吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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クリスマスと嘆きのマートル

休暇は、クリスマスまではフレッジョが悪戯するだけで済んでいた。あとは、トランプをしたり、チェスをしたり、決闘の練習をしたり、『スリザリンの怪物』の予想をしたり、雷と電に秘密の部屋がどこか調べてもらったり(結局わからなかった)。

 

 

クリスマスの朝。真っ白な朝だった。談話室にはすでにみんながいた。今年のクリーチャーからのプレゼントはニット帽だった。

 

ウィル爺から、調査の途中報告が来ていた。やっぱり嘘っぱちの経歴らしい。少なくとも、七冊のうち四冊分の調査の結果、全く別の人物が行ったことだとの証言を得たとのことだ。

 

ハグリッドからは大きな缶いっぱいの糖蜜ヌガーが、ディメント家からは『SCP-999』とラベルがついた瓶(ジェル入り)が、お父さんからは色々なマグルのお菓子が送られてきた。

 

クリスマス・ディナーは去年と同じくすごかった。例えるなら、森の中。天井からは暖かく乾いた雪が降りしきり、クリスマスツリーが立ち並んでいた。ダンブルドアはクリスマス・キャロルを指揮し、フレッドはパーシーの『監督生』のバッジを『劣等生』に変えていた。ロックハートは何やら喚いていたが、ダンブルドアにやんわりと追い出されていた。バタービールと言う飲み物も出てきていた。この近くのホグズミード村にある『三本の箒』から取り寄せたらしい。飲んだみんなは泡で髭を作っていて、面白かった。私も笑われたけど。

 

ハリーといちゃいちゃしていると、どこからか嫉妬の感情が向けられていた。だいぶ近い。視線を辿ると、そこにはジニーがいた。なるほど、ジニーはハリーに一目惚れでもしたのかな?でも、ハリーを渡す気は無いよ。ハリーが私を捨てなければだけど。

 

 

夜、フレッジョから、「クリスマスプレゼントだ」と、一枚の羊皮紙を渡された。

 

「それは『忍びの地図』の劣化コピーだ」

 

「まだ、ただの地図としての機能しか持っていない」

 

「俺たちは来年には完全なコピーを作るつもりだが」

 

「その前に途中報告として渡しておこうってな」

 

「「じゃ、有効活用してくれよ」」

 

双子の背中を見ながら、地図を見てみる。確かに、人の居場所は載っていない。すごく精巧な地図といった具合だ。でも、『秘密の部屋』の場所はわからなかった。残念。

 

 

クリスマス休暇が終わる。また、学校に生徒がやってくる。そして、宿題が大量に出る。魔法薬学とか。

 

「なんだよこの量。スネイプ、僕らに恨みでもあるのか?」

 

「ロン、スネイプにも考えがあるのよ。私たちに勉強させたいだけなんだから」

 

「ねぇ、ドラコ。この薬って、ネズミのヒゲを何本入れればいいの?」

 

「答えたいところだがな、ネビル。前提として、『髪を逆立てる薬』にはネズミのヒゲは要らない。要るのはネズミのしっぽだ」

 

みんなで宿題を終わらせる。その時、フィルチの怒鳴り声が聞こえてきた。確かめに行くと、最初に、ミセス・ノリスが襲われた廊下がまた水浸しになっていた。原因は、近くのトイレらしい。

 

「マートルが何かしたのかしら?」

 

「マートル?」

 

「『嘆きのマートル』よ。あの女子トイレに住んでるゴースト。いっつも泣いてるの」

 

「……確認する?」

 

「僕らは入らないよ?」

 

「誰も使わないわよ。さ、確認するんでしょう?行くわよ!」

 

ハリー、ロン、ネビル、ドラコの男性陣も強制連行。女子トイレだなんて関係ない。

 

 

一番奥の個室からすすり泣く声が聞こえてくる。嘆きと悲しみ、そして怒りの感情がだだ漏れになっている。話を聞くと、何かを投げつけられたらしい。ーー小さな黒い本だ。微弱だけど、意識を感じる。嫌な予感がする。それに、『秘密の部屋』への手がかりであるとの確信も。

 

「……Diary(日記)か。日付は五十年前だ」

 

「それって……前に秘密の部屋が開かれた……!」

 

「名前が載ってる。ーーT・M・Riddle(リドル)?誰?」

 

「『ホグワーツ特別功労賞』をもらった生徒よ。ちょうど、五十年前に。トロフィー室に盾が置いてあったわ」

 

「じゃあ、この人が秘密の部屋を閉じたのかな?」

 

「リドルか……ファーストネームとミドルネームはわからないのか?」

 

「あら、彼の名前を知りたいの?トム・マールヴォロ・リドルよ。スリザリンの優等生だったわ」

 

「「「「「「……え?」」」」」」

 

「あたしが死んだのは五十年前よ?彼とは同級生だったわ。みんなから慕われてて……妬ましかったわね」

 

まさか、マートルが五十年前のゴーストだったとは。それに、こんなところでマールヴォロの名を聞くとはね。トム・リドルはゴーント家の出身なのかな?……あれ?

 

「ねぇ、ドラコ。五十年前の死者って……」

 

「マグル生まれが一人だけ……まさかだが、こいつか?」

 

「聞いてみるよ。マートル、君はどうして死んだの?」

 

「あら、知りたいのぉ?怖かったわ。まさにここ。この小部屋よ。泣いてたの。あたしのめがねをからかわれてね。鍵をかけていたのだけれど、誰かがトイレに入ってきて、何か変なことを言っていたわ。外国語だったと思うの。知らない言葉。もしかしたら、あたしの悪口を言っていたのかもね。でも、それ以上に、男子だったってことがいやだった。男子トイレを使えって、言うつもりだったの。鍵を開けて、扉を開けて……そして……そして……

 

死んだのよ……!」

 

まるで、誰かに言いたかったかのようにキラキラした顔で話すマートル。印象としては怪談を話す語り手。

 

「覚えているのは、大きな黄色い目玉二つ。体は金縛りにあったみたいだったわ。そしてね?ふーって浮いて、いつの間にか、戻ってきてた。まだ未練があったのかしらね?もしかしたら、日本の地縛霊みたいにここに縛り付けられているのかも。そういえばね?秘密の部屋を開けたとされる人は、ホグワーツから追放されたの。でも、また戻ってきたわ。ーー森番としてね」

 

私たちは走り出した。ハリーのポケットの中には、念のための透明マント(改)が入っている。それを使い、全員で隠れる。今、フィルチや先生に見つかるのはマズい。一刻を争う事態なんだ。話を聞かなくちゃ。ーーハグリッドに。

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