「貴方、本当に帰る気は無いの?」
「まぁ、気分だな
帰りたくなったら帰るよ」
「そんな適当に…」
「いられちゃ困るか?」
「そんなことは無いけれど…」
「ならいいじゃん
誰も困らないなら
困っても正当な理由無しなら帰らないがな」
なんやかんや話をしている内に大分時間が経った
「あら、そろそろお仕事をしないと」
「掃除か?」
「えぇ、まぁ
よくわかったわね」
「外の人間だからな」
「貴方の世界って一体…」
「変態の多い世界だ」
「何それ怖い
それより早く掃除、掃除」
そう言うと彼女は時を止めて道具を持ってきて、早足で掃除に取り掛かった
「…」
「…」
「…」
「さっきから何で見つめてくるのよ」
「窓硝子は新聞紙で拭くといいぞ」
「は?」
「床を拭くのもいいが、天井も拭いた方がいい」
「い、いきなりどうしたのよ?」
「もどかしいからアドバイスしただけだ」
「そ、そう…有難う」
数時間後
「ふぅ、やっと終わったわ」
「ちょっと、こっち向いてくれ」
「え?」
そう言われ振り向くと彼が鼻を摘んできた
「!?な、何よ!?」
「鼻に埃が付いてたからとってやったんだよ」
「そ、それぐらい自分で取ったわよ…」
「気になったんだから仕方ないだろ」
「えぇ…」
「俺はこう見えて細かい事が気になるんだ
例えばそこ
ソックスが左脚だけ2cmズレてる
ネクタイが右だけ長い
右手薬指の爪が0.3mmぐらい伸びてる
左足の靴底に紙屑が付いてる
スカートの後ろに折り目etc…」
「も、もういいわ!!
わかったわよ、今直すから」
「俺は観察力には自信があるからな」
「単に面倒くさい人じゃないの」
「自負している」
「自負しないでよ…」
「断る」
「もういいわ…」
彼女は掃除を終え、昼食を作り、食べ終え
彼女の部屋にて
「ふぅ…」
「疲れたみたいだな」
「えぇ、貴方がいるおかげで尚更」
「そうか、人が増えるとなるものだ」
「…
まぁ、いいわ」
そう言うと彼女は机から色々と道具を出した
「ナイフの手入れか」
「えぇ、よくわかったわね
このことも貴方の世界で?」
「いや、単に俺が物騒なものに詳しいだけだ」
「物騒なものにって…」
「因みに俺も今、物騒なものを持ってるぞ」
そう言うと彼は腰の後ろから銃を出した
「な、なにその大きいの…?」
「銃だ
俺の特製だ
S&W M500をベースに改造したものだ
口径12mm、全長370mm、重量15kg
初速は980m/s、装弾数6発
特注のプラスチック爆弾を装薬に使用
メタルジャケット弾で最大5cmの鋼板をぶち抜ける
拳銃でありながら対物ライフルに迫る威力だ
俺が『対人外用』に作ったものだ」
「よくわからないけどとにかく凄いものなのね
ところで対人外用って…」
「俺の知り合いは人間を超越した奴ばっかだからな
攻撃手段の1つとして作った」
「貴方、一体どんな人生送ってるのよ…」
「少なくとも怪我人が出る人生だ」
「聞かない方がよかったわ…」