吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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隠れ穴と夜の闇横丁

真夜中、ブラック邸の前で待っていると何かが破裂するような音とともに、ロンに似ている人(ただし頭が寂しくなっている)が現れた。

 

「君がリーナ・ディメントかい?私はアーサー・ウィーズリー。ロンの父親だ」

 

「初めまして、Mr.ウィーズリー。私がリーナ・ディメントです。ロン君にはお世話になっています」

 

「礼儀正しいね。さ、掴まって。〈付き添い姿くらまし〉を使って、私たちの家、『隠れ穴』へ向かおう」

 

私はウィーズリーさんの腕を掴んだ。すると、引っ張られるような感覚とともに視界が回転し、次の瞬間には歪な形の家の前にいた。

 

「さあ、ここが隠れ穴だ。ハリー・ポッター君は昨日到着した。さ、中へ入ろう。母さんが起こってるかもしれないからね」

 

中へ入ると、誰もいなかった。壁に掛かっている時計には多くの針があり、その先にはウィーズリー家の人々の写真が貼ってあった。あれで、今どんな状態か見ているのだろう。針は、ウィーズリーさん以外は『就寝中』になっていた。

 

「寝てるみたいだ」

 

ウィーズリーさんは肩をすくめた。

 

 

 

ハリーが寝ている部屋、そこはロンの部屋でもあった。私はその部屋へ忍び込み、ハリーのベッドへ潜り込んだ。寂しかったし、何よりハリーが近くに感じられる。すりすり。……お休みなさい……ZZZ……。

 

 

 

「うわっ!?え、なんで!?」

 

……何か聞こえる。

 

「ちょっ、起きて、リーナ」

 

うん?私の名前?

 

「起きて!リーナ!」

 

「うわっ!?」

 

いきなり大声を聞かされて飛び起きる。目の前にはハリーの顔があった。

 

「あ、ハリーだ。おはよう」

 

「うん、おはよう。……じゃなくて、なんで僕のベッドに?」

 

「そこに君が寝てたから(キリッ」

 

「真面目に」

 

「夜中に到着してみんな寝てたので、ハリーのベッドに潜り込みました」

 

「そう……久しぶり、リーナ」

 

「久しぶり、ハリー」

 

 

朝食のテーブルで、ハリーに何があったのか聞いた。曰く、「誰からも手紙が来ない」→「色々あってダドリーにインチキ呪文を聞かせる」→「ダーズリーにとっての大事な商談のため部屋にこもる」→「ドビーと名乗る屋敷しもべ妖精に会う」→「ドビーが手紙を止めていたことが発覚」→「ドビーが魔法を使って商談を台無しに」→「魔法省がハリーが浮遊術を使ったと勘違いする」→「ダーズリー怒ってハリーを監禁」→「ロンと双子が空飛ぶ車を使って救出」→「ウィーズリー夫人に怒られる」といった感じらしい。

 

「よしダーズリー一発どついてくる」

 

「やめて」

 

チッ、合法的にダーズリーに今までのハリーの扱いの恨みを晴らすチャンスだったのに。

 

「でも、ドビーってどこのしもべ妖精なんだろうね。ホグワーツに戻ってはいけない、か。……やっぱり何か起こるのかぁ」

 

「どういうこと?」

 

私は、ハリーに、ジンから聞いたことを話した。

 

「何かに巻き込まれるってさ」

 

あ、ハリーの心が暗くなった。まあ、前回はお辞儀厨の亡霊っぽいのと戦って、今回も何かに巻き込まれる。一年おきにとかならともかく、二年連続はきついか。

 

「……そういえば、リーナ。新しい教科書のリストもらった?」

 

「もらったよ。正直、どうかと思うけど」

 

新しい教科書のうち、七冊がギルデロイ・ロックハートの本だった。一回読んで、面白いとは思ったけど、正直現実味がない。というよりも、一人でこんなに出来るか?

