撮影は順調に進み食事になりクーラーボックスの中の冷やし中華の麺を冷水で洗いトッピングのハム、キュウリの細切りと金糸玉子にトマトを乗せ…
プラスαーにキムチに豆板醤、青唐辛子味噌合え豚肉を用意して好きな物を乗せて食べてもらうんだっ♪
って思ってたら嫌味っぽく超高級食材でバーベキュー始めやがんの…マジムカつくんですけどっ!
その匂いに釣られてあっさり系が好きな月花さんと無花果さん以外皆バーベキューに行っちゃったから余計ムカついたボクは何も食べずに木陰でふて寝した…
暫くして喉の乾きを覚えたボクはモソモソ動きだし良く冷えたレモングラスのハーブティーを飲み
お腹が空いてるのを自覚したから改めて冷やし中華を食べようとしてみたらボクの分以外は空になってて
「何でアイツ等が食べてるのさ…」
唇を尖らせ呟くボクに笑いながら月花さんが
「氷華ちゃんの手料理を食べるための作戦だったみたいね、バーベキューは…
ガッツリ系の皆はバーベキューに釣られて問題なく貴女の作ったランチを堪能してましたよ」
そう言われて
「ばっかじゃないの?」
そう呟くけど綺麗さっぱり食べてもらって口許が緩んでたんだって
日中の一番暑い時間帯前に休憩に入りデザートのスムージーを作り始めたんだ
カメラマンと男性スタッフは豆乳のスムージーにあの男は抹茶ミルクで女性スタッフはココナッツミルクのスムージー
沙羅さんはココナッツオイルのスムージー
無花果さんはミルクバナナで月花さんはレモン系ハーブにボクはミルクココアで五人は仕方無いから予備の市販のアイスと残ってるフルーツに牛乳でシェークにして飲ませた
その後は暑さに弱いボクに気遣いゲン頼み別荘で休ませてもらえる様に手配したけど嫌がるボクに
「又、暑気負けで倒れて入院したいんですか?
無理しないできちんと養生するって約束で強引に退院したんですよね?」
そう言われて
「な、何でその事をコイツらの前で…そんな事ばらすのさ?そんな弱味なんか他人に知られたくないのに…」
唇を尖らせて文句ゆーボクに
「睡眠も食事もキチンと取らないからですよっ!」
眉しかめてそう言われて
「そんなのその五人に何の関係も無いじゃん?
それにゆっくり寝てられるほどボクは暇じゃないし食事だってお腹空いたらちゃんと食べてるじゃん?身体が欲しがる分は食べてるんだからねっ!」
って言ったら
「好きな物をほんの少しだける食べてるみたいですけどね…」
そんな風に言われてそれに対しても
「食欲無いんだから頑張ってたべるには好きな物じゃなきゃ喉を通らないよ?」
そう答えたら
「全く…あー言えばこーゆー…貴女みたいにへ理屈ばかり捏ねてる我儘娘はキチンと躾て下さる殿方が必要なんですっ!」
そう言われてさすがにムカッとして
「誰が我儘娘なのさ?つかボクの事を娘とかゆーなっ!それに男と付き合う趣味なんか微塵もないっ!」
そう叫んだらクラっと立ち眩み…
「だ、大丈夫か?氷華…」
そう声を掛けられながら身体を支えてもらって何とかシートの上に腰を下ろすと愛用のリュックからマグボトルを取り出し薬草茶を飲んで一息を入れ
「わかりましたね?ご自分の体調が…」
そう言われてさすがに凹んだボクは
「心優しきゲンお坊っちゃま、どうか貴方様の別荘でこのヘタレな私を休ませて頂けませんでしょうか?」
ボクにそう皮肉たっぷりに言われて溜め息を吐くと
いきなりお姫様だっこで抱えられて別荘に運ばれたんだけど何故だかボクは顔に熱が集まり鼓動が煩いくらいに激しく高鳴っていた…なんで?
その疑問には多分誰も答えを教えてくれない…自分で探さなきゃいけないのはなんと無くわかっていた
その答えをボクが受け入れられるかは別問題になるんだろうけどね
と、まぁそんな感じでゲンの家の別荘に招待されたんだけど…
「だ、だからと言ってなんでこんなに似合わないお嬢様ドレス何かを着なきゃいけないのさ?
