神の不注意によりチートな2ndライフ始めました。   作:じじぃ♀

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サブタイで若干ネタバレ。将来的にアレン君には欠かせない大切なオトモになる予定です。
そしてアイツ。書いてて楽しいアイツです。

出航したのでそろそろちょっとずつチートにしていきたいです(切望)。






第13話 船出、仲間、そしてアイツ

 

「なぁ、あのカモメを呼んでくれよ」

 

フクロウたちははじめはびっくりしたようだが、良心的だった1羽が進んで呼びに行ってくれた。

 

『呼んできたよ!』

 

「ああ、ありがとう」

 

『いーえ!…行ってらっしゃい、頑張ってね!』

 

「ありがとう、行ってくるよ」

 

フクロウはそれを聞き届けると仲間たちと一緒に飛び立った。残ったのは木の上から俺を見据える巨大なカモメだけだ。

 

『私に、何か用かしら?』

 

彼女は静かに聞いた。相当、気位が高いようだ。

 

「用って言うか…お礼だよ」

 

『あの時の?』

 

「今までの、だよ。今までずっと俺たちのこと見守ってただろ」

 

たぶん、あの日から彼女はずっと俺たちのことを見守っていた。でも俺がそのことに気付いたのはごく最近だ。

 

『あら、気付いてたのね』

 

彼女はおかしそうに言う。

 

「最近、だけどね」

 

『そう。ねぇ貴方、私を連れてってみる気はない?』

 

半ば挑戦するように彼女は目を光らせた。森がざわめく。

 

「君を?どうして」

 

『暇なのよ。自分で言うのも何だけど、私ここらの空では強い方なの。だから刺激がないのよね。それに貴方、他の人とどこかが違う。面白そうなことが起こる気がするわ。だから、私も連れて行って』

 

彼女はそう言って木から降りてきた。地面に降り立つと、彼女の巨大さがより際立って見えた。

 

どこかが違う、というのは彼女の野生の勘だろうか?それとも、俺と他の人間との違いを感じているのだろうか?どっちにしろ、面白そうだ。こくりと、彼女に頷いてみせた。

 

「いいよ。俺今から海軍に入るし、君がカモメっていうのは丁度いいかもね。名前は?」

 

『ないわ。今まで1人だったもの。貴方が付けてくれない?』

 

よ・そ・う・が・い☆

 

え、名前って何。どうやって付けんの。

 

「名前?んー…名前か。付けたことないからわかんないなぁ。……あ、これはどうだ?“大福”!可愛いだろ!」

 

『嫌よ』

 

彼女はばっさりと切り捨てた。

 

「えー…似てるのに……じゃあ“白玉”」

 

『もっと嫌。だったら大福のほうがマシだわ』

 

また切り捨てられる。しかしもう名前が思い付かない。俺は良いと思うんだけどなぁ、大福。白いし丸っこいし。

 

「じゃあ大福。決定!君は今日から大福だよ。よろしくな」

 

彼女の不満気な声は無視して、微笑んだ。結局、彼女も諦めて“大福”になることを承諾した。

 

 

 

 

 

 

「うぅ…全部の動物の声が入ってくる…」

 

あれから両手で耳を塞ぎつつ麓の待ち合わせ場所に向かうが、うるさくてどうしようもない。

 

大福と話すために動物との意思疎通を入れっぱなしにしていたのだが、やはり森の中というだけあって、その声の量は馬鹿にならず頭が破裂しそうだ。

 

『貴方のそれ、どうにかならないの?例えば鳥の声だけとか、その種限定とか』

 

大福が後ろをトコトコと歩きながら提案した。

 

ああ、その手があったか。

 

「それ、もらった」

 

そう言えば、彼女は嬉しそうに胸を張った。

 

彼女には先程から飛んでってくれて構わないと言っているのに、どこに行くかわからないと言って一緒に付いてきてくれている。何かと優しい気がする。

 

「“リライト”」

 

早速自分の能力のところに書かれている『動物との意思疎通』を『大福との意思疎通』に書き換えた。

 

刹那、森の声が消え、聞こえるのは大福の声のみになった。

 

