徒然なるままに…   作:初代小人

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よしメロス完結!
今回は新たな試みも投入しています。なんといっても記念すべき第15話ですからね。願わくば千夜一夜物語のように長く続く短編集になりますように。
なかなか長くなってしまいましたが収めました。少し無理やりな感じもありますが…
ということで本編へGo!


走れメロス(ハードモード)復路編

「よっしゃ故郷きたぜ!」

 

 

今メロスがいるのはシラクスの街から15里離れたスリッカの村。

メロスの故郷である。

そしてメロスは自分の家にまっさきに帰ったのだが…

 

 

「ただいま〜」

「………………」

「あれ?おっかしいな?妹の声がしない。よしもう一度。

ただいま〜!!」

どうやら返事がないようだ。

ところで今の時刻をご存知だろうか。

誰も出歩かない丑三つ時、今でいう夜中の2時〜2時30分くらいである。

そんな時に大声で叫べばどうなるか。

 

 

 

「こら〜何時だと思っとるんだ!!」

隣人に殴りこまれる。

もっと言えばのちのちにも繋がる隣人トラブルにもつながりかねない。

しかしメロスの方が一枚上手であった。

 

 

 

「すみません、うちの妹知りませんか?」

何度も繰り返すが今は夜中で相手は殴り込んできた隣人である。

呆気に取られた隣人は「あ、ああ、つい今晩にアンタを探しにシラクスの街に行ったよ?会ってないのかい?」

どうやら入れ違ってしまったようである。

 

 

「は?え?嘘ォ?マジで?えぇ〜〜!?」

 

 

 

そしてここで繰り返そう。

 

 

メロスは激怒した。

 

 

 

 

 

 

かの邪知暴虐の王を

 

 

 

 

 

 

必ずや取り除かねばならぬと決意した。

 

 

 

 

 

 

 

その怒りはもはや逆ギレではあったがメロスにもう一度シラクスへ向かわせるのには十分な気力を与えた。

 

 

「だぁら!クソッタレがぁぁあああ!」

 

メロスは駆け出した。

もはや恥も外聞も何もかも気にせずにシラクスへと走った。

 

 

 

 

夜はひどく冷え込む砂漠は自らが走って生まれる熱のおかげでビクともせずに走り抜け。

眠ったワニの頭上をバランスを取ってぴょんぴょんと飛び越えて。

瞬く間にシラクスの街が見えてきたその時。

 

 

ゴッ!ガッ!メキッ!

鈍い音がメロスの鼓膜を揺らした。

 

 

「!?」

 

 

大事なことなので何度もいうが今は真夜中である。

そんな中誰がそのような音を発したのか。

その答えはすぐにメロスが知ることとなった。

 

 

「あ、メロメロスお兄ちゃん!」

「お前、わざとだろ」

「噛みまみた」

「わざとじゃない!?」

 

 

メロスの最愛の妹が、ある意味変わり果てた姿でそこにいた。

というか返り血を浴びまくっている。

よく目を凝らすと足元に数人男が気絶して転がっている。

身なりからして盗賊だろうか。

 

 

メロスの思考が自動的に現実逃避の方向に向かったその時であった。

「お兄ちゃんが帰ってくるのが遅いからぁ〜私の方から来ちゃった☆」

「いや、来ちゃった☆じゃないよ!何してるの?俺は盗賊を1人でボコボコに出来るような妹は知らないよ?」

「いやいや〜こいつらが弱かったんだって〜ヤダな〜お兄ちゃんったら〜」

「おい、そいつ普通に刃物とか持ってるからね?素手で撃退はおかしいからね?」

「まあいいじゃない、作者さんが早く話を進めろって怒ってるし、早く帰ろうよ、私こわぁーい」

 

 

何が怖いんだ、そう思いながらメロスはスリッカへと帰り始めた。というか休憩もなしに45里である。

本当に頑張っていると思う。

 

 

そんなこんなで歩いていた時であった。

「おうおうおう、ちょぉっと待ちぃなそこの兄ちゃん姉ちゃん」

スタスタスタ

「待てや言うとんねん」

スタスタスタスタスタスタ

「おいごらナメとんのか、我ぇ?チョーシこいとんちゃうぞ?あぁん?」

スタスタスタスタスタスタスタスタスタ

「いや、ホント止まってくださいお願いしますってば」

するとメロスと妹はニィ〜〜っと笑って

「そうそう、最初っからそういえばいいんだよ〜」

「そうだよ〜偉そうに言われたら止まりたくないよ〜」

「「ねぇ〜?」」

 

 

ほんと、この2人、やりたい放題である。

 

 

「おいそこの女ァ!ようよう見たらアンタ、ウチのツレが世話なったのう?」

「何?え?お兄ちゃん助けて怖ぁい」

 

