魔法瓶   作:春の雪舞い散る

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そもそも売れるとは思えないんだけどな…この話ってばさ…そんな不安を抱えたままロケに向かう僕に良いことはあるのか?


僕にグラビアアイドルは向いていない

 

 

 ①  熱中症対策はしっかりしましょう

 

 

 「 あ、暑い… マジに暑… い… 」

 

 そう呟き、暑気負けした上に貧血で倒れた僕は速攻で病院直行となり一週間は絶対安静と言われて大人しく出来ないなら拘束も辞さないっ!

 

 と、まで言われてただいまベッドの上で絶賛療養中 ( この言い方変かな? ) で病室でモデルの契約を交わすダサダサな事になったんだ

 

 その際、月花さんとゆー女性が紹介され撮影期間中の専属のスタイリスト兼マネージャーだって説明された

 

 

 ( リンゴの皮剥いてくれてるんだ… )

 

 その姿をぼんやりと眺めながら、自分の身体に何が起こったのか思い出そうと考えるけどサッパリわからなかった

 

 笑顔でボクにリンゴを食べさせてくれる月花さんと、甘えて食べさせてもらうボク

 

 そして… その様子を撮影する撮影クルーは看護師長に病室を追い出されるまで撮り続けたらしい…

 

 

 二日後の退院ギリギリまで、点滴を受け医師と看護師の協力を得て退院風景から撮影が始まったんだ

 

 倒れた時に着ていたセーラー服はクリーニングに出されてるから淡いピンクのワンピースを着せられ鍔の大きな帽子を持たされてる

 

 退院したボクはまず日用品から買い出ししなきゃいけないから買い物…

 

 って何でいきなりランジェリーショップな訳? しかもなんか思いっきしアダルトな雰囲気でボクがホントの女の子でも 「 十年は早いっ! 」

 

 そう言われそうな位にアダルトな奴

 

 透け透けでフリフリな奴とかまぁ色々有るけどどこが良いのか理解不可

 

 次に雑貨類で先ずは歯ブラシはいきなり現れたガイドの男とお揃ってマジ有り得ないし…

 

 パジャマやマグカップまでおソロって新婚夫婦かどこぞの同棲バカップルかつーの

 

 撮影以外の移動の時の服装も買ってくれるのは良いんだけどモロ自分の趣味押し付けてくるしさ… ってモロコスプレじゃんかっ!

 

 まぁ良いんだけど… ホンの少し? 周りの視線が痛いけどボクを見る目も痛い物を見るものなんですけど…

 

 まぁその代わり特製ワンショルダーバッグ… バッグの下部がクーラーバッグになっててウェストポーチと保冷機能の有るペットボトルホルダーとボクが欲しい機能が充実した物を買わせたんだ

 

 取り敢えず買い物が済んでランチって事になって中華に連れてかれたからボクはお粥で二人は日替わりのランチを注文したんだ

 

 もっとも完食にはほど遠いボクは残り全部をガイドの男に押し付けたんだけどね

 

 

 「 それでは私は今から急ぎ仕事に戻らねばなりませんのでここで失礼します 」

 

 食事の後支払いを済ませ、手土産用の紙袋を月花さんに手渡し立ち去るのを見送り

 

 「 さて… 注文した車を見に行きますか? 」

 

 そう言われて 「?」 って表情してたら

 

 「 移動事務所、モデルの事務所を立ち上げたばかりと言ったでしょ?