「はぁ、楽になった。ありがとな、大福」

 

『どうも』

 

彼女はまた誇らしげに胸を張った。案外、可愛いところもあるのかも知れない。

 

 

 

 

 

━━━━━━

 

 

 

「おーいじぃちゃん!」

 

森の麓、一際大きなくすの木の下に人影を見つけ手を挙げた。

 

隣で大福が不満そうな声をあげる。

 

『あれが貴方のおじいさん?なんだか野蛮そうね』

 

「そんなこと言うなよ。確かにそうだけど、純粋なとこもあるんだよ」

 

「一体誰と話しとるんじゃ?」

 

今度はガープが不審がって声をあげる。

 

「大福だよ、さっき友達になったんだ」

 

そう言って隣の彼女を紹介するが、ガープにとっては彼女はただの巨大なカモメなので、盛大に眉間にシワを寄せられた。

 

『この人、失礼ね』

 

大福は文句を垂れ、ガープを睨みつけた。

 

早速仲悪いなぁ。

 

「仕方ないんだよ、大福。それよりじぃちゃん、早く行こう。1週間後の朝1なんだろ?間に合うの?」

 

俺の言葉にガープはそれを思い出したようだ。

 

「そうじゃ!早く行かんとギリギリになるんじゃったわ!アレン、挨拶は済ませて来たのか?」

 

「ああ、もちろん」

 

手紙で、だが。一人ずつ封筒に入れてそれぞれの枕元に置きっぱなしだ。

 

明日の朝1番に起きたエースかサボが、それを見て驚き声を上げれば、それにつられてルフィやダダンも起きて、そこで初めて俺がいないことに気付くだろう。

 

俺はまた新しい生活に身を置くことになり、なんだかふわふわしたような期待と不安の入り混じった変な気分だ。

 

今更だが、何故手紙かというと、実際に会って説明しようとすると絶対に理解しないやつと絶対に納得しないやつ、それから絶対に心配して引き止めるであろう弟たちが3人もいるからだ。

 

言わずもがな、だ。

 

それに弟たちに行かないでくれと言われた場合、俺なら決心が揺らぐ自信がある。

 

ブラコンで何が悪い。

 

まぁ、今回の新生活の場へ赴く気になったのも弟たちのためであるのだが。言ってしまえば、現在、俺はマリンフォードへの航路の真っ只中だ。このまま行けば最悪でも1週間後の深夜にはあっちに着くらしい。

 

ちなみに横にはまだガープがいる。大福はガープが気に入らないらしく会わないようにして上空を飛んでいる。

 

「おお、そうじゃアレン。まだ海兵になりたい理由を聞いておらんかったな。何故海兵になりたいと思ったんじゃ?」

 

親切にも船の手伝いをしたい、と申し出た俺を引き止めてまで何を聞くかと思えばそんなことか。

 

というか1番先に聞くべきことである。

 

「そりゃあもちろん、じぃちゃんにアコガレタカラダヨ?」

 

もちろん嘘だ。

 

しかしガープは明らかに嘘を言っている風の孫を疑うということすら頭にないらしい。嬉しそうに鼻の下を伸ばした。

 

「そーかそーか!アレン、お前だけでも道を踏み外さんでくれて嬉しいぞ!」

 

完全にキモいジジィであることは黙っておこう。

 

それにこの場合、どちらかと言うと道を踏み外したのは俺だ。俺は海軍に入ることでこのガープから離れられないのだから。

 

「当たり前だろ?じいちゃんは『てんさい』なんだから」

 

天災か天才か。俺は前者として使ったが、ガープは後者として受け取ったらしい。

 

「天才か!そうかそうか!!センゴクに良く話を付けてやろう!」

 

いや、そんなことしたらダメだかね?できるわけないからね?

