数日後、私は朝早くにアンジェリーナに揺り起こされた。
「なに……するのさ……」
眠いんだよ。
「オリバーからの指示。新しい練習計画の一つだってさ。私も面倒なのよ」
ウッドは何がしたいんだか。仕方なく起き上がって、クィディッチ用のローブを引っ張り出す。
「ん……行こうか、アンジェリーナ」
談話室まで降りて、私たちは人影を見つけた。ハリーと……ああ、コリン・クリービーか。
「なにしてるの?」
「ハリーに、クィディッチの練習の取材をしていいか交渉してたんだ。僕、クィディッチって見たことないから」
ふぅん。まあ、ハリーは迷惑をかけないなら平気らしいし、連れて行っても平気かな。
競技場に着くまで、コリンにクィディッチについての説明をした。手帳にメモしてるね。そのうち校内新聞でも出すかもしれない。
更衣室では、ウッド以外全員眠たげな様子で座っていた。
「遅いぞ二人とも。さて、ピッチに出る前に諸君に手短かに説明しておこう。ひと夏かけて、まったく新しい練習方法を編み出したんだ。これなら絶対、今までとはできがちがう……」
ウッドの説明は長かった。図式なのはいいが、一枚に二十分ほどかかり、それが三枚分。多い。
「諸君、わかったか?質問は?」
「質問、オリバー」
ジョージだ。
「どうして昨日のうちに、俺たちが起きているうちに説明してくれなかったんだ?」
「去年は我々の力ではどうにもならない事態が起きて、大敗北に泣くことになった。あれは仕方のないことだったが、今までよりも、より厳しく練習するためだ。よし、もう質問はないな?行くぞ!」
そう言うなり、ウッドは箒を持って更衣室から出て行った。あー、お腹空いた。
スタンドには、ロンとハーマイオニー、ネビルが居た。
「まだ終わってないの?」
「始まってすらない」
ロンが聞いてきたので、ハリーが返す。ロンは、開いた口がふさがらないようだ。
箒にまたがり、地面を蹴る。うん、久しぶりに箒で飛んだ。夏休みの間は吸魂鬼の力で飛ぶか、マグルの飛行機を使っていたからね。
新しい練習方法を実践してみる。と、コリンを見つけた。選手一人一人に注目して撮ったり、全体を俯瞰するように撮ったりしている。
「いったいなんだ?あれは」
あ、ウッドだ。コリンをスリザリンのスパイだと間違えてるみたい。
「彼はグリフィンドール生だよ。あと、スパイよりも面倒なのが下にいるけど?」
下を指差す。そこには、グリーンのユニフォームを身につけた、スリザリン・チームがいた。
「そんなはずはない。ピッチを今日予約しているのは僕だ。話をつけてくる!」
一直線に地面へ向かうウッド。私とハリーはスリザリン・チームの中に見知った顔を見つけたので、ウッドについて行った。
「フリント!我々の練習時間だ。そのために特別に早起きしたんだ!今すぐ立ち去ってもらおう!」
「ウッド、俺たち全部が使えるぐらい広いだろ」
ニヤニヤしているフリント。
「ついでに、俺たちにはスネイプ先生が、特別にサインしてくれたメモがある。『私、セブルス・スネイプ教授は、本日クィディッチ・ピッチにおいて、新人シーカーを教育する必要があるため、スリザリン・チームが練習することを許可する』」
「新しいシーカーだって?どこに?」
……本当に、ハリーと戦うつもりだったのか。まあ、もともとはこんな関係だったしね。繋がりが良好になったけど。
「やあ、ハリー、リーナ」
現れたのは、ドラコだった。
「僕は君に勝つ。スリザリンらしく、狡猾に、君に挑む。全力でかかってくるといい」
「へぇ。試合で会うことを楽しみにしているよ、ドラコ。ところで、去年見たスリザリンの箒とは違う箒をチームが持っていないかい?」
「ああ。父上がチーム全員に新型の箒、《ニンバス2001》を贈ったのさ。最も、ハリーの箒に敵うかは微妙だと思うけど」
それを聞いたスリザリン選手が全員しかめっ面をする。ドラコ、お前、さらっと自分のチームをけなしてないか?
「でも、僕の箒なら君に勝てるかもしれない。君のと同じ人物の作品なんだから」
彼の箒は《ウィズダムクロウ》。黒い箒だけど、私のシャドウスネークが影色なら、ウィズダムクロウは烏の濡羽色といったところか。全ての邪魔を躱し、曲芸と連携を持って獲物を仕留める。ハリーの箒がスピード特化ーー力によるゴリ押しなら、彼の箒は技で攻めるタイプ。世紀の対決になるだろう。
「ま、実際に戦ってみるまではわからないか。あと、ロンとハーマイオニー、ネビルがこっちに向かってきてるぞ」
ドラコに言われて、ロンたちの方を見てみる。と、本当にこっちに向かってきていた。
「どうしたんだい?なんで練習しないんだ?あと、なんでスリザリン・チームがここにいるんだい?ドラコがチームに入ったことは祝福はするけど」
「色々あったんだよ。それで、僕らも練習したいんだ。できれば、他の寮には見られずに。だから、なんとかならない?」
「すまないが、僕もこの箒を試したいんだ。だから、僕らに譲ってもらおう」
バチバチと、ハリーとドラコの間で火花が飛び散る。話し合った末、キャプテン同士のジャンケンでどちらが練習出来るか決めることになった。
「「最初はグー!ジャンケン、ポイ!」」
ウッドがグーで、フリントがパー。今日、ピッチを使えるのはスリザリン・チームとなった。
「ま、代わりに明日はお前らに譲ってやる。そうでもしないと、ドラコにニンバス2001を取り上げられそうだしな」
明日の練習が、口約束とはいえ確約されたので、私たちはいちおう納得して、城に戻った。
とある批評感想にて、『吸魂鬼を使役する魔法使い』と言うアイデアをいただきました。うーん、更新が遅くなるかもだけど、書いてみようかな……?