黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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受験生って忙しい。休みは正月三が日だけ……

しかも課題出されたし。


91話 救出の時間

律が映像を流し始める。

若干のノイズが混じった映像、最初に出てきたのは、1人の仮面を被った男だった。

 

「こんにちは。椚ヶ丘中学3年E組の皆さん。

 

まずは、この映像をご覧いただきたい。」

 

そう言うと、監視カメラから撮ったかのような一室の光景が現れる。

そこでは、黒崎が鎖で繋がれていた。

 

「黒崎……!」

 

皆息を呑む。

すると、その部屋にスーツ姿の、サングラスを掛けた男が、鉄パイプらしき物を持って現れる。

 

「まさか、」

 

皆青ざめる。おそらく、この男がこれから黒崎を攻撃するのだろうと。

その予想通り、男は鉄パイプを黒崎の身体に振り下ろす。

ドサッ、と鈍い音がする。

 

男はなおも黒崎の事を攻撃し続ける。

その度に鈍い音がする。

だが、黒崎は目を覚まさない。意識を失っているようだ。

 

そしてなんと、男は黒崎の頭部めがけて鉄パイプを振り下ろす。

ガツンと音がして、黒崎の頭から、赤い血が流れる。そのおぞましい光景に、皆顔を歪める。

今度は、黒崎の顔めがけて鉄パイプを振り下ろす男。

複数回殴り続け、黒崎の顔に痣が出来始める。

 

「やめて……、もう見てられない。」

 

茅野がそう呟く。彼女にとってこれはとてもショックな映像だった。

黒崎が、一方的に暴力を受けている。そして、彼は痛々しい姿で横たわっている。

そして、その映像は突然途切れた。

 

また仮面の男が現れる。

「手短に言おう。見ての通り、黒崎翔太の身柄を預かった。ついでに言うと彼の妹のもだ。

もし彼が暴力を受け続けるのを止めさせ、彼を救いたければ、

君達はここへ来たまえ。勿論、タコ教師も含めて全員だ。1時間以内にここに来なければ、

彼の命はないと思いなさい。もし来なければ、君達にも火の粉が降りかかるだろうしね。

場所はこのメッセージの後で表示する。

さて、殺せんせーとやら、君は生徒の命と自分の命、どちらを優先する?」

 

そう言って映像はプツンと切れた。

 

「……」

 

皆はしばらく言葉が出なかった。

残酷なあの映像を見せ付けられては、当然だろう。

 

すると、誰かが呟く。

「気持ち悪い。一体どうして黒崎君にあんな事を?」

それに誰かが答える。

「分からない。けどよっぽど趣味が悪い奴だってのは確かだ。」

「……黒崎をあんな目に合わせやがって。」

 

そしてカルマが殺せんせーに問う。

 

「……でどうする殺せんせー。このままだと黒崎殺されるよ?

助けないといけないんじゃない?そうしないと、俺らにも危害加えるって言ってるし。」

 

「勿論ですカルマ君。助けに行きましょう、黒崎君を。

ですが皆さん、敵はどうやったか知りませんが黒崎君を捕らえる程の相手です。

私がいることを知っていながら、堂々と私を来させるのですから、

余程私を捕らえる自信があるのでしょう。おそらく狙いは私。

彼をダシに私を呼び寄せ、100億をかっさらおうとしているのでしょう。

何にせよ相手は恐らく相当強い。それに、今回は烏間先生がいない事もある。」

 

そう、烏間先生は、今日は出張でいない。何でも重要な会議だとか。

だから、より今回の作戦の難易度が上がる。

 

「皆さん、警戒して臨んで下さい。覚悟はいいですか?」

皆は頷く。

「勿論、クラスメイトを助ける為だ、何だってやってやるよ。」

 

こうして黒崎救出作戦が始まった。

すると、律がデータを受信したらしく、表示する。

「皆さん、恐らくこれが、黒崎さんが捕らわれている場所です。

この場所は、かつてテレビ局として使われていた場所。

老朽化により、今は閉鎖されています。近々取り壊し工事が始める予定なのですが、

敵はそこを占拠した模様。ここからは距離にして15kmほど。敵は1時間以内と言って来ましたが、

どうしますか?」

 

「私が君達を運びましょう。先生単体の力では、皆さんを一斉に運ぶ事は不可能ですが、

そこは上手く工夫します。皆さん、超体育着を着て、武器を持って校庭に集合して下さい。

できるだけ早く出発しますよ。」

 

「はい!」

 

