テイマー・ヒロ!!   作:ナルガウス

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多分1ヶ月ぶりぐらいです。ナルガウスです。

いや、本当に時間がかかりました。
8月に入ってからは、ボランティアがあり、夏休みの宿題があり、課題テストでは化学で赤点を取り追試を受け、文化祭があり、部活の練習試合があり、部活の大会前日では、僕前にも言ったかもですが、バレー部のセンターなんで、ブロックしたら友達の足を踏んでしまい、足首をグギッとたら《剥離骨折》と言われました。

その後も、平和講演会みたいのが学校にあり、戦時中の日本の話を聞いて、本当に「戦争はいけないな」と思い、軽く「テイマー・ヒロ書くのやめた方がいいかな?」と一瞬真面目に考えたのは秘密ですw

前書き長くなりましたが、本文はもっと長いです。

それでは、どうぞ!!


埃の少年と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月7日

準中央区地下街メインストリート

8:30

 

 

「ハァハァハァ………どこ行きやがった…………」

 

疲れながら俺はキョロキョロ周りを見ていた。

 

何故こんなに疲れているかと言うと、理由はつい30分前にある。

 

 

 

俺は4月に上級軍士になり直ぐに後悔した。理由は2つ。

 

1つ目はこの服装だ。帽子は円柱状のオレンジ色でツバはなく、変わりに正面には銀色刺繍が縫ってあるものをかぶり、黄色い軍服に赤の手袋とブーツそして、マント。渡された剣には刃がなく、細くて長い。

 

これがのグラン兵上級軍士実習生(俺たち)の軍服らしい。軍兵やましてや軍将なんてもっとかっこいい服を着ている。

 

2つ目は研修場所だ。俺たち123号室は研修として半年間《セントラル・グラン準中央区地下道商店街》の警備を命令された。そこは治安が悪く、衛生面においては最悪だ。

 

何故俺たち123号室がここ担当かというと、問題児だらけの俺らを最悪の場所にいれて半年間研修と言う名の説教を与えるためらしい。

 

俺は「抗議しよう。」とアローンに言ったが、主席で上級軍士の称号を貰ったアローンは浮かれていて、「別にいいじゃん?」とイヤらしい笑いをしながらそう言った。

 

着いてみれば早々お偉い第一貴族のアローン様は汚いだの、臭いだの喚いていた。

 

まぁ、1ヶ月も経てば俺らは慣れてしまい、何度もふざけて上級軍兵殿に殺されるかと思うぐらい怖い顔で叱られた。

 

 

今日もパトロール中に2人でいきなり剣の稽古を始めてしまったので、罰としてパトロールする時間を延長されてしまった。

 

すると突然、果実屋から1人の銀髪の少年がそこの店主をぶっ飛ばして走り抜けてきた。

 

右手には多分牛の革で出来たやや大きめの袋が張り裂けそうなほどに荷物が入っていた。顔はいかにもお使いの帰りの表情じゃない。何となく少年に声をかけてみた。

 

「おい、坊主どうした?」

 

俺の言葉を無視して通り過ぎてから、その店の店主が大声で

「泥棒だ────!!!!!」

と叫んだ。俺から店主まで、20メートルほど離れているのに俺は耳がちぎれるかと思うほどの痛みが耳を襲う。

 

俺はニヤリと笑い、ちょっと面白そうだと思い、その少年を追いかけた。途中、顔見知りの軍兵に見つけなかったら、俺らの晩飯抜き。といわれて少し焦り始めた。

 

 

そして、今に至る。

 

 

────どこにいるんだよあの坊主。もしも見つけなかったら今日の晩飯抜きとか意味わかんねぇーよ。早くアローン来いよ

 

 

俺は回りを見るために屋根を昇った。想像以上の汚さで度々ゴキブリがこちらに挨拶に来るが無視して子どもを探す。

 

屋根を上るといってもたくさんあるので、屋根と屋根をジャンプするのがスリリングでついついハマってしまいそうだ。

 

────上から埃が落っこってくるって下では騒いでるんだろうな

 

10回目ぐらいで銀髪の少年を見つけ屋根の上から飛び降り、その子を捕まえようとした。すると、本能が危ない!!感じ体を横に曲げる。するとさっきまで首があったところ目掛けてナイフを刺してきた。

 

なんとかそれをかわして、反射的にそいつの頬を全力で殴った。

 

