「それでは皆さん、旅行の続きを楽しみましょう。」
殺せんせーがそう言う、しかし…
「でももう夜だし、明日の朝には帰っちゃうよ。」
「なんか1日損した気分。」
明日が最終日なのでもう時間がない。何をするんだ?
「大丈夫、昨日の暗殺のお返しに、この夏にふさわしいビックイベントを用意しています。
それが、暗殺肝試し!」
「暗殺…肝試し?」
皆が問う。
「ええ、先生がお化け役を務めます。久々に分身でたっぷり動きますよお。
もちろん先生は殺してもOK。暗殺旅行の締め括りにはぴったりです。」
「面白そうじゃん、昨日の夜動けなかった分憂さ晴らしだ!」
「えー、でも怖いのやだなあ。」
「へーきへーき、」
皆楽しそうにしている。
しかし、殺せんせーの真の目的、それは、「カップル成立」であった。
(場所はこの島の海底洞窟、300m先の出口まで、男女ペアで抜けて下さい。)
俺は茅野と一緒になった。
そして肝試しが始まる。
「黒崎くんは、こういうの苦手…じゃなさそうだよね、いかにも。」
「いかにもって何だ…まあそうだな、俺はこんな物恐れない。むしろ逆にお化けをビビらせたいくらいだ。」
「ははは…」
俺はブレない。こういう性格だしな。
するとコスプレをした殺せんせーが。
「ひゃっ!」
茅野が驚いて俺の腕をつかむ。
「大丈夫か?」
「う、うん…。ごめんね。」
「ここは血塗られた悲劇の洞窟。琉球で戦いに敗れた落ち武者達が非業の死を遂げた場所です。
決して2人離れぬよう。離れれば落ち武者達に魂を奪われます。」
「意外と本格的なんだな。」
「うん、早く抜けよう。」
「ああ、次のペアへの語りがいかにもリアルだ。」
(ヌルフフフ、君達は本当に強くなった。けれど、まだ足りない物がある。
それは恋愛!夏頃にはカップルが誕生していると踏んだのに、
君達ときたら暗殺に夢中でてんで浮いた話が無い!
ここは一つ、吊り橋効果で2人の背中を押さねば!それを元に実録恋愛小説を書くのです。)
次のペアは杉野&神崎だ。
「うん、やっぱり少し怖いね杉野君。」
「大丈夫、俺に任せて神崎さん!」
(話を聞く限り、古代琉球の落ち武者で脅す気だろうがビビらない準備は万端!
ここは神崎さんに良いとこ見せなきゃ!)
純粋な男である。杉野。
「ここは琉球伝統カップルベンチ。ここで1分間座れば呪いの扉が開きます。」
「…」
(うーん、なんか、思ってたのと違うぞ?)
「さあもっと会話を弾ませて!」
次
「血が見たい、血を見なければ収まらぬこの同胞を殺された恨み…」
障子の陰に落ち武者風殺せんせーが。
「血もしくはイチャイチャするカップルが見たい。どっちか見れればわし満足。」
「安い恨みだなおい!」
そしてカルマ&奥田ペア
「怖くないのが、怖い?」
奥田さんはカルマの言葉に疑問を覚える。
「そ、俺さあ渚君みて驚いた。鷹岡を倒した事じゃなくて、その後だよ。
全然怖くないんだ。普通に、平然と帰ってきた。強い所見せた奴って、普通ちょっとは警戒されるんだよ。
黒崎みたいに。黒崎がヴァンパイア倒した時なんか、怖くて最初誰も近付こうとしなかった。
あれも衝撃受けたけど、渚君は、何事もなかったように皆に馴染んで、
目立つの苦手だからちょっと照れくさそうに。
喧嘩したら絶対勝てるけど、殺し屋に取ってそんなの関係ない。」
「…」
奥田さんはカルマの言葉に驚いている。クラスでもおそらく1番の強さを誇るカルマが、
渚に警戒心を抱いている。
「でも負けないよ、先生を殺すのは渚君でも黒崎でもない、この俺だよ。」
「はい!誰が殺すか、楽しみにしています!」
「ていうかさ、殺せんせー怖がらせてなんかくだらねー事考えてるみたいだけど、
E組で一番怖がりなの誰だっけ?」
そこには、「琉球名物、ツイスターゲーム」の看板が。
「なかなかカップル成立しませんねえ。次こそは…
ここは血塗られた悲劇のってぎゃああああ!」
殺せんせーが見たのは白い肌で縮れっ毛の幽霊そのものの女。
ではなくメイクをした狭間。
「化け物出た〜!」
「子供の頃から夜道で会うと怖がられてたわ。ついたあだ名がミス肝試し日本代表。」
「おう、お前が楽しいんならそれで良いけどよ。」
(はわわわ、何ですか今のは、まさか…本物の琉球のガチ霊?)
