黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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ようやくオリジナルストーリーは終了。
こっからは原作通り。


35話 黒幕の時間

「もうやめて!」

 

そう叫んだ1人の少女、それは茅野だった。

 

「茅野…?」

 

(復讐の為に全てを犠牲にしないで…

 

黒崎君は私みたいに…地獄の苦しみに耐える必要なんてない…)

 

「黒崎君、駄目だよ…そんな事したら、もう元には戻れない

 

そこまでして…こんな男の為に、自分を犠牲にするつもり?」

 

「違う…、人を殺したからって何だ!ここは暗殺者の集団…何が悪い…!」

 

「違います黒崎君!殺して良いのは先生だけです!

 

超生物を殺すのと人を殺すのでは…重みが違います!」

 

殺せんせーが叫ぶ。

 

「地球を滅ぼす奴を殺す方が重いだろう?それに何でだ…!何故こんな奴を庇う?

 

こいつは、茅野を、人質に取った!手を出そうとまでしたんだぞ!」

 

「そんな事は関係ないよ。ただ、黒崎君には、重圧を背負わせたくないの。

 

人を殺したなんて…ね。それに黒崎君、その男を殺した後で、みんなと一緒に過ごせる?」

 

この時の茅野の言葉は紛れもないは本心だった。家族を殺した相手に復讐を果たしたい。

 

その気持ちは一番よく分かっていた。ただその為に失う物も理解していた。

 

過去の自分を捨て、全く違う名前と姿で、地獄の苦しみに耐えながら過ごす生活。

 

(そんな思いをするのは…私だけで十分。)

 

「分からない…目の前に両親を殺した相手がいる…なのに…

 

俺は…どうすれば良いんだ…。」

 

黒崎の手が震える。黒崎が、こんなにも他人に弱さを見せるのは、初めてだった。

 

「何もかも1人で抱え込む必要はありません。黒崎君、君には27人の仲間がいる。

 

辛い事もあるでしょう、そんな時は皆に相談して、悩みを打ち明ければ良いんです。

 

だから黒崎君。よく考えて…刃を収めて下さい。」

 

「ああ、わかった。そう…するよ。」

 

そう言って黒崎は倒れた。

 

「黒崎!」

 

皆が駆け寄る。

 

「さっき言ったゾーン状態の弱点。それは体力の消耗の激しさ。

 

限界を超えた力を出すのだから、当然身体の負担も大きい。加えて使う前から戦闘をしていた。

 

今まで持ったのが奇跡なくらいです。」

 

「とにかく、彼の傷の応急処置をしたら、急いで行くぞ。」

 

そして黒崎の傷は手当てされ、消毒の後包帯が巻かれた。

 

*****

 

階段を登ると、また見張りがいたが、烏間先生は瞬殺で倒す。

 

「ふうう…大分身体が動くようになってきた。まだ力半分といった所だがな。」

 

と言っているが…

 

「力半分で俺らの倍強い…」

 

「あの人1人で侵入った方が良かったんじゃないの?」

 

すると律の声がする。

 

「皆さん、最上階のパソコン部屋に侵入出来ました!中の様子が確認できます。

 

最上階エリアは一室貸し切り。確認する限り残るのは…この男ただ1人です。」

 

中には1人の男がいた。

 

「こいつが…黒幕か。」

 

「モニターに映ってんのウイルスにかかった皆じゃねーか。俺らが苦しんでるの見て楽しんでやがる。

 

サイコパス野郎が。」

 

寺坂は嫌悪感を露わにし吐き捨てた。

 

「皆さん、あのボスについて分かってきた事が有ります。まず、敵は殺し屋ではない。

 

殺し屋の使い方を間違えてます。元々は先生を殺す為に雇った殺し屋。

 

ですが先生がこんな形になったので、見張りと防衛に回したのでしょう。

 

でも、それは本来の能力ではない。彼等の能力は、フルに発揮されれば恐ろしいです。

 

先ほどの射撃、数と戦略で勝ちましたが、あの殺し屋、狙った的は一度も外さなかった。

 

それにカルマ君だって、日常で忍び寄られたらあの握力に瞬殺されていた。」

 

そう、見張りや防衛という殺し屋とは違う領域の仕事で、フルに実力が発揮できなかったからこそ勝てた。

 

暗殺という本来の任務なら必ず殺されていた。

 

「そうだ、俺だって…相手が正面戦闘専門じゃ無かったから勝てたんだ。

 

