新作ゲームは三日もたたずに飽きてしまうし、小説も書こう書こうとネタは思いつくがパソコンの前に座るとなぜか手が止まる。
何でだろう。
先日の生徒会室に呼び出されてからちょくちょく生徒会長である楯無さんとお昼を一緒に食べるようになった四五六です。
周りを木々に囲まれた場所で二人だけで一緒にご飯を食べながら、レシピの交換やらちょっとした話題で盛り上がったりしてます。
うん。こうやって話してみると楯無さんも本当に極々普通の女の子にしか見えないね。
さて、そんな風に生活していたのだが、なんと言うか、うん……。織斑先生になんと言うか見張られている気がする。と言うか見張られている。まあ、原因といたらこの前のあれ、だよなぁ。
自分の担当しているクラスの生徒がずぶ濡れになって、しかもその原因を話さないんだからそりゃあやしまれるよな。
かといって俺をずぶ濡れにした相手が生徒会長の楯無さんです、なんて言える訳ないし。
しばらくは、おとなしくしていないとマズイかなぁ。でも簪さんにもなんか怪しまれてるんだよな。楯無さんに呼ばれたあたりから。
簪さんも楯無さんに俺が呼ばれている事は知っているから、そこら辺を怪しんでいるのかな?
さて、そんな風に何故か監視されつつも時間は経つもので、今日はIS学園の最初のイベントであるクラス代表戦の日である。
この日を迎えるまでに色々とハプニングが起きた。一夏の周りで。
一夏争奪戦(ただし一夏は気がついていない)に篠ノ之さんとオルコットさんについでセカンド幼馴染という鳳鈴音さんが参戦したのだ。
二人だけでも喧しいのにそこに強気の鳳さんが参戦してさらに喧しくなった。原作を知っている身としては笑っていたが実際目にしてみると意外と笑えない。
小説やアニメでしか見ていなかったがあの一夏ハーレム(暫定)は横から見ている分にはいいのだが巻き込まれるとたまったものではない。女性三人共気が強いから巻き込まれると大変な事になる。
一夏の野郎、俺を巻き込もうとしやがって。まあ、ほぼすべて回避してやったがな!!
今でさえ色々と大変なのにこの後にはさらに男装女子と軍人女子が加わるのだから大変である。一夏も一夏で横から見て簡単に分かる好意になぜ気がつかないのだろう。
ハーレム主人公は鈍感でないといけないと言う法則でもあるのか?
一夏は夜道で背中から刺されるフラグを立てているのを余所に今日行われるクラス代表戦の事を考えてみよう。
原作ではクラス代表戦で一夏と鳳さんが戦っている最中に突如としてアリーナのシールドを破壊して
この世界には一二三四五六、つまり自分と言う異物が存在しているが今まで俺がいた事で原作が大きく変わった、と言う事は無かった。だから今回の無人機の乱入も問題なく終わるだろう。
俺はこの時、何の根拠も無く
一二三四五六という異物が居る時点で原作と同じ道筋を歩むわけが無いのに、そう思い込んでしまっていた。
その思い込みが覆される事をまだ俺は知る由も無かったのだ。
クラス代表戦当日、俺は一人気楽にアリーナの外でモニター越しに見ていようとしたのだが、織斑先生に引きずられるようにアリーナの管制室にて見学する事となった。
理由としては二人しか居ない男性適合者の護衛兼監視と言う事である。考えてみればもっともである。IS学園の全生徒が集まるイベントで他の女子達ならまだしも二人だけの男性を放っていくわけにもいけないしな。
「一二三、すまないな。他の生徒と同様に自由に見学させたいとは思うのだが……」
「いえ、自分の立場は分かってますから」
織斑先生がすまなそうに謝ってくる。どうやら織斑先生は俺が自由に見学できるようにしたかったようだ。だが男性適合者である俺を一人、ないしは他の生徒と同じように観客席から観戦させる事は難しかったようだ。
日常ならまだしも、これだけ大きな試合となれば
生徒思いの織斑先生には頭が下がる思いである。
「その、なんだ……。特等席で見れると思って見学してくれ」
「分かりました」
ちなみにこの管制室には織斑先生と俺の他にも山田先生と篠ノ之箒さんが居る。山田先生は織斑先生の補助として、篠ノ之さんはなんか居た。きっと俺と同じ理由だろう。
「では、山田先生。はじめるとしよう」
「はい、織斑先生」
そして始まった、クラス代表戦。
我らが一年一組代表、織斑一夏と一年二組代表、鳳鈴音さんの対戦が始まった。最初にいくつか言葉を交わした後試合開始となったが、さすがは専用機持ちの代表候補生である。
素人に毛が生えた程度の一夏が勝つには厳しいものがあるようだ。