俺は背中から落ちて、体を回す勢いに逆らえずにそのまま地面を転がり民家の壁にぶつかり止まった。その拍子に防止が落ちたが、邪魔だったのでむしろ嬉しいくらいだ。

 

少年は殴られた方の頬を抑え果物を握ってまた逃げようとする。

 

「おい!!待てこのガキ!!」

 

俺は逃がすまいと、その少年の背中にドロップキックをして吹き飛ばした。上級軍兵から貰った手枷をかけようとそいつの腕をつかんだら、逆に引っ張られナイフで首を刺そうとしてきた。

 

「────ッ‼」

 

────マズイ、よけらんねぇ!!!!!

 

まさかの不意討ちに体が反応するのに、コンマ一秒遅れた。すると首ではなく、左肩に激痛が走ったと思ったらアローンが俺に向かってドロップキックをしてきた。

 

俺は間一髪で逃げられた。アローンを見ると………

 

「ク………ッ!!容赦ねーな坊主。」

 

左肩に深々とナイフが刺さっていた。

 

「ヒロ……頼む…………」

 

俺は無言で頷き、勢いよくナイフを抜いた。手にはアローンの肩の肉を切り裂く感触がひしひしと来た。

 

「アアァァァアアアア!!!!!」

 

アローンは悲鳴をドラゴンの咆哮のような叫び声を出した。俺は携帯用で持っていた包帯を肩に巻いていたら、それに気づいたのかドラがこちらに来て治療してくれた。

 

「ヒロはもっと回りを見てくださいよ、治療といっても傷が塞がるだけなので、血とかは戻らないし傷も残ります。回復………《聖女の応急措置(ルミナス・メディック)》」

 

黄色に近い黄緑色のとても大きい注射器(代々全長2メートルぐらい)が現れ、針がアローンの傷口に入り傷を癒した。

 

「悪いなドラ」

 

アローンが自分の肩に鎮痛剤の注射を射つドラに謝った。

 

「いいえ……。それよりも治りましたよ。しばらくは絶対安静でお願いしますよ‼」

 

ドラが痛み止めの注射を射ち、そこを叩いたアローンを軽く叩いた。

 

「ッ!!」

 

アローンは再び激痛に襲われて倒れた。

 

5分後

 

「…………俺……もしかして………寝てた……?」

 

「あ、あぁ……」「はい!!」

 

「あの子は?」

 

「フェニクスが追ってくれてるから、場所はわかるぜ」

 

「でも、ばれるのは時間の問題か……」

 

「まぁな、それよりもアローンそんな体で動けるか?」

 

アローンは自分の体を確かめるように肩を回したりしてから小さく頷いた

 

「あぁ、大丈夫だ問題ない。」

 

「そっか、じゃあ悪いんだけど今から移動しちゃうぞ、フェニクスが言うには入り口の反対側らしいからここから4キロぐらいだ。」

 

「4キロ?地図では確かここの地下街3キロって書いてあったような……まぁ、考えても遠いけど仕方ない。走っていくか?」

 

体が万全ではないのを隠して強がっているのがあいつらしい。

 

────全くたまには俺のことを頼ってくれてもいいんだぜ

 

という言葉を胸にしまい頷いた。

 

「あ、あぁ。そうしよう」 

 

15分ほど走ると、木製の天井までは届いていないが5メートルくらいの壁が現れた。

 

────参ったな、これじゃ通れない………

 

俺が肩を落としていると、後ろからアローンがある一点を指差している。その先を見ると、地面から3メートル程離れたところに、不自然に汚れた麻製の布が2平方メートルぐらいの大きさをして、意味ありげに貼ってあった。

 

「何だろこれ?」

 

俺は2人に聞いても両方とも首をかしげていた。

 

俺はそれを上に勢いよく開けると、半径50センチぐらいのいびつな形をした円が現れた。興味でなかを覗く。

 

「こんなの知らねーよ………」

 

目の前に広がる空間は、俺らが生活しているところよりも、全然血腥く、恐ろしい世界だった。

 

「どうかしたのか、ヒロ?」「大丈夫ですか?」

 

俺はいつも偉そうに俺たちに命令してくる、軍兵や上級軍兵に怒りが芽生えた。いつもいつも、ちょこっとだけ見回りをして、気に食わなかったら豚箱へ放り込む。仕事が終われば酒をのみ、金を弄んでいる。先輩達(アイツら)を。

