場所は理事長室。そこには浅野親子がいた。
まずは浅野が話を切り出す。
「貴方の御意向通り、A組の成績の底上げに着手しました。これでご満足でしょうか。」
「浅野君、必要なのは結果だよ。結果の伴わない報告に意味はない。
そうだな、A組全員でトップ50に入り、各教科で1位を独占する。この辺りが合格ラインだ。」
すると浅野はボールを蹴りながらこう返す。
「E組は他を上回ってはならない。貴方のその理念は分かります。が、何故そこまで拘るか分かりません。
確かに、彼らの成績は上がっています。が所詮限界がある。 僕らに及ぶとは到底思えません。」
「私が君に教えたいのはそこだよ、浅野君。弱者と強者の立場は、時にいとも容易く逆転する。
強者の座を維持し続ける。これこそが最も難しい事なのだよ。」
「分かりました理事長。僕の力でその条件、クリアさせてあげましょう。
そしたら、生徒ではなく、息子として一つおねだりしたいのですが。」
「おねだり?今更父親に甘えたいとでも?」
「いえいえー、僕はただ、知りたいのです。E組の事で、何か隠していませんか?」
そう言ってボールを強くシュートする。
しかし理事長はそれを受け止める。
「どうもそんな気がしてならない。貴方のE組への介入は、今年度に入っていささか度が過ぎている。
まさかと思いますが、教育以外に、何かヤバい事に手を出してらっしゃるとか。不審者の噂もありますしねえ。
空飛ぶ黄色い巨大タコを見たとか、コンビニスイーツを買い占める黒ずくめの巨大な男とか。
Gカップ女子の背後でヌルフフフと笑う黄色い影とか。ま、これらは根も葉もないデマでしょうが。 」
「知ってどうする?それをネタに私を脅迫する気かい?」
「当然でしょう。すべて支配しろと仰ったのは、貴方ですよ。」
「さすが、最も長く教えてきた生徒だ。」
「ハハッ、首輪付けて飼ってあげますよ。一生ね。」
「奇遇だね、私も君を、社畜として飼い慣らそうと思っていた所だよ。」
「「フハハハハッ」」
そう高笑いする二人を囲む窓ガラスにはヒビが入っていた。
場所は変わり図書室。
「ここの文章はだな…、主人公の心情がここに表れている。だから答えは…」
俺は渚、茅野、磯貝、中村、奥田さんと神崎さんと一緒に勉強会をしていた。
理科や数学なんかは教えてもらうと助かる一方、国語は俺が一番だ。
「ありがとうございます!」
「じゃあ俺は飲み物買ってくる。」
そう言って俺は自販機に向かった。
すると自販機に一人の男がいた。
「よっ、黒崎。」
「お前か。三山。」
こいつの名は三山蒼助。俺の2年の時のクラスメイトで、俺が一番仲の良かった奴だ。
こいつと遊んだ時は退屈だったA組の暮らしで唯一退屈じゃなかった。
「全く、驚いたぜ、お前が暴力沙汰でE組に落ちるなんてよ。あれから寂しいんだぜ。」
「俺がどこに居ようがお前とは関係ないだろ。」
「相変わらず冷たいな、ハハッ。んで?何しに来たの?本校舎に来るなんて。」
「ああ、図書室の使用許可券取ってたから、皆で勉強会してたのさ。
お前こそどうなんだ?期末テスト。」
「あはー、結構ヤバいかもなー、俺A組でも下の方だし。前回30位。まあ今回は頑張らねーとな。」
「俺より下じゃないか。そういえばA組は勉強会を開いているらしいが…」
「あああれね、俺面倒だからサボってるよ。それにあんま五英傑好きじゃないから。
てか何で知ってんの?」
「いやちょっとな。まあお互い頑張ろう。」
「そうだな、どうせお前には敵わねーけど。それにしてもよ、黒崎が一緒に勉強会なんて珍しいな。
お前なんか変わったか?」
「ああ、E組の方がA組よりずっと楽しい。」
「ふーん、良かったじゃん、じゃあなー。」
そう言って別れを告げた。
飲み物を買って図書室に戻ると何やら騒がしかった。何があったのかと訊くとこういう事らしい。
***
「おやおや、E組の皆さんじゃないですか。君達にこの図書室は、豚に真珠じゃないのかい?」
「雑魚ども。ここは俺らの席だ。とっとと出てけよ。」
「何よ、勉強の邪魔しないで!」
と茅野が言うが茅野が見ていた本は、世界のプリン大百科とかいう本だ。
「茅野…、本。」
説得力がない。
「ここは俺達が、ちゃんと予約して取った席だぞ!」
「そーそう、クーラー付きの部屋で勉強とか久々でチョー天国ー。」
「忘れたのか、この学校では成績の悪いE組はA組に逆らえない事。」
すると、
「さ、逆らえます、私達、次のテストで各教科1位を目指してます!