 

「あと、水曜日にハーマイオニーとダイアゴン横丁で会うことになってるよ。マルフォイも来るらしい。ウィーズリーおじさんとマルフォイの父親の仲が悪いからできる限り会わないようにするらしいけど」

 

 

 

水曜日、ウィーズリー夫人は朝早くにみんなを起こして、全員で昼食を食べた。夫人は暖炉の上から植木鉢を取り、中を覗き込んだ。

 

「アーサー、だいぶ少なくなってるわ。今日、買い足しておかないとね……さぁて、お客様からどうぞ!ハリー、お先にどうぞ!」

 

ハリーとともに植木鉢を覗き込む。そこには緑色の粉があった。煙突飛行粉(フルーパウダー)だ。

 

「ハリー、使い方は知ってるの?」

 

ロンが聞く。

 

「もちろん」

 

ハリーは粉を暖炉の火に振りかけて、エメラルドグリーンに変わった炎の中へ入っていった。

 

「ダイアゴン横丁」

 

ハリーが消える。私も粉を使ってダイアゴン横丁へ向かった。が、うっかり、()()()()夜の闇(ノクターン)横丁へ出てしまった。『ボージン・アンド・バークス』と言う店のようだ。このまま、ダンブルドアにもらった屋敷に寄ってもいいけど、少し隠れる必要がある。外にマルフォイ親子が見えたからだ。ドラコには会ってもいいけど、ルシウス・マルフォイがこんなところに何をしに来たのか調査したい。私は、横にあった黒いキャビネット棚に隠れた。……これ、『姿くらますキャビネット棚』じゃん。なんでこんなところにあるんだろう。

 

「ドラコ、一切さわるんじゃないぞ」

 

カウンターのベルを押したマルフォイ氏が言う。ドラコ(マルフォイ氏と区別が面倒なのでこう呼ぶことにする)は周りの商品に興味があるようだったが、それを聞いて手を引っ込めた。

 

「やぁ、ボージン君」

 

「マルフォイ様、また、おいでいただきましてうれしゅうございます。恭悦至極でございます。そして若様まで。光栄でございます。手前どもに何かご用で?本日入荷したばかりの品をお目にかけなければ。お値段のほうは、勉強させていただき……」

 

「ボージン君、今日は買いにきたのではなく、売りにきたのだよ」

 

明らかに媚を売って何か買わせようとしているボージンを黙らせ、マルフォイ氏は言う。その後も二人の話は続いていくが、ドラコは『輝きの手』に興味を持っていた。もしかしたら『栄光の手』かもしれない。『猿の手』かも。あ、ボージンが『輝きの手』ってバラした。あれがあれば、透明マントを使ってる時に役に立つんだろうな。……そろそろブライトに預けた透明マントの回収に行かないと。魔改造されちゃたまらないし。

 

「ドラコ、行くぞ!ボージン君、おじゃましたな。明日、館のほうに物を取りに来てくれるだろうね」

 

マルフォイ氏とドラコが店の外に出た途端、ボージンの態度がガラリと変わった。

 

「ごきげんよう、マルフォイ閣下さまさま。うわさが本当なら、あなた様がお売りになったのは、そのお館とやらにお隠しになっている物の半分にもなりませんわ……」

 

そのまま、ボージンは店の奥に引っ込もうとした。

 

「ちょっといいかい?」

 

しかし、私が呼び止める。

 

「おや、何の用でございましょうか、お嬢さん」

 

「この『輝きの手』を売ってくれる?」

 

「ええ、ええ、いいですとも。お値段は百ガリオンとなります」

 

「二十五」

 

さて、値切るか。

 

「それは無理ですな。九十」

 

「さっき仕入れてた物を売ればいけるんじゃない?四十」

 

「いえいえ、こんなご時世ですから、繁盛はしないものですわ。八十五」

 

「そうなのかい?案外大きい店のような気がするけど。四十五」

 

「古くから続いている店でして。七十五」

 

「そう、高価な品物も多そうだけどね。五十」

 

「そうですな。六十でどうでしょう」

 

「五十五」

 

「仕方ありませんな。わかりました。五十五ガリオンとなります」

 

「はい、これ」

 

私は本来の半分ほどの値段で『輝きの手』を手に入れた。

 

「またお越しくださいませ」

 

「気が向いたらね」

 

さて、ダイアゴン横丁へ向かうとしよう。




『輝きの手』蝋燭を差し込むと、持っている者だけに見える灯りがともる。

『栄光の手』蝋燭を差し込むと持っている者を眠らせる。

『猿の手』三回だけ願いを叶える。ただし、持ち主の意に沿わない形で(例、レースで優勝したい→レースの出場者全員が怪我をして参加できなくなり、参加者が自分だけになる)。
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