案の定オカルトに弱い殺せんせー。
「ぎゃあ目がない!」
千葉をみてビビる殺せんせー。
「何今の?」
「勝手にビビってるようだな殺せんせー。あるわ目ぐらい。」
「ひいい日本人形!」
神崎さんを見てビビる殺せんせー。
「ひーっ!なんかヌルヌルするー!」
自分で仕掛けたコンニャクにビビる。アホ過ぎる。
そして肝試しが終わり、詰め寄られる殺せんせー。
「要するに、吊り橋効果でカップル成立を狙ってたと。
結果を急ぎすぎ。何で怖がらす前にくっつけようとすんの?」
「だって、手つないで照れてイチャイチャする2人とか見たかったんだもん!」
泣き切れするなゲス教師。気持ち悪い。自業自得だ。
「殺せんせー、そういうのはほっといてあげなよ、ウチらぐらいだと、
色恋沙汰突っつかれるの嫌な子も多いしさ。皆が皆ゲスいわけじゃないんだし。」
かなりゲスい中村が言ってどうする。
「何よ、結局誰もいないじゃない!怖がって歩いて損したわ!」
「だから言ったろ。徹夜明けにはいいお荷物だ。」
「何よ、こんな美女がいるんだから優しくエスコートしなさいよ!…stupid!」
烏間先生の腕を掴みながら歩いていたビッチ先生。
「ねえ、前々から思ってたけどこの2人、」
「ああ、くっつけちゃいますか。」
結局、皆ゲスかった。 さっきの中村の言葉は何処へやら…
(烏間ったら、私の表情を見もしない。鈍感にもほどがあるわ。)
そう悩むビッチ先生。そして彼女をつつく殺せんせー。その後頭部には、「カップル成立」の文字が。
そして相談を始めるE組。
「意外だよな〜。あんだけ男を自由自在に操れるのに、自分の恋愛にはてんで奥手なのね。」
「仕方ないじゃない!あいつの堅物っぷりたら世界王者クラスよ!
私だってプライドはあるわ。ムキになって落とそうとする内に、こっちが…」
そう言って頬を染めるビッチ先生。
「不覚にも、なんか可愛いと思っちまった。」「なんか屈辱。」
「何でよ!」
「いいか、あれはビッチでは無い。ビッチの姿形をした純粋な少女なのだ。」
「何言ってんのよ黒崎!」
いやあ、あんな恥じらう女が我々の英語教師ビッチな筈無い。
「あ、やっぱり元のビッチだ。」
ともかく、ビッチはこう見えて不器用だ。積み上げた経験が邪魔して素直になれないのだろう。
恋愛は知らんが。
「俺らに任せろ!2人のためにセッティングしてやるよ。」
「作戦決行は今日のディナーだ!」
「あ、あんた達…ありがとう…。」
「では、恋愛コンサルタント3年E組の会議を始めます。」
ビジネスマン姿の殺せんせーが。
「ノリノリね、タコ。」
「ええ、同僚の恋愛を後押しするのも我が役目。
愛欲に溺れる女教師…いい純愛小説が書けそうです。」
「完全にエロいほうじゃねーか!」
それはさて置き作戦を考える。まず問題だらけだ。
「まずさあ、服の系統がダメなんだよ。露出しとけばいいってもんじゃない。」
「そうそう、烏間先生みたいなお堅い日本人は清楚な方が好みだよ。」
「清楚といえば神崎ちゃんだね〜。昨日の服、乾いてたら貸してくれる?」
「うん、いいよ。」
そして神崎さんの服を着たビッチ先生。
「ほら、服一つでこんなに清楚にってえ?」
だがビッチは逆に露出度が高く見える。
(なんか逆にエロい!)
「そもそも全部のサイズが合わないっての!」
「神崎さんがあんな服着てたかと思うと…」
興奮した岡島は黙らせる。
「ぶはっ!」
「変な妄想すんな変態男。」
そして
「ええいエロいのは仕方が無い!大事なのは乳より人間同士の相性!」
岡野が諦めたように言うと、茅野が物凄い勢いで頷く。
「そんなにこだわってるのか…茅野、そんな事気にしなくたっていいのに。」
と俺が慰めるが、
「でも、やっぱり女子はそういう事気にするの!」
「何で気にするんだろう。やはり理解出来ない…」
「なあ、こいつも鈍感なんじゃね?」
「うんうん。」
俺のどこがどう鈍感なんだ。
「まあ、烏間先生の女性の好みを知っている人は?」
すると矢田が手を挙げる。
「はーい、この前TVのCMの女の人を、理想のタイプって言ってたよ。あ、そうそう、このCM。」
矢田が指さしたTVには、ALS◯KのCMが流れ、そこにいる女性はもちろん吉◯沙保里だ。
「彼女はいいな、身体つきも良い。おまけに3人もいる。まさに俺の理想だ。」
「理想の戦力じゃねーか!」
しかし竹林が意見を出す。
「強い女性が好きって線もあり得るけど…だったら尚更ビッチ先生の身体つきじゃ無理だ。」
「うう…。」
次は奥田さんが提案する。彼女の提案はというと、
「だったら、手料理っていうのはどうですか?ほら、ホテルのディナーも豪華だけど、
そこをあえて烏間先生の好物で。」
成る程。なかなかいい意見だ。そうだな、その線で…
「え、でも俺、あの人カップ麺とハンバーガーしか食ってるの見た事ねーよ。」
「それだと不憫すぎる…。」
それはアウトだ。ていうか健康に悪いぞファストフードばっかり食うのは。
「なんか烏間先生の方に責任があるんじゃ無い?」
「ねー、あの人付け入る隙なさ過ぎ。」
「でしょう、先生のおふざけも何度無碍にされた事か…。」
「…打つ手を無くして烏間先生がディスられ始めた。」
「はあ、あの人も苦労人だな。」
「ええい、とにかくやるしかありません!
女子は烏間先生が好むようなスタイリングの手伝いを、
男子は良いムードを出すようテーブルのセッティングを。」
こうして、恋愛コンサルタントE組(?)の烏間&イリーナくっつけ作戦が始動したのであった。