 

 貴女にうちと専属の契約を結んで欲しいともね… 」

 

 そう話しながら二人で歩いてるとチャラそうな男二人組が僕達二人を見ていやらしい目で月花さんを見てにゃっ…

 

 と、笑うと月花さんの肩を馴れ馴れしく抱いて

 

 「 お姉さん、妹さんにはお小遣い渡して俺達と遊ばない? 」

 

 そう声を掛けてきたんだ…

 

 「 え、妹って…もしかしなくてもそれってボクの事…だよね? 」

 

 って思わず声に出しちゃったらじろじろ見られて

 

 「 …まぁ未々ガキだけどこんだけ可愛いからいっかぁ? 」

 

 そう言ってボクの右手首を掴むと一気に引き上げて抱き寄せられ掴まれた手首が痛くて涙を滲ませてると

 

 その手を扇子で叩くとボクの手首を掴むその手の力が弛んでくれたから振りほどいて月花さんの方に逃げたらその扇子の持ち主と目が合ったんだ

 

 「 お前さん、大丈夫かい? 」

 

 そう聞かれて小さく頷いたら

 

 「 そうか… 」

 

 とだけ言ってボク達を自分の背に隠すように男達の前に立ちはだかってくれた

 

 そしたらナンパ男達はボクが知らないその人の素性を知ってるらしくいつの間にか姿を消していて

 

 「 お姉さん、有難う… 」

 

 そう言って頭を下げると

 

 「 あの… もしかしたら格闘家で演武者の沙羅様では 」

 

 そう声を掛けると、その人は振り向いて月花さんを見ると

 

 「 ああ、そうだが… 」

 

 と、言って頷いて

 

 「 アンタ等みたいのが、しかも二人だけでこんな所を彷徨くのは感心しない 」

 

 そう言われて

 

 「 そんなのボク知らない、ここは初めてきた町で昨日入院した病院… それと午前中に買い物してきたショッピングモールとご飯食べたそこのお店しか知らないんだから… 」

 

 そうボクに言われて

 

 「 入院って…身体はもう平気なのか? 」

 

 そう聞かれて

 

 「 モーマンタイ、軽い貧血と寒い所から来てこの暑さに負けただけだから点滴受けたし… 増血剤もちゃんと貰ったから 」

 

 ボクがそー言ったらその人は月花さんにそうなのか? と聞くような視線で見たら苦笑いを浮かべ

 

 「 本当は、一緒にお食事した人の車で移動する予定が急に仕事になって戻らなくてはいけなくなってタクシーを拾おうと通りに出るところでしたから… 」

 

 そう月花さんが話すと

 

 「 仕方無い、この辺りを流すタクシーも油断なら無い者が少なくない

 

 私がその目的地とやらに送るからついてきなさい 」

 

 そう言われてその人の車で移動する事になったんだ

 

 その人の車は軽のワンボックスで、どうやら車内で生活してるっぽい

 

 そんな車内の様子を珍しそうに見るボクに

 

 「車がそんなに珍しいのか?」

 

 そう聞かれて

 

 「 元々車に縁がなかったのと、暫く車の無い… 馬車が移動手段の所で生活してましたから…

 

 と、言ってもその馬車にすら余り乗る機会はありませんでしたけどね 」

 

 そう話したら

 

 「 車が無くても平気なのか? 」

 

 そう聞かれて

 

 「 ボクの場合、一日の殆どを厨房で過ごしてたから関係有りません 」

 

 そう答えると首を降って

 

 「 理解出来んな… 」

 

 そう言って首を横に降るその人に月花さんの指示する車屋さんに送ってもらった

 

 

 

 

 月花さんが購入した車は、4トントラックだけどソーラーパネル装備の特別車

 

 後部のカーゴは改造されオフィスになっていて、応接室兼仮眠室も在るんだってさ

 

 「 へぇーっ、ボクこーゆーの好きだな… うん、これがオフィスだってゆーのなら月花さんの申し出を受け入れこの世界で活動する時の所属事務所として契約してもね… 」

 

 そうボクが言ったら

 

 「 本当に氷華ちゃん? 」

 

 そう嬉しそうに聞く月花さんに

 

 「 うん、嘘は言わないよ…頭悪いから間違った事はゆーのはご免なさいだけど逆に言ったら嘘を吐けるほど器用でも賢くもないんだからねっ♪ …まぁ、得意気にゆー事じゃないけどさ… 」

 

 そう言って舌を出して苦笑いすると

 

 「 その仕草… お前があの選ばれし薬師なのか? 」

 