 

「殺してやる‼」

 

身体中が怒りによって支配されていくのがわかる。血は沸騰し、視界は狭くなって行く。狂獣の衣が体から出てるのがわかる。

 

怒りを何かに当たらないと気がすまない気持ちになった俺は、マントを掴み引きちぎった。

 

「ヒロ」「ヒロさん」

 

後ろからアローンが俺を羽交い締めしてくる。

 

────頼む……お前を攻撃したくない…離れてくれ……頼む………頼む‼

 

「落ち着け、何があった。」

 

優しい声でゆっくりアローンが俺に聞いてきた。まるで子どもをなだめる父親のような優しさで。

 

「あ、アイツらが無責任なんだ。治安が悪くって表しか見てない。まだ、あそこにいるやつらはいい方だ。こいつらは、本当に………」

 

ドラが俺の横を歩き、布をめくる。

 

「「────ッ!!」」

 

2人があまりのショックに凍りついている。腕と共に力が弱まった声が、耳元でないと聞こえないような声を叫ぶ。

 

「何が捕まえないと、今日の飯抜きだ、だよ。こいつらは、飯食えるかどうかすら分からねぇーのに‼」

 

そう。窓の奥にあったものは、残酷な光景だったのだ。人がそこらじゅうに倒れて死んでいる。一目で分かる。あれば餓死だ。しかもハエやらウジ虫やらが身体中を住みかにしている。

 

「オェ────………」

ドラが余りの光景に横で嘔吐した。胃酸の臭いが鼻にツンと来るが、それを超える何かは分からないが何かが腐ったにおいがする。

 

俺は意を決して、そこへ向かう。乗り越えて一歩踏み出した瞬間。グシャ!!という湿った、それでいて中に棒状の固い何かが入っているそれを踏んだ。下を見てみると、それは腕だ。しかもまだ小さい。多分10歳にも満たないかもしれないような。しかも綺麗に切れているというよりは、噛みちぎられたか、引っ張られてちぎれたように、切断面がぐしゃぐしゃだ。

 

「────ふざけるんじゃねーよ‼」

 

俺はついに我慢の限界だった。まだ、子どもだ。これからの人生だ。これから辛いこと、楽しいこと、頑張ること、全ての期待がまだその体には残されている。それなのに、生まれた場所が悪かったから?ふざけるんじゃない。

 

────フェニクス!!あの子は?

 

『あ、あぁ。もう手遅れかもな………』

 

────どういうことだ

 

『上級軍将が例の子を見つけた。殺されるかもしれん』

 

────何だって!?場所を教えてくれ‼

 

『良いのか?絶対勝てないぞ?』

 

「アローン、ドラ。あの子の場所が分かった。アローンは嫌かもしんないけど、あの子を救いたい。その……力を貸してくれるか…………?」

 

「こんなの見せられて黙ってられるか!!場所は?」

 

俺が、こっちだ!!と叫ぶと2人とも一緒に来てくれた。

 

「攻撃魔法はあまり出来ませんが、援護なら任せてください」

 

「心強いよ。でもその……相手が上級軍将何だよ。もしかしたら3人束になっても勝てないかも………」

 

「ヒロ。お前らしくねぇな、弱気なんて。ならこうしよーぜ?ドラが《フラッシュ・アウト》で奴の視界を奪い、そこから2人で斬り込みに行く。その間にドラがその子を回収に行く。今日の晩飯は絶対貰えないけど、そんなのこれを見れば気にもしねーだろ?」

 

「そんなベタなな作戦でいけますかね?」

 

ドラが不安そうな目で俺らを見てくる。俺が、大丈夫なんとかなる!!と言おうとしたとき、いきなりアローンがゲラゲラ笑いながら叫んだ。

 

「何言ってるんだよ?ここには突撃軍士ナンバーワンのアローン様がいるんだぜ‼負けることねーよ!!!!!」

 

その言葉は俺らに言ったのと同時に自分にも言っている気がした。

 

「あぁ!!期待してるぜ、主席様‼」

 

俺らは互いに拳を当てた。

 

『そこを曲がったところだ』

 

フェニクスが戻ってきて、俺らに伝えた。

 

「「「了解」」」

 

