魔法瓶   作:春の雪舞い散る

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セーラー服の着用を義務付けられて僕は今旅立つ…


セーラー服に慣れたくない

 それでも次いつ会えるのかわからない別れの宴は大いに盛り上がった

 

 

 翌朝ここに来てから使い慣れた調理器具、裁縫道具、救急箱は三人が馬車に運んでくれた

 

 それはそれでとても有り難かった、のは間違いない…んだけど…セーラー服を着た僕を見る三人の目はめっちゃ痛いつかマジにキモかった

 

 はっきり言って血走った視線が怖いんだけど、とりま気付かないふりする以外のコマンドは何処にも見当たらないんだよねぇ~っ…つかマジ誰か助けてよ?

 

 最後に、四人分のお茶と弁当を入れたバッグ担ごうとしたら太に引ったくられ… 結局僕の荷物は何もなくなって持つものがなかったから馬車の前に立った僕は

 

 「あの…僕は馭者なんて無理ってか馬自体慣れて無いせいかちょっと怖いんだけど…」

 

 そう本音を告げたら太も

 

 「 あ、僕も経験無いっす… 勿論頑張ってすぐこなせるよう努力するけど 」

 

 そう宣言するのを聞いて

 

 「 あははっ、一応ね… 無駄は承知の努力はするけど… 全然自信無い… 特に運動神経の無さなら自信有るから… ごめん、ヤッパ足手まといだよね? 」

 

 そう愚痴ったら

 

 「 大丈夫、氷華の分も僕が頑張るから問題無い… 」

 

 そう太が言えば

 

 「 我が輩達はお前にそんな事は求めはしない… お前はチームの癒し担当なのだからそんな事する必要も覚える必要もない 」

 

 兄が言いついで弟も

 

 「 紅一点のお前にそんな事は求めない、お前は我らにかしずかれていれば良いのだからな 」

 

 そう言われて

 

 ( 紅一点ってなんだよ? 僕も男の子なんだよ? こんな格好させられてるけどさ… )

 

 そう思ってたら太の奴が無責任に

 

 「 氷華って…もしかして 氷の華媛って呼ばれてたあの娘でしょ? 」

 

 なんて言いやがるからムスっとしてると兄弟の兄の方が

 

 

 「 二人に悪気はないのだからあまりカリカリするのは良くない 」

 

 って言われたけど

 

 ( 悪気が無いから余計に質が悪いんじゃんかっ… )

 

 内心そう苦々しく思うのが精一杯の僕だった

 

 十二人揃っての最後の食事を取り食事を終えると馬車に乗り込み出発することになった

 

 

 

 この修行期間中に達成した僕のノルマは雑巾千五百枚、切り干し大根五十本分に浴衣一枚、マッシュポテトをジャガイモ10箱、玉葱のピューレ玉葱10箱

 

 因みに大根は切り干し大根、キムチの素を使ってキムチ作成し他には酢漬けも有って皆のご飯の友になってる

 

 そして料理の売上高二百万円突破のお陰で色々な特典が着くことになっている

 

 その特典のひとつの馬車もかなりグレードが高い

 

 最初のお茶休憩でボクは出掛ける前に準備したジャスミンティーに良く似た薫りのお茶を魔法瓶から注いで三人に渡すと

 

 「 エイハブ、現在の職業が漁師だからキャプテンと呼べ 」

 

 「 タイガーだ、エイハブの弟で職業はレスラーでリアでも前座を務めていた、ヨロシク頼む 」

 

 そう兄弟から名乗られて

 

 「 太言います、中3で職業は力士の入門仕立てで実際いくつかの相撲部屋から中学出たらうちに来ないかって誘われてます 」

 

 …そう言って頭を下げるのを見て

 

 「 氷華、中1だよ… 職業は舐めてるの? バカにしてる? つかバカだと思ってるよね? マジふざけんなって言いたくなるよーなフリーターであんまし得意じゃ無いけどそこそこ料理出来る

 

 何で僕が招待されたかよく解らないけど足手まとい承知の参加者だから僕と同じチームになったのは不運と思って諦めて貰うしかない… 」

 

 そう呟くと

 

 「 大丈夫、料理の腕上がってきてるし氷華のご飯食べるの楽しみに修行頑張れたんだからさっ♪ 」

 

 太が嬉しそうに言えば

 

 「 お嬢の笑顔ひとつで気力も高まる 」

 

 「 風呂上がりのお前のマッサージはプロの整体師並み、戦闘力の低さを充分カバー出来る 」

 

 ヤッパビミョーな発言はてんこ盛りに有るけど… まぁ拒絶されなくて良かったから正直に

 

 「 有難う… 料理の勉強頑張って美味しいって言ってもらえる腕前目指して頑張るからさっ♪ 」

 

 って三人に宣言したんだ

 

 だから馬車が発車すると同時にレシピ本開いて勉強を始めてる… 取り敢えず夜営になる今夜の晩ご飯のメニュー決めないとね

 

