黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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テスト4日前、だが大丈夫だ問題ない(フラグ)


73話 侵蝕の時間

「…こんだけ長く信頼関係作って来たから、もう先生を最初から疑ったりはしない。

 

けどさ、話さなきゃいけない段階に来ちゃってんだよ。じゃなきゃ誰も納得しない。

 

殺せんせーの過去をさ。」

 

その通り、もう話すしかない段階に来ている。そうしないと説明がつかない。

 

「分かりました。先生の全てを話しましょう。ですがその前に、茅野さんは大切なE組の生徒。

 

話すのは、クラス全員が揃ってからです。

 

すると殺せんせーの携帯電話に着信が来た。

 

殺せんせーは何も出来ないので俺が内容を確認する。

 

メールの通知だった。差出人は茅野カエデ。

 

内容は、「明日夜9時、椚ヶ丘公園奥のススキ野原まで」

 

ここに来いと言う明確なメッセージだ。

 

結局その日は、皆解散とした。

 

皆の顔には、暗い表情が浮かんでいた。

 

俺は家に帰る。偶然その日は、妹は部活で遅くなるそうで、俺1人だった。

 

俺は強烈なショックに襲われた、

 

当然だ、いつも隣にいた、明るく優しかった少女が、

 

実は元天才子役で、しかも姉の仇を討つためにこの学校に1年間潜んでいたなんて…

 

その上触手を彼女は操っていた。それがどれだけの痛みを伴うのかは、

 

イトナの事例から容易に推測できる。

 

何故そこまでして復讐を求める。その感情が、俺には理解出来なかった。

 

「なんで触手まで植え付けて…、復讐の為にそこまでする気持ちが理解出来ないな。

 

そこまでして、得る物があるっていうのか、憎い相手がいるのか…」

 

彼女の笑顔も、行動も、全てが演技だと分かったら、全てが馬鹿らしくなった。

 

「俺の行動は、一体なんだったんだ…

 

茅野を不良から助けたのも、プールが爆破された時助けたのも、

 

全ては無駄だったのか。全部茅野の正体を隠す為の行動に過ぎなかった。

 

俺は一体、何をしてきたんだ。それすら分からない…」

 

そもそも、茅野の正体なんて、疑う余地はどこにでもあった。

 

何故転校生がE組に入ったのか、この時点でおかしい。

 

その上泳げない、甘い物が好き、巨乳への執着、触手持ちの特徴を、彼女は全て持っていた。

 

気付こうと思えば、いつでも気付けたはずなのに、何故だろう。

 

俺は無意識に、それを否定していたのだろう、茅野が触手なんて持っているはずが無いと。

 

完全に信じきっていた、そういう点で、やはり彼女の演技は完璧だったと言える、

 

俺は、一体どうすればいいんだ。

 

「やっぱり、出来るわけねえのかな、ずっと演技に騙されてた俺に、出来る事なんてどうせ…何もない。」

 

そう諦めたように、自嘲気味に俺はいった。

 

すると、スマホから声がした。

 

「そんな事、ないと思いますよ。」

 

***

 

一方その頃、殺せんせーは、駆けつけた烏間先生とビッチ先生に話をしていた。

 

「…というわけです。」

 

殺せんせーが事情を説明すると、2人は言葉を失った。

 

「…」

 

当然だ、衝撃的過ぎる内容だからだ。

 

すると烏間先生が沈黙を破る。

 

「…まさかそんな事が起こったとは。イトナ君の時のよう触手の暴走が起きたら危険過ぎる。

 

すぐさま防衛省で対策を…」

 

しかし、殺せんせーはそれを否定した。

 

「駄目です。触手を持ったものの殺意は、移植者の殺意と、触手そのものの殺意、

 

両方を取り除く必要がある。そうしないと触手が身体から離れない。

 

本人の殺意はともかく、触手の殺意は、ターゲットを殺したという感触がなければ消えません。

 

つまり私がいないと解決は不可能。もしあなた方が何らかの手段で捕獲し確保しても、

 

恐らくメンテナンスもせず触手を使い続けた彼女は、渦巻く激痛に耐え切れずに尽き果ててしまう。

 

それは最悪の事態です。」

 

「…」

 

烏間先生は黙っていた。

 

「それに、茅野さんはE組の生徒。生徒の問題は、先生が解決するのが筋でしょう。

 

それに、彼女は1日後に私を殺すと言った。そんな早く、準備は出来ないでしょう?」

 

「確かにそうだ。」

 

烏間先生は、渋々それを納得した。

 

しかし、そこでビッチ先生が声を上げる。

 

「解決するって、一体どうするつもり?殺したっていう感触?

 

そんなの、カエデがあんたを殺さない限り得られないわ。どうしろっていうの?

