黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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言うほど伏線多くなかった。ていうかネタバレしてるし…


43話 茅野の時間

とある休日。俺はインターネットでとあるニュースを目にした。

 

「大量に廃棄される卵。」か。一体何があったんだ?

 

「ふむふむ。」

 

読み進めて行くと、だいたいこんな感じだった。

 

国が生産調整に失敗し、鶏が大量に産まれてしまった。

 

その為卵の価格が下落。運送代の方が卵の価格より高くなり、出荷するだけマイナスなので

 

しかたなく廃棄する事に。

 

まあよくある話だ、供給過多。

 

廃棄された卵は勿体無いが…仕方のない事だ。経済システム上。

 

と俺はあっさり割り切ったのだが、そう割り切れない人もいたらしい。

 

その頃渚とカルマと茅野が飲食店にいた。

 

そこでは丁度同じニュースをやっていた。

 

(これだ…!)

 

茅野は目を輝かせていた。

 

(これこそ、暗殺にふさわしい!私が目立たず、クラスに溶け込むための…)

 

そして1週間後…

 

「黒崎さん、メッセージ着信です。」

 

律が新規メッセージがあると伝えた。まあ緊急の用件ではなさそうだし、

 

「あー、あとで見ておく。」

 

と言って休憩しようとしたんだが…

 

差出人の名前を見た瞬間、無意識にボタンを押してしまった。

 

そこにはこう表示されていた。「茅野 カエデ」と。

 

「しまった。ついうっかり…。」

 

既読が付くのでばれてしまう…

 

仕方なく内容を見てみると、こう書いてあった。

 

「今から予定の空いている人は旧校舎に来てください。

 

暗殺計画を手伝って欲しいの!」

 

と。俺は早速用意をして旧校舎へ向かった。

 

***

 

「というわけで、廃棄される卵を救済し、なおかつ暗殺もしようというプランを考えました!」

 

「卵を…暗殺に?」

 

「けっ、飯作って対先生弾混ぜる気か?そんなんとっくに誰かがやって見破られてるっての。」

 

「ふふ、もう少し考えているのだ。

 

烏間先生にお願いして準備もOK!では校庭に来て下さい!」

 

そこにあるのは巨大なプリン型の透明な容器。

 

「これってまさか…、プリン?」

 

「そう、今からみんなで、巨大プリンを作りたいと思います。

 

名付けて、プリン爆殺計画!」

 

茅野が放課後、殺せんせーとプリンを食べた時。

 

「プリンっていくらでも食べられるよね、殺せんせー!」

 

「ええ、先生、一度でいいから自分より大きいプリン食べてみたいです。

 

金がないんで出来ないですが…。」

 

そう、つまり…

 

「ええ、叶えましょうそのロマン!ぶっちゃけ私もそれやりたい!

 

巨大プリンの底に対先生弾の入った爆弾を詰め込み、殺せんせーが奥の方まで食べ進んだら、

 

竹林君の発破でドカン!」

 

という事らしい

 

「やってみる価値ありかもな。殺せんせーエロとスイーツには我を失う所あるし。」

 

と磯貝が賛同する。

 

「…意外性があるな、後方支援に徹してた茅野が自ら計画を実行するのも。」

 

杉野も同意見のようだ。

 

「よし、先生のいないこの3連休で勝負に出るか!」

 

こうして、プリン爆殺計画はスタートした。

 

「でもカエデちゃん、巨大プリン前にテレビでやってたけど失敗してたよ。

 

溶けちゃった上重さで潰れてた。」

 

「ふふ、大丈夫。そのてんも良く研究したのだ。材料も工夫を凝らしたし。

 

凝固しやすいよう寒天を入れたの。」

 

巨大な鍋?に牛乳と卵を入れたり、その他カラメルなど混ぜたりしてできたプリンの原型。

 

それを巨大な型に流し込む。

 

「その調子、1班から順に注いで行って!

 

下は固めにして自重に耐えられるようにゼラチンを入れたの。なおかつ上はふんわりするよう生クリーム!

 

はいこれ、時々投げ入れて。」

 

「これ何?」

 

「オブラートで包んだ味変わり。ずっと同じ味じゃ飽きちゃうでしょ。

 

フルーツソースとかが飛び出して、あちこちに違う味が出るの。」

 

そして容器へホースで水を注いでいる。

 

「これだけの体積じゃ自然には冷えないから、冷却水をポンプで流し込む。」

 

(す、すげえ…。)

 

「どこまでプリンの特性を熟知しているんだ茅野。」

 

「ああ、科学的な根拠だけでなく味まで研究してる…。」

 

それほど茅野のこの巨大プリンにかける情熱は大きかった。

 

「やるねー、茅野ちゃん。あのニュースから1週間であそこまで手配したの?」

 

「うん、ていうか前から作ってみたかったんだ。諸経費も防衛省が出してくれるし、

 

最高の機会だと思ったの。

 

 

それに、そうと決めたら一直線になっちゃうんだ、私。」

 