 う~ん、そーだな… 今夜はチルドの霜降り和牛しゃぶしゃぶ用が大量に有るから… っても三人に掛かればあっという間に食べ尽くされるんだろうけどね

 

 締めはうどんかな? 太はご飯はお肉食べながらだろうから絶対要るよね…

 

 そんな感じで晩ご飯決まった訳だから明日の朝食と昼食を何にするのか考えとかないとね

 

 昼食はお握りとカップラーメンと焼おにぎりで適当に済ませた

 

 途中の休憩にフレンチトーストとインスタントのスープを軽く取りその後お茶だけの休憩を挟み日暮れ一寸過ぎ位に目的の夜営ポイントに辿り着けた

 

 だから慌てたキャプテンはタイガーと太の三人で馬の世話を始めると僕も急いでしゃぶしゃぶとご飯を炊く準備を始めたんだ

 

 それと共に、キャプテンとタイガーが飲む熱燗を温める為のお湯と保温ポットに入れる為のお湯も沸かしながら三人の仕事が終わるのを待つことにしたんだ

 

 作業を終えた三人が席に着き食べ始めようとしたタイミングで奴が顔を出したから素直な僕はイヤな顔を隠すこと無く

 

 「 折角のご飯が不味くなる面を見せて欲しく無かったんだけどな? 」

 

 そう嫌味を言ってやったら情けなさそうな顔をして

 

 「 そ、その…皆さんに差し入れをお持ちしましたから夕食をご相伴させていただけないかと思いまして… ですね 」

 

 そう言って差し出されたのは一升瓶と高級フルーツの盛り合わせだけど見向きもしない僕を見て溜め息を吐いたキャプテンに

 

 「 いい加減に機嫌を直したらどうだ、氷華… 」

 

 そー言われた僕はふんっ! と鼻を鳴らして

 

 「 そんな気遣いは必要はないですよ、甘い顔したら付け上がらせるだけなんですからね… この手のタイプの輩はさっ! 」

 

 そう手厳しく言い放つと苦笑いを浮かべて

 

 「 そう仰らずに… 」

 

 そう訴えられて

 

 「 そうして立ってられてるのも鬱陶しいから座って食べれば? 少なくともあんたを歓迎する気は微塵も無いけど拒否るまでの恨みとかは無いからねっ! 」

 

 そう言って器と箸… に缶ビールをもう一人前用意して太にはご飯と冷たいウーロン茶をだして僕はダイエットコーラを開けてやっと晩ご飯が始まったんだ

 

 いざしゃぶしゃぶが始まると、生き生きと仕切りだした鍋将軍のキャプテンに 「 兄者… 」 そうポツリと漏らして呆れるタイガーに目を丸くしながらもご飯と一緒に肉を凄い勢いで掻き込む太

 

 その様子を見ながら、タイガーとビールを煽るガイドの男… その四人の姿を見てやっぱり呆れてる僕

 

 その夜四人の男達は四㎏の肉と飯盒二個分の白飯に締めのうどんにデザート

 

 大人三人はビール500mlを一缶ずつに差し入れの日本酒一本を冷や酒と熱燗6合飲んで一日目は終わったんだ

 

 

 

 二日目、夜明け前には朝ご飯の仕度とお弁当を作り終え雑巾を縫ってる僕

 

 今日は距離を稼ぎたいって言ってたからね…

 

 朝ご飯はお茶漬けとハムエッグに、ポテサラとキムチ…で三人は足りるわけないから炊き込みご飯を解凍してインスタントの味噌汁を出したんだ

 

 お昼ご飯はカップそばと、冷凍の焼おにぎりを解凍して卵焼きに塩鯖をを焼いた

 

 お茶休憩には、パンケーキを焼いて夜も質素に鍋焼うどんと炊き込みご飯にハムステーキ…あー、僕は鍋焼うどんだけね

 

 後、キャプテンとタイガーはビールと熱燗五合ずつ飲んで太は烏龍茶に僕もコーラ…

 

 その次の夕方前にやっと最初の目的地である鉱山に着いたんだよね

 

 

 

 

②鉱山

 

 荷物の積み降ろしをしてもらい、僕は自分に宛がわれた部屋に身の回りの荷物を運び入れてもらっているところにあの男が現れ無駄に爽やかな笑顔で寄ってきたんだけどマジキモい

 

 

 恭しく僕の手を取るからキモかったので振り払おうとしたけど振り払えなくてヤな顔をしていたら

 

 「これ、お前さんは相変わらず若い娘さんを困らせて…

 

 そんな事ばかりしてるから奥さんにも愛想尽かされたんだからね」

 

 そう言って僕の手を握る手をピシャリと叩いたら叩かれた手を擦る男を睨んでから

 

 「 あの… 助けて頂いててこんなこと言うのは心苦しいんですけど僕、男の子… なんですけど? 」

 

 ってそうことわったら

 

 「 おやおや男の娘だったのかい? もっとも貴女みたいに可愛い娘ならここに居る連中は誰一人として気にする者は居ないから安心おし 」

 

 なんって穏やかな笑みを浮かべて言われたんだけど何をどう何を安心しろってゆーの?