 

本人の殺意だって、1年近く激痛に耐え切ってまで殺すっていう程の殺意を失わせるなんて…」

 

「そう、問題はそこなんです。一体どうすれば…」

 

その日は、結局答えは出なかった。

 

全ては明日あのすすき野原へ来た時に考えようと。

 

彼らも一旦解散した。

 

 

「そんな事、ないと思いますよ。」

 

そう言ったのは俺のPCの画面に映る律だった。

 

「…律。どうせ俺に出来る事なんて何もない。あんな殺意を抱いた茅野を止められるわけないだろ。

 

第一俺に近付いたのも、隣にいたのも全て暗殺のため、茅野にとっちゃ全ては復讐の前座だったんだよ。

 

E組での日々が。そんな茅野を救えるかって?無理な話だ。」

 

俺は自嘲気味に語った。そう、俺は他人を傷付ける事は出来ても、救うことは出来ない。そんな人間だ。

 

ましてや姉の仇と憎む相手がいる、そんな少女の殺意を失わせるなんて…、

 

そもそも茅野を助けるなんて、あのタコがやる事だ、俺の仕事じゃない。」

 

「恐らく、殺せんせーに対して、茅野さんは全力で攻撃を繰り出します。

 

そうなったら、殺せんせーに茅野さんを助ける余裕はありません。

 

そもそも、何をそんなに躊躇しているんです?茅野さんを助けたいんでしょう?

 

もしかして、黒崎さんにとって、理由つけて助けないくらいに、茅野さんの存在は軽い物なんですか?」

 

律はそう言い放つ。

 

「そんな訳ないさ、助けたいに決まっているだろう!俺にとって、茅野は大切な存在なんだ!」

 

「だったらどうして…」

 

「俺に、何が出来るって言うんだ。教えてくれよ…」

 

「どうしてやる前から諦めるんですか?黒崎さん。

 

そうやって諦めていたら、出来る筈の物まで出来なくなってしまいます。

 

救える筈の相手だって、救えないかもしれないんですよ!

 

出来るわけない、そう思っていた。だから諦めていた。

 

けど、律の言葉を聞いて心が揺らいだ。やる前から諦めるのは間違っているかもしれない。

 

俺は出来ない、そんな事を言う資格があるのは、死ぬ気で努力して、工夫した人間だけだ。

 

「俺にも、出来る事があるのか…?律。」

 

俺はそう聞いた。

 

「はい、きっとあると思いますよ。」

 

律はそう言う。そして数分間、読み込み中の画面が表示された後、律はある資料を表示した。

 

「これは…」

 

そこには様々な

 

「某組織から入手した、触手移植者にみられる影響をリストアップしたファイルです。

 

流石に国家機密の研究機関の情報だけあって、探すのは大変でしたが、

 

偶然にもどこかへ流出していた模様です。」

 

俺はずっと考えてた。どうやれば茅野を触手から救えるか。あのリストも参考に。

 

俺はイトナの事例を思い出した。強さへの病的な執着の影響で、

 

強さを求め続け、触手を手放そうとせず何度も暗殺を試みたイトナ。

 

彼は寺坂達のバカな行動…もとい必死の説得により、自分が焦っていた事を悟り、

 

彼は触手を手放した。

 

「耐え切れない、次のビジョンが出来るまで、俺は何をして過ごせばいいんだ!」

 

勝利を得られず焦っていたイトナに、寺坂が言い放った言葉は忘れられない。

 

「…今日みたいにバカやって過ごすんだよ。その為に俺らE組がいるんだから。」

 

普通に聞いたら呆れ果てるセリフだが、あの時は確かな説得力があった。

 

話を元に戻そう。

 

イトナの時のように上手くいくか、恐らくそうはいかない。

 

イトナは力への執着があったから、殺せんせーを倒せず焦っていた。

 

別に殺せんせー本人が憎いわけではない。ただ「強い」という理由だった。

 

だが茅野は違う。事情はどうあれ、殺せんせーを「姉の仇」として認識している。

 

触手使用者の殺意が増大するとどういう状態になるかは、あのリストに書いてあった。

 

神経と密接にリンクして動かす為、触手のパワーに引きずられる形で神経が異常興奮を示す

 

事例がある、と。

 

恐らくそうなったら説得も何も通じない、とにかく殺意を失くすしかない。

 

その為には何が必要か。俺は思い出す。考えられるあらゆる可能性を想定して、

 

武器も有効だと思われるもの全て。

 

どんな苦労も厭わない、茅野を救う為なら。

 

万全を期して、最善を尽くした、律の協力の元情報収集もやった。

 

そうして準備をして、迎えた運命の時、皆がすすき野原に集まる。

 

そこには、茅野が立っていた。

 

茅野は周りを見回してこう言った。

 

「来たね、じゃあ終わらそ!」

 

運命の時が、今、やって来た。l




律がどっかのエ◯みたいだ。両方とも電脳世界にのみ存在するし、
無気力な主人公を叱咤してるし。
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