汽車は速度をどんどん落とし、完全に停車した。人波に押されながら外に出ると、小さく、そして暗いプラットホームだった。街灯を付けないのかな?
「イッチ年生!イッチ年生はこっち!」
ゆらゆらとランプが近づいてくる。ハグリッドだ。
「おう、リーナにハリーか。元気か?え?」
とりあえず、手を振っておく。ハグリッドは、前にダンブルドアがブラック邸へ連れてきた。ダンブルドアが用事とやらで居ない間にハリーが来て知り合いになった。ハリーが居る間、ダンブルドア帰ってこなかったけど、なんでだろう。
「さあ、ついてこいよーーあとイッチ年生はいないかな?足元に気をつけろ。いいか!イッチ年生、ついてこい!」
ハグリッドの先導で歩き出す新入生。上級生とは別のルートのようだ。しかし、すべるし、つまずくし、狭いしで面倒な道だよ。真っ暗だし。
「みんな、ホグワーツがまもなく見えるぞ。この角を曲がったらだ」
『うぉーっ!』
一斉に声が上がる。開けた視界の先には大きな黒い湖があった。向こう岸には高い山。そして、山頂には壮大な城が建っていた。大小様々な塔が立ち並ぶ。ビルの様な印象を受けるアズカバンの監獄塔とは違って幻想的だ。
「四人ずつボートに乗って!」
ハグリッドが指指したのは岸辺に繋がれた小舟。私とハリー、ロン、ハーマイオニーが乗る。ハグリッドは大きさや体重の都合からか一人で乗ってる。
「みんな乗ったか?よーし、では、進めえ!」
ハグリッドの号令で動き出す船団。しかし、喫水線がボートの縁に近い。雨が降ったり強い風が吹いた時は大変そうだ。
岸が近づいてくる。改めて、城の大きさがわかるよ。
「頭、下げぇー!」
先頭の船が崖下に到着すると同時にハグリッドが号令をかける。よく見ると、蔦がカーテンみたいになっていて、その奥にトンネルがある。城の真下に続いているようだ。
全部の船がトンネルに入り、地下の船着き場へ到着した。全員が船を降り、ハグリッドがボートに置き忘れが無いか調べる。……あ、何か見つけた。
「ホイ、おまえさん!これ、おまえのヒキガエルかい?」
「トレバー!」
ネビルのヒキガエルか。
私達はハグリッドのランプのあとに続く。いつの間にか地上に出ていて、岩の道を登っていた。湿った草むらを歩く事数分。城影に辿り着いた。石段を登ると、巨大な樫の木の扉があった。
「みんな、いるか?おまえさん、ちゃんとヒキガエル持っとるな?」
……誰か迷った新入生が居たことあるんだ。
そう考えていると、ハグリッドが握りこぶしで、城の扉を三回たたいた。
扉がパッと開く。そこに立つのは背の高い、黒髪の魔女。厳格そうだ。
「マクゴナガル教授、イッチ年生のみなさんです」
「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が預かりましょう」
マクゴナガルと言うらしい先生に続いて、城の中へと入る。広い。
「ホグワーツ入学おめでとう。新入生の歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席に着く前に、みなさんが入る寮を決めなくてはなりません」
……ああ、寮ごとに座る場所が決まってるからか。じゃないと、グリフィンドールとスリザリンが喧嘩しそうだし。
「ホグワーツにいる間、寮生がみなさんの家族のようなものですから、寮の組分けはとても大事な儀式です。教室でも寮生と一緒に勉強し、寝るのも寮、自由時間は寮の談話室で過ごすことになります。
寮は四つ。グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン。それぞれに輝かしい歴史があり、偉大な魔女や魔法使いが卒業しました。ホグワーツにいる間、みなさんのよい行いは、自分の属する寮の得点になりますし、規則に違反したときは寮の減点となります。学年末には、最高得点の寮へと、大変名誉ある寮杯が与えられます。どの寮に入るとしても、みなさん一人一人が寮にとって誇りとなるよう望みます。
さて、まもなく全校生徒の前で組分けの儀式が始まります。待っている間、できるだけ身なりを整えておきなさい」
マクゴナガル先生が去ると、みんな、組分けの方法について話し始めた。試験だとか、とても痛いとか、実は既にダンブルドアが決めているとか。
ぼーっとしていると、後ろの方から悲鳴が聞こえた。見ると、ゴーストが二十人ほど現れただけのようだ。悲鳴には見向きもせず、議論しながら通り過ぎていく。
「もう許して、忘れなされ。彼にもう一度だけチャンスを与えましょうぞ」
「修道士さん、ピーブズには充分過ぎるくらいのチャンスをやったではないですか。我々の面汚しですよ。ーーおや、君たち、ここで何をしているのですかな?」
太っている修道士とひだえりの上着を着たゴーストが私達に気づいた。
「新入生じゃな。これから組分けされるところじゃろう」
何人か頷く。
「ハッフルパフで会えるとよいな。わしはそこの卒業生じゃからのう」
修道士はハッフルパフに居たゴーストらしい。と言うかホグワーツの生徒だったのか。
マクゴナガル先生が戻ってきた。
「さあ行きますよ。組分けの儀式がまもなく始まります」
ゴーストは全員前方の壁を通り抜けている。
「さあ、一列になって。私についてきてください」
ホールの二重扉を通り、大広間へ入る私達。
何千ものろうそくが空中に浮かび、四つある長テーブルを照らす。その上、天井があるはずの場所には星空が輝く。ホグワーツが作られた頃からある魔法らしい。何この城凄い。
一番前の長テーブルには先生方が座っている。その前には、四本足のスツールと、その上に置かれるとんがり帽子。つぎはぎのボロボロだが。さて、何をするのかな?帽子は動き出す。つばのへりの破れ目が口のように開き、歌い出す。
「私は綺麗じゃないけれど
人は見かけによらぬもの
私をしのぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう
山高帽は真っ黒で
シルクハットはすらりと高い
私は彼らの上をいく
ホグワーツ校の組分け帽子
君の頭に隠れたものを
組分け帽子はお見通し
かぶれば君に教えよう
君が行くべき寮の名を
グリフィンドールに行くならば
勇気ある者が
勇猛果敢な騎士道で
ほかとはちがうグリフィンドール
ハッフルパフに行くならば
君は正しく忠実で
忍耐強く真実で
苦労を苦労と思わない
古き賢きレイブンクロー
君に意欲があるならば
機知と学びの友人を
ここで必ず得るだろう
スリザリンではもしかして
君はまことの友を得る
どんな手段を使っても
目的遂げる狡猾さ
かぶってごらん!恐れずに!
おろおろせずに、お任せを!
君を私の手にゆだね(私に手なんかないけれど)
だって私は考える帽子!」
帽子が歌い終わると、広間に居た全員が拍手した。毎年歌っているようだ。新入生からはホッとした雰囲気が伝わってくる。
しかし、私はどの寮に入るんだろうね?客観的に見ると、私はどの寮の素質もある。……レイブンクローは無いな。ハリーは多分グリフィンドールに行くだろう。なら、私はそれについて行くだけだ。絶対に、グリフィンドールに入ってやろう!