 

「いいよ、俺まだ15歳じゃないんだし…置いてくれるだけでも嬉しいよ」

 

海軍に入るには15歳以上でないといけないのだ。俺は現在、11歳と1ヶ月。まだ4年近く足りていない。それをほぼほぼ一方的にとはいえ、ガープが話を通してくれたのだ。

 

わしの孫じゃから大丈夫じゃ、と訳のわからない理由での正式ではなく見習いとしての採用だが、それだけでもかなりありがたい。

 

「遠慮はせんもんじゃぞ!」

 

「この場合はしなきゃ色々と可笑しいでしょ」

 

即行で切り捨てた。ガープの相手面倒くさい…。

 

 

 

 

それからずっとガープに拘束され続け、やっと開放されたときにはもう太陽が水平線から顔を出そうとしていた。

 

ふと、やけに甲板が騒がしいことに気が付いた。走り回る海兵の1人に話しかける。

 

「あの、すみません、何かあったんですか?」

 

「海賊船だよ、ほらあそこ。ジョリー・ロジャーを掲げてるのが見えるだろ?」

 

そう言って、海兵は太陽の方を指差した。

 

…確かに、逆光でよく見えないが黒にドクロを描いた旗を掲げている船が揺れている。っていうか、あの船もしかして………。

 

「砲撃、するんですか?」

 

「ああ。とは言っても既にガープ中将が「そぉおおい!!!」……砲撃してるから甲板の俺たちは基本的に砲弾の補充だけだよ」

 

海兵は苦笑しながら、大きく振りかぶり砲弾を投げるガープを見た。

 

うん、おかしいよね。素手で弾投げた方が大砲で撃つより強いって…バケモンだよ。

 

「俺も手伝えることはありますか?」

 

正直眠いし怠いが、この状況で先に寝ますとは流石に言えなかった。

 

「いや…砲弾は重いし、ここにいても危ないかも知れないから中にいた方がいいと思うよ」

 

あの砲弾って10キロくらい?だったら余裕じゃないか?

 

俺ってば長年のコルボ山での生活のおかげで100キロ以上ある牛だって運べるんだし。それに危ないって…ここ猛獣いないからむしろ安全な方だけど。

 

「牛1頭は1人で運べるので砲弾くらいなら大丈夫かと」

 

そう言った瞬間、彼の顔に浮かんだのは『そういやコイツ、ガープ中将の孫だったわー』という半分諦めにも近い感情だった。中々ひどい。

 

「…じゃあガープ中将のところに行って砲弾の補充を頼むよ」

 

「はい!」

 

無駄に元気よく返事をして、今だ砲弾を投げ続けるガープに近寄った。ガープの他にもこの船に付いている砲台からも射撃が続いているため、海が大きく波打ち船が揺れる。

 

ガープが投げる方向に視線を向け、俺は溜息を吐いた。今砲撃されている敵船に見覚えしかなかったからだ。

 

「じぃちゃん、あの船ってもしかして…」

 

「なんじゃ、知っとるのか?…そぉおおいっ!」

 

また1発砲弾を投げる。

 

「知ってるっていうか…ルフィから聞いてるから。シャンクスって海賊の船じゃない?」

 

残念ながら先程投げた弾はレッド・フォース号からの砲撃で空中で相殺された。今のはヤソップだな、あれは。

 

「そうじゃ!あやつ…ユリアナだけでは飽きたらずルフィまでそそのかしおってからに……うおぉりゃああ!!」

 

また投げた。憎しみを乗せた渾身の一撃は、やはりヤソップによって空中で相殺された。哀れガープ。ってか今の1言聞き捨てならん。

 

「彼は母さんをそそのかしたことがあるの?」

 

いや、昼間初めて日記見た時に8割方予想付いたんだけどね。母さん海賊王の船に乗ってたし!俺のこと『シャンの子』って言って(書いて)たし!

 

それでも聞かずにはいられなかった。

 

「そそのかしたどころか!あやつ!日記に書いてあったじゃろう!お前の父親はあやつじゃ!!」

 

はい何デカい声で言ってくれてんのこのくそジジィ!

