神の不注意によりチートな2ndライフ始めました。   作:じじぃ♀

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脱出します。時間かけ過ぎて何が書きたかったのか自分でもわからなくなる始末。いつも通りのgdgd具合です。

それから事件。ある意味大事件です。


第15話 ツッコミ不在の恐怖。そして事件

 

 

 

頭上を飛ぶ鳥がけたたましく鳴き喚き、不安を煽る。まさしく詰んでいた。先にも進めず後にも引けず、このままここで死ぬのだろうか、と柄にもなく諦めそうだ。

 

「……どう、する?サボ」

 

幾分か落ち着いたらしいサボに指示を仰いだ。いつもならアレンに聞きたいところだが、もう彼はここにはいない。それに、俺はお世辞にも賢いとは言えない。だから彼と同じくらい賢く冷静な判断ができるサボに頼るしかなかった。

 

サボはしばらく考えた後、ゆっくりと口を開いた。

 

「…ルフィしか頼れねぇだろ?この状況じゃ。ロープもねぇし。コイツの腕があの穴まで届けば…たぶん、どうにかなる」

 

そう天井を見上げた。まだ止まない雨がその穴から降り注いでいる。穴の端に鉄パイプが転がっているのが見えた。

 

サボの言うことは理解できるし、それしかないと思う。ただ、その案には決定的な不足点があるのに気が付いた。

 

ルフィはまだ、能力を支配しきれていない。

 

昨日のアレンへの誤射ではっきりしたことだ。あの場ではアレンが避けたからさして咎めることもなかったが、この場合ではちゃんと支配しきれていないのなら脱出は望み薄だ。

 

「でもサボ、コイツはまだ…」

 

「能力を使いこなせてねぇよ。でもどうにかするしかねぇだろ?生きて外に出るんなら」

 

眉間にシワを寄せ、サボは絞り出すように言った。不安な気持ちが空気を伝って来るようで、怖いのは自分だけじゃないと気が付いた。

 

「…わかった。ひとつ、俺に案がある」

 

ダメ元で切り出した。俺なんかより頭のいいサボならもっと確率の高い案は出せそうだが、サボは俺の案に同意してくれた。

 

「じゃあ、ルフィが起きたら、決行な」

 

 

 

 

 

 

「…わかったか?」

 

数分後、目を覚ましたルフィに脱出案を話し理解を確認しようとしたが、どうやら彼の理解できる域を超えたようだった。

 

ルフィはふるふると頭を横に振り、不安そうな顔をする。

 

「もうなんでもいいからこの石掴んで腕の力抜いてりゃいいんだよ、後は俺たちがやるから」

 

呆れたサボはそう言って、ルフィの手を取り掌にスッポリと収まるくらいの石を握らせた。錘の代わりだ。

 

「どうやって…?」

 

「だから今説明したろ。投げ縄だって。お前の腕を縄に見立ててあのパイプに投げるんだ。その石は投げやすくするための錘。この説明すんの2回目だぞ?もう理解したか?」

 

やはりルフィは頭を横に振った。これ以上分かりやすい説明にしろと言うのか。残念ながら俺には無理だった。サボはどうか、と彼の様子も見るが完全に呆れて考えることを放棄していた。

 

「もういい。とりあえずお前はこの石握ってろよ」

 

そう言ってルフィの返事も待たずその腕を掴んだ。引っ張れば引っ張るだけびよびよと伸びる。本物のゴムのように千切れることはなさそうだ。

 

「大丈夫だって、指示はするから」

 

まだ不安そうなルフィを宥めるようにサボは言った。それからサボは俺に目配せをし、そしてこくりと頷いた。

 

ルフィの腕を頭上で回し、勢いを付けていく。生きたままの野牛の動きを止めるときの投げ縄とそう変わらない。何も緊張する必要などない。

 

背後でルフィが不安気に声をあげた。サボがそれを宥め、俺が手を離すのを待っている。3人の命が俺に架かっていると言っても過言ではない状況の中、俺は狙いを定めて手を離した。天井の穴へと吸い込まれていくルフィの腕。

