昔々、ある所に、ある日、新しい命が生まれた。
その男の子は、とても元気に、健康に生まれたのだが…
「ちっさ!?何じゃこりゃ親指1本分くらいの大きさくらいしかねえじゃねえか!」
おじいさんが年齢を忘れて突っ込んでしまうほど小さかった。
彼は一寸法師と名付けられ、すくすくと育っていきました。
おじいさんとおばあさんの間には長年子供ができず、挙句どちらが不妊の原因かということでよく喧嘩をしていたのが、一寸法師が生まれたことで解消され、家庭には再び暖かい空気が流れていました。
そして、一寸法師が生まれてから、六年が経とうとしていました。
一寸法師は寺子屋に通い始める年齢となりました。
そこで一寸法師は愕然としました。
これまでおじいさんとおばあさん以外の人間をあまり見てきていなかったので、ほかの子供たちとのサイズの違いを今になってやっと実感させられたからです。
そもそも一寸、と言ってもわかりにくいですが、要は約3センチメートル程です。
一般的な定規の長さが15センチメートルですので、その五分の一ですね。
逆に、周りの子供たちからも奇異の目で見られてしまいます。
自分の足首ほどまでしかない子供がペタペタと走り回るのです。
もしもわざとでなくても蹴飛ばしそうになってしまいます。
そしてそんな環境に一寸法師は徐々にストレスを貯めていきます。
そんなある日でした。
寺子屋に、藩主様に直接仕える上級武士が講師としてやって来ました。
彼は、藩の政治について考える、いわば参謀として藩主の右腕としてのポジションの者でした。
そんな彼が教えたのは道徳でした。
本来なら、歴史について教えるはずだったのですが、休み時間中の一寸法師の扱いを見て、彼は説教を始め、そのうち授業にくいこんでいってしまったのです。
しかし、その内容は、一寸法師を感動させるに余りあるものでした。
というのも、「一寸法師は確かに小さく、他のものと異なった外見をしている。しかしそれが侮蔑の理由になり得るのか?彼は小さくとも、君たちよりもしっかりしておる。見よ、この勤勉な態度を。君達が怠けている課題を、彼は毎度出しているそうではないか。それでも君たちは彼の事を劣っていると判断できるのかね?」というものだったのです。
そして、彼はそんな武士に憧れの念を抱き、あんな武士に自分もなりたい、そう思うまでになっていました。
家に帰って第一声が、「じっちゃんばっちゃん、オラ、サムライんなっぞ!」だったそうな。
しかし、身長3cmのサムライなんぞ、何も出来ないだろう、そう思ったおじいさんとおばあさんは、一寸法師を止めました。
別の道だってあるじゃないか、と諭そうとした日もありました。
それでも頑固な一寸法師は聞く耳を持たず、「いや、オラはサムライになんだ、そんで強くなるんだ。オラ、ワクワクすっぞ?」と言って聞く耳を持ちません。
説得を諦めたおじいさんとおばあさんは、針の剣を持たせて、お椀の船に乗せて一寸法師を送り出しました。
一寸法師がどんぶらこ、どんぶらこ、と川を下って到着したのは、武士たちが大勢いる、役所のようなところでした。
手始めに挨拶をと、「オッス、オラ一寸、ワクワクすっぞ?」と挨拶するも、体が小さすぎるせいで、誰も一寸法師に気づきません。
仕方なしに一寸法師が飛び跳ねると、数人が気づいてこっちを向きました。
「オラ一寸、サムライになっぞ!?」と言うと、一瞬の沈黙の後、爆笑がその場を満たしました。
「おまwwwその大きさでwサムライwww冗談はwwwよせよww」
みんなだいたいこんな反応です。
ムキになって一寸法師がひょこひょこと跳ねていると、貴族風の容貌の男が出てきて、「ほっほっほ、面白いではないか、一寸、と申したか?そなた、マロの娘の遊び相手になってやってくれんか?給料ももちろんやるぞよ?」と言いました。
一寸法師は渡りに船とばかりにその話に飛びつきました。
そしてその男(
娘も最初こそあまりに小さすぎる一寸法師に警戒していたものの、数日経てば打ち解け、一寸法師はとても良く可愛がられており、外出する際の篭の中にも同行するまでになった。
そんなある日だった。
表が随分と騒がしいと思うと、鬼が突風に化けてびゅうっとあっという間に娘をさらっていってしまったのです。
あとには一枚の紙が置かれていました。
「この雌は頂いてくぞ?柔らかくて美味しそうだ。」
これに激怒したのは一寸法師です。
怒りのあまりオーラのようなものを放ちながら、「娘のことかァッ!!」と怒鳴っています。
そして地を蹴って館を飛び出すと、鬼の本拠地に向かいます。
そしてそこに到着した時、一寸法師が見たものは。
気絶する娘の頬を気味の悪い笑みを浮かべて撫ぜる藤原磨呂でした。
「おい…藤原磨呂…お前、何してんだ?」と、浦島大郎が問うと、「藤原磨呂?そんな者はもうとっくに死んで居ない。俺は最強の鬼の1人、茨木童子だ!」
そういうと、藤原磨呂、いや茨木童子は正体を表した。
全身が針金のような短い毛で覆われていて、筋肉が隆々としており、顔はおぞましく、息はヘドロのような臭いがします。
茨木童子はなおも語る。
「こいつの父親はとうの昔に食い殺してやったわ。そして俺は当の父親に化け、絶望に苦しむ顔を見ながらこいつを食ってやるのさ…その次はお前さ…お前のような小さな人間は見たことがない…どんな味がするか…とても楽しみだ…」
そこまで聞いた一寸法師は激昂して、茨木童子に飛びかかりました。
その体の小ささを生かして、茨木童子の筋肉のコブを足場にして飛び跳ねながら攻撃します。
しかし所詮針の剣では、ダメージなど与えられません。
一寸法師はついに茨木童子に捕らえられてしまいました。
「忌々しいチビめ!お前から先に食ってやるわ!」
そう言って茨木童子は一寸法師を丸呑みしました。
というか、噛むには小さすぎました。
そして目覚めた娘を今食おうかというその時でした。
茨木童子の腹部を激痛が襲いました。チクチクという何かが刺さっているかのような、否、何かが刺さっている猛烈な痛みが茨木童子を襲います。
もはや娘を食うどころではありません。
腹の中から声がしました。
「もう降参すっか!?」
茨木童子は痛みに耐えかねて、「ああお願いだ。助けてくれよぉ…」と言いました。すると、茨木童子の鼻の穴から、一寸法師が出てきました。
それとほぼ同時に茨木童子は腹を押さえて焦って逃げていきました。
そして茨木童子がいた所には、金色の小槌がありました。
慌てて娘の縄を解いてから、「この小槌はなんだ?おら、こんなの見たことねーぞ?」
「何でしょうねぇ?」
そういいながら娘が、適当に小槌を振ると、一寸法師が一回り大きくなりました。「あれ?姫様ちっさくなったか??」
もう一度、もう一度と振っていくと、一寸法師はどんどん大きくなっていき、立派な若者になりましたとさ。
めでたしめでたし。
なんか今回は不完全燃焼な感じがする…もしかした書き直すかもしれないです。
次回投稿日は決まっていません(いつものことですね)
まあゆるゆる待っててくださいね。