 

慌てて周りを見渡したが、幸い、戦闘中ということでそれを聞いている人間はいなかったようだ。ほっと胸を撫で下ろした。

 

「じぃちゃん、それは確かなの?」

 

「確かも何も!ユリアナが言ったんじゃ!!嘘を吐く理由がどこにある!!」

 

ビックリマークの度に彼は砲弾を投げ続けた。普通砲台には装填時間があるがガープにそういうことは関係ないのであちらも対応できなかったらしい。やっと1発がレッド・フォース号の船尾の方に当たった。

 

「ガープ中将!」

 

ガープの向こうでさっきの海兵が敬礼しつつ報告に来た。

 

「このままでは期限に間に合う確率が下がりますが、戦闘を続けられますか?」

 

「うぅむ……仕方ない…。撃ち方止め!」

 

ガープは憎々しげにレッド・フォース号に一瞥し、軍艦内に指示を出した。ふと、報告に来ていた海兵と目が合った。

 

「ほんとに君、力持ちなんだね。将来の夢はガープ中将のような海兵かい?」

 

「ええ、もちろんです!強い海兵になりたいんです!」

 

子供らしく笑って答えた。精神年齢は恐らく彼より年上なんだがな、と心の中で苦笑する。

 

彼はにっこりと微笑んだ。顔が引きつっている。

 

「君なら、きっと強くなれるね」

 

どこか遠くを見るような彼の視線の先が、俺の片手に乗る黒々しい10キロの砲弾だったことをここに追記しておこう。

 

 

 

 

━━━━━━━━

 

 

 

あの砲撃のあと眠いのに船の案内をされて、7時頃になってやっと1人になれた。大福はご飯に行ってくると行ったっきりだ。

 

いや、ね。この船の人が嫌いなわけじゃないよ。流石海兵っていうか…優しいんだよ。でもさ、俺のこと察しすぎ。ガープが祖父ってのはまぁあんまり良くはないと思うけど哀れみすぎなんだよ。

 

あ、そういえばさっきの海兵さんの名前、ラボックって言うらしい。ガープに俺のこと任されてた。

 

ラボックもラボックで少し心配性な気があるらしくうっとおしかったが、まぁ良い人だ。1通りの船の説明が終わったところで、「ごめんね、疲れてるだろう?ゆっくり休むといいよ」って一人部屋を用意してくれた。気が利きすぎてコワイ。

 

まぁ俺は今、その言葉に甘えて部屋でゴロゴロしながらユリアナの日記を開いているのだが。ほんとは寝たいけどこれ放っとくってのは何かちょっと俺的に嫌だった(なんで嫌なのかはよくわからないので明言できない)。

 

どうやらこの日記は16年前からほぼ毎日綴られていたらしい。

 

1番初めの記述はこうだ。

 

『初めまして。私はモンキー・D・ユリアナ。今日から日記を付けることにしたわ。よろしくね。日記を書く上で決め事でもしておこうかしら。

 

1つ、ちゃんと考えて書くこと。

 

2つ、誰に見られるともわからないし、私最大の秘密は書かないこと。

 

3つ、毎年誕生日に1年を読み返すこと。

 

4つ、父さんには死んでも渡さない。

 

うん、これで大丈夫ね。じゃあ今日はここまで。おやすみなさい』

 

……何したんだよガープ…。死んでも渡さないって…。てか死んでから渡っちゃってるし。哀れ我が母。それに最大の秘密って何だ?

 

ベッドに座り込み、ページをめくる。

 

『そういえば昨日は日付を付けていなかったわ。ちゃんと書かないと日記じゃないわね。

 

1年目、8月7日、晴れ。昨日は私の16歳の誕生日だったんだけど、だめね、父さんがまた私に強い海兵になれって言うのよ。嫌になっちゃう。なんなら海賊になっちゃおうかって思うくらい。…ちょっと待って、今の案いいかも。海賊になろうかしら。あの人たち、いつも笑ってて楽しそうだし、案外私に向いてるのかも。

 

決めた!海賊になる!そうと決まれば色々決めなくちゃ。海賊団を結成するか、既存の海賊団に潜り込むか、ね。んー…。私、船長ってタマじゃないわね。そうだわ、いつも父さんが喧嘩を吹っかける船長さん、父さんは宿敵って言ってたわよね。彼の海賊団にしようかしら』

 

ユリアナはガープにも負けないすごい思考回路を持っていたようだ。

 