 

完全にその手が穴の向こうへ消えかけたとき、サボが叫んだ。

 

「ルフィ!パイプを掴め!」

 

「えっ」

 

次の瞬間、ガチャン!と耳障りな音が耳をうった。鉄パイプが穴に引っかかった音だった。ルフィが離したことで重力に従順になった石がボチャン、と湖に落ちた。

 

「やった!!」

 

サボがガッツポーズを決めた。これでルフィが手さえ離さなければ、脱出は成功したも同然だ。

 

「ルフィ!手は離すなよ!」

 

わかった、とルフィの顔が明るくなる。それに思わず釣られて微笑み、サボに再び目配せをした。

 

「んじゃ、ルフィ。合図したら腕、戻せよ」

 

そう言ってサボはルフィの手を握った。俺もそれに続き、サボの手を握る。これはサボの案だ。降りてきた時と同じように、ルフィを命綱にして上に上がる。上手く行けば3人とも確実に助かる方法だ。

 

「行くぞ!ルフィ、腕を戻せ!」

 

刹那、ぐん、と内臓を置いてけぼりにして来たかのようは浮遊感と共に視界がどんどんと上っていく。サボと握った腕と肩が痛かったがこれさえ耐えれば外に出られる。希望が見えた。

 

思わずサボを見上げ、目があった。サボは嬉しそうに目を細め笑う。

 

成功した。その笑顔にそう確信した。

 

次の瞬間、俺たちは鎖のように繋がったまま天井の穴から外へ飛び出した。開けた視界に森の深い緑が飛び込んで来る。

 

「出た!!!」

 

ルフィが声を上げた。気がついたときにはドッと鈍い衝撃音と共に硬い岩の地面に体をぶつけて3人揃って地面に伏していた。肩やぶつけた腰がズキズキと痛む。

 

ゴムであるルフィは岩に体をぶつけてもどうということはなかったらしい。すぐに立ち上り興奮してぎゃいぎゃいと騒ぎ立てる。

 

「すげーな!エースもサボも!すげーかっこよかった!!!」

 

こんなストレートな褒め言葉なんてアレンを除けば初めてだ。いつも満足気に微笑んで無駄に褒めるあの兄でやっと慣れたと思ったのに、顔はボッと火がついたように熱くなる。

 

「なッ……黙ってろバカ!」

 

ルフィに怒鳴りつけ顔をそらすが、運が悪かった。そらした先にはサボがいて、俺を見てニヤニヤと笑っていた。

 

「笑ってんじゃねぇよ!」

 

「いや~エース君は可愛いなーと思って。なぁ、ルフィ?」

 

「???エースはかっこいいぞ?」

 

「もうやだ俺…」

 

頭が単純すぎるルフィはこてんと首を傾げ、それを見てサボはゲラゲラと笑い出す。ツッコミ不在の恐怖に頭を抱えた。

 

アレンがいたならば少なくとも軽いツッコミくらいはいれただろう。まぁ、のらりくらりとして、ふと突拍子もない思考に至るような彼の性格上、最終的にはどちらにも加勢しそうだが。

 

「もういいだろサボ!さっさと帰ろうぜ」

 

まだ笑っているサボを半分睨みながら言う。ルフィはまだ状況を理解できていなかったので放置だ。

 

「あははっ…いや、ごめんごめん。なんかすげぇ面白くてさ」

 

目尻に浮いた涙を拭いながらサボは近くに落ちている鉄パイプを拾いに行った。たぶん、形からしてサボの物だ。

 

そういえば、俺のパイプを洞窟の中に置き去りにしてしまった。長年愛用しているほどに手に馴染んだものだったのに、惜しいことをした。

 

でもまぁ、鉄パイプならグレイターミナルにいくらでもある。また拾いに行けばいいか、と考え直し先に帰路につき始めたサボに続いて森を歩き始めた。

 

後からルフィも俺に続く。

 

「…なぁサボ」

 

ふと声をかけた。サボは、ん?と肩越しに振り返り俺を見る。

 

