この小説に素敵な感想を送って下さったピザトーストさんにこの場を借りてお礼を言わせていただきます。
いや、ホントは昨日気付いて昨日のうちに投稿するつもりだったのですが、バイト明けで疲れており、精神的にもキテしまっていたのでできませんでした。
ピザトーストさん、ホントにありがとうございました。
そして本編なのですが、今回はガラリと雰囲気が変わり、シリアスな感じになっています。
そもそも僕の永遠のテーマである「善と悪」についての作品です。
一話で纏まらないので数話かけます。後書きは書きません。
それではどうぞ!
※追記
人肉食についてのシーンがあります。具体的な話しはしていませんが、そういう話が嫌いな方は桃太郎編を読み飛ばすことをおすすめします。並びに念のためにR15の警告タグをつけておきます。
鬼たちは激怒した。必ずかの邪知暴虐の太郎を取り除かねばならぬと決意した。
始まりは数日前、人里に下りて狩りをして帰ってきた一人の赤鬼が、本拠地である鬼ヶ島に傷だらけの体で帰ってきたことである。
その赤鬼曰く、人里でめぼしい人間を数人さらい、袋に詰めて帰ろうとした時、桃太郎と名乗る若い男の人間が刀を抜き、不意打ちで攻撃してきたと。
そしてその赤鬼は他の鬼達の必死の手当も虚しくその次の日にこの世を去ってしまった。
気さくで優しく、いい鬼だった。
それ故彼の友だった鬼たちは涙を流して彼の死を悲しんだ。
そもそも鬼達は好き好んで人肉を食べるわけではない。彼らは他のものを食べることが出来ないのだ。
昔、一匹の鬼が草を食らって生活しようとした。
その結果、力が出なくなり、最終的に彼は心臓を動かす力すら出なくなり、あっけなく死んでしまった。それも1週間だけで。
昔、別の鬼が人肉以外のありとあらゆる肉を喰らって生きようとした。
だが鬼の体にとって人間以外の生き物の肉は消化できないものだった。
彼は栄養が摂取できず、餓死した。
それらの例を見て鬼の中の科学者は結論付けた。
「鬼が生きていくためには人肉を食べなければならないのだ」と。
鬼たちにも理性があり、道徳がある。
だから本当は人間など殺したくない。
何故なら人間と自分たちとでは見た目以外に何ら違うところがないと分かっているのだから。
しかし生きていくためには仕方が無い。
人間だってそうだろう。自分たちが生きるためには豚を殺し、鶏を殺し、たまの贅沢に牛を殺してすべて食らう。
場合によっては自らを着飾るためだけに動物を殺す。
しかしそれは人間達には理解されない。
人間とは傲慢な生き物である。
自らは家畜を屠殺し、喰らって生きるが、いざ自分が喰われるとなると捕食者を殺すことも厭わない。
実に身勝手なことであるがこれが人間の、そして鬼の本質なのである。
そして鬼たちは無益な殺生は好まない。その証拠に彼らは人間を喰らう際、先に気絶させてから殺すし、内蔵どころか骨の一本まで残さずに食べる。
その上彼らは常に飢えている。何故なら自分たちが生きていくことが出来る最低限の量しか食べないからである。
それも彼らが人間を殺すことを好まないからである。
しかしそれも人間達には誤解される。
鬼たちは残虐で人間を骨までボリボリ貪るのだ、と。
そしてこれまでは両者のパワーバランスは鬼の方が大きく、しかし喰らわれる人間の数よりも生まれてくる人間の方が多かったため、人間は絶滅せず、均衡を保っていた。
そう、これまでは。
そこに現れたのが桃太郎。
彼は人里に下りた赤鬼に明確な憎しみを抱き、襲った。
これは鬼への明らかな宣戦布告である。
そして今、桃太郎が人里を出発し、鬼ヶ島に向かっているとの情報が入ってきた。
刀を携え、更に道中に手下を増やしながら進軍してきているらしい。
そして鬼たちは仲間の死と桃太郎の横暴に怒り狂っていたのだった。