 そう言われて

 

 「 選ばれし? 最近あっちには行ってないけど確かに薬師の氷華だよ 」

 

 ボクがそー名乗ると

 

 「 ぉ、お前が… だが自らを男だと名乗っていたはずだが? 」

 

 そう言われて

 

 「 そう、こんな格好してるけどボクは男だよ、まぁ男の娘って言われてますけどね

 

 諸事情ってゆー奴で少なくともボクの趣味でしてる訳じゃないですよ

 

 ただ… やっぱりさっきみたいな時に月花さんの事は勿論自分の身すら守れないボクに男だって言える自信無くなってきましたよ… 」

 

 そう力無く笑ってゆーボクの手を引いて先に車内に乗せ

 

 「 明日から始まるロケ現場近くのオートキャンプ場を予約してありますから移動しますよ 」

 

 そう言ってボクをトラックの中央に座らせ

 

 「 お世話になりました、何かの折りにはお力になれたら良いのですけど… 」

 

 そう言って名刺を渡すと、ボクの隣に乗り込んだからボクも

 

 「 ありがとー、おねーさん… 縁があったら又何処かで… 」

 

 そう告げるとトラックは走り出したんだ

 

 

 

 海の見える山に在るオートキャンプ場に着いたのは日暮れ近く

 

 途中のドライブインで、月花さんと運転手の無花果さんはコーヒー、ボクはココアを飲んだだけで何も食べてないからボクはともかく二人はお腹ペコペコ

 

 早速お弁当を開け食べ始めたからボクは簡単なスープを用意している

 

 スープは二人がお弁当を食べ終わるまでに作り終えたから一緒に飲んでもらうことにしたんだけどアイツも弁当持参で現れ羨ましそうにスープを見てるから

 

 「 しょーがないなぁーっ… 」

 

 そー言ってスープをよそい渡したら嬉しそうに弁当と食べ始めたんだ

 

 食事の後、ガイドの男が立ち合ってボクの月花さんのモデル事務所の所属契約を交わしたんだ

 

 だからこの撮影の妨げにならない範囲なら月花さんの仕事も受ける事にした…

 

 「 写真集の宣伝の為にも頑張って下さい 」

 

 そう言われてね…

 

 預かってもらってた荷物を受け取り、ボクに割り当てられた部屋のクローゼットに仕舞い

 

 寝間着と着替えの下着を持ってシャワールームに行きシャワーを浴びて汗を流し濡れた髪を気にしながら上半身裸でシャワールームを出た…

 

 そしたら三人が慌てて、月花さんはボクをドレッサーの前に立たせて

 

 「 貴女の身に何が起こったのかは存じませんが、私が言いたい事が何かは言わなくてもわかりますね? 」

 

 そう聞かれて首を横に振り

 

 「 わからない、こんな腫れが何だってゆーの? 一晩寝たらちゃんと腫れはひいてるよ」

何の根拠もないのにそう言い切るボクに

 

 「 何故そう言い切る事が出来るのですか? 」

 

 そう聞かれて

 

 「 こんなの質の悪い冗談に決まってるからじゃん? 」

 

 そう言ったけど

 

 「 とにかく彼が目のやり場に困ってますから早くシャツを着なさい 」

 

 そう言われてシャツを着たらそのままドレッサーの前に座らせて髪を乾かしながら手入れしてくれてる

 

 「 ホントの事言ったらバッサリ切りたいんだけどチームの仲間達とかが切らないでくれっ! って煩いんだよね 」

 

 そう言ってガイドの男を軽く睨むと苦笑いを浮かべるだけだった

 

 夕べはさすがに一晩中ぐっすり眠ったけど今夜は眠くないから夕方荷物を受け取った時に渡された内職 ( 裁縫 ) ミッションを始めたんだ

 

 正方形の白い布地の縁に縁取りを縫い付ける… とゆーので百枚分の素材を預かってるんだ

 

 明け方ちょっとうとうとしたけど、一晩かけて五十枚仕上げた

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