黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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15話 球技大会の時間 前編

それはイトナが来てから少し経ってからの話。

 

「ようやく梅雨明けだね。」

 

「ああ、外で何か遊びたい季節だな!」

 

「じゃあ釣りしようよー。誰が一番多く釣ったか競争ねー。」

 

「おいカルマ、それって…」

 

「どうせ、誰が多くヤンキー釣って金巻き上げるかとでも言いたいんだろ?」

 

「黒崎は察しがいいねー。」

 

そんな会話をしていた中、ふと野球場を見ると、野球部が練習していた。

 

中でも目立つのは左の豪速球を投げるピッチャー。確かB組の進藤といったか。

 

すると…

 

「よう!杉野じゃねーか!久しぶりだな。」

 

「う、うん。」

 

こちらに気付いた進藤達野球部員が杉野に声を掛けた。

 

「杉野!たまには顔出せよな。」

 

「はは、ちょっとバツ悪いよ。」

 

そうか、あいつも野球やっていたな。

 

「来週の球技大会投げるんだろ?」

 

「たぶんね。」

 

「楽しみにしてるぜ。」

 

「しかし、良いよな杉野。部活もないしE組だし。俺ら勉強も部活も忙しくてヘトヘトでさあ。」

 

「よせ、傷付くだろ。進学校での勉強と部活の両立。選ばれた人間じゃなければしなくて良い事さ。」

 

馬鹿にするように彼らはそういう。そうか、所詮は本校舎の人間。結局はE組を見下しているのか。

 

これも理事長の教育の結果だな。

 

「へー、まるで自分が選ばれし者みたいな言い方だね。」

 

「よほど自分に自信があるようだな。」

 

俺とカルマがそう言うと進藤は自信満々の顔でこう言った。

 

「ああそうだよ。来週の球技大会。そこで教えてやる。選ばれし者とそうで無いものの差を。」

 

・・・

 

さて、E組では球技大会の話をしている。

 

「スポーツで心身を鍛える、大いに結構!

 

ですが、トーナメントにE組がありませんよ。」

 

「いつものやつ。俺らだけ男子は野球部、女子はバスケ部と対戦。良い見せしめさ。負けた組の

 

ストレス発散になるし、本戦に出られない部員の活躍の機会にもなる。」

 

つまりはE組を生贄とした見せしめの大会。

 

すると片岡が声をかける。

 

「心配しないで殺せんせー。暗殺で基礎体力付いてるし。良い試合で全校生徒を盛り下げよう!」

 

「おおー!」

 

片岡は頼りになるなこういう時。スポーツは勝つだけじゃない。負け方も重要だ。さて男子は…

 

「俺ら晒し者とか勘弁だわ。お前らでやってくれ。」

 

寺坂、吉田、村松は出て行った。

 

「で、どうする?野球となれば頼れるのは杉野だけど?勝つ秘策あるの?」

 

「無理だよ。3年間野球やってきたあいつらと、ほとんど未経験のE組。勝負にならねー。」

 

「俺は野球やったことあるぜ。小学5,6年くらいだけどな。」

 

「おお!頼りになるな黒崎。てかお前本当に何でも出来るな。」

 

「けどよ、かなり強いんだうちの野球部。主将の進藤。豪速球で高校からも注目されてる。

 

俺からエースの座を奪った奴だけどさ。

 

けれど、勝ちたい。このE組で。善戦じゃなくて勝ちたいんだ。好きな野球で負けたくない。

 

と言っても、無理なもんは無理か。」

 

杉野は熱く語る。そこから勝ちたいという強い思いが見える。

 

「杉野君良いでしょう。勝たせるために先生も全力を尽くします。

 

先生一度スポ根物の熱血コーチやってみたかったんです。

 

あ、殴れないのでちゃぶ台返しで代用します。」

 

何だそれは、というか用意よすぎるだろう。毎回。

 

「用意いいな!」

 

「最近君達は目的意識をはっきり口に出すようになりました。どんな困難な目標に対しても。

 

勝ちたい、殺りたいと。その心意気に、先生もしっかり応えましょう。」

 

こうして、殺監督による練習が始まったのであった。

 

そして試合当日。

 

「おーっとホームラン。野球トーナメントはA組の優勝!」

 

「全く、ただでさえ勉強で負けてるのに、スポーツで負けたら良いところねえよ。」

 

「それいったらおしまいさ。あれ見て忘れよう。俺達よりも下の奴らが惨めにやられる姿を。」

 

