ここ、トリステイン王国内の魔法学院から少し離れた草原は召喚の儀で賑わっていた。
ある者はカエルを、ある者は大きなモグラを、ある者は浮遊する目玉を、ある者は赤いサラマンダーを、ある者は青いドラゴンを。
そしてピンク色の髪をした彼女は人型の何物かを。
彼女は確かに宇宙の果ての何処かにいる神聖で気高く美しく強力な僕を望んだ。
そして彼女が召喚した人型の使い魔は。
全体的に白く、灰色の線や模様を持ち、金の装飾を見に付けた神聖な雰囲気を纏った戦士。
その姿はとてもじゃないが鎧を見に付けた人には見えない、果たしてそれは人か人外か。
召喚されてからピクリとも動かず、姿勢も崩さず正座している。
周りが騒ごうがヒソヒソと話そうがやはり動かない。
金の装飾がされ光を煌びやかに反射する装甲を胸と両肩両足につけてはいるが武器は見当たらず丸腰に見える。
貴族の証たるマント等は勿論、どう観察しようと人には見えないしその姿も身に纏っているというより体そのものに見えるのでゴーレムなのでは、と周りが考察し始めた頃。戦士を召喚した本人が山の如く動かないゴーレム(仮)に声をかけた。
「あんた、誰?」
「・・・・・・」
「やっぱりゴーレムかしら」
答えない。やはりゴーレムの類だろうか、一切動かないのは動力になるものが無いからだろう。しかしこれで亜人の可能性は消えただろう、万が一にもそういう姿の亜人である可能性はあったのだ。
一番最後に召喚を行ったピンク色の髪した
「コルベール先生、これはゴーレムでしょうか?」
「造形からして恐らくそうだろう、金も体に埋め込んであるようだ。」
ルイズとハゲ頭のコルベール先生の会話に反応する様子もない、ただの屍のようだ。事実動かない、息をしているようにも見えない。やっぱりゴーレムだ。
金を素材に使うなんてさぞ高価なゴーレムだろう、性能はどうだろうか。
しかし動く様子はない、これじゃ只の豪華な置物だ。
「ささミス・ヴァリエール、時間も迫っているから契約を」
そう言ってハゲ頭の教師が急かす。確かにルイズは一回の召喚で成功せず何度か挑戦した、そのため後ほんの数時間もすれば日も暮れそうだ。実際今も召喚できたのだからと帰り支度する者達がいる。ルイズは決断した、一切の反応がないゴーレムでも契約すれば留年または最悪の結果たる退学は回避できるし、契約を切っ掛けに動き出す可能性もあるのだ。無駄に豪華な置物でも役に立つ、本当は動物か幻獣が良かったのだが。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
そう唱え、ルイズは本来唇があるだろう位置にキスを贈った。