黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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やっぱ恋愛描写は下手だ。そう痛感しました。


9話 デート(?)の時間

「着いたね!」

 

「あ、ああ」

 

俺と茅野は今、駅前のカフェの前にいる。

 

茅野が助けてくれたお礼にと、俺を誘ったのだ。

 

何で俺なのかは分からないけど、誰かに感謝されるのは嬉しかった。

 

それに、カフェから漂う甘い匂いが心地よくて、

 

すぐに中に入りたいと思った。

 

だけど、男女二人きりの時に何をすれば良いんだ?

 

俺にとってそれは下手したら、いや確実に、椚ヶ丘中学のテストより難しい問題だ。

 

「それじゃあ入ろう!」

 

茅野は俺の手を引っ張って店に入る。それも楽しそうに。

 

そんなに楽しみにしていたのか。スイーツを食べる事。機会があったら何かプレゼントしようか。

 

「あ、ああ」

 

店に入って、二人掛けの席に座る。

 

ふと茅野を見ると、とても楽しそうにしていた。本当に無邪気な顔をしていた。

 

いつも演技じゃなくて、本当にこういう顔だったら良いのに。と思ったりもした。

 

そんなに楽しみだったのか、ここへ行くの。

 

そんな茅野を見ていると、何だか可愛く思えたのは内緒だ。

 

俺はチョコレートケーキを頼んだ。

 

「黒崎くん、チョコレートケーキが好きなの?」

 

「ああ、チョコの味がたまらないんだ。」

 

「そうなんだ。ふふ、意外だね。」

 

「意外?」

 

「だって、甘い物が好きってイメージじゃないもん。」

 

「そうか?」

 

そう思われていたとは。

 

茅野はプリンを頼んだ。

 

「やっぱりプリンか。」

 

茅野はプリンが大好きで、よく放課後に殺せんせーと一緒にプリンを食べている。

 

「プリンっていくらでも食べられるよね!」

 

「それは大げさなんじゃないか?」

 

「それでさ、黒崎くんに聞きたい事があるんだけど。」

 

「何?」

 

「どうして二度も私を助けてくれたの?」

 

「それは、…」

 

俺は少し考えた。

 

「一回目は自分でもわからない。気付いたら体が動いてた。

 

二回目は茅野を助けたいって思った。ただそれだけだった。」

 

それは俺の、飾りの無い純粋な気持ちだった。誰かを助けたい、と。自分でもらしく無いとは思ったが。

 

「そ、そうなんだ。あ、ありがとうね。」

 

心なしか茅野は照れているようにも見えた。

 

「このプリン、美味しい!」

 

「良かったな。」

 

「うん、いつか私も、こんなプリン作ってみたい。」

 

「それは楽しみだ。」

 

まさかそれが実現し、暗殺に使われるとは、夢にも思わなかった。この時は。

 

だが、それはしばらく後の話。

 

俺が頼んだチョコケーキも美味しかった。いい味だ。

 

「そういえばさー、明日転校生が来るらしいね。」

 

「ああ。烏間先生から一斉メールあった。」

 

「どんな人なんだろう。」

 

「写真見たけど、女子らしいね。それと、この時期に来るんだ。ただの転校生じゃなさそうだ。」

 

「そうだね。ひょっとして暗殺者とか?」

 

「あり得るな。」

 

そんなことを話していたら、俺も茅野も食べ終わったので、

 

「そろそろ帰るか。」

 

「まだ少しいようよ。もう少しこの時間を楽しみたいから、さ。」

 

「そうか、わかった。」

 

何故かは理解出来なかった。カフェに行くんだから食べて終わりじゃないの?

 

と思ったが、茅野の明るい顔を見たらそんなことは言えなかった。

 

そういえば、初めて出会った時の茅野の笑顔は、どこか偽物のような気がしたけど、

 

今の笑顔は、本物に見えた。それが良かった。

 

「じゃあ帰ろうか。」

 

「ああ。」

 

そして家に着くと、由夏が出迎えてくれた。

 

「お兄ちゃん嬉しそうな顔してるね。もしかしてデートでもしてきたの?」

 

「まさか。俺がそんな事すると思うか?」

 

あれをデートと呼ぶかは分からないが、とりあえずそう答えた。

 

デートしたなんて言ったら色々うるさそうだったのもある。

 

「まあね、お兄ちゃん付き合っても振られるタイプだからね。

 

女の子への気遣いが出来なさそうだしねー。」

 

グサッときた。だけど本当に気遣いが出来てなかったので、何も返せなかった。

 

けれど、今日は良い1日だった。本当にそう思った。

 

そういえば、女子と二人きりで出掛けるなんて、初めてだったな。

 

気遣いとか知らなくて当然じゃん。そう気付いたのは寝る直前だった。

 

俺はどこか抜けているようだ。

 

「まったく、由夏の奴ときたら…。」

 

ため息をつきながら俺は寝た。

 

 

 

 

 

***

 

「はぁ。」

 

帰り道、茅野はため息をついていた。

 

私を二度も守ってくれたのは本当に嬉しかった。けれど、心の奥には罪悪感があった。

 

私をただ守ろうとしてくれた彼の純粋な善意に対し、自分が嘘をついていることに。

 

そっと首元に手を当てる。そこには触手があり、決して茅野カエデが、いや雪村あかりが

 

引き返せない事を意味していた。

 

演じ切らなきゃ、完璧に。たとえみんなを騙す事になったとしても。

 

触手に魂を吸い取られ、地獄の業火に焼かれようとも。たとえいかなる犠牲を払ってでも。

 

たった一人の、最愛の姉を殺したあの怪物の息の根を止めるその時までは。

 

「お姉ちゃん。」

 

時々虚しくなる。復讐を果たしても、自分をあんなに大切にしてくれた姉は帰ってこない。

 

でも、これがせめてもの姉へのはなむけ。だから、私は復讐する。

 

彼女はそう決意した。

 

けれど、彼女の迷いは、次第に無視できないほど大きくなってゆくのだった。

 

そしてそれは、復讐に大きな影響を与える…

 

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