ハロウィンの朝、私はパンプキンパイの匂いで目を覚ました。談話室には双子がいるようだ。
「おはよう」
「「おはよう、リーナ」」
なんとなくだけど、この二人なら知ってるかな?
「厨房への行き方ってわかる?」
「地下廊下の果物の絵画」
「そこの梨をくすぐると厨房へ行けるぜ」
本当に知ってた。この二人、ホグワーツの通路とかについては一番詳しいんじゃ?
「「いやいや、この地図を作った初代悪戯仕掛け人には負けるさ」」
「地図?」
「『忍びの地図』って言ってな」
「フィルチの部屋から持ってきた」
「〈我、ここに誓う。我、よからぬことを企む者なり〉で地図が出て」
「どんな場所も、生徒のいる場所も名前もわかる」
「〈悪戯完了!〉で地図が消えて」
「ただの羊皮紙に早変わりってね」
「ちょっと見ても?」
双子から地図が投げ渡される。見ると、作:プロングズ、パッドフット、ムーニー、ワームテールとある。うん、お父さんたちが作ったやつだコレ。
「なんと言うか、うん、やっぱりかとしか言えない」
「作ったやつを知ってるの?」
「私たちの親に当たる世代だよ。詳しくは言わないけどね」
「ふーん。そうだ!僕たちはその地図を複製してみようぜ!」
「いいなそれ!期限はどうする?」
「長くて二年。できれば来年には終わらせるぞ!」
「おう!やるぞ兄弟!」
「了解だ、兄弟!」
「「じゃ、また今夜!」」
自室へと消えていく二人。騒がしかった。二人なら一年で完全再現しそうだね。あの地図のこと、後でお父さんに聞いてみよう。
『妖精の呪文』で、物を飛ばす呪文を習うことになった。先生がお手本に使ったのはネビルのヒキガエルだった。私はハリーと、ロンはハーマイオニーと組んだ。ネビルはシェーマス・フィネガンと組んだようだ。
フリットウィック先生の説明の後、実践に移る。
「〈ウィンガディアム・レヴィオーサ〉!」
ロンの呪文はどこか間違ってるね。ハーマイオニーが訂正している。
「私たちもやるよ。〈ウィンガーディアム・レヴィオーサ〉」
杖を振る。見事に、羽根が空へ浮かんだ。同時に、ハーマイオニーも成功したようだ。
「オーッ、よくできました!みなさん、見てください。グレンジャーさんとディメントさんがやりました!」
ちなみに、ハリーは三回目で成功させた。
「だから、誰だってあいつにはがまんできないって言うんだ。まったく、悪夢みたいなやつさ」
授業が終わり、ロンがぼやく。ロンは成功しなかったらしい。誰かが私の肩にぶつかり、追い越していく。ハーマイオニーだ。泣いている。
「ロン、言い過ぎ」
「別にいいだろ?」
「女の子は繊細なんだよ」
結局、夕食になってもハーマイオニーは戻ってこなかった。トイレで泣いているらしい。
大広間はハロウィン用の飾りとなり、ご馳走が並んでいる。私はテーブルから取ったパンプキンパイとカボチャジュース、カボチャのモンブランを持ち座って食べて、次のを取っている。この間五秒。
「食べるの早くない?」
「モグモグ当然モグモグ色々食べるには早く食べなきゃモグモグ」
あー美味し♪
幸せな気分もここまで。息を切らしてクィレル先生が大広間に入ってきた。
「トロールが……地下室に……お知らせしなくてはと思って」
ここまで言って、クィレル先生は気を失った。
大広間が騒がしくなる。
「静まれぇー!」
ダンブルドアの掛け声だ。すごいね、みんな静かになった。……そういえば、地下室って、ハーマイオニーが今いる場所……。
「ハリー、ロン」
「なに、リーナ」
「この後、寮に戻ることになるけど、抜け出してハーマイオニーを助けに行く。彼女はこのことを知らない」
「……わかった。行こう、ロン」
「パーシーに気づかれないようにしなくちゃ」
グリフィンドール寮の最後尾に並び、こっそりと移動する。途中で、別の場所へ向かうスネイプを見かけた。フラッフィーのところへ向かったのだろう。クィレル先生は実際には起きてるみたいだし。
地下廊下へたどり着く。見ると、曲がり角の先にトロールがいる。
「女子トイレへ向かってる」
「急ごう」
トイレに入るトロール。後を追いかけると、ハーマイオニーが個室の残骸から這い出てくるところだった。
「〈
トロールの足元を滑りやすくする。ハリーが蛇口を投げつけて、大きな音を立ててトロールが転んだ。
「ロン!」
「うん!〈ウィンガーディアム・レヴィオーサ〉!」
トロールの棍棒が浮かび、仰向けのトロールの顔の上に。後は落下して、気絶させるだけ。……鼻も折れたね。
トロールが気絶してすぐ、トイレのドアが開いて先生たちが入ってきた。マクゴナガル先生、スネイプ、クィレルの順だ。クィレルは腰を抜かした。演技なのか、本心なのか。
「一体全体、あなた方はどういうつもりなのですか」
マクゴナガル先生が怖い。
「殺されなかっただけでも運がよかった。寮にいるべきあなた方がどうしてここにいるのですか?」
「マクゴナガル先生、聞いてください。三人とも私を探しに来たんです」
ハーマイオニーだ。どうしたのだろう。
「ミス・グレンジャー?」
「私がトロールを探しに来たんです。私……私一人でやっつけられると思いました。本を読んでトロールについてはいろんなことを知っていたので」
あ、あのハーマイオニーが……先生に嘘をついているだと!?トロールについて知っていると言うのは本当だろうが、彼女にはは元からここにいただけで、トロールが後から来たのに。
「三人が私を見つけてくれなかったら、私、死んでいました。リーナは床を滑りやすくして、ハリーが転ばせて、ロンがトロールの棍棒でノックアウトしてくれました。誰かを呼びに行く時間がなくて……」
三人とも、そのとおりです、という顔を装う。
「まったく。ミス・グレンジャー。グリフィンドールから五点減点です。寮に速くお戻りなさい。それと、そこの三人には五点ずつあげましょう。トロールと対決できる一年生はなかなかいませんからね」
寮に帰る途中、ハーマイオニーから謝罪された。三人とも、わがままに付き合わせてごめんなさい、と。そんなもの気にしないけどねぇ。
寮に入るとパーティーの続きをしていた。よーし、食べるぞ!
この日から私たちは三人ではなく四人になった。特別な経験って大切だよね。