鳳さんが乗る第三世代「甲龍」。近・中距離型の機体らしく、それだけを聞けば一夏の超近接型である白式にも勝ち目が有りそうだが、甲龍に搭載されている龍咆と呼ばれる衝撃砲によってそれは防がれていた。
空間自体に圧力をかけて砲身をつくり其処から放たれる衝撃波は目視する事が出来ず、かつ砲身が存在しないために360度あらゆる方向から発射が可能と言う不可視の攻撃である。初見で見破るのは非常に厳しいものがある。
ちなみに鳳さんが操る甲龍とも「八卦龍」の仮想空間内で戦ってました。打鉄で。
初期の頃はごく普通に衝撃砲で牽制しつつ近接戦で戦っていたのだが、最終的にはやっぱりおかしなことになった。
何だよ、衝撃波自体を圧縮して爆弾のようにして打ち出してくるって。衝撃波の種類も銃弾のような点と広がる面の二つから、ばら撒く散弾、爆弾のような榴弾、爆発する可燃性衝撃波とひどい事になった。
目に見えず、色や形で判別する事は不可能で、それでいて複数の衝撃波を混ぜて連射しながら攻め込んでくるという酷い物だった。
離れれば目に見えない爆弾を散布され、可燃性の気体で出来た衝撃波を打ち込まれ爆破され、近づけば不可視の散弾をばら撒かれ実弾は連射される面の衝撃波によって届く頃には威力の殆どを削がれている状態である。
よくあれにカスタムされた量産機で勝ちを拾えるようになったものである。
さて、そんな鬼畜難易度を越した攻略不可能難易度で戦っているのを思い出しているうちに一夏と鳳さんの戦いは佳境に入っていた。
ISに乗り始めてまだ半年と経たないはずの一夏だが驚異的な成長力で鳳さんに食らい付いていた。全体的に見ればまだ鳳さんが上回っているが急接近からの接近戦では一夏が上回りつつあった。
このままいけばいずれ二人の試合には決着が付くであろう。
だが、二人の決着が付く事は無かった。
突如として侵入してきた
「お、織斑先生!!アリーナ上空に高出力反応が!?」
「なんだと!!」
山田先生の叫び声と同時にアリーナに張られている強固なシールドが破壊され二人が戦っている間にナニかが入り込んできた。
かなりの速度で地面に突撃したのであろう。アリーナ内には土煙が舞っており、進入してきたナニかの姿は見えなかった。
(無人機の襲撃、か……。何もせずしていたけど良かったのかな、これで。原作通りならここで一夏と鳳さんの二人で無人機を撃退するんだけど、俺と言う異物が居る以上、原作と同じようになるかは分からない)
織斑先生と山田先生が観客に避難指示を出しているのを余所に俺はアリーナ内を覗く。
(……おかしいな。原作ではあんな風に土煙が舞う事なんて無かったはずだけど)
いまだ土煙が舞うアリーナ内。突如として起こった異常事態に一夏と鳳さんは一時休戦して離れた場所で様子を伺っていた。
不気味な雰囲気が漂うアリーナ内に突如として爆風が舞い起こる。
「ッッ!?なんだ!?」
「なによ、これーー!?」
アリーナ内の二人が突如として起こった爆風に両手で顔を覆う。
爆風が収まった時、アリーナに侵入して来たナニかの正体が露になった。
俺がそれを目にした時、驚愕で言葉が出なかった。
アリーナ内に侵入して来たナニか。それは明らかに複数体分は有ろうかと言うISらしき機体の残骸であった。一体どういう攻撃を受けたらあそこまでボロボロになるのか、と言うほど破壊されていた。
そしてそんな残骸の山を踏み潰すように立っている一機の機体。一般的なISとはまったく違う形状をしたそれは全身を装甲で覆っており背中に巨大なスラスターを二基装備していた。
『……ふん。所詮は裏切り者が作り出した贋作の欠陥品風情か』
機械音声で発せられた言葉と同時に足元の頭部らしき残骸を踏み潰した。そしてゆっくりと顔を動かし離れた場所に居る一夏と鳳さんを見る。
『我らが悲願成就のため貴様の機体をいただく!!織斑一夏!!』
「一体なんだ、あの機体は!?」
「わ、分かりませんーー」
織斑先生と山田先生が管制室のコントロールパネルを操作しながら叫んでいる。篠ノ之さんもアリーナ内部を映すモニターに映る一夏達に釘付けになっている。
そんな中で俺はモニターに映っている機体を見ていた。
「な、なんで……そんな、アレは、そんなはずは……」
アリーナ内で一夏に襲い掛かる謎の機体。それを俺は知っていた。この世界に存在するはずの無い機体の名前を。それは……
「風の……ランスター」
俺の口から無意識に零れ落ちた言葉は周りの騒音にかき消された。
そして俺の言葉が騒音によってかき消された後、同じようにかき消された言葉があった。
「なんで、その名前を知っているんですか?一二三君」