俺とアローンは壁に寄りかかって身を隠す。ドラが杖を取りだし、《フラッシュ・アウト》!!と叫んで、杖の先端から黄金色の玉が現れた。

 

「あ、あれ…消えた………?」

 

ドラも奥の壁に身を隠しながら首をかしげる。それと同時に、太陽のような光が向こうからしてきた。

 

「目がァー………眩しくて何も見えない……殺される……殺される…殺される殺される殺さむッ!!………」

 

少年の声が途切れる。嫌な汗が背中で火山の噴火のように噴き出してきて、不安が体を襲う。アローンとアイコンタクトして、同時に抜刀して、少年の方へ向かう。

 

しかしそこには、誰もいなかった。叫んでいた少年も上級軍将の姿も。

 

────マズイ、どこへ行った‼

 

「アローンさん、ヒロさん!!!!!」

 

ドラが叫ぶ。

 

『後ろだ』

 

フェニクスがそう言って、その方向へ向くと少年が40歳ぐらいの大男に口を押さえられていた。男は俺たちを敵と認識したようで少年は顔を掴まれ横に投げ捨てられた。勢いは余り無かったから死んではいないはずだ。

 

「なんの真似だ貴様ら?」

 

────この顔どこかで………

 

「ブロム突撃軍帥殿………?」

 

アローンが、軍帥の名を口にする。そうだあと人は、でもどうして?右手に持っているものは、あとランスのような大剣《龍苦》ではなく、両手の手の甲から3本爪のようなナイフ……種類は多分《クローナイフ》を持っているのだろうか?

 

「兄さんと間違えるな、まぁ、よく似ていると言われるがな。名前は名乗るのは気が進まないが名乗らなければまた間違えそうだから言ってやる。俺の名は《クワル》だ。まぁ、お前らはここで豚箱に放り込んでやるやつに言っても意味ないがな。」

 

「そうは行くかよ。テメェーの事をここでボコボコにしてやるから待ってろ。」

 

「軍将に向かってその口を聞ける度胸は誉めてやるが、おしおきが必要だな!!」

 

その瞬間、クワルに衝撃的な現象が起きた。瞳が変わったのだ。もっと具体的にいうと、瞳を二分するように縦線が1本上から下まで真っ直ぐに延びている。

 

────何だよあれ………?

 

すると、クワルの全身が青い炎で消える。

 

「「「え!?」」」

 

俺らは同時に目を疑った。先程まで目の前にクワルがいたのに今は熱風を残して跡形もなく消えているのだ。

 

しかし、人間の直感なのか、本能なのかは分からないが、体が勝手に前に動いた。そして頭のなかにはただ一言が。

 

────蹴られる‼

 

という単語だけが頭のなかをぐるぐる回っていた。

 

ズゴッという音ともに背中にクワルの足の指先がかする感触がした。もしも先程のようにそのまま動かなかったら確実に吹き飛ばされていた。

 

アローンは瞬時にドラの方へ逃げる。

 

俺は全くの不意打ちにそのまま手をついてしまい、バランスを崩した。

 

「ほう。今の攻撃をかわすか。ただの雑魚だと思っていたが、そうでもないらしいな!!」

 

勢いをつけて俺の腹に蹴りを入れた。

 

「うぉえ……!!」

 

体が宙に浮き、アローンとドラよりも後ろにに打ち上げられた後、背中から落っこちた。肺の空気が一瞬で口から漏れる。

 

背中の激痛を気合いで乗り越えて立ち上がる。そして、ポケットにてを突っ込む

中から、ガラスのような水色の平らな石を取り出した。名前は《獣異色晶(エレクロック)》。別名《属性石》だ。

 

ドラとアローンが心配するように俺の方へ向き、アイコンタクトをする。ドラは俺の行動を見て一瞬驚いたように目を見開いたが、直ぐに、ニッと笑い頷いた。

 

アローンも斬り込もうと《フレイム・ストライク》を放つべく構えていた。俺の行動を察してくれたらしく、頷きさらに深く構える。

 

俺は出来るだけ壁から離れるように斜め前に走る。

 

アローンの体に黄金の衣(覇王の衣)が現れ、剣には円推状の炎の渦が鋭利に。より鋭利と針のように鋭くなる。

 

瞬間

 

爆発音と砂ぼこりを運んでクワルを襲う。それと同時に、俺はエレクロックをクワルに体を捻りながら投げる。

 