本格的に眠くなってきたがとりあえず流れは掴んでおきたいので、パラパラと適当にページをめくった。ふと、日記の中で何かを見つけなきゃいけないような衝動に駆られた。

 

ページをめくるに連れ、段々と非日常的なワードが増えてついにはロジャーやレイリーといった人名まで飛び出し始めた。

 

ページをめくるのを止め、その文に目を通す。

 

 

 

『2年目、3月8日 今日は朝からずっと雨が降ってて気が沈んでたんだけど、ついにやったわ!とうとう父さんを出し抜いて海賊船に乗り込んだの!苦労したわ。だって父さんったら私のこと殺そうとしてるとしか思えない行動ばかりのくせに「強い海兵なれ!」なんて、なりたいと思うわけないじゃない。彼の目を盗んでロジャーの海賊船に乗り込んだときはゾクゾクしたわ!それにこの船、とってもいい人ばっかりね。でも今までちゃんと偵察してきたつもりだったけど、初めて見る人も沢山いたわ。それに、私と5つしか変わらない男の子が2人も乗ってたの!あの2人は喧嘩ばっかりだけど、なんだかんだ息は合ってるのよね。2人でセットなのかしら?とりあえずこの船ならいい海賊人生になりそう!』

 

 

ついに海賊船に乗り込んだらしい彼女の文面は嬉しそうで、息遣いさえ聞こえてきそうなほど興奮した様子が伝わってくる。

 

…というか、母さんシャンクスより5つも年上だったんだ。

 

続いてまた適当にページを飛ばしていく。

 

 

『2年目、5月7日。今日もよく晴れてとってもいい日だったわ。でもまたロジャーがお酒を飲んで騒いじゃってレイリーさんに殴られてたの。いつも思うんだけど、レイリーさんの拳骨って父さんに負けず劣らず痛そうなのにロジャーも毎回よくやるわ。そうそう、またシャンがバギーと喧嘩してたわ。あの2人も毎回よくやるわよ。結局はレイリーさんの拳骨なのにね』

 

中々な内容だ。しかしそれより気になるのはロジャーを呼び捨てにしてるくせにレイリーは『さん』付けなところだ。

 

立場的にはどっちも付けた方がいいんだけどな、どんだけロジャー尊敬されてないんだよ…。

 

いや、本人が『尊敬』を望まなかったのかも知れない、と無理矢理な持論を取っ付けてみたが途中で止めた。たぶん母さんは本当に何気なく呼び捨てにしていたに違いない。そう信じたい。

 

 

 

『3年目、12月20日。晴れ。どうしよう…。生理が来なくなっちゃった。1ヶ月くらい来ないことなんて海の上じゃ珍しくはないけど、流石に3ヶ月は怪しいわよね…。もしかして、シャンかしら。というかシャンしか心当たりがないのよね。やっぱり言うべきかしら…?でも、間違いだったら大変だし、もう少し様子を見てからにしたほうがいいわよね』

 

はいあった俺だよ俺!まじか…いつからそういう関係だったんだよ…。てかこんな生々しい話を日記に書くなよ…自分だろ、誰に読まれるかわからないって書いたの。覚えとけよ…。

 

『4年目、1月30日。雪。シャンと喧嘩しちゃった。いつもと同じなのよ。いつもみたいにシャンが私の料理のことからかってきて、普段ならちょっと言い返して終わるのに、今日はなんだかとっても腹が立ったの。だからついカッとなって……。シャンにお腹の子のこと言えないまま船、飛び出して来ちゃった。今更もう帰れないわ。シャンにもロジャーにも、ひどい事言っちゃったもの。でも、いい機会かも知れないわ。私はこの子を育てないといけないもの。海の上は危険だし、この子が故郷のないまま生まれるなんて可哀想。この子のためにも…私、フーシャ村に帰ることにしたわ。父さんに連絡とらないといけないけど…今更、私のこと許してくれるかしら』

 

どうやら母さん以外、俺の存在を知っていたクルーはいないようだ。うん、良かった。もしシャンクスとかにばったり会ったりして、息子とか言われたら俺全力で逃げるよ。なんかわかんないけど逃げる気がする。

 

だって四皇だよ(まだだけど)!?嫌じゃん!海賊王の血を引いてるエースが命狙われるなら、ちょっとランク下がるけど俺だって命こそ取られなくても狙われても不思議じゃないじゃん!やだよ、わざわざ捕まるために海兵になりに行くなんて!

