吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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犠牲者

「ヴォルデモートが……僕の中に……?どういう事?」

 

「ハリーの意識の奥底にへばりついてたんだ。何かの拍子に……多分、君があいつを打ち破った時に千切れて君の中に入り込んだんだろうね」

 

「僕の体は平気なの?」

 

「異常ある?」

 

「ない」

 

「なら平気でしょ。本当にわずかなカケラだからね」

 

明日に備えてそれぞれの部屋に帰る。ハリーの事をみんながどう思うか……。降り出した雪を見ながら私は眠りについた。

 

 

翌朝、窓の外を見ると大雪だった。むしろ大吹雪か。寮の張り紙には、薬草学の授業が中止になると書かれていた。マンドレイクに靴下とマフラーをつけるらしい。みんなは談話室でチェスをしたり、図書館に行ったりしているようだ。

 

「おはよう」

 

「おはよう、リーナ。昨日は平気だったの?」

 

「平気だったよ。ハリーは?」

 

「あそこでハーマイオニーとチェスをしてる。それよりも、ハリーが蛇語使いだってバレちゃったけどよかったの?」

 

「仕方がないよ。ハリーが決めたことだからね。私が口を出せることじゃないさ」

 

「ふぅん……ねぇ、君も何か隠していることがあるのかい?」

 

「……鋭いね、ネビル。確かに私には隠し事がある。ま、いつか言える日が来るだろうさ。それに、こうも言うだろう?『女は秘密を着飾って美しくなる(A secret makes a woman woman)』ってさ」

 

質問をはぐらかして、ハリーの元へ向かう。チェスの勝負はハリーがギリギリで勝てたようだ。

 

「おはよう、ハリー、ハーマイオニー」

 

「おはよう、リーナ」

 

「おはよう。あー、そのー、昨日は大変だったわね」

 

みんなから心配されるね。さて、と。

 

「ねぇ、ハリー。気分転換に散歩にでも行こうと思ってるんだけど、一緒に来る?」

 

「うん。行くよ」

 

別のソファーにいたロンがハリーがいた椅子に座る。もう一度チェスをするようだ。私とハリーは肖像画の穴から外に出た。

 

 

二人で適当な方向に歩く。行き先は決めていない。しばらく進むと、図書館にたどり着いた。

 

「入る?」

 

「『ホグワーツの歴史』を見てみたいしね」

 

図書館の奥には、ハッフルパフ生が固まって座っていた。ちょうど、『ホグワーツの歴史』がある本棚のあたりだ。

 

近づくと、話が耳に入ってきた。その途端、ハリーは私を近くの本棚の陰に引っ張り入れた。

 

「やっぱり、ポッターが継承者なんだよ」

 

……なに?

 

「アーニー、ディメントが違うって言ってるのよ?」

 

「そんなの、ディメントもグルだったってことだろ」

 

「でも、二人ともいい人に見えるのよ。それに、『例のあの人』を消したのも彼だわ」

 

「ハンナ、ポッターがどうして『例のあの人』に襲われても生き残ったのか、どうやって消したのか誰も知らないんだ。事が起こった時、ポッターはまだ赤ん坊だった。本来ならこっぱみじんに吹き飛ばされてる。それほどの呪いを受けて生き残れるのは、ほんとうに強力な闇の魔法使いだけだ。だからこそ、『例のあの人』はポッターを殺そうとしたんだ。魔法界に君臨する闇の帝王が二人にならないように」

 

あー、あそこに爆発呪文撃ち込みたい。そう思いながら、ハリーに手を引かれるまま図書館を出た。

 

 

「なにあいつらムカつく!」

 

「リーナ、落ち着いて。彼らも自分の事が心配なんだよ」

 

「でも、私が昨日説明したのにさ」

 

「みんな疑心暗鬼になってるんだよ。次は自分が襲われるかもって」

 

今のところ、ミセス・ノリスしか襲われてないけど、次は人間かもしれない。誰が継承者でもおかしくない。なら、蛇語が使えるハリーが一番怪しい。そんなところなんだろう。

 

ドンッ

 

痛っ。何か固い物にぶつかった。見上げると、ハグリッドの顔があった。

 

「あ、やあ、ハグリッド」

 

ハグリッドは防寒具で体を覆っていた。片手には鶏の死骸をぶら下げていた。

 

「よう。お前さんら、なんで授業に行かんのだ?」

 

「休講になったのさ。ところで、その死骸どうしたの?」

 

「ああ、これか。何かに殺られちまったのさ。今学期になって二羽目だ。狐の仕業か、『吸血お化け』か。そんで、校長先生に鶏小屋の周りに魔法をかけるお許しをもらおうとな。それと、もうそろそろ次の授業なんじゃないのか?ほれ、急いだ急いだ」

 

ハリーと私はハグリッドから離れて、寮へ戻ろうとした。しかし、階段を上り、廊下の角を曲がったところでハリーが何かにつまづいてしまった。廊下は松明の灯りが消えていた。

 

ハリーが何につまづいたのか。

 

ジャスティン・フィンチ-フレッチリーだった。冷たく、恐怖が顔に残っている。その隣には、ほとんど首無しニックが浮かんでいた。透明な真珠色だった体は黒く煤けて、顔はやはり恐怖で引きつっていた。

 

とうとう、人間に被害が出てしまった。

 

「おやおや、お二人さん、ここで一体何をしている?悪戯大好きピーブズちゃんが、おっもしろい悪戯を仕掛けちゃうよ?」

 

チッ、ピーブズが来た。このままだと、大声で先生を呼ばれてしまう。そうなると、私たちが犯人という疑いがさらに強まる。

 

「あれ?これはこれは……石になってる?ーー襲われた!襲われた!またまた襲われた!生きてても死んでても、みんな危ないぞ!命からがら逃げろ!おーそーわーれーたー!」

 

叫ばれてしまった。

 

それから数分間は大混乱だった。ジャスティンは踏み潰されかけるし、ニックの体の中で立ちすくむ子はいるし、ピーブズが上から茶化してくるし。

 

マクゴナガル先生が全員を黙らせた。正直怖かった。ピーブズも震え上がってさっさと逃げてたし。

 

「ポッター、ディメント、おいでなさい」

 

「先生、僕たちはやってません」

 

「私の手には負えないことです」

 

ハリーの弁解はマクゴナガル先生には通じなかった。

 

先生が立ち止まったのは、大きな怪物(ガーゴイル)の石像の前だった。

 

「〈レモン・キャンディ〉!」

 

合言葉だったのだろう。石像は本物となり、横に飛び退いた。彼?の背後にあった壁は左右に割れ、エスカレーターのように上へと動く螺旋階段が現れた。

 

階段の一番上には樫の扉があり、グリフィンをかたどったノッカーが付いている。

 

ここは、校長室だ。

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