ハリーと、私、ジニーが先頭に立って部屋に入ると、一瞬、沈黙が流れ、叫び声が上がった。
「ジニー!」
ウィーズリー夫人だ。ウィーズリーさんもいる。二人は勢いよく立ち上がり、ジニーに抱きついた。親子の感動の再会だね。
でも、私たちの視線はその向こう側ーーマクゴナガル先生と並んで立っている、ダンブルドアに向いていた。ダンブルドアはにっこりと笑い、いつのまにか肩に留まっていたフォークスを静かに撫でた。
「ダンブルドア先生、いーーわふっ!?」
先生に質問しようとしたら、夫人に抱きしめられた。ちょ、胸が、胸が当たってますから!一向に大きくなる気配のない私への当てつけですか!?
「ありがとう!あなたたちがあの子を助けてくれた!あの子の命を!……でも、どうやって助けたの?」
「私たち全員が、それを知りたがっていますよ。話していただけますか?」
「……わかりました。ですから、夫人、離してください」
夫人の抱擁から解放されたハリーは、組分け帽子とゴブリンの銀製の剣、リドルの日記の残骸を机に置き、一部始終を話し始めた。ただし、みんなが期待しているようなバトルはなく、私の正体が悟られないように話した結果、みんな口を開いてポカーンとしていた。
「ねぇ、リーナ。シリアスってどこに行ったんだろうね」
「旅行じゃない?」
「……ええ、本当に。緊張感は何処へ消えたのですか?それも、黒幕との決戦の時に。
ええ、傷一つなく、危険地帯から帰ってきたのです、入り口を見つけるまでに約百もの校則を粉々に破ったことは不問としましょう」
あれ、そんなに校則を破ってた?ーーまあ、教師を脅したり、騙したり、放送を無視したりしてたしね。
「一つ、いいかのう?」
ダンブルドアが口を開いた。
「わしが一番興味があるのは、ヴォルデモート卿が、どうやって禁呪を知ったか、ということじゃ。あれのことを詳しく知っている者はそうおらん。マートルが死んだのは、ヴォルデモート卿がまだトム・リドルだった頃。つまり、当時のホグワーツの教師が教えたのかのう?」
「『例のあの人』が関わってるだなんて……その禁呪はそんなに強力なのですか?」
「ああ、強力じゃとも。詳しいことは話せんがの。この魔法は、存在自体が忌むべきものじゃ。リーナが知っていたのは、まあ、あやつが教えたのかのう。
さて、ミス・ウィーズリーはすぐに医務室に行きなさい。かこくな試練じゃったろう。処罰はなしじゃ。もっと年上の、もっと賢い魔法使いでさえ、ヴォルデモート卿にたぶらかされてきたのじゃ」
ダンブルドアは話を打ち切ると、ドアを開けた。
「安静にして、それに、熱い湯気の出るようなココアをマグカップ一杯飲むがよい。わしはいつもそれで元気が出る。もちろん、火傷はせんように気をつけるんじゃぞ?」
ジニーを見下ろすダンブルドアの目は優しい。……でも、案外腹黒なんだよなぁ、この人。
「マダム・ポンフリーはまだ起きておる。先ほど、マンドレイクのジュースをみんなに飲ませたところじゃ。犠牲者たちは、今にも目を覚ますじゃろうーーああ、安心しなさい、ミスター・ウィーズリー。回復不能の障害は一切なかった。もちろん、ミス・グレンジャーにも」
よかった。みんな無事なようだ。ウィーズリー夫人はジニーを連れて出て行き、ウィーズリーさんもそれに続いた。
「……ふむ。のう、ミネルバ。これは一つ、盛大に祝宴を催す価値があると思うのじゃが。キッチンにそのことを知らせてくれるかのう?もちろん、甘いお菓子もいっぱい作ってくれと」
「わかりました」
マクゴナガル先生はキビキビと答え(でも、目が潤んでいる)、ドアの方へ向かった。
「ここにいる者たちーーポッター、ディメント、ウィーズリー、ロングボトム、マルフォイの処置は先生にお任せしてもよろしいですね?」
「もちろんじゃ」
マクゴナガル先生は部屋を出て行った。
処置と言っていたが、酷いことにはならないだろう。
「君たちはよくやってくれた。実際に、ヴォルデモート卿やバジリスクと対峙したのがハリーとリーナだけでも、みな、その場所までついて行った。推理し、思案し、勇気を振り絞ったーーよって、五人には『ホグワーツ特別功労賞』が授与される。それにーーそうじゃなーーグリフィンドールとスリザリンに四百点、与えよう」
おお、四百点も。これはまたスリザリンと引き分けかな?
「しかし、一人だけ、この危険な冒険の自分の役割について、恐ろしく物静かな人がいるようじゃ。
ギルデロイ、君にしては随分と控え目じゃが、どうしたのかね?」
「……私には、この冒険譚を語る資格はないのですよ、校長先生。私はこれから、ディメント家へ出頭します。私は一からやり直します。ですから、もう、教師はできません。先生も、私のしでかしたことをわかっていて、迎え入れてくれたんでしょう?今、グリンゴッツにある私のが稼いだお金は、全てホグワーツに寄付します。一年間、ありがとうございました」
「……なんと、つい一ヶ月前に会ったきりじゃったが、随分と変わったのう。誰に諭されたんじゃ?」
「ミス・ディメントです」
「おお、あのディメント家で暮らしていて、人を諭せる子になったとは。リーナ、君に十点あげよう」
「……ディメント家の日常って?」
「暴走してる。マッドサイエンティストもいれば筋肉モリモリマッチョマンもいるし、訳がわからない」
「……カオスだってことは理解したよ」
ドラコが苦笑いで頷く。どうせなら一日、研修でもしてみる?満身創痍確定するけど。
「さて、さて。ギルデロイ、みんなを医務室へ連れて行ってくれるかね?パーティーが終わるまでは、まだ教師をしてもらうつもりじゃ。ああ、ハリーとリーナは残ってくれるかのう?話したいことがあるんじゃ」
ロックハートは頭を下げ、みんなを連れて出て行った。
私たちは、ダンブルドアに促され、暖炉の側の椅子に座った。