「《フラッシュ・アウト》!!」

 

ドラは杖からプラチナ色の玉が、サファイア色の玉を撃った。

 

その瞬間、太陽のような光が、氷の結晶のような空色に色を変えた。

 

《エレクロック》とは、魔物などの体の中にある結晶で、それらを殺すと体内から出てくる。魔物はそこから属性術を出すと考えられていて、エレクロックに属性術を撃つと、その石の色に代わる。色は全部で8色。《赤 青 黄 黒 緑 紫 白 茶(炎 水 聖 闇 草 雷 風 岩)

 

水色のエレクロックは水属性の中の《氷》。それが氷の結晶になり、竜巻となり、クワルを巻き込んだ。竜巻が止むとクワルは完全に氷によって固定されていた。

 

そこへ、フレイム・ストライクで走っているアローンが剣を前に出す。氷が融解して水しぶきが生き物のように勢いよくうなりながら、心臓を穿とうと襲いかかる。

 

すると、爆音と共に小さな声が爆風につれられて耳に流れてきた。

 

「これが岩だったら、成功したものを……『憑依しろ、《青熊猫(セプータ)》』」

 

「────ッ!」

 

背中に嫌な汗が滝のように流れる。

 

────まずい‼憑依化!?

 

クワルの体の回りに、青い炎が包み込むようになびく。そして、両手の甲の上に大きな青い大爪が現れ、それと同時に氷が昇華して、水蒸気となり、クワルを隠すように蒸気が現れる。

 

そこへ蒸気を貫こうとアローンが突進した。その勢いと炎で蒸気が晴れてゆく。そこには

 

 

 

 

 

 

誰もいなかった。

 

 

 

 

 

────どこへ行きやがった………

 

 

 

 

 

 

俺がキョロキョロしていると、ドラが珍しく森グマのように叫ぶ。

 

「上です!!天使の鎌(ジェシェール)!!」

 

ドラが大声で術名も叫んだ。金色の大鎌がクワルに向かって飛ぶ。この技は、ドラの唯一できる攻撃技で、威力はないがスピードと切れ味は軍官も目を丸くするほどに強烈な技だ。

 

クワルは想像以上の早さの攻撃にバランスを崩しながらそれを弾く。

 

アローンは再び剣を光らせ、クワルの落下地点で構えた。氷素と風素の融合属性剣技《アング・ブリザス》を放つ。

 

次の瞬間。そのままアローンの剣とクワルの大爪がぶつかる。

 

一瞬、鍔迫り合いになったが、地の利があるアローンがクワルを吹き飛ばそうと思いっきり振り切った。普通ならアローンがそのまま吹き飛ばして終わりだが、やはり相手の武器が神器でしかも憑依化中だけあって、アローンの剣も折れそうだ。対するクワルはとても涼しい顔で余裕たっぷりという表情をして、口は不適な笑みを浮かべている。

 

────何か嫌な予感がする

 

ついに、クワルが勝利を確信したように笑うのと同時に吹き飛ばされ、アローンの剣が折れた。

 

クワルを目で追うと吹き飛ばされた奴の姿がない………

 

すると、アローンの背中に青炎の渦が生まれ、そこからクワルがアローンの頭めがけてクローナイフを突き刺そうと手を出す。

 

 

────やめろ、やめろやめろ!やめろ!!!やめろ!!!!!

 

属性剣技で……間に合わない。

 

属性術を使って……間に合わない。

 

抜刀術は……間に合うはずがない。

 

 

アローンを失う。そう思うだけで恐怖の矢が心に突き刺さる。しかしその感情とは裏腹に狂獣の衣はこの状況を楽しむように真っ赤に染まった。

 

俺は届くはずのない拳を全体重をのせてクワルに突き出す。拳は空振りに終わったが、狂獣の衣がそれに反応するように形を変化させ始めた。左手に集中して真紅の大きな拳に変わった。

 

 

 

 

 

 

 

────使い方は体が知っていた………

 

 

 

 

 

 

 

獄炎の隕石(へレム・メテオ)のような大きな球体がクワルを襲う。目を見開いたクワルはそのまま吹き飛ばされ、民家の壁を突き破った。

 

俺は滑り込むようにアローンの方へ向かう。

 

「アローン無事か!?」

 

俺はアローンに手を出して立たせた。

 

「ヒロ、さっきのは?」

 

「俺が聞きたいぐらいだ」

 

実際本当に分からないのだ。強く願った瞬間に羽織の形が変形してクワルを吹き飛ばした………のか?