ボク何かに着られたらドレスが可哀想な事くらいなんで気付かないかな?
ボクにはもっと気楽な服で十分なのにさ…
まさかメイド服が懐かしく思えるなんて日が来るとは思いもしなかったよ、全くさっ!」
その日の夕方ゲンの姉妹達が集まり晩餐会になり招待されたボクはその姉妹達のプロデュースによりボクの意思に関わり無く勝手に派手なドレスを着せられ
勿論口答えは一切認められ無いのはゲンも一緒らしく…
(イヤ、ゲン達に対する当たりのがもっとキツいかも?)
勝手にドレスアップされたボクは鏡を見て思わず
「誰…これ…」
そう呟いて笑われちゃったけどね…ウソ偽りの無いボクの気持ちだからしょうがない
ゲンの家の長女はゲンより8歳年上だからボクより13才上ってことになり有名な演技派の若手女優さんだってさ
次女はボクより十歳上の世界的な歌姫だそうでまぁこの人も縁の無い人だろうね
三女はボクより六歳上の天才学者…一応専攻は聞いたけどさっぱりわからない
四女、五女はボクより四歳上の…つまりゲンの妹達だけど鉄人アスリートでトライアスロンでは常に一、二位を争い他の追随を許さないんだって…憧れちゃうかも?
着せ替え人形となったボクは出されたハーブティーを飲みながらなんとか気持ちを落ち着けようと切り替えていた
「お嬢様、食事の支度が出来ました…」
そんな時にメイドさんが知らせに来たのでダイニングに案内されたんだけど隣に座ったゲンに
「ゲン…お姉様達っていつまでこちらにいらっしゃるの?」
ってそう聞いたら
「五泊したら帰ると聞いてるがそれがどうしたんだ?」
そう聞き返されたから
「ボクのスキル獲得職業にメイドが有ってさ…」
優雅な立ち居振舞いで配膳するメイドを見ながら
「あのね、どうせスキルアップしなきゃいけないんならあのお姉さんみたいに素敵なメイドさんを目標にしたいから…
お姉様達が留まている間だけでも良いからご指導お願い出来ないかな?って思ってね…」
そう言ったら
「それが叶えば今の撮影期間はここで寝起きしても良いって事か?」
そう聞かれたから
「うん、アンだけ断っときながら身勝手な奴って思うかもだけどお願いしたかったんだけど…」
そう言ったら
「彼女が側に居ないと色々差し支えがありますけど一人貴女の指導役として派遣しましょうか?」
そう言って頂いたから勿論喜んで立ち上がり
「はいお嬢様、どうぞよろしくお願いいたします」
そう言って今の自分に出来る精一杯の仕草で頭を下げた
メイドのお姉さんの見よう見真似でやったらさっそく厳しいダメ出し食らったけど真剣にその指導に耳を傾けた
その後ボクはお姉さんと同じ服を支給して貰いさっそく食事の後片付けから指導していただく事になったんだ
勿論、食事の際のテーブルマナーも指導していただいたよ
翌日の朝食はボクと殆んど同じ位に目を覚まされたらしい双子の香菜様と紗菜様のお二人がロードワークを済ませシャワーで汗を流してからダイニングに顔をお出しになり召し上がられた
勿論アスリートのお二人が召し上がられたのはボクからしたら太に負けてないんじゃないの?と思ってしまうような量なんだけどね…
ボクが女の子だったら惚れてしまいそうな男前? な上にろくに走れない、全く泳げない…以前に水に浮かない体質、自転車の後ろも怖くて乗れないボクからしたら鉄人どころかまさに完璧超人なんだよね
だから、そんなお二人に泳ぎやサイクリング、ジョギングを誘って頂いたけど
「 ごめんなさい、身体能力低いから薬師を選んだし薬膳と薬草の店の周辺しか出歩けなかったんです、自転車怖いし水に沈むから… 」
そう言って苦笑いして
「 だからそんなカナヅチのボクを水の中から呼ばないでよね、しかも自分達がオフだからって撮影中のボクをさっ!」
ゲンが起きてきてテーブルに着いたのに気付いて朝食の支度をしながら嫌味を言ってやったら
