「2学期も滑り出しは順調!生徒達との信頼関係も深まり、今日も皆、親しみの目で私を見つめ…
って汚物を見る目!」
殺せんせーを、皆は汚物を見るような目で見ていた。
「椚ヶ丘に出没する謎の下着ドロ ヌルフフフと奇怪な笑い声 現場には大量の粘液」
と書かれた新聞の見出し。
「殺せんせーでしょこれ。」
「正直こんな事するとは思わなかった。」
失望したような皆の顔。それもそうだ。担任が下着泥棒だったなんて。
だけれども…
「ちょっと先生、全く身に覚えございません!何かの間違いです。」
あくまで殺せんせーは無実を主張する。
「じゃあアリバイは?」
速水が冷たい声で言う。
「アリバイ…?」
「犯行があった昨日の夜、殺せんせーは何処で何をしていたの?」
なるほど。アリバイを証明できれば無実だと。
だけれども…
「えーと、高度1万メートルから3万メートルの間を上下してシャカシャカポテトを振っていました。」
駄目だ、行動が突飛すぎる。大体…、
「そもそもこいつにアリバイとか意味ねーよ。何処にいたって一瞬で戻って来れるんだから。」
以上。アリバイに意味なし。マッハ20なんだから偽装工作も簡単に出来るし。
そこで磯貝が声を上げる。
「皆、決めつけてかかる事ないだろ。考えてみろ、殺せんせー煩悩だらけだけど、
今までしてきた事なんてせいぜい…
エロ本拾い読みしたり、水着写真で買収されたり、触手ブラをさせて下さいってファンレター書いたり。
…先生、自首して下さい。」
日頃の行いが悪すぎて磯貝でも庇いきれず。だが俺には疑問があった。
「でも考えてみろ、マッハ20のこの怪物がさあ、わざわざ証拠残す?
変装だって透明化だって液状化だってできる上バレない内に一瞬で戻って来られる。
盗まれた事すら気付かせない何て事も可能な筈だ。俺は殺せんせと決めつけるには早計だと思うな。」
皆納得したような顔をする。
「そ、そうです。先生潔白ですよ。」
だが
「だけど、殺せんせーに下着ドロをする動機はある訳だ。今までだってそういう行為してきた訳だ。
巨乳女子の背後でヌルフフフと笑う巨大な影を見たなんてニュースもあったし。
殺せんせーが興奮の余りボロを出したなんて事もありえる。あくまで無実と証明される訳じゃない。」
ちゃんと可能性を否定はしなかった。
「え、そこは無実だと言ってくださいよ…。先生は潔白ですよ。
その証拠に、職員室の机の中のグラビア全部捨てます!」
だから職員室の机の中にグラビア置いてある事自体が問題なんだよ。
普通の学校じゃ懲戒処分モノだ。
そして机の中を漁りグラビアを捨てて行く殺せんせー。
しかし、その中に、ブラジャーが。
「おい…。」
疑いの目を向けられる。
そして不破がある事実に気付き、急いで報告する
「見てみて、出席簿!女子の横に…。」
見てみると女子の名前の横にカップサイズと思われるアルファベットが。
「私だけ永遠のゼロって何よこれ!」
…1人を除き。
茅野は気の毒だがこの際置いておき、さらに出席簿の一番後ろには…
「これ、街中のFカップ以上のリスト…。」
どんどん深まっていく疑い。
それでも殺せんせーはなお疑いを晴らそうとする。
「今日は放課後バーベキューをしようと思いまして。ホラこの串美味しそう…。」
そこにもブラジャーが。
「最低…。」
「不潔…。」
殺せんせーに対し、突如降ってわいたド変態疑惑。
その日の終わり。
「今日の授業は…ここまで。」
殺せんせーは気まずそうな顔でそういった。
「ハハッ、今日1日針のむしろだったね。居づらくなって逃げ出すんじゃない?」
「確かに…。けど、エロ本読むとかと違って、下着ドロなんて立派な犯罪…、
殺せんせーするかなあ?」
「そりゃあ地球爆破に比べればどんな犯罪も軽いもんでしょ。」
「だが、さっきも言ったが、マッハ20の下着ドロがこんなボロ出すか?」
「出さないよね黒崎。それにさあ、こんな事したら俺らの信頼失うって事くらいわかってる筈。
それはあのタコに取って、暗殺と同じくらい避けたい事じゃない?」
「じゃあ一体誰が…?」
そこで叫んだのが不破だった。
「…偽物よ、ヒーロー物のお約束!本物の評判を貶めるため偽物が暗躍する!
笑い声や体色真似してるってことは、相手は殺せんせーの情報を知ってる。
律に助けてもらいながら手掛かりを探そう。」
「ああ、少なくともこれでタコが逃げ出しちゃたまんないしね。」
こうして偽殺せんせー探しが始まった。
「ふふふ、体も頭脳もそこそこ大人の名探偵登場!」
得意げな不破。しかしその口上はコ◯ンのパクリじゃないか?