 

 

2人であーでもないこーでもないと討論していると、民家の方から笑い声が聞こえる。この声はクワルだ。憑依化を解除というか、武器もしまって両手をあげている。

 

「まーさか、狂獣の衣をここまで使いこなしてるとはなー、こりゃー参った、()()()()()()()()()()()()()()()》はははははは…」

 

────今こいつ何て言った………

 

「ヒロとアローン、それにドラだっけ?いい腕してるよお前ら。ヒロは兄さんの言う通りだったけど、2人も本当に良かったよー、はははははは」

 

「クワルあんたいったいなんなんだ?」

 

アローンが不思議そうに訪ねる。

 

「俺は静殺部隊上級軍将クワルだ。一応お前たちよりも位が上だから、敬語使えよ?まぁ、さっきの一件があるから仕方ないけどな」

 

「そーだったんですか~こちらこそ、斬ろうとしてすみませんでした~」

 

 

スッゴくドラが軽い謝罪をしている。これはふざけているのではなく、喋り方がこういう人なのだ。

 

するとガサッという音が彼らの会話を止めた。そちらの方を向くと、少年が震えながらナイフをこちらに向けていた。

 

「く、来るな‼」

 

俺は動揺する気持ちを無視して、少年の前に立った。

 

「何するつもりだ」

 

すると、獅子のような目で俺を睨んでくる。

 

「どうせ俺を殺すつもりなんだろ‼殺して、金を稼ぐんだろ‼俺らは道具じゃない‼お前が俺を殺すつもりなら逆に俺がお前らを殺すしてやる!!!!!」

 

絶叫しながら少年が俺の顔めがけてナイフを突き出してきた。それをギリギリでかわし、。

 

────速い‼抜刀してる暇がない……

 

続いて、足めがけて2回、斬りかかってくる。

それをバク転ンしてかわすと、後ろからアローンとドラ、以外にもクワルも助けに来る。

 

「援軍感謝するけど、こいつは俺にやらしてくれ」

 

「あ、あぁ。」

 

クワルが頷く。

 

「俺なんて1人で楽勝ってことかよ……」

 

「いや、そういうつもりじゃないんだけどな。いや、確かに初めはそう思ってたけど、今はお前の強さに興奮してる」

 

俺が頬を緩めながらそう言うと、まるで異物を見るような目で見てくる。

 

「キモ」

 

いがいとこの二文字は胸に来るものがある気がする。

 

俺は気を取り直して構えると、少年も構える。しかし、その構えはどこかで見覚えがあったというか、よくする構え、《フレイム・ストライク》だ。

 

────まさか、やる気なのか?

 

「お前それ出来るのか?」

 

「金髪を見てやり方がわかった」

 

俺は抜刀術に構え直す。

 

そして、少年がフレイム・ストライクを放つ。しかし、やはり見よう見まねなので本物とは少し異なる。本当は炎の渦を剣の周りに作りながら放ってくるのだが、少年はナイフを突きだした瞬間、足元が爆発してその勢いで突進してくる。なので、スピードが尋常ではない。

 

俺は抜刀術《逆柄守斬(ギャドシュル)》を放つ。

 

ナイフの腹を手で凪ぎ払う。そして、剣の柄頭で腹を殴る。この2つの動作を瞬きのような速さでする。

 

「ゴェッ!」

 

少年がその場で倒れ込む。そのままうずくまると思ったが、剛勇にも立ち上がろうとしている。だが、腹の激痛で力が入らないのか、足が力むので精一杯だった。

 

「はぁ…はぁ……グ…グラン…兵に捕ま…る位なら…」

 

喉仏に剣を向け、喉に突き刺そうとする。

 

────マズイ!!!!!