「俺たちも、独立しねぇか?」

 

アレンみたいに、と付け加える。サボが立ち止まり、それに合わせて俺も立ち止まったが、前を見ていなかったらしいルフィが俺の背中にぶつかった。何か文句を言うがサボの様子を見てすぐに黙りこんだ。ルフィのくせに珍しく空気を読めていたと思う。

 

「独立?」

 

「ああ。ダダンの家を出てさ、俺たちだけで暮らすんだ。今までみたいにアレンにも、ダダンたちにも頼らねぇ。海賊になるために、強くなるために独立するんだ」

 

独立自体は、以前から案としては在った。だがアレンがそれを許さなかった。保護者として、ダダンたちは何かと都合がいいだろって。その意味はよくわからなかったがその言葉で、今までずっとあの家で生活してきたことは事実だ。

 

「俺たちはずっとアレンには敵わなかった。でもそれじゃ海賊の高みに行くにしても世界を廻るにも、いつか限界が来る」

 

憧れと、少しの焦りの目で見ていた強い兄の背中は俺よりずっと大きくて、いつも俺たちの先を行く。遠くなって見失わないようにしてきたけど、これからはもうそんなわけにも行かない。アレンは海兵、俺たちは海賊。

 

味方だとは言ってくれたけど道は違う。追いかけるのはもう無理だ。だったら、違う道に行くために強くならないといけない。そのための独立なんだ。

 

サボは頷いた。

 

「いいと思うぜ。ルフィは?」

 

後ろで話を聞いていたルフィに振る。彼は笑う。

 

「おれも賛成!海賊になるなら、自由じゃねぇとだもんな!」

 

「ちょっと違うだろ、それ」

 

呆れたように笑いながらサボが言う。急に大人びた気がした。何と言えばいいのか、いつもアレンが浮かべていた保護者のような温かい笑みだ。

 

サボと目が合った。さっきの表情とは裏腹に子供っぽくこてん、と首を傾げる。

 

「?どうかしたのか?」

 

「いや、なんか…急に大人びたなって」

 

それが変で、と言えばサボは笑った。

 

「それはお前もだろ?お前も何か変わったぞ」

 

「そうか…?」

 

おう!とサボは頷き、そして踵を返した。

 

「ほら、さっさと帰ってダダンに怒られようぜ。んでそれから独立だ!」

 

 

 

 

━━━━━━━━━

~アレンside~

 

 

 

「どうじゃったかの?」

 

水のモニターから顔を上げ、満足げな髭じじいを見た。

 

「どうもこうも……可愛すぎだろ俺の弟たち」

 

「そういうと思ったわい。ブラコンめ」

 

んー?なんか変なワードが聞こえたけどー?

俺は自分で言うのは良いが人には言われたくない!

 

「あ゛?なんか言ったかくそ髭じじい」

 

にっこり笑って指の関節を鳴らした。じじいはビクリと肩を揺らし1歩身を引いた。あからさまだな、おい。

 

「と、兎に角!おぬしの弟たちの喧嘩は終わりじゃ!特に用がないなら元の眠りに戻ってもらうぞ!」

 

「あ、ちょっと待って。今用があるなら聞いてもらえるのか?」

 

いいコト聞いちゃったねー。自分で言うのも何だけど、たぶん今の俺って凄い悪い顔してると思うよ。

 

「なんじゃその顔は!悪いことしか考えておらんじゃろ!」

 

悪いこと考えてますが何か?だって俺パラパラの実だけとかやだもん。使い勝手はいいしチートっぽいのはわかるけど、何せ地味だ。できるならもっとかっこ良くて強力なの食べたい。

 

「ほれ見ろ!ただでさえチートになり得る能力にさらに強力なのじゃと?!天下でも取る気が!?」

 

「あ、いいねそれ。俺が天竜人下して世界の王になったら面白そうじゃん。あいつらただのバカなゴミだし、世界政府さえどうにかできれば楽勝じゃね?」

 

「もうやだ神ちゃん泣きそう」

 

「キモッ…」

 

「泣くぞ」

 