もしとったら、大きい顔なんてさせませんから!」
奥田さんが反論した。彼女があんな風に言うのは珍しいな。
「腐すばかりでは見逃すよ、ご覧、どんな掃き溜めにも鶴がいる。
成績さえ高ければ僕と釣り合う容姿なのに。」
「神崎さん、男運無さすぎ。」
気の毒に、杉野も呼んでおけば良かったかな。
「いや待てよ」
小山が考える。
「こいつら中間テストでは…
神崎有希子 国語23位
中村莉桜 英語11位
磯貝悠馬 社会14位
奥田愛美 理科17位
成る程な、一概に学力ナシとは言えないな、1教科だけなら。」
俺が飲み物を買いに行かなければそんな馬鹿にはされなかったのに。残念だった。
すると荒木が提案した。
「じゃあ、こういうのはどうかな?A組とE組、各教科でトップを多く取ったほうが、
負けた方に命令出来る。ってのは。」
賭けるつもりか、テストの結果で。
「どうした臆したか?俺たちなら…
命賭けても構わないぜ?」
その言葉を聴くと同時に皆が一斉に攻撃(寸止め)する。
「命はそう簡単に賭けない方が良いと思うよ。」
すると
「上等だよ、受けんだなこの勝負!」
「死ぬよりキビシイ命令出してやる!」
「逃げるんじゃないぞ。」
「後悔するぞ!」
いかにも小物くさく去って行ったそうだ。当然この騒ぎは、学校中に知れ渡った。
***
場所はA組の教室。
「悪い浅野。くだらん賭けだとは思ったが、あいつら生意気なもんで…」
「ま、良いんじゃないかな。その方が緊張感が出て。
でも、後でゴネられても面倒だし、ルールは明確にしておこう。こちらが下せる命令は一つだけ。
内容は、テスト終了後に発表する。」
「一つか、ちと物足りないな。」
「で、こちら側の命令は?」
すると浅野は物凄いスピードでタイピングし、画面を見せた。
「この協定書に同意する、その一つだけ。」
その中にはA組がE組をこき使える奴隷扱いの内容だった。
「全50項目にわたり、彼らE組がA組に従属を誓う。
その代わり、僕らA組は彼らに正しい生徒像を教える。両者WINーWINの地位協定さ。」
「キシャシャシャシャ、一つと言いつつ奴隷扱いの50項目か。」
「これ全部今一瞬で閃いたのかい?恐ろしい奴さ。」
「ていうか、これ人権侵害にあたらないのかい?」
「恐ろしい?とんでもない。生徒同士の私的自治に収まる範囲内さ。
民法はあらかた収めてあるから大丈夫。その気になれば、人間を壊す契約だって…」
そして浅野は立ち上がりこう宣言した。
「皆、これを通して僕が言いたいのは、やる以上真剣勝負だって事だ。
どんな相手にでも、本気を出して向き合う。それが、僕たちA組の義務なんだから!」
「おおーっ!」
クラスが湧き上がる。
「こいつが皆をまとめる言葉は綺麗事だ。皆、それを承知であいつについて行く。
彼の偽善の先の勝利を信じて。まさにエースのA組絶対的エース、浅野学秀。
奴に勝る生徒はここにはいない。」
***
「コラカルマ君!真面目に勉強なさい!君なら総合トップ狙えるでしょう、」
「大丈夫、言われなくてもちゃんと取るつもりだよ。でもさ殺せんせー。
あんた最近トップトップって、普通の教師みたいでつまらないよ。」
「さて、賭けの戦利品ですが、こんなのはどうでしょうか。」
「おおーっ!」
「君たちは一度どん底を経験しました。だからこそ次はトップ争いを経験して欲しいのです。」
そして職員室では
「浅野君がA組とE組の対決ムードを盛り上げています。
これを我が校の偏差値向上につなげない手はありません。
問題の難易度も上昇を期待しますよ。」
「御安心を理事長先生、我が校の英知を結集したこの問題、A組ですら解くのは至難かと。
そう、これは問題ではなく問スター!」
「大いに結構、期待しています。」
(数々の過激な項目に紛れ込ませて地味な項目、
「E組の生徒の隠し事を禁じる」
僕の真の狙いはこれだ。理事長、貴方が隠蔽する重大な何か、これを元にE組生徒を揺さぶれば、
貴方の弱みを握り、支配する。なにせ理事長、僕は貴方の息子ですから!)
【それぞれの利害が交錯する期末テスト!
ある者にとっての勝利は別の者にとっての敗北である!
それぞれが自らの勝利を求め、やってきた試験当日!】
「どう渚、調子はどう?」
中村が訊く。
「うん、ヤマが当たれば大丈夫ってとこかな。」
「男ならシャンとせい!さて、アタシら一番乗り〜。ってええ〜!」
そこには一人の女子が。誰?
「律役だ、人工知能の参加は認められないからな。事情説明の際、こいつも大変だという
憐れみの目を理事長から向けられた俺の気持ちが分かるか?」
本当に、苦労人だな…
「頭が下がります!」
何はともあれ、
黒い陰謀と真っ直ぐな殺意入り混じる期末テスト、開幕。
新オリキャラ、三山登場。彼は今後も登場します。
後々プロフィール載せますかね。
ちなみに【】の中のナレーションは進藤がやってます。