モブ二人、相変わらずのモブっぷりだ。他者を見下すことでしか自分の価値を見出せない、愚かなやつだ。

 

それに

 

「さあ最後はエキシビションマッチ。野球部対E組だ!」

 

「杉野。勉強もスポーツも一流の選ばれた人間が人の上に立てる。

 

お前はどちらも恵まれなかった。選ばれざる人間は表舞台にいてはいけない。

 

二度と表を歩けなくしてやるよ。」

 

「そーいや殺せんせーは?」

 

「遠近法で擬態してる。顔でサイン出すってさ。」

 

そんなのアリか?まあいいだろう。

 

「そんで、なんてサイン?」

 

「えーと、『殺す気で勝て』ってさ。」

 

「そうだな、俺らにはもっとでかいターゲットがいる。あいつらくらい勝たないと。

 

よっしゃやるか!」

 

磯貝が声を掛ける。

 

「おう!」

 

そして試合は始まった。

 

しかし、

 

「おーっとE組木村!進藤君の豪速球に棒立ちだ。バットくらい振らないとカッコ悪いぞ!」

 

木村は最初、なす術もない。しかしここからが俺達の作戦だ。

 

「フン、一回表3人で終わらせて、その後10点取ってコールド勝ちさ。」

 

野球部の監督がそう言う。だがそう上手く行くかな?

 

ワン、ツー、スリー。殺監督のサインだ。

 

「りょーかい。」

 

進藤が投げた。すると木村は…

 

「バントだ!良いところに転がしたぞ!守備どこが取るかで一瞬迷った!

 

セーフ!ノーアウト一塁だ!」

 

E組一の木村の俊足なら意表をつけば軽々セーフだな。

 

バント処理は流石にプロ程上手くいかないようだ。まあ所詮は中学生といったところか。

 

「2番バッター潮田君。」

 

次は渚、これもバント成功。

 

「今度は三塁に強いバント!サード捕れない。何とランナーが一、二塁!」

 

あれ、渚の身体能力って女子並みだろ?なんで出来るんだ?

 

まあマンガだからだけどね。

 

「進藤クラスの豪速球をバントで適切な位置に転がすのは至難の技だぞ。」

 

向こうの監督も唖然としている。

 

だが、

 

「フン、こちとらマッハ20と練習してるんだ。」

 

練習風景を思い出す。

 

「殺投手は300kの球を投げる!殺内野手は分身で完璧守備!殺捕手は囁き戦術で集中を乱す!」

 

殺せんせーのマッハ野球。恐ろしいほど鍛えられた。特に動体視力が。

 

皆ヘトヘトになった。そこで、

 

「みなさん、そろそろ先生のスピードにも慣れたでしょう。

 

そこで今度は対戦相手の練習です。先生が進藤君と同じフォームで飛び切り遅く投げます。

 

きっと彼の球が止まって見えるでしょう。」

 

そう、完全に対野球部の対策を続けたのだ。

 

そして3番の磯貝もバント成功。

 

ランナー満塁。迎えたバッターは杉野!

 

「何なんだよこいつら。獲物を狙うようなこの目。俺らが今やってるのは、野球なのか?」

 

進藤は違和感を隠せなかった。これは野球なのか?ずっと彼の脳裏にその疑問が残る。

 

「進藤。確かに武力ではお前に敵わない。けれど、狙い澄ました弱者の一刺しで、

 

強大な武力を仕留めることも出来る。」

 

杉野が強い決意と共に打つ!

 

「打った!走者一掃のスリーベース!E組3点先制!」

 

「俺は今E組と、そういう勉強やってんだ!」

 

E組が先制3点。観客も驚いている。

 

「嘘だろ、何なんだこの展開。こんなはずが…」

 

監督も動揺し青ざめている。こんな展開予想だにしなかっただろうな。

 

すると、後ろから、

 

「顔色が優れませんね寺井先生。具合でも悪いのですか?ならばすぐ休んだほうがいい。」

 

「いや、この通り私は健康」

 

「病気で良かった。でなければ、こんな醜態を晒すような指導者が、私の学校にいるはずがない。

 

なあに。ちょっと教育を施すだけですよ。」

 

そして監督の熱を測りこういう。

 

「ああやはり酷い熱だ。誰か寺井先生を医務室へ運んでください。」

 

声も出ず泡を吹く寺井。

 

理事長が現れる。

 

一回表からラスボス降臨か。

 

さあ、どうするE組。




テスト期間になるので、テストが終わる1週間後まで更新は出来ないと思います。
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