「勝手に泣けば。てか今の脅迫罪だろてめぇ」

 

「口調!!」

 

「あ゛?てめぇ神だからって何でもかんでも許されると思ってんなよクソじじい。人権主張すんぞ。表現の自由だゴルァ」

 

「スミマセンでした……ってするかぁあああ!わし必殺落とし穴!!!」

 

「うわ!!またかよぉおおおおあああああああああ!!!」

 

また落ちた。チッ……あのじじい絶対俺のこと落とせばどうにかなると思ってるし。次会ったら絶対フルボッコ。問答無用で出会い頭に蹴り倒してやる…。あいつが神とか信じないからな、俺。

 

 

 

━━━━━━━━

 

 

「夢見が最悪だ………」

 

おはようございます皆さん。アレンです。

 

じじいに落とし穴に落とされてすぐに目が覚めた。もうホント…休んだ気がしない。ずっと起きてた気分。

 

しかもあれじゃん。なんかあまり触れなかったけどさ、俺ってセンゴクとサカズキたちに試されるじゃん。入軍早々詰んでない?うわぁああああ……。

 

『何か悪い夢でも見たの?』

 

「うわっ!!?……ああ、なんだ大福か…いつから帰ってたんだ?」

 

わかりやすく暗黒背負ってるとこ見られたし。っていうか頭しまってたら大福ってほんとにデカい大福だな。

 

『お昼頃かしら。あなたが眠ってすぐよ。…それより見て、変な果物があったのよ。海賊たちが必死に取り合いしてたし、珍しいものかなって思って奪ってきちゃったわ』

 

え?まじで言ってんの。

 

大福が嘴で押して差し出したのは…紫色のメラメラ的な形の悪魔の実。

 

嘘だろ?海賊たちの争いの中突っ込んで奪ってきたって…大福ってまじで強いのか?

 

「…これがどんな物なのか、知ってるのか?」

 

『知らないわよ。でも食べたくはないわね。何か嫌だもの、この果物』

 

野生の勘ってやつか。

 

だからあなたにあげる、と大福はそれを俺に差し出すが…自分が生理的に嫌なもの他人にあげるのか。もしかしからこの子もの凄いSっ子かも知れない。

 

「いや…ああでもとりあえず、何の実なのかだけ見てみるか」

 

そう言って悪魔の実に触れ、目を閉じた。瞼の裏に標示されるのは…【動物系ヒトヒトの実幻獣種モデル『鬼』】。

 

うん?すごい強そうだね!てかじじい、俺の願い聞き入れてくれたのか…実は優しいのかじじいのくせに!次会った時フルボッコはやめてボコボコくらいに留めといてやろう!

…ボコらないという選択肢はありませんが何か。だってアイツのポテチのせいで俺殺されたし。それなりに根に持つタイプだ。

 

「鬼か。よし、食べよう」

 

『え、食べるの?すごい嫌な雰囲気よ、それ』

 

彼女は明らかに引いた様子で俺の手の中の果物を見つめた。

 

コレ君がくれたやつなんだけど!?

 

「まぁそうだね、君が食べるのはたぶん、得策じゃないかな。海に潜るのも浮かぶこともできなくなるから…それにこれはすごくマズいしね」

 

あ、と大福は何か思いついたように声を上げた。

 

『もしかしてそれ、悪魔の実っていう果物なんじゃない?』

 

「そうだけど…なんだ、知ってたのか」

 

『まぁね、すごくたまに友だちが間違って食べちゃって海で溺れて死んじゃうもの。実物は見たことなかったけど、あなたも、それに私の友だちもよくコレを食べようと思えたわね』

 

おっしゃる通りで。こんな鮮やかで変な色の食べ物なんて毒があるとしか思えないのにさ、何故か誰も疑わないんだよな。ルフィとかマキノさんとか。

 

「そうだな……。うし、食べよう」

 

丸呑み…はダメだな。どこぞの赤っ鼻がそれである意味死んでた気がする。1口齧ればこっちのものだったはず。

 

