吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

103 / 119
直前呪文

「こいつはあなたのところのしもべ妖精でしたね、クラウチさん?」

 

エイモスさんはクラウチの足元にウィンキーを置き、クラウチに呼びかけた。

 

「──他に誰か、いなかったのか?」

 

「いなかったと言わせていただこう」

 

「そんなはずはない。絶対に、ありえない!」

 

クラウチはウィンキーが見つかったあたりに早足で向かい、荒々しく誰かを捜し始めた。

 

「まったく、なんてことだ。まさか屋敷しもべが『闇の印』を創り出すだなんて」

 

「エイモス、君はそう思っているのか?印を上げるのには杖がいるだろう?」

 

「そうだとも。この屋敷しもべは杖を持っていたのさ。ほら、この杖だ」

 

エイモスさんはウィンキーの胸元から杖を取り出し、アーサーさんに見せた。ちょうど、私たちからだと見えない位置だ。

 

「『ヒトにあらざる生物は、杖を携帯し、またはこれを使用することを禁ず』。『杖の使用規則』第三条だ」

 

そこまでエイモスさんが話した時、ポンと音がしてバグマンさんが姿を現した。空の印を見て目を見開いている。

 

「どうしたんだ、これは?『闇の印』を上げた犯人は捕まえたのか?それと……足元に転がっているバーティの屋敷しもべはどうしたんだ?結局、試合の最中にバーティは来なかったしな」

 

「ルード、私は忙しかったのだよ。それと、私のしもべ妖精は失神術にかかっている」

 

クラウチが森から出てきて、バグマンさんに答える。誰も見つけられなかったようで、こめかみが痙攣している。

 

「なんだって?なんでそんなことに──いや、まさか。ウィンキーがあの印を創ったとでも?」

 

「そのまさかかもしれないな。〈蘇生せよ(リナベイト)〉!」

 

エイモスさんが杖を取り出し、ウィンキーに呪文をかけた。目を覚ましたウィンキーは少しの間寝ぼけていたけど、状況がわかってくると途端に怯え始めた。

 

「しもべ!私は『魔法生物規制管理部』の者だ!率直に聞かせてもらおう。『闇の印』を打ち上げたのはお前か?」

 

ウィンキーは怯えつつも、自分はやっていないと答えるりやり方を知らないと。

 

「では、この杖はなんなのだ?お前が発見された時に手に持っていた」

 

エイモスさんがウィンキーから取り上げた杖を目の前に差し出した。月と髑髏の明かりに照らされ見えるようになったその杖は──

 

「その杖、僕のだ……」

 

──ハリーの物だった。

 

「なんだと?では、お前が印を創り出したということか?──いや、すまん。忘れてくれ。君に限ってそんなことはないだろう」

 

エイモスさんがウィンキーに再び向き合い尋問を再開しようとした時、ハーマイオニーから声があがった。

 

「ウィンキーじゃないわ!彼女の声はかん高いけれど、私たちが聞いた呪文は、ずっと太い声だったもの!」

 

ハーマイオニーが振り返って同意を求めてくる。私は頷いて!ハリーとロンも肯定した。

 

「では、こうしよう。杖が最後にどんな呪文を使ったのか知る術があるのでね。〈直前呪文(ブライオア・インカンタート)〉!」

 

エイモスさんは二つの杖の先を合わせ、呪文を唱えた。その途端、杖の合わせ目から『闇の印』が湧き出てきた。けれど、エメラルド色ではなく濃い灰色。まるで、空に浮かぶ印のゴーストのようだ。

 

「〈消えよ(デリトリウス)〉!──さて、申し開きはあるのかね、しもべよ」

 

「あたしはなさっていません!」

 

ウィンキーは反論する。だけど、クラウチは──

 

「ウィンキー、私は指示に従わないしもべ妖精はいらない。私はお前にテントで待っていろと言ったのだ。これは『洋服』にあたいする。反論は許さん」

 

一方的に解雇通知を叩きつけ、その場を離れていった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。