「そう言えばさ?」
「ん?なんだい、ハリー」
「煙突飛行で行くなら直接ダイアゴン横丁に行った方が楽だと思うけど?」
「漏れ鍋から行った方が面白そうだよ?」
私達はたわいもない会話をしながら
「私が先に行くよ。その次はハリー、最後にウィル爺だね」
「わかった」
私は粉を暖炉の火に入れ、エメラルド色の炎の中に身を投じた。
「漏れ鍋!」
引っ張られるような感覚のあと、別の暖炉に到着した。ここが漏れ鍋だろう。
「あー緊張した」
別の暖炉の中から出てくるハリー。彼が現れた途端、パブにいた全員が固まった。
「あれ?リーナ、なんでみんな固まってるの?」
「だから言っただろう?君が来たら、みんな大騒ぎするってさ」
『い、生き残った男の子だー!』
「うわっ」
「愛されてるね」
そう言いつつ、漏れ鍋の中を観察する。……あのターバンの男、なんか変な気がする。
「ハリー、あのターバンの男、もしホグワーツにいたら注意して」
「どうして?」
「嫌な気配がする」
能力を使って、思考を確認する。
(ハリー・ポッターか、忌々しい。が、
あれ?もしかして、『例のあの人』?
「ハリー、訂正。最大限警戒しておいて」
「……わかった」
ハリーも男を睨む。
「……どうした?」
あ、ウィル爺忘れてた。さっさとダイアゴン横丁に行かなきゃ。
「何も。さ、行こうよ。ハリー、ウィル爺」
漏れ鍋の奥に行き、ウィル爺が杖でレンガを叩く。すると、レンガが移動してアーチになった。
「まずはグリンゴッツじゃな。ハリーの金庫の鍵はハグリッドから預かっておる。後で渡してやろう」
☆
グリンゴッツ
「ポッター家の金庫に。それと、この子の金庫を作ってやってくれんかの?」
ウィル爺が
「リーナ、ちょっと来てくれ。杖を登録せにゃならん」
「了解」
ハリーを連れてウィル爺のところへ向かう。杖を取り出して小鬼に渡したら、長さから重さまで、色々計測された。
「それではまず、ポッター家の金庫へ案内させていただきます。行き先は687番金庫でございます」
小鬼にトロッコへと案内される。……狭い。それに、速い。ジェットコースターみたいだ。
「687番金庫、ポッター様の金庫でございます」
到着。鍵を使って扉を開けると、中には大量の金貨があった。
「……凄いね」
「僕もちょっと信じられない」
「とりあえず、必要な分とお小遣いとして少々、持っていくとしよう。さ、行ってくるのじゃ、ハリー」
背中を押されたハリーは必要な分より少し多い金貨を持ってきた。
「それでは、続いてはリーナ・ディメント様の金庫となります」
☆
「こちらが、代々ディメント家の皆様がお使いになられてる金庫群でございます。リーナ様の金庫は1999番金庫でございます」
到着したのは、地下深くの、とても暗い場所。円柱状の穴になっているその場所は、更に地下へと向かっていた。一番手前の金庫には1000番金庫と書かれている。
「歩いて降りるの?」
「そうじゃ。この穴の壁には1000番金庫から3000番金庫までが存在する。ディメント家専用の場所じゃ」
降りながら話してくれるウィル爺。っと、あった。
「さあ、リーナ。この扉に空いている穴、ここに杖をはめるんじゃ。それが、鍵となる」
私達吸魂鬼の杖は絶対に忠誠を移さない。それを利用した防犯システムか。よく出来ている。
「ま、中には何も無いだろうけどね」
「うん。何も無い」
「ウィル爺、今のちょっとうざい」
「ホッホッホ。後で1000番金庫ーーアズカバン全体の金庫から幾ばくか移しておこう。さ、次はローブ、そして杖じゃ」
私達は、ジェットコースターのようなトロッコで地上へ戻った。
ハグリッドの出番無し。そして、さらっと看破されるお辞儀さん。改めて、この主人公チートである。
1999番金庫の理由ーー特になし
吸魂鬼の杖は絶対に忠誠を移さない。生まれた時から一緒なんですから、何があっても忠誠心は変わりませんし、マスターが消滅した時は崩壊する。それ以外で壊れた場合、しばらくマントの中に入れておけばいつの間にか治っています。だいたい三日ぐらいで。