マッサージしてやったらガーガーイビキかいて寝ちゃったよ、三人とも

 

 だから、翌日からの修行にもなんの差し支えもなかった

 

 えっ? 僕はなにしてたんだって? 僕の修行はとにかく雑巾作りで200枚がノルマ…

 

 それが達成したら次は大根の桂剥き、千切りにして干せって修行だけどまさかこの僕に板前になれってか?

 

 つかそれ冒険者の職業なの? 若妻のエプロンってアイテム探せばそれで解決じゃん… ってそんな物が実在するのか知らないけどね

 

 それに雑巾作りも続行なんだけどさいほたそれってサブ職業じゃないの? 知らない内に初心者狩りに捕まったの?

どっちも冒険に必要なスキルなの?

 

 一枚五円の手間賃が付くけどそれってもはや修行じゃなく内職じゃね?

 

 他には修行で怪我した仲間の怪我の手当てや、洗濯を代行したりって… 一体僕の存在ってなんなのさ?

 

 そんな修行の日々が二ヶ月位続いたある日の事だった

 浴衣を作れって指示が来たんだ、素材にテキストが添えられてね…

 

 悪戦苦闘の末何とか浴衣を仕上げると、まるでタイミングに合わせる様に他の三人も修行を終えたんだ

 

 

 

 僕達の基本職業の修行が終わると、それまで全く開かなかった扉の鍵が開きその男が表れた

 

 

 「 おめでとう、貴方達のパーティーが基礎訓練終了一番乗りです 」

 

 そう告げて、僕の手を取りニッコリ微笑む…

 

  ( な、いきなりなんだよ?気色悪い奴だな… )

 

 不快感を隠さない僕に気付いた太が僕の手を離させ

 

 「 そう、じゃあこの先の説明が聞きたいんだけど?

僕達の目的は修行じゃないんだからさ 」

 

 そう聞かれた男は溜め息を吐くと

 

 「 全くせっかちな少年だ… 」

 

 と、溢し

 

 「 一番乗りの貴方達のパーティーは賞金と副賞の馬車を用意ましたのでご活用ください

 

 尚、各人の職業用装備品アイテムは各々のロッカーに入れてありますから後程ご確認を… 」

 

 そう言って差し出された目録を受け取ると

 

 「 因にこの浴衣は、舞姫貴女様用にデザインされた一枚ですから今すぐお着替えしていただければ私個人からプレゼントがございますが… 」

 

 そう言われて渡された浴衣を受け取ることなく

 

 「 これって僕が試練ってゆーか課題として仕立てた女の子用の浴衣だよね?

 

 そ…それを男の僕に着れってさ…な、何て質の悪いの冗談なんだろう…ね? アンタ、もしかしなくても僕にケンカ売ってるよね? 」

 

 その桜色の生地に桜吹雪をあしらった浴衣には目を向けず震える声で太に聞いたら

 

 「 私はその様な冗談は好みませんので申しませんし親しくさせていただきたい、そう思いこそすれケンカを売るなど滅相もない… 」

 

  ってもっと質悪いわっ!って叫びそうになったけど三人の男達は無責任に

 

 「 氷華なら絶対似合うって、着て見せてよ? 僕達にさっ♪ 」

 

 「 案ずるな、お前に似合いそうだと我輩も思う 」

 

 「 浴衣姿のお前をハグしたい… 」

 

 って何か、かなりヤバイ事言ってるのが若干一名居たけどこの際スルーするしかないとして…

 

 「 んなのゼッテーヤダっ! 」

 

 て答えたら男四人が額寄せて密談… やな予感を感じながら様子を見てたら怪しげな笑みを浮かべ

 「 ねぇ、氷華…この人の言う通りに浴衣着て写メOKしたら特別ボーナスくれるってゆーんだけどどうかな? 」

 

 そう太が言い兄弟の兄が

 

 「 貰っておいて損の無い物だ 」

 

 と、言うと弟は

 

 「 皆の為だ… 」

 

 って言うんだけど少なくとも僕の為にはなりそうな気は全くと言うか捨ててはいけないナニかを棄てさせられるって言う気しかしないんだよね…

 

 だから、考えるまでもないばかりかそんな事は考えたくないくらいなんだけど?