皆一斉に準備を始める。そんな中、茅野は浮かない顔をしていた。

 

「はあ……」

 

溜め息をつく茅野。

 

彼女は落ち込んでいた。黒崎があんな目に遭っている映像を見て、強くショックを受けていた。

彼女はショックのあまり、何も考えられず呆然としていた。

 

(黒崎君があんなに苦しんでいても……私に出来る事なんてないのかな)

 

すると、殺せんせーが茅野の前に現れた。

 

「茅野さん、あの様な映像を見せられ、ショックを受けたのは分かります。

しかし、彼の為に我々が出来る最善の行動は、彼を助ける事。

心配ありません。ここには君を含めた28人の生徒がいる。きっと力を合わせれば、

彼を救い出せるでしょう。黒崎君のことを本気で想っているのなら、尚更、

彼を助けるべきです。」

 

「殺せんせー。」

 

「それに、」

 

最後に、殺せんせーはニヤリと笑ってこう付け加えた。

 

「好きなんでしょう?黒崎君の事が。」

 

「……どうしてそれを!」

 

思わず赤くなってそう言う茅野。

 

「ヌルフフフ。生徒の恋愛をチェックするのは教師の役目ですから。

それに、君の本心に、最後まで気付けなかった事は申し訳なく思っています。

だからこそ、生徒の心情はしっかり見ていかねばと思いましてね。」

 

言っている事は正しいが、若干方向性がズレている気がする。

けれど、その言葉は、茅野の心には確かに響いたのであった。

そうして皆が準備を終え、校庭に集合する。

 

「準備はいいですか、皆さん。それでは、これから私が皆さんを運びます。

あの袋の中に全員入って下さい。」

 

そう言うと、殺せんせーは地面を指差す。

そこには、巨大なスポーツバックの様なものが2つ置いてあった。

「アレに入れって事?」

「はい。ちょっと狭いかもしれませんが、よろしくお願いします。」

と言う訳で、皆がバックの中に入っていく。

そうして全員入ったところで、殺せんせーはバックのファスナーを閉じ、持ち上げ、

 

なんと思いっきり投げた。

 

「ええ〜!」

そのあと、マッハで飛行し、そのバックを掴む殺せんせー。

「こうやって勢いをつければ、皆さん全員でも運ぶ事が出来るのです。

ヌルフフフ、創意工夫と言うやつですよ。」

 

それを聞いて、全員がこう思ったと言う。

 

「無茶すぎるだろ!」

 

そうして飛行する事およそ10分。敵がいると言う旧放送局まで辿り着く。

そこは人の気配のない山間だった。

 

「さて、いよいよ作戦を開始します。まずは入り口に入ります。

そこで、敵が潜伏していないか確かめ、潜入を開始しましょう。

できれば全員で一緒に行動するのがベストですが、

途中で、なんらかの要因により散り散りになってしまったら、

闇雲に動こうとせず、出来るだけ大人数で動きましょう。

この様子からして、敵は恐らく強力なジャミングをかけています。

携帯やトランシーバーなどの通信手段は一切使えないと見ていいでしょう。」

 

「その通りだ殺せんせー。」

 

イトナが呟く。

「俺の新作ドローンの試験飛行には丁度いいと思って持ってきたが、

さっきから操作がまるで効かない。ジャミングがかけられているのは間違いないだろう。」

 

「では、潜入を開始しましょう。まずは私が入ります。」

そう殺せんせーが言い、建物の中に入ろうとする。

しかし、ドアを開けようとした瞬間。

 

殺せんせーの触手が溶け始めた。

 

「!!!」

 

「やられましたね。これでは私は入りようがない。

どこか私でも侵入できる経路を探しますので、皆さんは先に入って下さい。

心配ありません。皆さんならきっと出来るはずです。」

 

殺せんせーがそう言うと、皆は入り口を通り、潜入を開始する。

こうして、救出作戦が始まった。

 

……

 

その様子を、モニターで眺める仮面の男。

 

「……勇敢だねえ。泣けるじゃないか。クラスメイトを救うために潜入を試みるなんて。

こんな危険までおかして。どんな気分だい黒崎君。君の為にクラスメイトが危機に晒されるなんて。

さぞかし悔しいだろうねえ。」

 

そう言って嘲る仮面の男。彼の仮面の奥には、残虐な笑みを浮かべた顔が。

しかし、それに答えるものはいなかったのであった。

 

 




さて、一体黒崎はどうなってしまったのか?
無事黒崎を救出できるのか?E組メンバーの命運やいかに。
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