翌朝、私たちはグリフィンドールのテーブルに集まっていた。ドラコのことを見たグリフィンドール生は驚いてたけど、去年和解したことは有名だったので特に騒ぎにはならなかった。
「それで、話は聞いたけど、原因はわかっているのか?」
「うん。僕をホグワーツに戻したくなくて、入り口を閉ざしたんだと思う」
「大変だったね……ロンとリーナは巻き込まれただけでしょ?」
「ハリーの悩みは私の悩みだ」
「ねぇ、リーナ。二人の友達であるこのロン・ウィーズリーの視点から言わせてもらう。重いと思う」
「ロン、僕はリーナのことはいつでもウェルカムだよ?」
「それで?犯人はわかっているのかしら?」
「多分、ドビーっていう屋敷しもべ妖精だと思う」
ガタッ
ドビーの名前が出た途端、ドラコが急に立ち上がった。
「ドビーだって?あいつがそんなことをしたのか?」
「知ってるの?ドラコ」
「ああ。ドビーはマルフォイ家の屋敷しもべ妖精だ。うちの妖精が迷惑をかけたな、ポッ……ハリー」
「まだハリーって呼ぶのに慣れないか」
とりあえず、衝撃の事実が明らかに。てことは、ルシウス・マルフォイの仕業か?いや、彼がそんなことをしてもメリットがないし……。
そんなことを考えていたとき、何匹かの梟が数本の箒を運んできた。リゼから送られてきたものだろう。
「僕らへ?なんだろう、この箒」
「私からのプレゼントみたいな感じかな?お礼は私じゃなくてディメント家へお願い。ちなみに、私やハリーのと同じ人が作ったよ。ロンのも」
届いた箒は三本。ロンにはすでに渡しているので、ハーマイオニー、ネビル、ドラコの分だ。ドラコは、「クィディッチチームに入ってハリーを負かせてやる!」と息巻いていた。うん、仲良きことは美しきかな。
最初の授業は、ハッフルパフと合同で薬草学の授業だった。温室の近くでスプラウト先生を待っていると、先生が校庭を大股で横切ってくるのが見えた。……
「やぁ、みなさん!スプラウト先生に『暴れ柳』の正しい育て方を伝授していましてね。でも、私のほうが先生より薬草学の知識があるなんて、誤解されては困りますよ。たまたま私、旅の途中、『暴れ柳』というエキゾチックな植物に出あったことがあるだけですから……」
「みんな、今日は三号温室へ!」
不機嫌さ満載のスプラウト先生。でも、みんなそのことよりも先生が言ったことの方に注目している。これまでの授業で使ったのは一号温室だけだからだ。三号温室にはもっと不思議で危険な植物が植わっている。
スプラウト先生が温室の鍵を開けて中へ入った途端、私はハリーを掴んで一気に温室の中へ入り込んだ。こうでもしないと、ロックハートはハリーを連れて行っただろうからね。ハリーを自分の引き立て役として見ていた。それに、記憶を除く限りだと、あいつは本物の冒険を一切していない。誰かが行ったことを、あたかも自分が行ったかのように書き記し、真実を知る者に〈忘却呪文〉をかけていた。うん、ゲスだ。ちなみに今の岩心の表情はあっけにとられてるようだ。ハリーを呼び止めようとして、呼び止められなかったからだろう。いい気味だ。
授業はマンドレイクの植え替えだった。幼生体だから悲鳴を聞いても死ぬことはないけど、数時間は気絶することになるらしい。……そういえば、マンドレイクの悲鳴は吸魂鬼にも効くのかな。死にたくないから試さないけど。
植え替え作業は思った以上に大変だった。抜くまで暴れるし、抜いたら抜いたで土に戻ろうとしない。プロの凄さを思い知った。
あー、疲れた。えーと、次は変身術か。遅れると恐いので、すぐに教室へ向かう。先生が今日出した課題は、コガネムシをボタンに変えることだった。もちろん成功。ハリーとハーマイオニーも成功していた。ロンは微妙だったけど。
昼休みに、中庭でコリン・クリービーに会った。話を聞く限り、相当の写真オタクらしい。ハリーオタクでもあるようなのだが、途中からどのカメラがどんな性能でどこが特徴だとか、あるシチュエーションに合ったカメラはどんなものだとか話しまくってた。将来は清く正しいフリーランスの新聞記者になるのが夢だとか。「あややや」という幻聴が聞こえた気がする。
午後の授業。これが一番退屈かもしれない。いや、本来は楽しい教科なんだよ。アレが担当するから嫌なんだよ。色々考えつつ、闇の魔術に対する防衛術の教室に向かう。教科書が重い。
教室に着いて席に座ると、そのまま教科書七冊を全て目の前に積み上げた。これで注目されないで済む。ハリーも同じように教科書を積み上げていた。
ロックハートは全員が座ったことを確認すると、ネビルの持っていた『トロールとのとろい旅』を取り上げ、ウィンクをしている自分の写真のついた表紙を高々と掲げた。ナルシストとしか思えない。
「私です」
本人もウィンク。
「ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員、そして、〈週間魔女〉五回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞ーーもっとも、私はそんな話をするつもりではありませんよ。バンドンの泣き妖怪バンシーをスマイルで追い払ったわけじゃありませんしね!」
訂正。完全無欠にナルシストだこいつ。
「全員が私の本を全巻そろえたようだね。たいへんよろしい。今日は最初にちょっとミニテストをやろうと思います。心配無用ーー君たちがどのくらい私の本を読んでいるか、どのくらい覚えているかをチェックするだけですからね」
テストを配り終わった岩心は、前の席に戻り合図をした。
「三十分です。よーい、はじめ!」
テストペーパーを見下ろす。さて、どんな問題か……
1 ギルデロイ・ロックハートの好きな色は何?
2 ギルデロイ・ロックハートのひそかな大望は何?
3 現時点までのギルデロイ・ロックハートの業績の中で、あなたは何が一番偉大だと思うか?
などなど。正直、興味なかったからその辺は覚えてません。こんな問題が裏まで続いて、しかも最後の問題は、
54 ギルデロイ・ロックハートの誕生日はいつで、理想的な贈り物は何?
とか言ってきやがった。……もう白紙でいいや。
ハーマイオニー用箒
ドーシェルドッグ(素直な犬)
とても素直。本人が動かすよりも先に、本人が動きたい方向へ動く。それなりに速い。
ネビル用箒
グローリーレオン(栄光のライオン)
使い手の思いの丈によって性能が上下する。力強い。
ドラコ用箒
ウィズダムクロウ(英知の烏)
曲芸飛行と群体飛行に特化。また、向かってくる呪文や障害物を自動で避ける。
コリンは若干清く正しい幻想ブン屋みたいな感じになっています。ちなみにルーナは無意識妖怪。