やってる事はフリーランニングによる住居侵入だし。
「んで不破、何で真犯人がここを選ぶと?」
寺坂が聞く。
「ここは数日前から巨乳アイドルを集めたグループが新曲の練習してる合宿施設。
真犯人なら食いつかない訳がないわ!」
すると泥棒風の殺せんせーが。
「殺せんせーもいる。同じ事考えてたみたい。」
「どう考えても盗む側の格好だろ。」
「見て、真犯人への怒りの余り下着を見て興奮している!」
「おいこっちにも殺意剥き出しの…。」
俺の隣では茅野が、
「巨乳…アイドル…敵…。」
などと呟き、その目は殺意に満ちていた。ある意味殺せんせーより危ない。
「見て、あっちの壁から誰か来る!」
「黄色い頭の大男!」
真犯人がやってくる。素早い動きで下着を盗っていくその男。
すると殺せんせーが飛び出して男を捕まえた。
「捕まえたー!よくも私の評判を貶めてくれましたね。こうなったら隅から隅まで手入れしてやる。
ヌルフフフ。」
どっちが危ないんだ。こういう行動ばっかしてるから疑われるんだろうが。
「さあ真犯人よ、その顔を暴いてやる!」
殺せんせーが黄色い男のマスクを外すと、そこには…
「烏間先生の…部下の人!」
鶴田さんだった。
「貴方が何故…こんな事を?」
すると現れる1人の男。
そして突然降ってくる布の檻。
「ごめんごめん、国に掛け合って、烏間先生の部下をお借りしてね、対先生用の檻まで閉じ込めた。
君達の暗殺を参考にしたよ。」
シロだった。
「当てるよりまずは囲む。さあイトナ、最後のデスマッチを始めよう。」
イトナが現れる。兄弟対決、3度…
「うおおおおお!」
触手を振るうイトナ。そのスピードは以前より早くなっている。
「まずはフィールドを急激に変化させる。君達のアイデアは本当に役に立つねえ。」
シロ…これも奴の策略か。狡猾な奴め…
「シロ、全部テメーの作戦かコレ!」
「ああ、街で下着ドロを重ねたのも、殺せんせーに色々小細工したのもね。それと、彼を責めてはいけない。仕上げとなるこの場所だけは、下着ドロの代役が必要だったのでね。」
そう言って鶴田さんを見るシロ。
「すまない…、烏間さんより上の上司の命令だ。やりたくないが断れなかった。」
彼も被害者というわけか
「生徒の信頼を失えば慌てて動く。合宿の嘘情報といい、多少不自然でも飛び込むあたり間抜けだねえ。」
「クソ、そうやっていつも裏から手回して…!」
「きったねーな、俺らの獲物だぞ!」
「それが大人というものだよ。そうだ、中の様子が見えなくて不安だろう?」
そう言うとシロは状況を解説しだした。
「あれはシーツではなく対先生物質を入れた強化布。とても丈夫で戦車が突進しても壊れない。
臭いは消臭剤でごまかせる。イトナの触手に取り付けたのは対先生物質を使ったグローブ。
触手同士がぶつかる度、じわじわと一方的にダメージを与える。」
なるほど、道理で檻から殺せんせーが出ない訳だ。
「さらにイトナの位置取り。常に上から狙い獲物を逃さない。これで仕留められないようではね。」
そして殺せんせーを追い詰めるイトナ。
「兄さん、お前を殺してたった一つの問題を解く、即ち最強の証明!」
そう言って触手を振り下ろすイトナ。しかし…
殺せんせーは顔を曲げてその攻撃を避けた。
「流石ですイトナ君、1学期までの先生ならやられていたかもしれません。
でもね、イトナ君、君の攻撃パターンは単純です。いかに速くても、いかに強くても、
いかに保護者が策を積み上げても、3度目となれば目も慣れてきます。」
「馬鹿な、こんなはずが…。」
殺せんせーはイトナの攻撃をかわす。
「イトナ君、先生だって学習するんです。先生が成長しないで、どうやって生徒を成長させようと。
さて、厄介な布の檻を始末しますか。夏休みの完全防御形態の経験から一つ学習しました。
触手の一部を圧縮して、エネルギーを取り出す方法。」
殺せんせーは触手からエネルギーを発生させる。凄まじいパワーを感じる。
「なんだこのパワーは…。」
シロも動揺を隠しきれない。
覚えておきなさいイトナ君、先生にとって暗殺とは教育。
そして暗殺教室の先生は、教える度に強くなる!」
殺せんせーはエネルギーを布の檻にぶつける。
そして檻は爆破され、イトナも飛ばされていく。
「馬鹿な…、俺は、強くなった…はずなのに…。」
ショックを受けたイトナ。よほど強さへの執着心があるのだろう。
そしてイトナを受け止める殺せんせー。
「そう言うことですシロさん、この手の奇襲はもう通用しません。彼をE組に預けて大人しく去りなさい。
後…、私が下着ドロじゃないという正しい情報を広めて下さい!」
ああ、そういえばそうだった。まあもう疑いは晴れるだろう。
「私の胸も、た、正しくはBだから!」
いや、それはもういいだろう茅野。
「!」
するとイトナが苦しみだす。
「い、痛い…、頭が…、脳味噌が裂ける…!」
それを見てシロは言う。
「ほう、度重なる敗北のショックで触手が精神を蝕み始めたか。
…ここら辺があの子の限界だね、これだけの私の作戦を活かせないようでは。」
「何を言って…。」
「イトナ、君に情がない訳ではないが、次の個体を運用する為に、どこかで見切りをつけないとね。
さようならイトナ、後は1人でやりなさい。」
そう言って去ろうとするシロ、それを殺せんせーが止める。
「待ちなさい、貴方それでも保護者ですか!」
「教育者面してんじゃないよモンスター。何でもかんでも壊す事しか出来ない癖に。
私は許さない、お前の存在を、どんな犠牲を払ってでも、お前が死ぬ事が私の望みだ。」
そう言ってシロは闇に消えていった。
すると…
「うがあああああ!」
イトナは苦しみのあまりどこかへ走っていった。
「なんでもかんでも壊す事しか出来ない癖に…か。」
「茅野、なんか言った?」
「いや、何でもないよ!」
(確かにその通りかもね、殺せんせー。)