この言葉の真意、その時俺は気付く事が出来なかった。

 

茅野はいつも、後ろから暗殺のサポートをする。後方支援に向いているのかなと思ったが、

 

自分の好きな物を使ったになると、こんなにも集中力を発揮するとは。

 

意外と作戦立案も上手いのだろうか。

 

何はともあれ、生き生きと動いてプリンに情熱を注ぐ茅野は、輝いて見えた。

 

そして

 

「一晩たったらパイプを抜いて、型枠を外していく。ゆるめのゼラチンで外面を柔らかに整え、

 

カラメルソースをかけてバーナーで炙れば、巨大プリンの完成!」

 

ついに巨大プリンが完成した。

 

巨大プリン、トロトロでカラメルソースの色も良く、とても美味しそうだ。

 

「うまそ〜。」

 

「暗殺の為だって忘れちゃいそう。」

 

皆プリンを見て驚く。茅野はとても嬉しそうだった。

 

「うんうん。」

 

そこへ殺せんせーがやってくる。

 

「にゅやああ!これ先生が全部食べていいんですか!」

 

「いいのいいの、廃棄卵を救いたかっただけだし。勿体無いから全部食べてねー!」

 

殺せんせーは目を輝かせて興奮状態に。

 

「も、勿論!いっただきまーす!」

 

殺せんせーはプリンへ飛び込む。

 

「茅野、教室で爆破を見守るぞ。」

 

「うん。」

 

皆教室で様子をみる。

 

殺せんせーは凄い勢いでプリンを食べていく。底に辿り着くのも時間の問題だろう。

 

プリンの底にはカメラを設置してある。

 

起爆タイミングは、殺せんせーが食べ進みカメラに背景が映った時。

 

「プリン…、爆破。」

 

茅野はふと呟く。彼女の脳裏に浮かぶのは、プリンの為に重ねた苦労と研究。

 

「絶対途中で味変わった方が美味しいよね、だから4層プリンを参考にして…。」

 

「なるほど、強度モデルで縮小実験するんですね。急にお聞きしてすいません!」

 

「ああ!また崩れた…。」

 

(悩み、繰り返した試行錯誤。いつしかそれは、ダミーの暗殺から、本気の暗殺になっていた。)

 

「ダメだ〜!愛情込めて作ったプリンを爆破なんて出来ない!」

 

茅野が突然叫ぶ。

 

「ちょ落ち着け茅野!」

 

杉野が止めようとする。

 

「茅野…、気持ちは分かるが、暗殺の為のプリンだ。爆破する事こそその愛情に応える事じゃないのか?」

 

俺はそういった。そして、

 

「プリンに感情移入してんじゃねーよ馬鹿!暗殺の為のプリンだろうが!」

 

寺坂が羽交締めにする。

 

「ずっーとこのまま、モニュメントとして飾るんだい!」

 

「腐るわ!」

 

すると

 

「ふう、ちょっと休憩。」

 

殺せんせーだ。手には爆弾を持ち、その起爆装置は外されている。

 

「プラスチック爆弾独特の匂いに気付きましてね、地中から潜って解除しました。

 

竹林君、先生の鼻にかからない成分も研究して下さい。」

 

…完敗だ。やはり殺せんせーは殺せなかった。

 

「それと、廃棄卵を使うのは、厳密には経済のルールに反します。

 

食べ物の大切さと一緒に、これからの公民の授業でしっかりやっておきましょう。

 

最後に、プリンはみんなで食べるものです。しっかり分けておきましたよ。」

 

こうしてプリン爆殺計画は無事(?)失敗に終わり、俺たちはプリンを食べた。

 

「惜しかったじゃないか茅野。いやむしろ安心したか?」

 

「えへへ…。ちょっとね。」

 

「でも、茅野がここまでやるなんて意外だったし、楽しかった。また見てみたいよ、こんな暗殺。」

 

「ふふふ、本当の刃は、親しい友達にも見せない物よ!

 

また殺るよ、ぷるんぷるんの刃だったら、他にもいっぱい持ってるんだから!」

 

そう茅野は得意げに言った。暗殺は失敗に終わったものの、茅野の意外な一面を知れたので良かった。

 

 

すると茅野の首筋に何か変な物を見つけた。

 

「茅野、なんか首筋にゴミが付いてるよ。」

 

「え、あ本当だ!ありがとね。」

 

茅野が首筋を払うと、それは消えたように見えた。

 

しかし本当は、茅野が「引っ込ませた」だけ。

 

(危ない危ない、あれがバレそうになるなんて。気を付けなくちゃ。

 

それにしても、まさか、ここまで本気になっちゃうとは、我ながら驚きだな〜、

 

ふふ、次はもっと強烈な刃をお見舞いするから、楽しみにしててね、殺せんせー。)

 

しかしこの時俺は知らなかった。茅野の言葉の本当の意味を、そしてそれが明かされる時、

 

殺せんせーに最大の危機が…

 

訪れる事も。

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