妹は可愛こぶって兄の背中に隠れることにした。

 

 

「おうおう、お前こいつの兄貴かぁ?そんなら黙って着いてきて貰おk」

 

 

盗賊は何が起きたかわからなかった。

話していたと思った次の瞬間には顔に拳がめり込んでいた。

本当にこの兄妹、何なんだ。

そう思いながら彼は意識を手放すことになった。

 

 

「さぁ、行こうか。」

「うん☆」

この兄妹、何かおかしい気がする。

 

 

こうしてメロスは再びスリッカに帰ってきた。もう既に日が登りつつある。

王にもらった猶予の二日目である。

3日めの夕日が沈むまでにはシラクスに帰らなくてはならない。

 

 

 

メロスはほうぼうに謝って回り、妹の結婚式の準備をした。

 

 

昼の12時に挙式の運びとなった。

色々事情はあれど、妹の結婚は嬉しいものである。

両親を早くに亡くしたメロスは妹の親代わりとなって必死に育ててきた。

色々と足りない事もあったが妹は元気すぎるほどに元気に育ってくれた。

ああ、あの新郎ならば妹を大事にしてくれるであろう。

お陰でメロスは何の心残りもなく処刑され、逝くことが出来る。

 

 

そんな思いが胸を占めている中、兄からの祝辞の時間となった。

メロスは胸が詰まって何も言えず、ただ泣き出してしまった。

妹は苦笑し、その他の者は冷やかしの声をかけてくる。

その暖かい雰囲気がメロスの死への恐怖を打ち払い、勇気を与えるのである。

 

 

こうして結婚式はつつがなく進行された。

しかしここでめでたしめでたしとなる訳もない。

この話はそんな親切には出来ていないのだ。

 

 

結婚式のあとの宴にて…

 

 

「おいアンちゃんもうちょっと呑んでけよ〜ヒック」

メロスは酔っぱらいに盛大に絡まれていた。

 

 

「めでたい宴だろ?もっと楽しもうぜ〜」

「そうだぜアンちゃんよぅ〜」

しかも複数人だった。

 

 

メロスの心はもはやそのような事には少しも興味がなかった。

ただ、早く死にに行かなければ、その思いだけだった。

ちなみに昨晩は一睡もしていない。

少し眠って出発したいというのが本音であった。

 

 

だというのに。

酔っぱらい1「アンちゃん〜」

酔っぱらい2「アンちゃん〜」

酔っぱらい3「アンちゃん〜」

 

 

鬱陶しいと感じたメロスはついに激怒し、酔っぱらいの顔面に強烈なアッパーを1発ずつ決めて、宴会から逃げ出した。

そして家で深い眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルッポークルッポー

鳩の鳴き声で目が覚めたメロスは現在時刻を確認する。

 

 

「は?」

10:27を表示するディジタル(ネイティブ風の発音で)時計を見てメロスは絶句した。

完全に寝坊である。

今は冬であり、日が沈むのも早い。

しかも「不幸」な事に今日は冬至、一年で一番日が沈むのが早い日である。

 

 

 

「ちょ、やばいやばいやばいやばばばばばばbbbbbb」

メロスは奇声を上げて走り出した。

と、その進路を塞ぐものが1人。

 

 

「お兄ちゃん、また行くの?」

メロスの妹である。

 

 

「お兄ちゃんは、私のことを置いてまたどこかへ行くの?」

「いや、ちょ、急ぐからそこどいて…」

「そっか、私なんて、私の事なんてどうでもいいんだね…」

「あぁーー!もうめんどくせえな!早く行かせてくれよ!」

 

 

 

メロスは駆け出した。

後ろには泣き崩れる妹が居たがもう気にしないことにした。

そうしなければメロスは走れなくなるような気がしたからである。

こうしてメロスは最も大事にしていた妹との絆を失ったのである。

 

 

 

メロスはスリッカをあとにして駆け出した。

もはや何も悔いはない。

メロスは死ぬために、そして死ぬ間際に王を嗤うために走るのである。

それがメロスという男の生きざまであった。

 

 

 

 

「おいそこの兄ちゃん?アンタ、メロスとかいうもんとちゃう?」

「あ、王様の手のものですね、帰ってどうぞ。」

「あふん」

王様が差し向けた山賊を打ち払い。

 

 

 

 

「おにいぢゃーん!!」

号泣しながら追いかけてきた妹を振り払い。

 

 

「あなたが落としたのはこの金の斧ですか?それともこっちの銀の斧ですk」

「すいません!斧は落としてないです!」

唐突な女神様の質問をバッサリと断り。

 

 

 

「オラぁ!」

「ソ、そこの兄ちゃん、助け」

「ごめんなさい他の誰かを頼ってね」

子供達にいじめられる亀を冷たくあしらい。

 

 

 

どんぶらこ〜どんぶらこ〜

はっけよ〜い!のこった!

