黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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101話 自由研究の時間

「殺せんせーの暗殺は続ける、けどそれと同時に、殺せんせーを助ける方法を探そう。そうすれば、地球が爆発するリスクは最大限小さくできる、殺せんせーへの恩返しも、そして暗殺も。」

 

その黒崎の提案に、皆は虚をつかれたような顔をした。なるほど。殺すと助ける、どちらかを考えた者はいても、両方を考えた者はいなかった。確かに、それなら最善を選べるかもしれない。

 

「いい考えじゃん。」

「賛成!暗殺もしたいけど、殺せんせーを助けたい!」

 

などと、口々に皆が賛成意見を述べる。

この案なら、上手くいくかもしれない。そういう希望が、皆の胸中にあった。

その案で、皆がまとまろうとしたその時。

 

「それで本当にいいの?」

 

その流れに異議を唱える者がいた。

渚だ。彼は真っ先に殺せんせーを助けようと主張していた。

 

「どうして、異議を唱える?」

黒崎は尋ねる。彼の案は両方の意見を汲んだ良案であると多くが思っていた。

それでも何故、渚は異議を唱えるのだろうか。

 

「だって、中途半端じゃない?どちらかに全力を注がないで、両方やろうってなると必ず無理があるよ。最悪どちらも失敗する。そうなった時、一つに集中しておくべきだったって必ず後悔するよ。二兎を追う者は一兎をも得ずって言うでしょ?

それでいいの?」

渚はそう疑問を呈す。なるほど彼の言うことにも一理ある。殺すと助ける、同時にやろうとすればそれぞれに割ける労力は低下する。

 

「そうはさせないさ。もしたとえ両方うまく行かなかったとしても、それは全力を尽くした上での結果に過ぎない。後悔はしないさ。

それとも、自分たちの能力と意志を信じられないか?」

 

「でも、2つを同時にやろうなんて無理があるよ。」

 

渚の意見はもっともだ。実際、それぞれの成功確率が下がることは間違いない。

さらに、カルマもこう発言した。

 

「俺らは2月に受験を控えてるってこと、忘れちゃいけないよ。」

 

……その言葉に、教室の皆が青ざめた。忘れていたのだ、受験を。都合の悪いものから目をそらしたくなる皆の気持ちが見て取れた。それは置いといて、確かに、助けることと殺すこと、同時にやり、さらに受験対策をするなど不可能に近い。

だから、俺は妥協案を示した。

 

「1月中は殺せんせーを助ける方法を全力で探す、そのあとはどんな結果であれ、暗殺に専念する。俺たち以外にも、殺せんせーを殺そうという動きがあるだろう。けれど誰あろう自分たちの手で殺したいだろう?その為にはどこかで区切りをつける必要がある。それにそれなら、負担は減るだろう。その分成功確率は減ってしまうが、全力で頑張ろう。それでいいか?」

 

「うーん……、そうだね。まあそこが落とし所かな。」

渚はしばらく考えたあと納得した。そして、皆もこの案に賛成してくれたようだ。

 

「あれだけの山場乗り越えたんだ、もうこのクラス全員の力を結集すれば、できないことなんてないような気がするぜ。正体のわかんねえマフィア相手に潜入して人質を奪還するより、タコの命を救う方がよっぽど簡単だろうしな。」

寺坂が呟く。彼の言うとおり、あの事件を通してクラスの結束は一段と深まった。

 

こうして、クラスの方針はまとまった。

「皆さんの意見を尊重した形ですねえ。クラスに不満や亀裂を残すことなく、また両方の希望を汲む素晴らしい案だと思いますよ。いやはや君達も成長しましたねえ。」

殺せんせーはその案を褒め称えた。

すると、教室に烏間先生が入ってきた。

 

「話は聞いた。防衛省としては、君たちの選択を尊重したい。その代わり条件があったが、どうやら言う必要はなかったらしいな。黒崎君が全て言ってくれたよ。君達の決めたやり方で構わない。後悔の無いよう全力を尽くしてくれ。」

 

「はい!!!」

 

烏間先生も黒崎の案を認め、その案は実行に移されることとなった。

思ったより皆がすんなり納得してくれたことで、黒崎は内心ほっとしていた。

(皆思うところはまだあるのかもしれない。それでも俺の考えに賛同してくれて、皆ありがとう。)