きっと本来の実力を発揮されたらかなわなかったな。」

 

黒崎が言う、その通り、ヴァンパイアとて本来の任務なら黒崎を殺すくらい容易かった筈。

 

「さあ時間がない、敵も警戒を強めている。急いで行くぞ。個々の役割は…」

 

その時、寺坂は足が震え、汗をかいていた。

 

「寺坂君、すごい熱。まさかウイルス…。」

 

「黙ってろ渚、ここで迷惑かける訳にはいかねーんだよ。俺のせいで烏間先生は毒ガス浴びた。

 

以前にもクラスの皆殺しかけた。だからな。」

 

そしていよいよ最上階へ着く。

 

(最上階の部屋に入るためのカードキー。窓からの侵入も考えていたが、

 

9階の見張りが持っていた。おそらく本気では警戒をしなかったんだろう。

 

部屋の中は遮蔽物が多い。気配を消せば近くまで接近できる。

 

やり方は体育の授業で教えたはずだ。)

 

(おお、ナンバ!手と足を同時に出して音を消す歩行法!衣摺れなどの余分な音を消す為ですね。

 

どうりで最近は物音を立てる暗殺が減っていた。

 

どんな危機的状況でも、決して焦らず悲観せず落ち着いて行動する。全員が私の自慢の生徒です!

だからこそ、目の前の敵に屈してはいけませんよ。)

 

そこには男が座っていた。

 

(奴の近くの配線付きのスーツケース。あれが治療薬だ。

 

配線の仕掛けはプラスチック爆弾、手元のリモコンは起爆装置といった所だろう。

 

何故言い切れるか?同じ物を作った事があるからだ。

 

可能な限り接近し、取り押さえられればベスト。出来なかった場合は、俺の責任で本人を撃つ。

 

それと同時に、皆で一斉に取り押える。)

 

男に近づく皆、心臓が脈を打ち緊張は高まる。

 

(苦しんでる皆の前で謝らせる!)

 

(今だ!)

 

皆が飛び掛ろうとする。すると…

 

「かゆい」

 

男が呟く。

 

「思い出すとかゆくなる。そのせいで頬を掻きむしって傷口が出来る。

 

でもそのせいかな。傷口が空気に触れ感覚が鋭敏になるんだ。」

 

そう言ってリモコンをばら撒く男。

 

「言っただろう?マッハ20の怪物を相手するつもりだったんだ。

 

予備くらい用意してあるさ。うっかり俺が倒れこんでも押すくらいにな。」

 

(聞き覚えがある声だった。しかも、前よりずっと邪気を孕んで。)

 

「連絡がつかなくなったのは、殺し屋だけじゃない。俺の身内にもいた。

 

暗殺の費用をごっそり盗んで。どういうつもりだ、鷹岡!」

 

そこにいたのは鷹岡だった。恐ろしいほどの狂気に包まれて、邪悪そのものにも見えた。

 

「悪い子だ。恩師に会うのに裏口から来る、父ちゃんそんな子に育てた覚えは無いぞ?

 

仕方ない。夏休みの補習をしてやろう。」

 

狂った笑みを浮かべてそう言った鷹岡。濁り、歪んだその眼光、傷だらけの顔。

 

黒幕、鷹岡。動く。

 

一方その頃

 

ヴァンパイアは精神崩壊寸前まで追い詰められていた。

 

「うわあああ!こ、殺すなあ!」

 

黒崎の手により精神崩壊寸前までトラウマを植え付けられたヴァンパイア。

 

もはやその姿は哀れで無残な物だった。

 

すると声がする。1人の男がやってきたようだ。

 

「全く、不甲斐ない物だね。1人の中学生如きにやられるとは。

 

ヴァンパイア。ターゲットの血を啜るかのようにいたぶり尽くす事でそう呼ばれた男が。」

 

「お前は…誰だ?」

 

「私が誰かなんて、どうでも良い事だ。1つだけ言っておく事があるとすれば…

 

『黒崎翔太を潰そうとする者』だ。どうだい?君もこの屈辱、晴らしてやりたいだろう?

 

私に協力すれば、その願いかなえよう。」

 

そう言った男は仮面を被り、黒いマントに身を包まれ、素顔を隠していた。

 

もう1人の黒幕…ついに動く




最後の男、何者なのか、そして何故黒崎を潰そうとするのか、謎は深まるばかり。
そしてついに正体を現した鷹岡。ウイルスで皆を苦しませ…狂っている!
次回 鷹岡の時間!
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