 

俺が手を伸ばすが、それは、もうすべてが終わった後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クワルが一瞬で飛んできて、少年の腕を蹴っ飛ばしたのだ。

 

そして、少年の耳元に口を近づける。

 

少年は目に涙を浮かべて、クワルの言葉に頷いた。

 

アローンがクワルに向かって首を傾げる。

 

「何と言ったんです?」

 

「『もしも、ここの生活が嫌ならば、お前の力でここから抜け出せ。グラン兵採用試験の手配はしてやるあとは、お前の努力次第だ、やるか?』って言ったのさ。ここにいるやつら分に教科書と鉛筆とかを買わねばならんが、それで済むなら安いもんさ」

 

クワルは軽く笑いながらそう言う。

 

「つまり、彼らに法律の教育をさせてやると?」

 

「そう言うことだ。あいつらは人間の生活をしていない。俺がここで金をばらまくのもいいが、それは人に向けてやることではない。家畜に向けてやることだ。だから無償に生活の場所を渡すのではなく、自分たちに努力をさせて働いてもらう。それでも無理だったら、俺にはどうにもできん」

 

俺は少年の前で胡座をかく。初めは何を言おうか迷ったが、話始めたらスラスラと口から流れていった。

 

「お前もグラン兵になるのか?」

 

「あぁ」

 

声は軽く湿っている感じがした。

 

「なら、未来の後輩に名前と年齢を聞いておかないとな」

 

すると、少年は俺を馬鹿にするように鼻で笑った後、言葉を続けた。

 

「ルークです。ナントカ先輩。年は10歳です。」

 

そう言った。凄くぶっきらぼうに

 

「そういえば名前言ってなかったな俺。ヒロだ。年は15歳。それにしても、しっかりしてるな。俺の幼なじみの弟もルークと同い年だけど、もっと子どもっぽいぞ」

 

ソラの弟シードは最後にあったのが2年前だったが、凄くガキだったイメージがある。

 

「そんなの知らねーよ」

 

────まずは礼儀を教えた方が良さそうだ。

 

すると、いきなりルークの顔が厳しくなった。

 

なんか俺したかな?そう本気で思っていると、ルークが言葉を続ける。

 

「ヒロ先輩。俺に剣を教えてください」

 

いきなりの行動に、軽く俺は戸惑った。俺に剣を教えるほどの技量があるかどうか………いや、その前にあいつたしかナイフ使ってたんじゃ!!

 

「お、俺ナイフ使えないぞ」

 

すると、言うと思ってたというような顔で話してくる。

 

「あぁ。だからナイフじゃなくて剣を教えて欲しいんだ」

 

今から剣の勉強をする。それはより一層グラン兵への夢が遠退く可能性がある。それを踏まえて、ルークに剣を教えるべきなのだろうか。

 

考え込んでいると、後ろからアローンが話してきた。

 

「いいんじゃねぇーか?お前流の剣術を教えてやっても」

 

 

 

 

 

────俺流の剣術………なんじゃそりゃ

 

 

 

「あぁ、いいよ。教えてやる。だけど教えられるのは、5ヶ月だけだ。そうしたら研修が終わるから俺はここから離れる。だからその短い期間で剣を教える。それからは自分で頑張れよ」

 

「あぁ」

 

「あと、敬語をちゃんと使えよ?」

 

「分かった‼」

 

────早速使ってねぇーし

 

俺らはそれから果物屋のおっさんに謝りに行き、ルークが思いっきりビンタされた。

 

俺が大丈夫か?と聞くと、もう慣れたと言い、笑いながら別れた。

 

その後俺、アローン、ドラの3人は上級軍兵に飯を抜かれた。

 

腹へりが収まらないので、ベッドに寝転んだ。

 

 

今日は色々ありすぎたせいか、頭がパンクしそうになった。

 

だが、パンクしても頭から離れない言葉が1つだけあった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

クワルが言ったあの一言が頭から離れない。

 

────あの人が俺の父さんなのか?

 

その筈はない。師匠が俺らの両親は昔戦争で戦死した。そう言っていたのだ。師匠が嘘をつくはずがないし、そんなこと、思いたくない。だが、想像すればするほど、あのどこか悲しい雰囲気がアル兄と重なるような感じがするのは、錯覚だろうか………

 

今度ブロム軍帥に聞いてみよう。そう心のなかで呟いてから、ため息のように一言が漏らしてから寝た。

 

「そうだ。今考えても仕方がないことだ」

 

それから俺は目が覚めたら明日になっていた。

 

まるで、寝た感じがしないほどたくさん寝たらしい。

 

そしてまた、昨日のような忙しい日々が始まる。

 




初めて、文字数一万の壁を突破しました‼
今までは、確か最高でも4000ぐらいだったので疲れました。

これからも応援お願いします‼
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