早速、殺せんせーを助ける方法を探さなければならない。ということで、作戦会議が始まった。

 

そんな様子を見ながら、烏間先生は呟く。

「毎回お前には脱帽させられる。生徒のピンチすら、分裂しかけたクラスの結束を深める好機に変えるとはな。」

 

「……あくまで結果論ですよ。黒崎君を皆で救出することを決めたときには、私はこうなると予想はしていましたが、それに応えてくれたのは誰あろう生徒達です。他の誰でもない、彼らの力です。私はほんのすこし、手助けをしただけですよ。」

 

そう、殺せんせーは、入院中の黒崎にこう言った。

 

「君が完全に回復したら、この事件は無事解決なんですが、E組にはまだ、解決してない問題がありますね?今なら、答えは出せますか?君達はこの事件をきっかけに結束を深めた。それによって、何か見えてくる物がありましたか?」

 

「見えてくる、物……」

黒崎はしばし考える。

 

「皆で協力すれば、どんなことだって乗り越えられる。その為にはクラスの意志を一つにすることができる、皆が納得できる答えが必要だ。だから、

殺せんせーを助ける方法を探しつつ、暗殺を続ける。それが俺の答えだ。」

殺せんせーは微笑んだ。それでいい、と言っているかのように。

 

黒崎を助けるという共通の目標に向かって、全力で挑み、彼らは成功した。事件が終わったときには、クラスの間に生まれたわだかまりは消えていた。

「集団で苦境を乗り越えた時、そこには大きな団結力が生まれる。当たり前のことですよ。ほら、生徒達を見ればわかるでしょう?」

 

皆はしっかり協力して、真剣に意見を交わし合いながら、殺せんせーを助ける方法を模索しているようだった。

 

「まず考えてみよう、本当に各国首脳は殺すことしか考えてないと思うかい?」

竹林が黒板の前で説明し、メガネをクイと上げる。

 

「最終目的は殺せんせーを殺すことじゃない、地球を救うことだ。なら、殺すだけじゃない、殺せんせーを生かしたまま爆発を防ぐことも考えているはずだ。だから暗殺計画と同時に、少しは助けるための研究もされているはずだ、そしてその研究は、殺せんせーが「死神」だった頃より進歩してるはずだ。」

 

竹林はそう語り、最後に皆に問いかけた。

 

「それを皆で探ってみないか?」

竹林の提案に息を呑む皆。しかし、そこで烏間先生がそれを否定した。

 

「おそらくそれは無理だ、このタコを作った研究組織は、月の爆発の責任を取らされ、先進国各国にそのデータと主導権を譲り渡した。今では、各国トップの研究機関が分担し、地球を救うプロジェクトチームを作っている。研究内容を君達が知るのは困難だ。」

 

と言ったそばから。

 

「プロジェクトのデータベースに侵入しました。」

「なんだと!」

 

さすがの烏間先生もこれには驚く。

 

「オンラインで繋がっているなら大抵侵入できます。この一年間、たっぷり機能拡張しましたから。」

 

律のディスプレイに表示されたデータを皆は駆け寄って確認する。

「すげえ、世界中でやってる研究項目とスケジュールが全部わかる!」

 

「ただ、具体的内容は機密保護が厳重すぎてわかりません。重要なプロジェクトの内容は専用のイントラネットを使ってやり取りされていますし、核心的項目に至ってはそれすら使われていない、おそらく手渡しで厳重にやり取りされているのでしょう。」

「で、肝心の助ける研究はやってるのかな???タイトルを見れば察しがつくね、

ほとんど殺すのばっかだな、助ける研究は……あった!これだ!

触手細胞の老化分裂に伴う破滅的連鎖の抑止に関する研究実験!

最終サンプルは1月25日、ISSより帰還予定!」

 

ISS、その言葉を聞いて皆が目を丸くする。

 

「国際宇宙ステーション!!!」

奥田は慌てながらもその疑問に答える。

「ありえます!たとえ爆発しても宇宙空間の方が被害が少ない上、

無重力状態じゃないとできない実験もありますし……」

 

だが、その研究結果は、E組には知らされないようだった。そんな中途半端な状況のまま暗殺を続けるのは満足のいくものではない。そう考えたE組生に、殺せんせーはある提案を出した……

 




更新速度が若干上がった。よきよき。
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