 

 つか言葉のニュアンスがあちこち怪しかったし何より僕自身がメッチャ気にするんだけど…

 

 もうホントマジ勘弁してよ… そう言って頭を抱えたい僕だった

 

 荷物の積み降ろしを終えた三人が、僕の元に戻ってきたから男は咳払いをすると

 

 「 まずはファーストミッションのクリアお疲れさまです

 

 クリアボーナスは氷華様にはティーセットと特製茶葉の詰め合わせ

 

 エイハブ様にはウィスキー三樽

 

 タイガー様にはすき焼き用の牛肉10キロ

 

 太様には米一tを用意して御座います」

 

 そう言われていつの間に用意されていたのかそれらの品物がカウンターに置かれていた

 

 僕達が品物を確認したの見て

 

 「 続きまして、こちらでの皆様のミッションの説明に移りますが… 氷華様はこの地下に在る休息所で調理補助と疲れた労働者の整体をお願いします

 

 そして他のお三方ですが四人分の鉱石40tの採掘及び搬出をお願いできますか? 」

 

 そう言われたキャプテンが黙って頷くと二人それに倣って頷いたけど僕だけは

 

 「な、何で僕のミッションを三人に押し付けるんだよ?僕の分はちゃんと自分で…」

 

 僕がそう言い掛けるとキャプテンに

 

 「 夕べも言った筈だ、お前に力仕事をさせる気は毛頭無いとな 」

と言うとガイドの男も

 

 「 私もそう思いまして皆様の予定を変更しまして今回のミッションを調整させていただきました

 

 氷華様におかれましては、調理補助していただく傍らにこちらで料理を学ばれることをお薦めします

 

 又、雑巾の完成品がごさいますればこちらに卸すことを重ねてお薦めしますよ

 

 それと裁縫の課題で浴衣作りのクリア報酬として貴女のお部屋に手動式ミシンをご用意たしましたからご活用下さい 」

 

 そう言われたから僕のクローゼットから雑巾を取り敢えず100枚出すと100枚全部引き取ってくれてそれを見たキャプテンはお婆さんに

 

 「 あー、もし良かったら我輩の酒も引き取ってくれんか?

 

 無論、我輩とて酒は好きだがこの量はさすがに多すぎるからな… 」

 

 そう言って笑うとお婆さんも

 

 「 あぁ、うちの仕入値で引き取ろう 」

 

 そう笑って言うとタイガーと太も引き取ってもらうことにしてもらったんだ

 

 

 

 

 風呂に入って汗を流した3人に休憩してもらっている間に、夕食の支度を婆さん達としていると一人の男の人が階段を上がってきた

 

 「 婆さん… いつもの弁当を頼む 」

 

 と、疲れきった声でそう言うとカウンター席に座り突っ伏したんだ

 

 だから僕はその人に向かって

 

 「 お腹減ってないの? 良かったら僕達と一緒に食べてく? 」

 

 って聞いたら、セーラー服を着た僕の姿を見て一瞬驚いたけど

 

 「 そうだな、久し振りにゆっくりしてくか?汗も流したいしな…… 」

 

 自嘲気味に笑いながらそう言うから、それを聞いた僕は思わず

 

 「 整体をしたげようか? 結構得意なんだけど結構疲れが取れるって言われてるよ? 」

 

 そう聞いてみると男は疲れきった顔で

 

 「 そうだな… 折角のお誘いだから任せる… が、本当に頼んで良いのか? 」

 

 そう聞いてきたから

 

 「 ダメならわざわざ聞いたりしないよ? お風呂… ゆっくり浸かってきなよ、すき焼きの仕度して待ってるからさっ♪ 」

 

 そう微笑んで答えたんだ

 

 いつものメンバー+老夫婦とゲストの男で合わせて七人の食卓

 

 爺さんはともかく、四人の男達の肉の消費速度は凄まじく僕と婆さんは次々に肉を投入しながら

 

 「 キャプテン、呑んでばかりじゃダメだからね、タイガー… なに僕の顔見てニヤニヤしてるのさ?

 

 太も肉ばっかし食べないで野菜も食べなよねっ! ちょっとあんたさぁ… あんたも何遠慮してる訳… 肉無くなっちゃっても知らないよ?」

 

 そう言って、太の茶碗にご飯のお代わりをよそいキャプテ達の盃を満たした僕

 

 十キロの肉と十合のご飯に、〆のうどんと、共に野菜が綺麗サッパリ無くなり酒も一升瓶の日本酒三本空にしてやっと宴会は終わったんだ

 

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