 

あ、でもまぁ、どっちにしろ最後には俺も海軍から追われる身になる予定だけど。

 

またいくつかページをめくった。

 

『4年目、7月20日、雨。陣痛が始まっちゃった。今日か、明日には生まれるみたい。早く会いたいわ。どっちに似てるのかしらね』

 

ついに見つけた。7月20日の短い記述。俺の誕生日の前日だ。痛みに堪え忍んで書いたからか今までの丸っこい可愛らしい字体は崩れ、乱れていた。ところどころ水が滲んだようにふやけた跡がある。それが汗なのか涙なのか、もうわからない。

 

次のページに目を移した。

 

『4年目、7月21日、晴れ。やっと生まれたわ。私と、シャンの子。シャンには似ていないみたいね。髪も目も、みんな私に似たみたい。でも…そうね、鼻はあの人譲りかしら。とっても可愛いわ。

 

名前は、もう決めてるのよ。春島でお世話になった双子の名前、女の子ならエレン。男の子ならアレン。私とあの人の子…愛してるわ、アレン』

 

会ったこともない彼女からの言葉はなんだかこそばゆく、温かい。思わず微笑んで、次のページをめくった。…が、そこには何も書いていなかった。次も、その次もずっと続く白いページに、ああ、死んでしまったのか、という静かな思いだけがすっと胸の奥に落ちていった。

 

最後までページをめくったとき、そこには少し黄ばんだ紙が挟まれていた。手紙だ。

 

『アレンへ。

 

はじめまして、なんてこそばゆいわね。たぶん、あなたがこれを読んでいるのなら私はもうそこにはいないでしょう(お決まりよね、このフレーズ)。でも、あなたに伝えなきゃならないことがいくつかあるの。

 

1つは、私もあなたと同じだということ。全てはあの自称神のおじいさんか、私の親友に聞いてね。親友の名前はマクベルよ。きっと、あなたが彼女に会いに行く頃にも彼女は生きていると思うわ。彼女、そういうタマじゃないもの。

 

2つめは、あなたの父親のこと。ごめんなさいね、そのことで迷惑をかけるわ。もしこのことが他の人に漏れれば、一般人でいるのは難しいかも知れない。でも恨まないでいてあげて。あなたも知る通り、彼は悪い人ではないわ。

 

3つめは、あなたの能力のこと。パラパラの実を食べたはずよね。その能力の宿命について、教えておくわ。パラパラの実は全ての上限値を引き上げることができることは知ってるわね?それによって私は自分が食べられる悪魔の実の上限値を引き上げたの。そうしてヤミヤミの実を食べて私の身体に閉じ込めた。これはパラパラの実の能力者がするべきこと。悪魔の実が史上に現れ始めてずっと、パラパラの実の能力者たちが続けてきた宿命なの。でも過去には何度かヤミヤミは歴史に姿を現して、必ず何かを破壊したわ。お願い、この実がティーチに渡る前に、あなたが闇を飲み込んで。辛いことを頼んでるのは知ってるわ。無理に限界を引き伸ばして2つの悪魔を身体に宿すのは死の苦しみだということは、私がよく知ってるもの。でも、全てを丸く収めるにはこうする他ないと思うの。悪いけど、パラパラとヤミヤミをよろしくね。

 

4つめは、名前とDについて。あなたの名前はモンキー・D・アレンよね。だけど、本当は違うわ。私の元の名前はジュペル・D・ユリアナだけど、父さんに拾われたときに咄嗟に名前を隠したの。彼は海兵で、いつ天竜人にバレてしまうかわからないもの。だから私もあなたも今はモンキー・Dだけど、本当は違うのよ。そしてジュペル家やいくつかの限られたDはどうやら、他のDとは少し違うみたいだわ。これ以上についてもいつか、私の親友に聞いてちょうだい。このことは手紙で言うには少し重すぎる話だわ。