「 お前の店、水中薬草も扱ってたはず? 」
何て寝惚けた事ゆーから
「 このおバカさん、ボクのお店の初期設定はおにぎりと傷薬に回復薬だけだったんだよっ! 」
そう教えてやったら目を丸くしてだけど、まぁそう言いながらも直ぐに再申請して商品を充実させていったんだから知らなくても不思議じゃないんだけどね
特に売れ筋は、持ち運びに便利な団子でハイノーマルアイテムで素材は粽、餡饅頭はレアアイテムに煎餅はスーパーレアアイテム
でも素材は稷、ノーマルアイテムで腹持ちが良くて多少ライフが回復する
吉備団子とは似て非なる物で解毒作用がある
粽、もち米に似た餅麦を使う以外はもち米の粽と見た目たは何ら変わらない
使った素材で若干効能が変わる
餡饅頭は、夏目の餡を薬麦の糠で作った生地で包んで焼いた物でライフがかなり回復する
煎餅、餅麦を突いた物を焼いた物で軽く長期保存が聞くため長い旅… 特に深い迷宮に挑む者に人気
特に美味しい訳ではないものの逆に言えば食べるのが苦になるわけでも無いのも好感度を得ている理由のひとつで、腹持ちが大変良く二枚食べれば大抵の者のライフならほぼ全快になる
それらの四品を完成させたボクはレアアイテムのカカオナッツ、通称元気真似と言われるレアアイテムとスーパーレアアイテム、元気だね?のヒントを与えられ育成に取り組んだんだ
そして元気だね? の栽培に成功したボクは伝説の薬師の流れを汲む薬師って呼ばれる様になったんだ
でも… この世界と違いボクの居た世界のプレーヤーは冒険で得た富は一切持ち帰る事が出来ないから徐々にその数を減らしていったんだ…
ボクもその不満解消できるから…と、誘われて新しい冒険を初めてキャプテン達と出会ったんだ…
そうぼんやり考えてたら
「 いつになったら営業を再開するんだ? と、さっきから聞いてるんだがな… 」
少々苛つきを滲ませ言われて眉根を寄せて
「 そうやって自分達の要求が通らないと威嚇したり力尽くしでゆー事聞かせようってプレーヤー達が増えたんだよこの世界のプレーヤーにさ…
堕落しちゃった運営はボク達の世界から来たプレイヤーの事を見捨てちゃったんだよ…
ボクの知り合いの宿屋の女将や露店商の人なんかにも散々な目に遇わされたのは一人や二人じゃきかないしボクだって代金踏み倒されたのは一度や二度の事じゃないんだからね…
しかも、もっと危うい目に遇った事だって… 怖くて戻れないし戻りたくない… いや、足がすくんで戻れないんだよ?
とてもじゃないけどね、あんな所になんか戻るなんて考えることさえしたくなんかないんだからさっ!」
そうボクに言われたゲンは
「 そんな奴は一握りの… 「 そんなの関係無いっ!被害者には何の慰めにもならないんだよっ!
やられた側の人間にとっては1/1なんだからそんな事言われたってね…
まさか運が悪かったとでもゆーつもり?
もしもそーゆーつもりなら教えてやろうか? ボクがどんな目に遇ってどんな思いで彼処から逃げ出したか…
忘却の彼方に押し流して無かった事にしたかった記憶を… 自ら封印してなかった事にしていた事実をさっ!
例え模擬体だからって言ったって痛いものは痛いんだよ、心も体も… 記憶 ( データ ) に刻み込まれた痛みと恐怖は簡単には消えてくれない、消えてくれないんだよっ! 」
そう叫んで言ってふと思い出して両腕で身体を抱き抱え震えながら
「 そうでなくても非力なのに非戦闘タイプのボク達が法 ( 運営 ) と言う名の加護が得られなくなったらそれはもう悲惨の一言だったんだよ…
ゲン、それでもアンタはボクにそんな所に戻れってゆーの?
レアアイテムの宝庫、宝石箱って言われてRRアイテムの完治薬の製法技術を持つボクが身を守る術も無いままノコノコ帰ったらどうなるか位言わなくたってわかるよね? 」
そう言われて言葉に詰まるゲンにいつの間にダイニングに来ていたのか他のメンバー達が