吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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クラウチJr.、バレる

「さあ、最後の一つを答えられる者はいるか?」

 

ムーディ──いや、クラウチJr.が周りを見渡す。三度目の挙手をしたのはハーマイオニーと私だけだった。他の生徒はみんな、「次は何が起こるのだろう」と期待するような、不安そうな顔をしている。

 

「よろしい。お前は──ミス・グレンジャーか。ミス・ディメントも同じ答えだろう?同時に言ってみたまえ」

 

私とハーマイオニーは目を合わせると、同時に、口を開いた。

 

「「〈アバタ・ケダブラ〉」」

 

「……そうだ。その通りだ。魔法界で最も悲惨な呪文だ。最後にして最悪の呪文──死の呪いだ」

 

最後の蜘蛛は必死に逃げ回り、恐怖におののいていた。しかし、クラウチJr.はその蜘蛛を掴み取ると、机の上に置き杖を向けた。

 

「三秒間だけ待とう。見たくない者は見なくてもよい──この呪文は恐ろしい。しかし、この呪文を見て、それを乗り越えなければ、その先に待つのは──わかっているな?」

 

机の端に逃げた蜘蛛を睨みながら彼は三秒数える。目を閉じたりそらしたりした者は誰もいなかった。

 

「よろしい。見ていたまえ。〈アバタ・ケダブラ〉!」

 

杖先から緑の閃光が走り、蜘蛛に襲いかかる。そして、光線が当たった瞬間、蜘蛛は仰向けでひっくり返った。なんの外傷も、異変も蜘蛛の身体には起こっていない──ただ一つ、死んでいるということを除けば。

 

「ああ、気持ちのよいものではない。しかも、反対呪文は存在していない。石像や壁などで防ぐしか防御法はない。盾の呪文も効かないからな。しかしながら、たった一人だけこの呪文を受けて生き残った者がいる──わしの目の前にな」

 

ムーディが両目でハリーを見つめる。けど、ハリーの心の中は先ほどのことでいっぱいだった。

 

「この呪いには強力な魔力が必要になる。お前たち全員が一斉にわしに杖を向けて〈アバタ・ケダブラ〉を唱えたところで、鼻血さえ出せるものか──ディメントを除いてな。しかし、そんなことはどうでもよい。わしは、最悪の事態がどういうものか見せに来たのだから。

今見せた三つの呪文──『許されざる呪文』は、同類であるヒトに対して、どれか一つでも使用した時点でアズカバンで終身刑を受けることに値する。お前たちは、そういうものに立ち向かうことになるのだ。備えが、武装が必要だ。しかし何よりも、常に、絶えず、警戒することの訓練が必要だろう……ほれ、さっさと書き取れ」

 

それからの授業は、『許されざる呪文』についてノートに書きとることに終始した。

そして、就業のベルが鳴る。

 

「今回の授業は、これで終わりだ。油断大敵!わかっているな?」

 

「──それは、あなたにも言えることだけどね。〈化けの皮、剥がれよ(スペシアリス・レベリオ)〉!」

 

私は立ち上がり、杖をムーディに向けて、変身術などを解く呪文を唱える。案の定周りからは「何をやってるんだ!?」との視線を向けられるが、呪文が当たったムーディを見て、みんなが息を飲んだ。

ムーディの姿がどんどん変わっていってるからね。

顔の傷跡は消えて、肌は滑らかになる。鼻もまともになって、髪の毛は白髪から薄茶に変わった。木製の義足は落ちて義眼は眼孔から飛び出す。うわ、人が『ポリジュース薬』で変わるとこって気持ち悪いね。

あ、クラウチJr.が酒瓶に手を伸ばした。あの中に薬が入ってるのかな?

 

「〈来い(アクシオ)、酒瓶〉」

 

呼び寄せ呪文で、Jr.が手に取る前に回収。中身はやっぱりポリジュース薬だ。

 

「くそっ!こんなところで!」

 

「一度は見逃してあげたのにね。連行させてもらうよ、バーテミウス・クラウチJr.!あ、ハーマイオニーとネビルはマクゴナガル先生とダンブルドアを呼んできてくれる?」

 

一瞬、二人は惚けてたけど、すぐに立ち上がって教室を走り出た。さてと……失神させるのがいいか、縛り上げるのがいいか……両方だね。

 

「……俺はさっき言ったはずだぞ?油断大敵!〈強き光よ(ルーモス・マキシマ)〉!」

 

「うわっ!?〈麻痺せよ(ステューピファイ)〉!」

 

強い光で視界を奪われる。その隙に逃げようとしていたから、感情の位置であたりをつけて失神呪文を放ったけど、外れてしまったようだ。くそう……目が痛い。

 

「何が起こったのですか!?ミス・ディメント、説明を」

 

目の痛みが治まってきたところで、マクゴナガル先生が到着した。落ちている携帯用酒瓶と義足、『魔法の目』で大体のことは察したようだけど。

 

「マッド-アイ・ムーディは偽者で、正体はバーテミウス・クラウチJr.でした。あとのことは、人払いをした後でダンブルドア先生、それにお父さんと一緒にお願いしたいのですが。あ、あとムーディの部屋を調べないと。ポリジュース薬を使ってるのなら、ムーディがそこに閉じ込められてるかも」

 

マクゴナガル先生の顔色が変わる。テキパキと指示を出して、彼女はどこかに歩いて行った。指示の内容は、「夕食は寮に届けさせるので、この後は寮から出ないように」とのこと。

クラウチJr.を取り逃がしたことは痛いなぁ……けど、どこに連れて行く気だったかはわかった。リトル・ハングルトン……アルバニアの方だったかな。確か、ジョンがそっちの方に向かってるし、頼んでおくかな。……それよりも早くジンが動いてそうだなー。

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