 

5つめ。あなたにもう一つ、頼みたいことがあるの。ロジャーの…私たちの船長の息子を助けてあげて。お願い。これから生まれてくるエースには何の罪も無いわ。あんな死は、あまりにも酷すぎる。父さんのことだからきっと、あなたもいつかコルボ山に預けられるわ。だから必ず、あなたが兄弟として彼を助けてあげて。私の最初で最期のお願いよ。

 

最後に、愛してるわアレン。例えきちんと会って話したことがなくても、私はあなたを愛してる。生きて』

 

そこで切れた手紙には丸いフヤケたような痕が残っている。泣いていたのだろうか。

 

それはもう俺には知る術もないが、ただただ胸が苦しくなった。急に実感が湧いてやっと、これまでずっとこの世界の人間を皆、手の中の物語の登場人物のように見てきていたということに気が付いた。

 

もうここは俺の知る物語じゃない。ONE PIECEそのもののようで、全く違う。俺や、ユリアナというイレギュラーがそれを証明している。

 

その紙を元あったように折りたたみ、もう一度本に挟んでゆっくりと日記を閉じた。ぱたん、と閉じる音だけが静かな部屋に響く。どこか遠くのようなくぐもった波が、ざん、と船を叩いては引いていた。

 

もう日は高く、昼に近いことはわかったがもうどうしようもなく眠い。その小さな日記をまた麻袋に詰めて、もう一度ベッドに横になった。5歳の時にフーシャ村を離れて以来のベッドだ。今までずっと布団だったせいか、妙にふわふわして落ち着かなかった。それでも酷い眠気には勝てず、ずるずると夢の中に落ちていった。

 

 

 

……はずだった。気が付けば目の前は見覚えしかない、天井も壁もない真っ白な空間だったのだ。そして俺の前には………

 

「久しぶりじゃの、アレンよ」

 

 

 

 

 




見覚えしかないはずですよね。だってあそこですもん。


〈補填〉

・フクロウたち
モフモフモコモコ。優しいです。

・巨大なカモメ
大福。白くてモフモフモコモコ。優しいです。でも割と強い(本人曰く)。

・よ・そ・う・が・い☆
アレン「名前付けないといけないとか聞いてない。てか名前ってどうやって決めるんだよ。」

・アレンのネーミングセンス
ちょっとオカシイ。とりあえず食べ物の名前。

・アレンの能力

基本的に技は5つ。動物との意思疎通の他に、他人の能力の書き換えや入れ換え、自分の能力もイジれる。自分のに関しては悪魔の実を食べた直後に実験的に若干強化した模様。


インプット……新しく書き加える。

リライト ……インプットで書き加えたものを書き換える。

リプライスメント……能力値の入れ替え。基本的にどんな能力値も入れ替えられるが悪魔の実の能力は入れ替えられない。

キャンセル……解除。能力を変更した痕跡が残る(=再び同じものを書き加えることが可能)。

デリート ……消去。完全に消し去るので同じものを再び書き加えることが不可能になる。


・ガープと大福
仲が悪い。特にどうという理由もない。

・ブラコン
アレン。

・素手で砲弾を投げるガープ
ジジイのくせにやりおr((((バケモノです。

・アレンの腕力
コルボ山恐るべし。11歳が100キロ超えの牛を運べるという事実。海兵の反応は当たり前。

・ヤソップ
飛んできた砲弾を空中で相殺できるとかかっこいいよね。

・シャンクス
2人ともそそのかしたわけではない。勝手にそうなった。何もしていない(つもり)。罪深い。

・気の利くラボック
ガープの戦艦の中でも割と強い方。階級は大尉。もうすぐ昇格予定。これからもアレン君はお世話になる人。

・ユリアナ
丸っこい字。天然っぽい気がある。ガープとは血の繋がりはない模様。というかたぶんこの人も転生者。

・海賊王
呼び捨て。ロジャーさんって感じじゃない。

・パラパラとヤミヤミ
ずっとセットにされていたが現在ヤミヤミは行方不明。フラグ。

・見覚えしかない空間
見覚えしかない。嫌な予感しかしない。


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