ふぅ、とゆっくりと息を吐きまた息を吸いつつ鼻を摘んだ。そのままキツく目を瞑り悪魔の実に小さく1口齧りついた。

 

口の中に広がる味は最悪だ。世界で最も臭い&マズい食べ物Best3を全部ミキサーに突っ込んで混ぜあわせたみたいな風味と、それからグニグニとした歯ざわり最悪の感触。噛まずにいても口の中で解けるのだが、それがダメだ。グニグニでベタベタのくそマズいそれが舌全体を包み込むように口の中でとけている。

 

今すぐに吐き出したい。石鹸ででも洗いたいくらいだ。だが出すわけにもいかず、半ば無理矢理それを飲み下した。喉が拒絶している。苦しいし、痛い。それに味がまだ残っている上に飲み下したそれからも味がしているような感覚に襲われる。

 

『あら、1口が小さいわね。気も小さいのかしら?』

 

大福が毒を吐くが対抗する気にもなれず、そもそもそんな元気が出るわけもなくただそのマズさに悶えた。

 

口の中に残る欠片がまだ味を発しているため口内は最悪だ。

 

「おぇえええ……最っ悪だ…」

 

『食べなくてよかったわ。…で?何か変わったことは?』

 

大福の言葉に、拳を握ったり開いたり動かしてみたか特に変化はないように思う。パラパラを使うときみたく、とりあえず手に意識を送ってみた。ぼうっと、掌が紫色に鈍く光る。

 

え。鬼って手光るの。

 

とか思ってるうちに光は増し、そのうち掌から火の玉が現れた。光と同じく紫色の焔だ。

 

『ふぅーん。焔を出すのね。鬼が出すから“鬼火”ってとこかしら?』

 

大福が面白そうに言う。結構良い案だ。

 

「“鬼火”かぁ。いいじゃん、それにしよう!…てか自分で確認するよりパラパラで見た方が早くないか?」

 

その焔を握り潰し、そしてパラパラで自分に触れる。表示される数字の一番下に書かれた特殊項目の更に一番下、【動物系ヒトヒトの実幻獣種モデル『鬼』】の詳細を開く。

 

おー…すごいな、これ。便利だ。

 

簡単に言えば、さっきの焔はこうだ。

 

【鬼火……全てを焼き尽くす地獄の業火。掌から飛ばすことができ、さらに燃やしたいと念じたものだけを燃やすことができる。一度点火すると消すのは困難で、海に入るか対極の能力によってのみ鎮火できる。】

 

つまりは相性の悪い能力者━━━例えばヒエヒエ辺りだろうか━━━以外には最強というわけだ。いいじゃん。あのじじいも中々使える。

 

次の項目に目を向けた。

 

【鬼神 羅刹天《らせつてん》……鬼火によって創造される焔の鬼神。独立した意思を持ち、主を選ぶ。認められれば最強の武神になり得る。】

 

【鬼神 那伽《ナーガ》……羅刹天と同じ、鬼火から生まれる鬼神。7つの頭を持つ蛇の形を取るが、同じようにそれぞれが独立した意思を持ち、仕える主を選ぶ。羅刹天よりも忠実だが選ばれるのは至難の業。また、7つの頭それぞれに特性がある。】

 

【焔鬼葬浪……飛ばした鬼火を遠距離から操作し波のように動かして敵を飲み込む。火力は鬼火を遥かに超え、人間くらいなら一瞬で灰と成る。また、内部に味方がいた場合、その焔は味方にとってはただの温風となる。ピンポイント攻撃も可能。】

 

………やばい能力ばっかじゃんか。

 

『どうしたの、アレン』

 

心配そうに俺の顔を覗き込む大福。思わず苦笑いになった。

 

「いや、思ったよりやばい能力ばっかりでびっくりしてさ…」

 

うん、やばい。だって能力で生み出した焔の鬼神が独立してて更に主を選ぶって……俺の死亡フラグ!!選ばれなかったらどうなんの!?書かれてないよね!!なんで!?