 

 それでも血走った四人の視線が痛いって言うより激痛のレベル? つかマジに怖いから諦めて着替えることにしたってゆー以上に諦めざるをしてる得なかったんだ

 

 ってマジに怖かった… つか暫くはアレが夢に出てきてうなされそお

 

 

 泣く泣く諦めた僕なんだけど、コスプレ趣味がない僕は勿論帯なんか結べるわけ無いからそれは当然の事ながら手伝わせたよ

 

 そしたら、可愛い鼻緒の下駄やら金糸の刺繍の巾着に花飾りの髪飾りに匂袋に釵と髪留めのゴムで右サイドのポニーテールにしてくれちゃって…

 

 写真一杯撮られまくって最後の方はマジに涙が出てきて何、何なの? この羞恥プレーは… ってそう愚痴りたかった…つかマジ愚痴ってたんだよね

 

 まぁ愚痴ったんだけど、誰一人として聞いてくれなかったんだけの話なんだろうけどさ…

 

 満足顔の男の案内で馬車を見に行った僕達

 

 馬車は四頭立てのかなり大型の物で八人掛けのシートとかなりの荷物が運べそうな貨物スペースが有る

 

 貨物スペースにはよく解らない荷物が満載されてて

 

 「 その荷物の輸送が貴方達のファーストミッションとなります

 

 本来はついでの依頼となり駄賃が出る程度の事ですが特別にミッションとなりました 」

 

 そう言ってから

 

 「 では基礎職業と基礎訓練終了一番乗りなボーナスの説明を行います、こちらをご覧ください 」

 

 そう言われて見た四人分のクローゼットが有り他には店先にアイスが入ってそうなショーケースと資料館で見たこと有る電気の無い時代の冷蔵庫、七輪二個 ( 一個はカセットコンロと交換してくれた ) 、中華鍋が置いてあった

 

 それを確認して男を見ると

 

 「 貴女方が部屋で使用していた物は可動式の物は持っていって構いません

 

 クローゼットは年齢順となっておりますからご確認をなさってください 」

 

 そう言われて兄弟、太、僕って順番に並んでいて僕達は中身を確認するため各々のクローゼットを開け…ソッコー閉めた、僕だけは

 

 当たり前だろ? 一瞬でわかったけどセーラー服(夏服)、エプロンドレス、ナースの制服に淡いピンクのワンピとかって有り得ないチョイス

 「 っ… 僕の職業一体何なんだよ? 」

 

 って叫んだら

 

 「 家業の喫茶店をお手伝いする女子中学生? 」

 

 等としれっとぬかしやがったからいつかゼッテーに殺すっ!

 

 そう思ったけど、殺してもすぐに復活しそうなヤツだからな

 

 「 そんな職業どこのゲームにあるんだよッ!? 」

 

 僕が叫びなから、そもそもそれって職業ってゆーよりキャラ設定じゃないの? って思ってたら

 

 「 基礎職業にタマネギ戦士というのも有りますからお気になされますな

 

 もしお気に召さないのでしたら早々にレベルをあげジョブチェンジ為さる事をお薦めしますよ? 」

 

 と、まで抜かしやがった…

 

 ( く、くそっ… 言われなくてもそうするさ )

 

 僕はそう心の中で誓ったんだ

 

 がっかりして肩を落とした僕は先に自室に一旦戻り、皆の夕飯の支度をする僕を余所に他の三人への説明は続いていた

 

 その夜は一足先に修行を終えた僕達の送別会

 

 もっとも他のチームも僕の協力? のお陰で明日、明後日位には終わるんだろうけどね

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