クラス代表決定のパーティーから抜け出し屋上で一人黄昏ていたら、簪さんの胸に抱きしめられながら頭を撫でられている俺。
簪さんに抱きしめられて思ったことは凄く安心できた、という事だった。なんで簪さんに抱きしめられているのかは分からないが、ただ凄く安心できた。思い起こせばこの世界に生まれてからこうやって誰かに優しく抱きしめられたのは初めてな気がする。両親は気が付いた時にはもう不仲だったからな。
「……ゴメン、簪さん。もう少しだけこうさせて」
「うん。いいよ」
しばらくの間俺と簪さんは抱き合ったまま屋上で過ごした。肌は風で寒かったけど心はとても温かかった。
「ありがとう、簪さん。もう大丈夫だ」
名残惜しく感じながらも簪さんから離れる俺。
「……その、ね。四五六君。私でよかったら、その、相談とかのるよ。だから一人で泣かないで。ね?」
照れくさそうにそう伝えてくれる簪さん。その言葉だけでも俺は嬉しかった。
「ありがとう……。寒くなってきたし部屋に戻ろうか」
「うん」
お互いさっきまでしていた事を思い出して恥ずかしがりながらも俺たちは一緒に部屋に戻る事に。戻る間、一言も話さないでいたが何所か居心地がよく感じられたのは俺だけではないと思いたい。
部屋までもう少し、と言うところで廊下の向こう側から誰かが走って来た。やけに長い裾を振りながら。
「かんちゃ~ん!!ごろーちゃんいた~、っていたーー!!」
長い袖を振り回しながらこちらに走って来たのは同じクラスの布仏 本音であった。彼女が言うごろーちゃん、とは誰だ……。まあ、この状態では俺しか居ないか。
「もう、ごろーちゃんどうして勝手にパーティーから居なくなっちゃうの!!探したんだよ!!」
私怒ってます。と言わんばかりに膨れっ面をしながら腰に手を当て怒ってくる彼女。
「ああ~、そのゴメンね布仏さん。一言言ってから出て行くべきだったね」
「もう、違うよごろーちゃん!!ごろーちゃんがどっか行っちゃった事に怒ってるんじゃないの。一緒にパーティーに参加しなかった事に怒ってるの」
「……ゴメンね、布仏さん。俺、パーティーとか有っても呼ばれた事無くってさ、どうしていいか分からなくて」
「え……」
俺が言った言葉に驚く布仏さんと簪さん。驚いた二人を見て失言を悟った俺は話題を変える為に話を振った。
「そ、そういえば簪さん。夕ご飯まだだったよね。何がいいかな?」
「え、あ、う~ん。何がいいかな?」
「夕ご飯ってかんちゃんどういう事?食堂で食べるんじゃないの?」
話に食いついてきた。このまま話題を逸らす。
「ああそれはね、今簪さんの食事は俺が作ってるんだよ」
「ごろーちゃんが?」
「そう。以前の簪さんの食生活があまりにも酷かったからつい、ね」
「ちょ、四五六君!!」
「かんちゃん、どんな食生活したの……」
顔を赤くして怒る簪さんとそんな簪さんをジト目で見る布仏さん。
「そうだ、良かったら布仏さんも食べてく?」
「いいの!!」
「二人分も三人分も同じだからね。いいかな簪さん?」
「いいよ。本音なら」
そうして始った三人での夕食。ムードメーカー的な布仏さんのおかげでいつもの夕食よりも華やかでそれでいてとても楽しい食事だった。
ただ今回、布仏さんを夕食に誘ったせいで彼女はちょくちょく部屋に来ては食事をしていくようになりお昼ご飯も俺に弁当を作ってくれるようにねだられたのはまた別の話。
二次ファン時代から大分変わってきたハーメルン版。今後どうなるかは作者にも分からない(オイ
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