 

『どんなのがあったの?』

 

好奇心剥き出しの大福に能力を説明すること数分━━━━簡単に言おう!ガープに話の内容を盗み聞かれた。それも事細かに。その上で大騒ぎ。悪魔の実を2個も食ったのかーとか、鬼じゃーとか、なんじゃその焔はーとか。その騒ぎのせいで船の機能が完全にストップした。まじ何してんの。

 

そして現在彼は甲板で俺の目の前で正座している。俺は腕を組んで仁王立ち━━━すごく腹が立っている。

 

「オカシイと思わない?ねぇ?俺さ、あんな夜中に出てきたのに次の日の昼前まで寝かせてくれなかったよね?子どもの睡眠って大切なの、知ってるよね?もう2人も育ててるのに知らないなんて言わせないよ?それにさぁ、孫を寝かせないなんてじいちゃん失格でもおかしくないのにさ、普通覗く?聞き耳立てる?折角じいちゃんの背中追いかけてきてくれてる思春期の孫の部屋をさ、普通覗かないよね?で何、挙句の果てに大騒ぎ?ふざけないでよ。おかげで色々と鎮めるのにすごい時間食っちゃったし、このままじゃ期限に間に合わないんじゃないの?どうすんの、お偉いさんに迷惑かかったら。じいちゃんさぁ、中将なんでしょ。上司も部下もいるのに何それ。そんなんでよくその地位にいれるよね。やっぱりオトモダチのツテ?中将なら中将らしくしてよ、周りに迷惑かかるでしょ。それとも何、ADHDとでも言うの?わしは生まれつき空気が読めないんじゃーとか言い出すの?はぁ?わけわかんないから。兎に角、その地位にいるのならちゃんとしてくれなきゃ困るよ。わかった?」

 

放心状態のガープに思いっきり吐き出してすっきりした。無駄に静かな甲板。顔を上げれば、海兵の誰もが手を止めてこちらを唖然として見ていたのでパンパンと手を叩く。

 

「何をしてるんですか、このままでは期限に間に合わないんじゃないんですか?」

 

アッと一挙に動き出す白いセーラーの集団。何か面白い。

 

「…で。いつまでそうしてんの、じいちゃん」

 

完全にネガティブホロウ状態のガープがそこにいた。正座から前のめりに両手を着き、絶望している。

 

…やりすぎた?

 

「ちょっとじいちゃん、いくら何でもしょげ過ぎじゃない?孫にイイトコ見せなくていいの?」

 

その瞬間、ガープは元気になった。というか若返ったように見えるけど気にしないでおこう。気にしたら負けだと思う。

 

「そうじゃ!イイトコを見せてやろう!!」

 

……負けだと思う。

 

 

 

 





ガープの孫大好きなとこについては考えたら負けだと思ってるアレン。でも既に考えてます。負けてます。

ついでに言うとこのアレンによるガープお説教☆事件は伝説として語られます。

それから事件というのは2つめの悪魔の実と、このお説教☆ですね。これは2つともある意味大事件ですからね。鬼火…自分で考えといて何ですけど恐ろしい…。私なら間違えて燃やしちゃいけないもの燃やしそうです。



ちなみに、お説教☆中に登場したADHDと言うのは実際に存在する障害の略名です。本来は、注意欠陥・多動性障害と言います。

主な症状としては、忘れ物や失くし物が突出して多かったり、全くじっとしていられなかったり、人の話を聞けなかったり、全く空気を読めなかったり等、障害としてはすごく認知されにくい症状です。それ故に信頼を失ってしまったり、失敗を繰り返したりで悩んでいる人も多いと聞きました。

さらにちなみにですけど、私がこれで注意欠陥性の方ですので、今回ここに出しました。

少しでも皆さまに知ってもらえたらなーという気持ちです。もし近くに歳の割にじっとしていられない人や話を聞けない人、忘れ物や失くし物の量が突出して多かったりする人がいて、悩んでおられるようならADHDのチェック診断を受けるよう勧めてもらえたらなと思います。ネットで簡単に受けられますので、少しでも困っている方の救いになれば幸いです。


長々と失礼しました←
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