川から流れてきた大きな桃とその横で相撲を取る熊と少年を完全にスルーして。

 

 

 

「…………………………………」

燦然と輝く竹の横を走り抜け。

 

 

 

 

轟々と流れる濁流を泳ぎ切り。

 

 

 

 

「お願いだ! ウサギくん、今後は、今後こそはもうイタズラはしない! おじいさんの畑仕事も手伝う! だから! お願いだ! 助けてくれ! そっちの船に、渡らせてくれ! 死にたく、死にたくないよぉ…」

「君がおじいさんに言ったんだろう? 「騙される方が悪いんだよ」ってね。全ての罪を後悔しながら死ね! 化けタヌキ!」

ウサギとタヌキの騒動を無視して。

 

 

「オラ一寸!ワクワクすっぞ!」

跳ねる一寸を踏まないように器用に飛び越え。

 

 

 

そうして到着したのはメロスが死に場と決めたシラクスの街。

もう日はほとんど地面に沈んでいて、赤い夕日も徐々に消えていっていました。

 

 

 

意を決して門をくぐり、シラクスの街に入ると??

 

 

 

「メロス様!」

「ちょ、誰だよ」

「セリヌンティウス様の弟子のフィロストラトスでございます!もうあの人は磔にかけられるところでございます!お恨みいたします。あと数刻早く来てくだされば…」

「え?フェラストラトス?」

「唐突の下ネタに私びっくりでございます!というかですから!もう手遅れでございます!諦めてご自宅に帰ってのんびりと人生を」

「腑抜けたこと言ってんじゃねえよ!」

「へ?」

 

 

「俺はなぁ!死ぬために来てんだ!諦めろ?手遅れ?んなもん知るか!俺は!死にに行く!」

「ですから…」

「うるせぇぇぇえええええ!」

メロスはフェ…もといフィロストラトスに綺麗なアッパーを決めフィロストラトスを吹き飛ばす。

見事なアッパーを食らったフィロストラトスは吹き飛んだ。

そしてフィロストラトスは意識を手放し…

 

 

「おい」

ん?どうした早く死ねよメロス

「シンプルな罵倒にお兄さんびっくり!じゃなくてフィロストラトスで露骨な字数稼ぎするなよ」

へいへいほー

 

 

 

そんなわけでメロスは王宮の広場に入った。

そこではセリヌンティウスが丁度処刑されようとしているところでした。

 

 

「待て!処刑されるべきは俺だ!その男じゃない!」

 

 

 

「え?は?何言ってるの?あの人?」

「よく分からないわぁ?とりあえず早く処刑をしなさいよ!」

「そうよそうよ!」

「早くしなさいよ!」

観衆から大ブーイングである。

 

 

 

「俺が!処刑されるんだ!」

そう言ったメロスはセリヌンティウスの戒めを解いて、こういった。

「俺はお前を助けるのを早々に諦めようとした。俺をぶて!そうでないと死んでも死にきれんわ!」

 

 

パァン、と小気味いい音を立ててメロスの頬がぶたれました。

 

 

「ああ、メロス、俺はお前が帰ってこないかもしれないと疑った。俺を打て!」

再びパァン、という小気味いい音がして、今度はセリヌンティウスの頬がぶたれました。

 

 

そして王様にメロスは大声で言いました。

「これが真の信頼の証だ!この痛みは友情の証左だ!あなたが一生涯分かる事はありますまい!」

 

 

それを聞いた王様は我に帰った様子で、涙を流し始めました。

「ああ今までわしがしてきたことは何だったのか…メロス、セリヌンティウス、よくぞわしに大切なことを気づかせてくれた。処刑は取りやめじゃ。」

 

 

「はぁ、助かった。」

そう言ったセリヌンティウスとは対照的に、メロスは不満そうでした。

 

 

「ちょ、え、マジで?嘘だろーーー!?」

メロスは絶叫しました。

それもそのはず。

メロスはピラニアを焼く際に通行人に浮浪者だと思われ、大事な妹との絆も失われているのです。

 

 

そして最後に。

 

 

メロスは激怒した。必ずかの邪知暴虐の王を取り除かねばならぬと決意した。

 

 

 

「ん!?朝か。何だよ…俺が登場する話いっつもそれかよ〜…」

 

まあいいか、とメロスは布団から抜け出し、日課である王様の暗殺に向かうのであった。

 

 

 

fin,

 

 

 

 




特別出演



第1話より「泉の女神」



同じく1話より「光る竹」(かぐや姫)



第3〜7話より「川を流れる桃」



第8話より「亀」




第9話より「ウサギ」と「タヌキ」



第10話より「一寸法師」


そして原作「金太郎」より「金太郎」と「クマ」


ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
次回をお楽しみに♪


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